2004年12月


2004/12/31
 今年は、台風や地震で多くの被害を受けた。イラク戦争が激化し、凶悪な犯罪も多く発生した。研究環境も悪化している。どうにかならないのだろうか。
 しかし、スーパーマンが現れて一挙解決とはいかない。どうにかするためには、やはり、一歩一歩の地道な努力しかない。それは分かっているが、気の遠くなるような道のりを思い佇んでしまう。
 宮城谷昌光著「長城のかげ」(文春文庫)を読んだ。この本は、中国古代の項羽と劉邦の時代を描いた短編連作集である。混乱の時代に生きた人々の思想と行動は心にしみる。明日に向かって踏み出す勇気を与えてくれる。
 来年が平和で、よい年でありますように!


2004/12/30
 歳末の29日、東京・上野の約430店が連なる幅8メートルの通りの商店街「アメヤ横丁」(通称アメ横)は、雪が降りしきる中、正月用の食材を求める買い物客でごった返したと共同通信が伝えている(04/12/30)。大みそかまでの3日間で、約170万人の人出を見込んでいるとのことである。
 いよいよ今年も残すところあと1日となった。貧乏暇なしを地でいく忙しい年であった。


2004/12/29
 京都大の篠原隆司教授らのグループが生後すぐの精子を作り出す細胞(精巣)の中に「万能細胞」を発見したと科学雑誌セルに報告した。
 Kanatsu-Shinohara M, Inoue K, Lee J, Yoshimoto M, Ogonuki N, Miki H, Baba S, Kato T, Kazuki Y, Toyokuni S, Toyoshima M, Niwa O, Oshimura M, Heike T, Nakahata T, Ishino F, Ogura A, Shinohara T., (2004) Generation of pluripotent stem cells from neonatal mouse testis. Cell, 119:1001-1012.
 再生医療への応用が研究されている受精卵の胚性幹細胞(ES細胞)と同じ機能を持つ「万能細胞」は、精子のもとになる精子幹細胞を培養する研究のなかで見つかり「多能性生殖幹細胞(mGS細胞)」と名づけられた。ES細胞のように、筋肉や血液、神経などの体細胞や生殖細胞など多種類の細胞になりうると述べている。しかし、ES細胞と違い、オスだけがいれば作り出せる。
 ES細胞は胎児になる前の受精卵の細胞を利用するが、mGS細胞は生まれたあとの精巣を使うので、倫理的な問題は少ないと考えられ、再生医療の新たな技術として期待されている。


2004/12/28
 米科学雑誌サイエンス(Breakthrough of the year. Science, 306: 2001, 2010-2012 & 2013-2017 (2004))は、今年最大の科学的進歩として火星に水が存在していた「証拠」を見つけた米航空宇宙局(NASA)探査車の成果(On Mars, a Second Chance for Life)を第1位に選んだ。NASAが火星に送り込んだ2台の無人探査車「スピリット」「オポチュニティー」について、「地球以外に生命が存在した可能性のある場所を発見するという、人類初の偉業を成し遂げた」と、高い評価を与えた。ドナルド・ケネディ(Donald Kennedy)編集長は「今年のトップにはほとんど異論がなかった」と強調している。特に、ロボット技術を駆使した探査車の性能に注目し、「火星や月への有人飛行計画を重視するあまり、ロボット探査をおろそかにするべきではない」と述べている。

 第2位は、「ホモ・フロレシエンシス」と名付けられた人類の化石の発見が選ばれた(The Littlest Human)。インドネシア東部のフロレス島で発見された身長1メートル、脳の容積は現代人の3分の1以下で、約1万8000年前まで現代人の祖先と共存していたとみられる。

 3位には、クローン研究が挙げられた(Clone Wars)。ソウル大のファン・ウソク(SukHwang)教授らのチームは最近、ヒトのクローン胚から、人体のあらゆる細胞に成長する能力を持つ胚性幹細胞(ES細胞)を作ることに成功したと発表した。

 4位は、超低温で現れる物質の状態「ボーズ凝縮」(Deja Condensates)を、「フェルミオン(fermion)」粒子により高い温度で実現した研究。
 5位は、遺伝情報を持たずジャンク(くず:)と呼ばれていたDNA(Junk DNA)に重要な役割があることを指摘した研究(Hidden DNA Treasures)。
 6位は、新たな中性子星の発見(Prized Pulsar Pair)。
 7位は、絶滅危機にある生物についての新たな報告(Documenting Diversity Declines)。
 8位は、水を取り巻くなぞに迫る研究(Splish, Splash)。
 9位は、世界各地で進む官民共同の医薬品開発(Healthy Partnerships)。
 10位は、海水や地中から採取された新種の遺伝子の解明(Genes, Genes Everywhere)。


2004/12/28
 「ドラえもん」そっくりのキャラクターが米連邦通信委(Federal Communications Commission (FCC))のHPに記載されており、著作権を持つ藤子プロ側が「非常に似ている」と警告の申し入れ書を送ったと共同通信が伝えている(04/12/28)。
 このドラえもんには耳があるが、藤子・F・不二雄原作の「ドラえもん」にそっくりである。名前はブロードバンド君。
 下記のサイトで耳のあるドラえもんが見られるが、非常に重いページなので、サイトを開けるときは注意が必要である。明らかに著作権を侵害していると思う。
 http://www.fcc.gov/cgb/kidszone/


2004/12/28
 Yahoo! JAPANサーファーチームより、Yahoo!の新着サイトとカテゴリー トップ > 生活と文化 > グルメ、ドリンク > 各種食品、料理 > 果物 に登録されるとのメールをもらった。うれしい。アクセス数が前日と比較して約7倍増加した。やはりYahoo!の影響力は大きい。


2004/12/27
 1905(明治38)年創業の小千谷市の老舗果物店「星野屋」は、隣に総合病院があり、多くの見舞客が訪れた。夏涼しくて冬暖かい15畳の地下室があり「夏なのにナシや桃を買える」と評判を呼んだ。3代目の夫良雄さんを92年に亡くし、洋子さんが後を継いだ。創業100年目の記念すべき創業100年目を新潟県中越地震が襲った。
 店の土台は傾き、壁もはがれ落ちた。その惨状に、果物店を切り盛りする4代目主人星野洋子さん(63)は廃業を決意し、泣く泣く従業員8人に「解雇」を通告した。だが独立して北海道、東京、京都に暮らす息子3人から異口同音に言われた。「お母さんこそ頑張らないと」
 「必要としてくれる人がいる。もう一度やってみよう」。今月1日、市役所そばに所有する駐車場にプレハブを建てて営業を再開した。従業員も元通り働いている。(毎日新聞04/12/25)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/
niigatajishin/news/20041226k0000m040043000c.html

 とても良い話である。


2004/12/26
 バランスの取れた食生活に向けた「食生活指針」を広く普及するため、農水省は、フードガイド(仮称)づくりに着手したと日本農業新聞が伝えている(12/25)。各食品の望ましい摂取量を料理で具体的に図式化する。新基本計画づくりに合わせ、来年3月末までの完成を目指す。野菜不足や塩分、脂肪の取り過ぎなど、現在の食生活を改善するのに「何を」「どれだけ」食べればいいか、ひと目で分かる絵をつくるという。米国のフードガイドピラミッドを参考に、主食類、主菜類、副菜類、果物に分けて構成する考えとのことである。
 検討委員会資料は下記。
 http://www.maff.go.jp/food_guide/1_itiran.htm
 上記資料を見ると相変わらず果物の位置づけは低い。野菜と果物は同等であるとすべきであると思う。


2004/12/25
 6時、サンタさんは中国から東南アジア、ヒマラヤ山脈、インドを経由して、中東、ロシア、エジプトを過ぎギリシャを通過中です。サンタさんのそりを引くトナカイの先頭にいる赤いお鼻のルドルフを確認できましたか。サンタさんのそりはとても早いので流れ星のように見えます。
 日本では夜が明けてきたようです。
 http://www.noradsanta.org/japanese/radar/index.html(日本版)
 http://www.noradsanta.org/english/radar/index.html(英語版)

 7時45分、サンタさんがイタリア上空にいるのが確認されました。サンタさんのそりにナビゲータがついているのが見えました。日本時間で朝9時になるとグリニッチ時(標準時)では真夜中の0時です。もうすぐロンドンで確認できるのではないでしょうか。

 大西洋上で一休みしてお菓子を食べたサンタさんは、南アメリカへ向かい、プレゼントを配り終わると北に向かい北アメリカ、ニューファンドランド島上空を飛行中です。

 17時、サンタさんはアメリカ大陸を横断し、西海岸のシアトルにいます。このあとバンクーバーに向かうそうです。飛行は時間通りとのことです。アメリカの子供たちの皆さん、プレゼントは届いていますか。

 17時35分、サンタさんはハワイに到着したと追跡チームが報告しています。追跡は、これで終わりとのことです。ただ、サンタさんは、これからもう一度寝ていなかった子供たちのところを訪ね、プレゼントを配るそうです。メリークリスマス。


2004/12/24
 日本時間で19時、サンタさんが北極上空で発見されました(グリニッジ時間より日本は9時間進んでいます。)

 日本時間で21時30分ニュージーランド上空を通過中!
 http://www.noradsanta.org/japanese/radar/earliertonight/1200.html
 25日0時、オーストラリアを過ぎて、日本上空を通過中!サンタさんのそりのスピードは新幹線の100倍も速いそうです。

 下記の地図の日本上空をクリック。
 http://www.noradsanta.org/japanese/radar/index.html


2004/12/23
 サンタ追跡の準備はいかがですか。世界中から送られるサンタカム・ビデオを見たり聞いたりするには、無料リアルプレーヤーの8ベーシックが必要です。
 2004年12月24日の朝早くから、サンタさんの居場所探しが始まります。何年も前から保存されている綿密な記録、そして高度な技術を身に付けたレーダー・サテライト技師の力を借りて追跡が行われます。サンタさんがクリスマスイヴに訪れる場所は大体見当がついているとのことです。
 クリスマス音楽は下記のサイトで。
 http://www.noradsanta.org/japanese/christmasmusic/index.html


2004/12/21
 中国北部、黄河近くにある河南省の村で、9000年以上前の陶器のつぼから、世界最古とみられるワインの残留物を見つけたと、アメリカ科学雑誌「Proc. Natl. Acad. Sci. USA」に発表された。 (McGovern, P.E. et all., Fermented beverages of pre- and proto-historic China. PNAS published December 8, 2004, 10.1073/pnas.0407921102) 。分析手法など、この欄で詳細について報告する。


2004/12/20
 クリスマス・イブを控え、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が「サンタ追跡プログラム」のウェブ・サイトを開設した。24日朝から、世界中に設置したカメラを使ってサンタを追跡し、ウェブ上の地図で居場所を知らせる。1955年から始まったこのプログラムは、今年で50回目。NORADの高性能レーダーや人工衛星などのハイテク機器を駆使して、トナカイがひくソリに乗ったサンタの場所を調査している。 24日にはサンタの居場所が、リアルタイムでわかるようになっている。
 日本語サイトは下記。今から準備をしよう。
 http://www.noradsanta.org/japanese/index.html

サンタさんはいるの?

編集者さんへ、

 私は8歳になります。何人かの友達がサンタクロースはいないと言っているの。パパは、昼間サンタさんが見えればいるんだよと言っています。真実を教えてください、サンタクロースはいるの?

1897年12月、バージニア・オーハンロン (Virginia O'Hanlon)より


バージニアへ

 君の友達はまちがっていますよ。その子たちはきっと、何でとうたがう、うたがい病にかかっているんだと思います。自分に見えるものだけしか信じない、自分にわからないことは、何でもうそだと思うんです。あのね、バージニア、心というものは大人でも子供でも、みんな小さいものなんです。この偉大な宇宙の中では、人間を囲っている限りない世界に比べると、人の知性はアリのような、一匹の虫のようなものなのです。存在する真理と知識の全てを理解するなんて、人間にとっては計り知れないものなのです。そうですバージニア、サンタクロースはいます。この世に、愛や優しさや信じる心があるように、またそれらのものが満ち溢れ、人生に最も崇高な愛と喜びを与えてくれると君も知っているように、サンタさんは本当にいるのです。ああ!もしサンタクロースがいなかったら、この世はなんてさびしくて、つまらなくなってしまうでしょう。バージニアという子供たちが存在しないのと同じくらいさびしいところになってしまうでしょう。そしたら、この世に生きていくのに耐えていけるための、子供のように純真な信じる心も、詩も、ロマンスも存在してはいないでしょう。ただ目で見たり、手でさわったりするもの以外に、なんの喜びもなくなってしまうはずです。世界をてらしてくれる子供時代という名の永遠の光は、消え去ってしまうでしょう。

 サンタクロースを信じないですって!サンタクロースなんていないなんて言うのは、妖精を信じないのと同じです。クリスマスにパパにお願いして、誰かをやとってもらい、町中のエントツをみはってもらったらどうでしょう。サンタクロースがつかまるかもしれませんよ! でも、もしエントツから下りてくるサンタクロースが見えなかったとしても、それが何の証拠になるでしょう。サンタクロースを見た人は誰もいません。でもそれは、サンタクロースがいないということの証明ではありません。この世の中で一番真実なことは、子供にも大人にも見えないものなのです。君は、妖精が芝生の上でダンスをしているのを見たことがありますか?もちろん、ないでしょう。だからといって、それが妖精がいないという証拠にはならないのです。この世の中には、見たり見られたりすることができない不思議があるでしょうが、そういう不思議を全部、想像したり実際に思い浮かべたりできるとは限りません。人は、中の何が音をたてているのか見たくて、赤ちゃんのがらがらを分解したりします。でも、目に見えない世界をおおっているベールがあって、どんな力持ちでも、今までにいた一番の力持ちの力を合わせても、それをやぶることができないのです。ただ、信じる心や、詩や、愛や、ロマンスだけがカーテンを開き、その向こうにある超自然の美や栄光をながめさせてくれるのです。それって本物なのでしょうか?

 ああ、バージニア、これほど真実で永遠に続くものは、この世の中には他にはないのです。

 サンタクロースがいないですって!?

 すばらしいことに、サンタさんは生きています。それも永遠に。

 バージニア、今から何千年たっても、それどころか一万年たっても、子どもの心をよろこばせつづけてくれるんです。

 -- Yes, Virginia, There is a Santa Claus.  ニューヨーク・サン新聞より (The New York Sun)


2004/12/18
 魚類のえらは進化の過程で失われ、陸上の脊椎(せきつい)動物にはないと考えられてきたが、人の血中のカルシウム濃度を一定に保つ働きをする副甲状腺は、えらが変化したものであることが分かった (Okabe M, Graham A., Proc Natl Acad Sci USA, 51:17716-17719. (2004))。この成果はゲノム(全遺伝情報)を用いた解析から得られたもので脊椎動物が海から陸へ上がった進化の過程を解明する新たな手掛かりと考えられている。


2004/12/17
 植物において乾燥ストレスによって活性化するタンパク質リン酸化酵素を同定し、この遺伝子を利用して乾燥ストレスに強い植物を作製することに成功したと、理研の研究グループが報告している。
 水分不足や高濃度の塩類などの影響による乾燥ストレスは、植物の生育を著しく阻害し、世界の農業生産に深刻な影響を与えている。研究グループは、モデル植物であるシロイヌナズナを用いて、乾燥ストレスによって活性化するタンパク質リン酸化酵素SRK2Cを同定した。さらに、SRK2C遺伝子をシロイヌナズナで過剰に発現させると、乾燥耐性が有意に向上することが明らにした。この遺伝子は、乾燥地帯などで農作物を栽培するのに有利な特性として応用期待が期待される。
 概要は理研の下記のサイトに掲載されている。
 http://www.riken.jp/r-world/info/release/
press/2004/041203/index.html



2004/12/16
 朝日新聞に連載している南極「越冬隊の人々」で気象観測を担当している佐々木利さんを取り上げている(04/12/16)。
 零下60度にもなる厳冬の大陸遠征で、風上に顔を向け、観測機器を掲げて15分間。40日間で計218回の観測。そのため、顔中が黒く変色するほどの凍傷を負った。「地球で最も寒い気象条件を全身で体験し、記録したかった」と佐々木さん。
 昭和基地では、気温や風速、日照時間など、11項目の観測記録をとりまとめ、観測機器の整備にあたる。日々、同じ作業の繰り返しだが、「気候変動などを解明するには、一日でもデータが抜けてはならない」という。 この地道な日常が科学の進歩につながるのだと思う。
 サイトは下記。
 http://www.asahi.com/nankyoku/people/TKY200412160191.html


2004/12/16
 ふたご座流星群による流れ星をたくさん見られることを期待していたのですが、残念ながらあまり見ることは出来ませんでした。
 流れ星が消えるまでに祈った願いは叶えられると言われています。今回も流れ星を探しながら何を祈ろうかと考えましたが、やはり子供の成長が一番だと思いました。若い頃に何を願ったかを思い出してみると自分のことばかりだったように思います。子供は親のことなど願いはしませんが、親は子供のことが一番心配です。
 そうした親の思いを踏みにじるような出来事が立て続けに起こりました。北朝鮮に拉致された横田めぐみさんのニセ遺骨。奈良の少女を殺害した犯人による両親への卑劣な電話。最低最悪で許すことの出来ない行動です。こうしたことがおきない社会にする努力をしなくてはいけないと改めて思っています。


2004/12/13
 子どもたちに科学の楽しさを知ってもらおうと、日本ユネスコ協会連盟が主催したソニーの二足歩行人型ロボット「QRIO(キュリオ)」を使った体験教室が群馬県高崎市役所であり、午前の部には地元の中学生ら約120人が集まったと朝日新聞が伝えている(04/12/12)。
 QRIOがダンスやクラシック音楽の指揮を披露したほか、開発担当者に質問するコーナーもあり、会場からは「どうしてロボットを作ろうと思ったのですか」といった質問が寄せられた。
 また、QRIOに直接触れることができる時間もあり、生徒たちは目を輝かせながらQRIOとの交流を楽しんだ。

 科学の楽しさを伝えるにはどうしたらよいのだろうか。多くの試みが行われているが、「直接ふれる」、「開発者や研究者と話が出来る」が大きなインパクトになるのかも知れない。


2004/12/11
 日経新聞NIKKEIプラス112面にリンゴの生活習慣病が取り上げられ、私たちの「リンゴ摂取で中性脂肪が減る」「リンゴでアレルギー予防」が取り上げられました。お近くに日経新聞がありましたらお読みください。


2004/12/11
 IBMがパソコン事業を中国企業に売却するとの発表には驚いた。IBMは、現在使われている大半のパソコンの規格(IBMが公開した仕様をもとに作られたIBM互換パソコン)を作った企業である。今までIBMはパソコン開発のシンボル的な企業であった。しかし、そのIBMが利益の出ないパソコン事業より、収益性の高いサービス部門を拡大する戦略を選択し、パソコン事業を売却した。
 利益を追求する企業とはこういうものかもしれないが、今まで特別な存在であったIBMという企業が普通の会社になってしまったとの感想である。企業理念への信頼感が薄れたので、今後は、IBMだから選ぶということはなくなるだろう。
 農業はこうは行かない。動くことのない土地を耕すことを離れては考えられないからだ。生活もそうだ。税金が高くなり暮らしにくくなったから別な国に移りますとはいかない。農業と企業の理念はこの点で大きく異なる。


2004/12/10
 国立天文台では、できるだけ多くの人に流れ星を眺めてもらおうと、流星数が最も多くなると思われる12月13日(月曜日)の夜に「ふたご座流星群を眺めよう」というキャンペーンを行う。この夜の20時~22時(午後8時~午後10時)の間に、15分ほど夜空を観察し、その間に何個の流れ星を見ることができたかを報告してもらう。また、13日から14日にかけての夜を中心に、前後1週間ぐらいは流星群が活動しているので、極大の時より少ないが、他の夜にも流星を見ることができるとのこと。詳細は下記のサイトで。
 http://www.nao.ac.jp/pio/20041213geminids/index.html


2004/12/09
 国連食糧農業機関(FAO)は、世界の食料不安に関する年次報告書を発表し、毎年500万人以上の子供が飢えのために死亡していると報告した。「5秒に1人」が死亡している計算で、食糧事情の改善が必要だと訴えている。
 報告書によると、2000─02年で飢えに苦しむ人の数は約8億5200万人に達し、1990年代半ばから1800万人増加した。96年の世界食糧サミットで、2015年までに飢えに苦しむ人を半減させる目標を設定したが、90─92年に比べて900万人しか減っていないと指摘している。 特に、中国とインドでの問題悪化に言及している。
 また、飢えや栄養不足により、年間約300億ドル(約3兆1000億円)の医療費が掛かると試算。飢餓問題の解決は、国にとっても良い投資になるとして、問題解決に向けて各国が積極的に取り組むよう促している。
 FAOのプレスリリースのサイトは下記。
 http://www.fao.org/newsroom/en/news/2004/51809/index.html


2004/12/08
 睡眠時間と食欲との関係についてヒト介入研究と疫学調査の2つの研究についてCNNなどが伝えている。

[ヒト介入研究]
 米シカゴ大学のグループは、20代前半の健康な男性12人を対象に、4時間睡眠を2日続けた後、10時間睡眠を2日続けた後、食欲に関係するレプチンとグレリンの血中濃度を測定した。レプチンは満腹中枢を刺激する働き、グレリンは食欲を促す作用がある。この結果、4時間睡眠を2日続けた場合、レプチンの濃度が18%減少し、グレリンは28%増加したことが分かった。 4時間睡眠の後のグレリンの濃度は、9時間寝た後と比べ71%も多かったという。 また、睡眠時間を減らした場合、キャンディーやケーキなどの甘いものやでんぷん質の食物をより多く取る傾向がみられた。その理由として、睡眠不足で疲労がたまると、脳がブドウ糖で満たされるため、体が純粋に糖類を欲しがるのではと推測している。睡眠時間の長さは、2種類のホルモンの増減、空腹感の強さと関係することが明かとなった。

[疫学調査]
 米スタンフォード大学のグループは、1000人を対象に実施した調査から、いつも5時間以下の睡眠しか取らない人は、常に8時間寝る人に比べ、グレリンの濃度は平均で14.9%多く、レプチンは15.5%少なかったと報告している。また、肥満度の指標であるBMI指数を使って統計をまとめたところ、睡眠時間の少ない被験者の方が、体重が多かったとのことである。

 ヒト介入研究と疫学調査の結果が一致したので、睡眠時間と空腹感との間にはかなり強い関係があると言える。


2004/12/07
 12月10日から国立科学博物館で日本の科学者技術者展シリーズ第1回「高峰譲吉生誕150年記念展」が開催される。国立科学博物館上野勇館のホームページは下記。
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/index.html
 高峰譲吉(1854~1922年)は、ホルモン物質(アドレナリン)の抽出・結晶化に世界で初めて成功した。その時の結晶化したアドレナリンをスケッチした実験担当者のノートの復刻や、高峰が使っていた机や顕微鏡などが公開されるという。


2004/12/06
 青森県西目屋村の尾太(おっぷ)鉱山跡地の廃水中から、最大で直径7.5センチの淡水性マンガン団塊が発見されたと報道された。マンガン団塊は深海底に大量にあり、将来の金属資源として注目されるが、陸上でマリモのように大きく「成長」した形で発見された例は珍しいという。 マンガン団塊の形成に微生物が関与しているとみられ、そうした環境を調べれば、より短時間に価値の高いマンガン団塊を作り出せる可能性があるとのことである。
 興味深い発見である。マンガンの利用的価値、微生物によるミネラルの体内蓄積など、時間があればもう少し周辺を調べてみたい。


2004/12/05
 胎児のエコー診断に使われる超音波は、脳梗塞(こうそく)の治療にも威力を発揮することが、米テキサス医科大などの研究で明らかになった。この研究は、カナダ、スペインとの共同チームの成果で医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの最新号に報告された。
 脳梗塞発症直後の患者126人に脳に超音波を当てる治療を試したところ、2時間以内にほぼ半数の患者で、血流の回復や症状の改善がみられた。
 超音波は脳梗塞の診断によく使われるが、最近は治療効果にも期待が寄せられている。しくみは解明されていないが、血栓付近の血液をかきまぜ、薬の効果を高めるのではないかとのことである。


2004/12/04
 日本など10カ国・地域が1998年から進めてきたイネの全遺伝情報(イネゲノム)の完全解読が、12月中旬に完了する見通しとなったと毎日新聞が伝えている(04/12/02)。このことにより、ゲノムに存在する重要な遺伝子などの存在位置がこれまでより早く、正確に割り出せるようになり、栄養価の高い品種や病気・害虫に強い品種など、さまざまな品種改良に結びつくと期待される。今回の解読完了により、全体の95%にあたる3億7000万の塩基配列が99.99%の精度で、ほぼ切れ目なく解読されたという。


2004/12/03
 糸井重里氏の「中越地区のある町の観光再生のための企画」が下記のサイトに載っている。大変参考になるコラムである。コメをリンゴに、ミカンなどに変えたらどうだろうか。ぜひ下記のサイトを見て頂きたい。
http://www.1101.com/darling_column/index.html
 コメントの一部を引用する。
 「美味しい水、美味しいコメ、山の幸、景観にすぐれた山々、川、歴史のある温泉」は、もちろん観光資源ではある。しかし、都市周辺以外のほとんどの田舎には、「美味しい水、山の幸、景観にすぐれた山々、川」くらいはある、と思ったほうがいい。
 ということは、つまり、
 「美味しい水、山の幸、景観にすぐれた山々、川」のある、ほとんどの田舎の人たちは、この町を訪れる理由がないということだ。

 コメのめしがうまい、ということにおいて、すでにこの地方は、ブランドとなっている。しかも、日本一ブランドと言っていいほどの強いブランドになっている。

 「コメのめしの旅」!
 観光の核は、この「コメのめし」という、あらゆる日本人にとっての基本中の基本のおいしさを、万人に味わってもらおうということになる。このとき、「美味しいコメ」を育てた「美味しい水」が、こんどは、そのコメを炊くための秘密兵器になる。

 「コメのめしの旅」は、ローカロリーでリーズナブルだ。しかし、予算に糸目はつけないという場合には、ふつうの献立に見えて、実は「最高のぜいたく」という、センスのいい和食が提供できる。最高級のごはん茶わんに、最高のごはんをよそって、最高の出汁をとり、最高の野菜をつかったみそ汁を添え、天然のぶりの塩焼きを少々、漬物は京都から選りすぐり、最高の卵に最高のしょうゆをちょっと加えて、卵かけごはんも食べつつ‥‥。

 これで、温泉もあるのだからたまらない。

 カギは、この町が呼びかけて、日本中の「うまいもの文化交流」を実現することである。市場を編集すれば、儲けたい人、試したい人、売り出したい人は、自然にその舞台にやってくる。


2004/12/03
 毎日更新することはつくづく難しいと感じている。今後も毎日という訳にはいかないとしても、これからも出来るだけ更新を続けたいと思っている。

2004年11月


2004/11/29
 オリーブオイルの成分に心臓病を予防する一定の効果があることを米食品医薬品局(FDA)が認め、商品ラベルで効能をうたうことを許可している。 (The Food and Drug Administration (FDA) today announced the availability of a qualified health claim for monounsaturated fat from olive oil and reduced risk of coronary heart disease (CHD).: 2004/11/1)
 総カロリーが増えない範囲内で動物性脂肪などの代わりにオリーブ油を食べれば、心臓病のリスクが減らせるとしている。オリーブオイルに豊富に含まれる一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)が良い働きをする。
 http://www.fda.gov/bbs/topics/news/2004/NEW01129.html


2004/11/28
 世界最高級のワイン「ロマネコンティ」が作られる赤ワイン用品種「ピノノワール」は、1370年から2003年までの収穫時期の記録が教区と市の記録文書に残っている。そこで、この資料を用いて生物気候学の観点から、産地であるフランス北東部ブルゴーニュ地方の春夏の気温変動を調べた結果を科学雑誌ネイチャー(Nature. 432: 289-290; doi:10.1038/432289a)に発表した。異常な猛暑の影響で、同国内だけで1万5000人近くの死者が出た昨年の春夏の気温は、分析できた1370年以降で最も高かったという。そのほか、1960-1989年は平均より5.86℃高く、1523年は4.10℃高いことがわかった。


2004/11/27
  血液型で性格決めつける番組に対して視聴者から抗議相次いでいると毎日新聞が伝えている(04/11/27)。NHKと民放が設立した第三者機関、放送倫理・番組向上機構(BPO)の青少年委員会は番組内容などを検討し、「科学的根拠があるかのような体裁で問題がある」などと判断、近く民放各社に対し、番組制作にあたり慎重な対応を、と要望する。
 科学的根拠のないものを科学的に根拠があるように見せる番組を批判することは大変難しい。なぜなら、もともと科学的な根拠がないから、統計の取り方とか実験方法とか基本的な点から問題点を明らかにしなくてはならないため、科学的な論理を視聴者に思うように伝えられない。しかし、岡山大の長谷川芳典教授の下記のサイトは、この難しい問題を科学的に批判している。
http://www.geocities.jp/hasep_diary/bloodtype/


2004/11/26
 食生活などがかかわる2型糖尿病で、肥満男性に比べてなりにくいとされるやせた男性でも、飲酒量が増えるにつれて発症の危険性は高まることが、厚生労働省研究班の大規模疫学調査で分かった。その理由として、やせた人には、血糖値を抑えるインスリンの分泌能力が弱い人が多いこと、また、長期の飲酒も分泌能力を下げることから、両者が複合しておきるとしている。そのため、ほかの病気への影響も考慮し、日本酒に換算し1日1合を超える飲酒習慣には注意が必要としている。
 下記のサイトに結果が示されている。
 http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/20/inshu_dm.html


2004/11/25
 今冬(平成16年度)のインフルエンザ予防の標語は「栄養、睡眠、予防接種で三位一体」と決まった。インフルエンザワクチンについては、昨シーズン使用量の1.4倍となる2,061万本(1mL換算)の供給が予定されており、そのうち100万本のワクチンを不足時の融通用として確保することとしているので不足はおきないと予測されている。
 インフルエンザ総合対策のサイトは下記
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/0111/h1112-1.html
 インフルエンザのQ&Aのサイトは下記。大変参考になる情報がたくさん掲載されている。
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/0111/h1112-1c.html


2004/11/24
 平成17年度から平成21年度の5年間使用する「日本人の食事摂取基準(2005年版)」が厚生労働省から発表された(下記サイト)。今までは「第○次改定 日本人の栄養所要量-食事摂取基準-」としていたが名称も変更された。
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/11/h1122-2.html
 生活習慣病予防に重点をおき、以下の栄養素について新たな指標「目標量」を設定した。
 ・ 増やすべき栄養素
  食物繊維、n-3系脂肪酸、カルシウム、カリウム
 ・ 減らすべき栄養素
  コレステロール、ナトリウム(食塩)
 ・ 脂質については、脂肪エネルギー比率のみならず、その質も考慮する必要があり、飽和脂肪酸、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸、コレステロールについても策定した。

 食事摂取基準とは、健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、エネルギー・栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものである。


2004/11/24
 くだもの・科学・健康ジャーナルにも色々なサイトが出来てきたので検索ソフトを導入した。フリーソフトも検討したが、検索結果が思わしくなかったので、広告が表示されてしまうがgoogleの検索システムを導入した。これで、探しているサイトに到達できればよいのだが。またもし、フリーソフトでgoogle並みに検索できるものがあったらメールをいただければ大変うれしい。


2004/11/23
 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会表示部会は、「アレルギー物質を含む食品に関する表示について」検討報告書(食品の表示に関する共同会議報告書No.4:発表サイトは下記)を公表している。
 この調査の結果をみると、特定原材料5品目(小麦、そば、卵、乳、落花生)で全アレルギー発症数の約70%(全3840件中2702件)、全ショック発症数の約75%(318/424)を占めている。また、発症数の視点から表示を義務づけた鶏卵、牛乳・乳製品及び小麦については、それぞれ全アレルギー発症数の約39%(1486/3840)、約16%(616/3840)、約8%(311/3840)であり、症状の重篤性の観点から表示を義務づけたそば、落花生は、それぞれ全ショック発症数の約7%(28/424)、約4%(18/424)である。
 今回の結果をふまえ、厚生労働省は、卵、乳、小麦、ソバ、落花生の特定原材料5品目(食品衛生法表示義務)の維持と、サバ、大豆など表示を推奨する19品目に、新たにバナナを加えた。

 食品の表示に関する共同会議報告書No.4は下記のサイトで見られる。
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/07/s0723-12.html


2004/11/22
 睡眠時間が短い人ほど太る傾向が強いとアメリカ・コロンビア大学とセント・ルーク-ルーズベルト病院のチームがまとめ米肥満学会で発表したと内外のメディアが伝えている。
 1万8000人(32~59歳)のデータを分析した健康栄養調査(NHANES: The federal government's National Health and Nutrition Examination Survey)によると、睡眠が7~9時間の人に比べ、4時間以下しか眠らない人は73%も肥満のリスクが高かった。睡眠5時間程度の人でも50%、6時間程度では23%、それぞれ太りやすかった。 起きている時間が長ければ食べ物を口にする機会も多く、こうした体内状態が食べ物の摂取を促進するらしい。起きている時間が長いと消費カロリーも多いものの、摂取が消費を上回っていることが、今回の大規模な調査から明かとなった。
 NBCのサイトは下記
 http://www.msnbc.msn.com/id/6504280


2004/11/22
 「旬のやさしいくだもので健康づくり」(11/2)をテーマ行われた講演会でご一緒した平野美由紀さんがご自身のコラム「My Favorite Foods-第27回なんてつたつてフルーツ」(gooダイエット:主婦の友社)でこのホームページを紹介して頂いた。ありがとうございました。
 平野さんのコラムは下記
 http://diet.goo.ne.jp/nonmember/rensai/favorite/index.html


2004/11/21
 長野県立須坂病院、長野女子短期大学と長野県農村工学研究所の研究グループは、リンゴを毎日1個以上食べると血液がさらさらになることを明らかにしたと日本農業新聞(04/11/16付)が伝えている。女子短大生22人を対象に、1日1個食べるグループと2個相当のジュースを飲むグループに分け、1週間摂取してもらって摂取前と後、摂取後1週間の血流速度を調べた。その結果、リンゴを食べたグループの血流速度は12%ほど速くなっていた。また、食べるのをやめて1週間後には元の速さに戻っていた。りんごジュースの場合も同じ傾向だったが、改善効果はリンゴを食べたグループを上回ったとしている。


2004/11/21
 厚生労働省の検討会は、高齢者などの痴呆症の呼び名を今後は「認知症」とする方向で一致した。痴呆症の持つマイナスイメージを払しょくするためで、十二月末の検討会で最終的に決めるとしている。
 「痴呆」に替わる用語に関する検討会『第2回資料』は下記のサイトで見られる。
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/09/s0901-3f.html
 「痴呆」に替わる用語の検討についての検討経過は下記のサイト
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/10/tp1001-5.html


2004/11/19
 毎日1個のリンゴが、アルツハイマー病など痴呆(ちほう)の予防に役立つ可能性があると読売新聞が報じた(04/11/18付け)。アメリカ化学会の専門誌の来月1日号に掲載されるという。詳細が分かり次第本サイトや「果物&健康NEWS」に掲載する。
 米コーネル大などの米韓共同チームによると、リンゴには高い抗酸化作用を持つ物質ケルセチンが多く含まれている。抗酸化物質には、アルツハイマー病の進行や脳細胞の老化などから、細胞を守る効果があるとされ、抗酸化力の高いケルセチンが特に注目されている。そこで、マウスの脳細胞を過酸化水素にさらした状態でケルセチンの効果を調べた結果、抗酸化作用が高いとされるビタミンCよりも明確に高い効果が確認された。 そのため、研究チームは、実験結果をもとにした目安として、「リンゴを1日あたり少なくとも1個食べれば体内の一定量が確保できる」としている。


2004/11/18
 長持ちする人工関節の開発について東京大のチームが英科学雑誌ネイチャーマテリアル(Nature Materials 3: 829-836 (2004))に報告した。人工関節は、骨折や骨粗鬆(そしょう)症、関節炎などで機能を失った関節の代わりに埋め込まれる。従来の人工関節はポリエチレン製が多く、長く使ううちに摩耗して微粉が生じるため、これを除こうとする生体因子によって、人工関節を固定している周囲の骨が壊れてしまう。
 今回報告された長寿命の人工関節は、新開発した生体になじみやすい有機化合物(2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine (MPC))をポリエチレンの表面に化学的に結合させた生体適合ポリマーで作られており、摩耗による微粉末の発生を防ぐことが出来る。ネズミの実験では、周囲の骨が壊れる現象も全く見られなかったとしている。


2004/11/17
 文部科学省科学技術・学術審議会専門委員会に出席してきた。会議も煮詰まり、今年度中に5訂成分表の改訂版と脂肪酸成分表が公表になる予定である。


2004/11/16
 肌や髪の毛を黒くするメラニン色素が、皮膚や髪の毛を作る細胞に運ばれる仕組みを理化学研究所のチームが解明し、イギリス科学雑誌Nature Cell Biology (doi:10.1038/ncb1197 (2004))に発表した。メラニン色素は、メラノサイトと呼ばれる細胞で合成され、細胞内の小胞(メラノソーム)に貯蔵される。この小胞が細胞内の深部から細胞膜近くまで運ばれ、さらに皮膚や髪の毛を作る別の細胞に受け渡されて、肌や髪の毛が黒くなると考えられている。 そのため、このメラニン色素の輸送を制御できれば、美白や白髪予防ができると期待される。
 研究チームは、メラニンの入った小胞にある特定たんぱく質にエフェクター分子Slacが結合すると、小胞が細胞の深部から細胞膜近くへ運ばれること、また、細胞膜付近では別のエフェクター分子Slp2-aが小胞を細胞膜につなぎとめ、隣接する皮膚や髪の毛に受け渡す仕組みを解明した。このことから、このメラニンの輸送を阻害することで美白を保つことが出来ると期待されている。


2004/11/15
 愛媛県今治市立鳥生小学校での食育モデル授業「自分の食と健康を考える」を一般公開したと日本農業新聞が伝えている(04/11/15)。今治市は、農林水産省農政局などと「食教育研究会」を組織し、小学生を対象にした食育プログラムを作った。カリキュラムのポイントは、調理の技を身に付け、自分の食事を変えることだそうである。この運動が、大きく育ってほしい。
 農林水産省中国四国農政局愛媛農政事務所の食育に対する取り組みを下記のサイトで見られる。講師の派遣も行っているとのことである。
 http://www.chushi.maff.go.jp/nousei/ehime/kyouiku/kyouiku2.htm
 農林水産省中国四国農政局消費・安全部消費生活課が設置している食育活動を手助けする食育相談アドバイザーのサイトは下記。
 http://www.chushi.maff.go.jp/syokuiku/adviser/syokuadob.htm


2004/11/14-15
 「続5分間ミステリー」(ケン・ウェバー著:片岡しのぶ他訳)を読み終えた。なかなかおもしろかった。ベストセラーになるのも分かる。全部で34編のショートストーリーで、それぞれに設問と解答が付いている。なかなか正解には達しないが、それはそれでおもしろい。著者はカナダ・トロント大学の教授で雑学知識が詰まっている。また、今までの推理小説にはない数学や歴史の問題も含まれている。この本を読んで、いつか、私もこのようなミステリーを書いてみたいと思った。


2004/11/13
 青森の中高生がリンゴサミットを開催し、リンゴの魅力を語り合ったと日本農業新聞が伝えている(04/11/13)。「高校生の視点でリンゴ情報を発信しよう」と、青森県平賀町の県立柏木農業高校で開かれたサミットに、農高や中学校合わせて17校が参加した。藤崎園芸高はリンゴの専門知識を生かしリンゴ大使として首都圏で行った販売実習を、平賀東中学は修学旅行先の東京で、自分たちが作ったポスターを商店街に張り出したしたことを報告した。また、意見発表では栽培経験や販売実習の成果をリンゴのPRに生かしたいなどがでたという。

2004/11/13
 スパムメールが大量に送られてくるので、メール送信をCGIプログラムで行うように変更した。少しは改善されるのだろうか。あるいは、もう遅いのか。


2004/11/12
 アメリカの科学誌「ポピュラーサイエンス(Popular Science)」は、2004年の新製品大賞を発表した。この賞は、革新的な新製品を表彰するイベントで、今年で17回目。12部門で計100製品を選び、各部門ごとにグランプリが選定されている。アメリカ・エンルクス社の35年以上使える家庭用LED電球、日本のシャープのノートパソコン、パイオニアのDVDプレーヤー「DVJ-X1」や、東芝の0.85インチ超小型ハードディスクドライブ、ニンテンドーDSなどが入選した。
  2004年の結果は下記のサイトで
 http://www.popsci.com/popsci/bown/2004/grand


2004/11/11
 2005年日本国際博覧会(愛知万博)に参加するフィリピンの政府館は、特産のココナツをシンボルとした展示にすると共同通信が伝えている。テーマは「ウスボン(芽生え)-生命の種」。パビリオンの床材などにココナツを活用するほか、エッセンスオイルの体験スペースも設ける。立食のファストフード店もあり、ココナツのパイなどが提供されるとのこと。調べたわけではないが、万博などで果物がシンボルになるのは珍しいのではないか。


2004/11/11
 毎日農業記録賞最優秀賞は郡山市の鈴木光一さんに決まった。受賞作は、福島県郡山市のブランド商品を目指した新種の枝豆「グリーンスウィート」を仲間と生産した体験記。「初年度の03年は10アール当たり50万円の粗収入。コメの約3倍です」とのこと。農家は後継者難と言われる。「収益性が低く、他で働いた方が楽できると思われている。しかし消費者が欲しい物を種苗選びの時から考え、生産から流通まで総合的に見れば、国民の食意識が高まる中で農業ほど有望な産業はない」とみている。農家と消費者の距離を近付ける努力は、個人では限界もある。「農家、消費者、農協、行政が別々に物を見ている。横断的にコーディネートする人や機関が必要では」と提言している。

 日本の農産物は高いと言われているが、農家の収入は決して多くない。むしろ少ない方であろう。もし、収入が多ければ後継者離れがおきることはないだろう。収入が多ければ、農作業が大変でも後継者は帰ってくる。例えば、テレビの製作に係わる労働はとてもきついが若者は集まってきている。そのため、農家の収益を上げる方法が研究者に求められている。しかし、現在のところ、残念ながらそのような研究目標は見えてきていない。そうした中、鈴木さんのような人たちが農業の未来を切り開いている。


2004/11/10
 磁石に強く引きつけられる性質(磁性)を持つ新しい液体を合成することに、東京大の浜口宏夫教授らが成功したと共同通信が9日伝えている。磁石の粉末を油に交ぜた従来の磁性流体などに比べ常温でも安定しており、分離しにくいなどの特徴がある。磁性を持つ塩化鉄酸などを使ってイオン液体を合成したところ、液体自体にも磁性が確認された。通常の液体では分子がバラバラになっているのに対し、イオン液体の場合は、部分的に分子が整列した状態になっているとみられ、この部分が磁性の発揮に関連しているらしい。

磁性を持つ液体化合物の薬への応用の可能性
 病気になって病院に行くと、薬があたえられる。しかし、体内に注入された薬は、血管を通して全身をめぐり、病気を引き起こしている患部にだけ薬が作用するわけではない。体中に回った薬は、患部以外の部分にも影響をあたえ、副作用をおこすことがある。そのため、副作用を防ぐには、薬が必要な患部だけに作用するようにすればよい。こうした考えで研究されている薬が、「標的指向性ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)」または、「ミサイルドラッグDDS」と呼ばれる新しい投薬法である。こうした「ミサイルドラッグDDS」は、21世紀の夢の製剤として期待され、世界中の研究機関が研究・開発に取り組んでいる。
 浜口教授らの開発した磁性の物質に薬を包み込んで、磁石で、患部の細胞だけに薬を与えれば、薬の量を減らせるばかりでなく、副作用も抑えられる。つまり、必要な時に、必要な場所へ、必要な量だけ薬を運ぶことができると考えられる。今後の研究の進展が楽しみな研究成果である。

簡単に言うと
 薬を閉じこめた磁気を帯びた液体をミサイルとして、身体の外から磁石でミサイルを患部へ誘導して薬を投薬(投下)する。


2004/11/09
 大阪府立食とみどりの総合技術センターは園芸療法向きのブドウ栽培モデルを考案した日本農業新聞が伝えている。体に障害があったり歩くことが困難な高齢者など、車いすでの作業を想定し、ブドウのつるを横にはわせ、垣根は上下50センチの範囲で動くため、正面を向いて作業できるので身体への負担も少ないという。


2004/11/09
 健康日本21は今までのところあまりうまくいっていないようだ。特に食生活の面での改善が遅れているように見える。今後、この運動は、厚生労働省だけで進めるのではなく、文部省、農林水産省との連携を図る必要があるのではないか。


2004/11/08
 2010年までの国の健康づくり10カ年運動「健康日本21」(2000年スタート)で掲げた健康状態や食生活など70項目の目標の達成度を調べたところ、調査中の項目もあるが20項目で悪化した(中間評価)。
 現状と目標値を比較したところ、1日に食べる野菜は292グラムから285グラム(同350グラム以上)に減少、日常生活の歩数は男性が8202歩から7676歩(目標9200歩以上)に、女性も7282歩から7084歩(同8300歩以上)に減った。
 肥満の割合では、20~60歳代の男性で15%以下にする目標を立てたが、97年の栄養調査の24%から02年には29%と悪化。女性は40~60歳代で20%以下を目標にしたが、25%から26%と悪化した。20歳代女性では、やせすぎの人が23%から27%に増え、目標の15%以下から遠のいた。
 さらに、肥満や糖尿病の患者数が増え、運動量が減っていることから厚生労働省は悪化した項目について重点的に取り組むとしている。

「健康日本21 」における目標値に対する暫定直近実績値は下記のサイトに掲載されている。
http://ml-www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21
/ugoki/houkoku/pdf/0410mokuhyou_zanteiti.pdf


 
2004/11/07 pm6:30
 工場に搬入され、傷ついた原料用の国産リンゴからカビ毒である「パツリン」が検出されたことが7日、東京都健康安全研究センターの調査で分かった(共同通信など)。
 国内では、市販の外国産リンゴ果汁からパツリンが検出された例があるが、国産リンゴの果実から見つかったのは初めてである。パツリンが検出されたのは、ジュースに加工する前のリンゴの傷んだり腐ったりした部分からで、実際に果汁原料に利用され、リンゴジュースなどに製品化される可能性は低い。また、過去に行われたリンゴ果汁におけるパツリンの汚染実態調査の結果、国産市販リンゴジュース製品42件、濃縮果汁8件からはパツリンは検出されなかった(下記農林水産省プレスリリース参照)。
 さらに、リンゴジュースに含まれているパツリンの法律による規制についてはすでに平成16年6月1日から施行されており、国内産のリンゴジュースの検査は、都道府県の検査機関によって行なわれており、安全性が確保されている。

政府におけるリンゴ果汁に対するパツリン対策
 平成14年12月25日付け農林水産省生産局プレスリリース:「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格・毒性合同部会におけるりんご果汁に係るかび毒(パツリン)に関する検討結果を踏まえた農林水産省の対応について」は下記のサイトで見られる。
http://www.maff.go.jp/www/press/cont/20021225press_3.html

 リンゴ加工品に係るパツリンに関する規格基準の設定については、平成15年6月27日付け、厚生労働省薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録は下記のサイトで見られる。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/06/txt/s0627-3.txt

農林水産消費技術センターによるパツリンについての解説等(2004.5.27)
http://www.hiroba-cfqlcs-go.jp/magazine/backnumbers/No46.htm

神戸市環境保健研究所によるパツリンの解説
http://www.city.kobe.jp/cityoffice/18/menu03/h/
kanken/shokuhin/mamechishiki/paturin/patulin7.htm


用語解説
 パツリン
 パツリンとは、青かびの一種であるPenicillium属、Aspergillus属等のかびが作り出すかび毒であり、リンゴ果汁を汚染することが知られている。パツリンは熱安定性が高く、酸性条件でも安定であり、ジュースへの加工行程を経ても残存する。これらのかびは収穫、包装、輸送時等に受けた損傷部から侵入するとされている。
 コーデックス委員会(FAO/WHO合同食品規格委員会)では、50ppbの最大基準値が採択されている。 また、欧州諸国を中心にりんご果汁等を対象に規制値も、そのほとんどが50ppbである。
 わが国では、平成16年6月1日に、食品衛生法に基づく清涼飲料水の成分規格としてリンゴジュース及び原料用リンゴ果汁について、パツリンの規格(50ppb)が施行されている。
 パツリンについては、長期毒性として、体重増加抑制等の症状が認められている。また、急性毒性として、消化管の充血、出血、潰瘍等の症状が認められている。 なお、国際がん研究機関(IARC)では、パツリンをグループ3と評価し、人に対する発がん性については、分類できないものとしている。

パツリン
分子式:C7H6O4 分子量:154.0266 融点:110~112℃
λmax:276nm(ε:14,600)/エタノール
安定性:熱安定、酸性下で安定、アルカリで不安定


2004/11/05-06
 2世紀半ばごろの古代ローマ人の化粧クリームと思われるものが見つかったと科学雑誌Natureに発表された(Evershed, RP et al., Nature 432:35-36 (2004))。クリームは、現代の化粧品にも劣らない質の高さだという。古代ローマ寺院の発掘作業中に研究者らが発見した。缶の中には、羊か牛のものと思われる動物性の脂肪とでんぷん、酸化スズを混ぜ合わせたクリームが入っていた。このクリームは、ローマ人の女性のファンデーションのようなものだったのではないかと推察されている。ローマ時代には、色白がはやっていたのだろうか。

科学的推理の過程(原著論文を読んで)
 掘り出されたのはスズの缶で大きさは手のひらにはいるくらい(直径60mm深さ52mm)である。クリームの内容を調べるため、有機化合物の分析を行った結果、炭素が50%、水素が8%で窒素や硫黄は見いだされなかった。そのため窒素を含むアミノ酸で構成されるタンパク質の可能性はなくなった。そこで、クリームをクロロホルムとメタノールに溶かしたところ良く溶け、40%は脂肪酸であった。さらに詳しく調べると、動物由来の脂肪酸にしか見いだされていないC18:0の脂肪酸が高濃度に存在していた。そこで、このクリームは動物由来の脂肪であると考えられた。さらに詳しく調べるとその脂肪酸組成が羊か牛の脂肪酸組成に非常に近いことが分かった。
 香気成分についてヘッドスペースガスクロマト質量分析計で分析したが、香り成分は見いだされなかったので、香水は含まれていないと判断された。
 脂肪酸以外の成分について分析したところデンプンであることが分かった。さらに、ミネラルについてX線解析を行ったところ酸化スズが見つかった。
 以上の結果から、皮膚に塗るクリームではないかと推察された。また、このクリームには、現代の美容でも使われているデンプンが入っていることから美容技術の高さを示していると考えられる。
 当時のローマ人は美白のため酢酸鉛を使っていたことは知られていたが、今回のクリームの発見は初めてのことである。また、酢酸鉛は毒性があるが、酸化スズには毒性がないこともこのクリームの製造者の技術の高さを示している。


2004/11/04
 訃報:世界的に知られた生化学者で前神戸大学長の西塚泰美(にしづかやすとみ)博士、72歳が4日、くも膜下出血のため死去したと毎日新聞が報じた。
 西塚博士は、人間をはじめとする生物で、細胞の内部に情報を伝える役割を担う酵素「カルシウム依存性たんぱく質リン酸化酵素」(プロテインキナーゼC)を、77年に牛の脳から発見した。西塚博士の論文は、81~90年の10年間で世界の全科学領域で引用件数が第1位となり、ノーベル医学生理学賞の有力候補に目されていた。我が国におけるカルシウムの研究は世界でも最高水準にあり、西塚博士はその第一人者であった。
 私もリンゴやナシなど果実におけるカルシウムの役割についての研究を行う際、西塚博士の論文や考え方を大いに参考にさせて頂いた。そして、このカルシウムの研究から従来の貯蔵期間より5倍鮮度を保持できる冷温高湿貯蔵を開発することが出来た。
 毎年、ノーベル賞の発表時にはかなり期待していたので残念である。博士のご冥福を祈る。


2004/11/04

 今日は私にとって特別な日となった。日本経済新聞文化欄(2004/11/4 32面)に載った「ひと皮むけたクリ研究」、日本グリの渋皮がなぜ剥けないのかについての記事の中でホームページを紹介して頂いたのでアクセス数が急増し、1日だけで456件となった。今まで10-20件/日だったのでとてもうれしい。でもこの数字が続くことはないでしょう。今までと同様、地道にホームページを更新していきたいと思っている。朝日新聞夕刊にも私たちの果物と健康に関する成果が紹介された。これも大変うれしいニュースである。


2004/11/03
 明日、日本経済新聞文化欄に日本グリの渋皮がなぜ剥けないのかについての記事が載る予定です。ぜひ読んで下さい。私の一番愛着のある、そして、苦しさも、楽しさも味わった研究の紹介です。


2004/11/02
 「健康」(主婦の友社)12月号に「リンゴを食べると中性脂肪が下がる」(72-73頁)が掲載された。


2004/11/02
 「旬のやさしいくだもので健康づくり」をテーマに埼玉県さいたま市にある大宮ソニックシティで講演会などが開催された(詳細は下記)。良い天気に恵まれ講演会には150名ほど集まり、熱心に聞いて頂いた。イベント終了後、講師の平野さんや主催者と懇親し、果物をもっと食べてもらいたいと楽しく盛り上がった。

一部 10:00-13:00
 「旬のやさい・くだもの料理教室」
  講師:料理研究家 小川聖子

二部 講演会 14:00-16:00
  1)果物の健康パワー
   (独)農研機構果樹研究所品質化学研究室長
   「果物&健康NEWS」編集長 田中敬一

  2)野菜・果物はカラダのミカタ
    管理栄養士・健康運動指導士 平野美由紀

 日時:2004年11月2日14:00~16:00
 場所:大宮ソニックシティ
 参集範囲:
 一部:一般消費者 20名 (参加費無料)
     テプコソニック30F
 二部:一般消費者200名 (参加費無料)
     市民ホール4F

 主催:関東地域野菜・果物健康食生活推進協議会、関東農政局

 共催:中央果実基金、青果物健康推進委員会、東京電力埼玉支店、埼玉県食生活改善推進委員団体連絡協議会、社団法人埼玉県栄養士会、埼玉県地域婦人会連合会、JA埼玉県生活指導員連絡協議会、JA埼玉県女性組織協議会、埼玉県消費者団体連絡会、埼玉県生活協同組合連合会、生活協同組合さいたまコープ、生活クラブ生活協同組合、生活協同組合ドゥコープ、埼玉新聞

 参加申し込み及び問い合わせ先
  「関東地域野菜・果物健康食生活推進協議会事務局」
  関東農政局園芸特産課
  電話:048-600-0600(内3336,3338)


2004/11/01
 明日発売の「安心」(マキノ出版)12月号に私たちのリンゴと健康に係わる研究成果(158-160頁)が載ります。長野県産「ふじ」の販売も本格的になってきました。

2004/11/01
 10月の天気について気象庁が発表した(下記サイト参照)。それによると、台風や秋雨前線の影響で、10月の降水量は東京や大阪など32地点で観測史上最多を更新した。また、東京や静岡など7地点は、月降水量が年間を通じても最多だったとのことである。
http://www.data.kishou.go.jp/stat/tenko0410.pdf

2004年10月


2004/10/31
 ヒト科ヒト属の新種とみられる化石が、インドネシア東部のフロレス島で発見された。身長1メートル弱の女性らしい化石で、少なくとも約1万8000年前まで生存していたと見られる(Brown P., et al., A new small-bodied hominin from the Late Pleistocene of Flores, Indonesia. Nature, 431: 1055 - 1061 (2004): Morwood M. J., et al., Archaeology and age of a new hominin from Flores in eastern Indonesia. Nature, 431: 1087 - 1091 (2004).)。フロレス島西部にあるリアン・ブア洞窟(どうくつ)から見つかったのは、女性と見られるほぼ全身大の化石のほか、別個体7人分の骨や歯など。頭蓋(ずがい)骨の大きさは現代人のものより小さく、脳の大きさは約3分の1程度。あごと歯が残っていた。発見場所にちなんで、「ホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)」と名付けられた。

下記のNatureのサイトで要約や頭蓋骨の写真が見られる(この研究に対するリポートは無料でアクセスできる)。
http://www.nature.com/news/specials/flores/index.html
下記のCNNのサイトでも何枚かの写真が見られる。
http://www.cnn.com/2004/TECH/science/10/27/
dwarf.cavewoman.ap/index.html



2004/10/30
 厚生労働省が発表した平成15年人口動態統計(確定数)の概況は以下の通りである(04/9/4発表)。

1 出生数は減少
 出生数は112万3610人で、前年の115万3855人より3万245人減少し、 出生率(人口千対)は8.9で、前年の9.2を下回った。合計特殊出生率は1.29で、前年の1.32を下回った。

2 死亡数は増加
 死亡数は101万4951人で、前年の98万2379人より3万2572人増加し、死亡率(人口千対)は8.0で、前年の7.8を上回った。悪性新生物(ガン)の死亡数は30万9543人、死亡率(人口10万対)は245.4で、死亡総数の30.5%を占めており、死因順位の第1位となっている。第2位は心疾患、第3位は脳血管疾患となっている。年齢調整死亡率(人口千対)は男6.0、女3.0で、男女とも前年と同率であった。

3 自然増加数は減少
 自然増加数は10万8659人で、前年の17万1476人より6万2817人減少し、自然増加率(人口千対)は0.9で、前年の1.4を下回った。

4  死産数は減少
 死産数は3万5330胎で、前年の3万6978胎より1648胎減少し、死産率(出産(出生+死産)千対)は30.5で、前年の31.1を下回った。

5  婚姻件数は減少
 婚姻件数は74万191組で、前年の75万7331組より1万7140組減少し、婚姻率(人口千対)は5.9で、前年の6.0を下回った。

6  離婚件数は減少
 離婚件数は28万3854組で、前年の28万9836組より5982組減少し、離婚率(人口千対)は2.25で、前年の2.30を下回った。

詳細は下記のサイトに掲載されている。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei03/index.html


2004/10/29
 今日のTBS「はなまるマーケット」でリンゴについてのQ&Aで簡単なコメントを行った(録画)。


2004/10/28
 新潟県中越地震の土砂崩れで、最初の地震から92時間余りも車に閉じ込められていた皆川優太ちゃん(2)が土砂の中から助け出されたのは、暗いニュースが続く中、希望を感じさせる。東京消防庁のハイパーレスキュー隊員の1人は「雨で水分補給できたのかもしれない。どんなときでも完全にあきらめてはいけない」と話したと共同ニュースが伝えている。
 災害にあった当人も、助ける側も「あきらめてはいけない」と言うことだろう。いい言葉である。簡単に自殺してしまう人たちにも伝えたい。生きていることはそれだけで価値があると思う。


2004/10/27
 昨日は、新宿からスーパー特急あずさで甲府まで行ってきた。講演時間は2時間と長かったが皆さん熱心に聞いていただいた。部屋を出るときにも拍手を頂きうれしかった。

 講義テーマ:果物の力・ファイトケミカルについて
   (独)農研機構果樹研究所品質化学研究室長
   「果物&健康NEWS」編集長 田中敬一

 講習会名称:山梨県学校栄養職員研修会
 日時:2004年10月26日14:10-16:00
 場所:山梨県男女共同参画支援センター
     甲府市朝気1-2-2
 参集範囲:山梨県内学校栄養士(130名)
 主催:山梨県教育委員会


2004/10/25
 昨日は、あるテレビ局の撮影があった。金曜日の朝に放映の予定である。
 今日は、明日の講演(山梨県学校栄養士会)の準備とボランティア試験の被験者の方への血液、糞便採取についての説明を行った。皆さん協力的で大変助かっている。 明日の本欄の更新はできないかも知れない。


2004/10/24
 月と地球の間に働く引力が、地震の引き金になっている可能性が高いことが、カリフォルニア大と防災科学技術研究所が報告している。地殻のひずみがたまり地震が起きそうな状態で、引力が「最後のひと押し」になるとのこと。
 新潟の干潮時刻を調べると23日は午後5時56分で、今回の地震が起きた時刻と同じである。確かに関係があるようだ。

下越(新潟)
日付 20日(水) 21日(木) 22日(金) 23日(土) 24日(日) 25日月)
日の出
日の入
5:57
17:00
5:58
16:59
5:59
16:57
6:00
16:56
6:01
16:55
6:02
16:54
満潮(時間)
潮位(cm)
4:59
(39)

6:06
(38)

7:44
(35)

1:09
(30)
9:28
(33)
1:01
(29)
11:06
(32)
1:09
(28)
12:25
(32)
干潮(時間)
潮位(cm)
13:59
(10)

15:19
(11)

16:47
(12)

4:21
(29)
17:56
(12)
5:50
(25)
18:48
(13)
6:45
(20)
19:32
(14)
潮汐 小潮 小潮 小潮 長潮 若潮 中潮


2004/10/23 23:50
 新潟県中越地方で、午後5時56分ごろマグニチュード6.8の地震があり、新潟県小千谷市で震度6強の激しい揺れが観測されたと報道されている。その後も震度6強の地震が2回、震度6弱の地震が1回起きるなど強い余震が続いている。地震の強度から被害が大きいと推察されるので心配である。電話がつながらない。
 気象庁の地震速報は下記で見られる。情報が、非常に早い。
 http://www.jma.go.jp/JMA_HP/jp/quake/
 地震の震度は0から7までの10段階であり、今度の地震は強いものから2段階目である。震度6強とは、人は立っていることができず、はわないと動くことができない。固定していない重い家具のほとんどが移動、転倒し、戸が外れて飛ぶことがある。 多くの建物で、壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する。補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる。 耐震性の低い住宅では、倒壊するものが多い。耐震性の高い住宅でも、壁や柱がかなり破損するものがある。 耐震性の低い建物では、倒壊するものがある。耐震性の高い建物でも、壁、柱が破壊するものがかなりある。 ガスを地域に送るための導管、水道の配水施設に被害が発生することがある。
 気象庁震度階級関連解説表は下記
 http://www.kishou.go.jp/know/shindo/kaisetsu.html


2004/10/22
 カンキツなど植物由来のリモネンと二酸化炭素を原料として生分解性のポリカーボネートが合成できたとコーネル大学のグループが科学雑誌に報告した(J. Am. Chem. Soc.126:11404-11405 (2004))。今まで二酸化炭素と石油系のエポキシドからも生分解性のポリカーボネートは合成されていたが、今回、カンキツに含まれているリモネンを原料にして触媒を用いて温和な条件下で合成に成功した。リモネンは世界中にある約300の工場で年間数万トン作られていることから商業的に利用可能であるとしている。二酸化炭素と再生可能な資源から生分解性プラスチックを作るこの方法は環境面からも期待できるとしている。


2004/10/21
 台風23号による死亡者数は過去10年間で最も多いと報道機関が伝えている。その中で、バスの屋根に取り残された乗客たちが全員無事救出されたことは喜ばしいニュースである。

 生々しい体験を朝日新聞(04/10/21)が伝えている。乗客たちは、暗闇の中、迫ってくる濁流をこらえ、寒さをしのぐため「わっしょい、わっしょい」と懸命に声を出し、「上を向いて歩こう」や手の運動を兼ねて「むすんでひらいて」を歌って互いに励まし合って救助を待った。
 京都府舞鶴市の冠水した国道で観光バスが水没し、立ち往生して救助されるまで9時間余り。60代と70代が中心の乗客と運転手の37人はバスの屋根の上で一夜を耐えた。
 バスは20日午後8時過ぎ、みるみるうちに水位が上がり、「窓を割って屋根に上がろう」という声がだれかから上がった。バスに積んであったハンマーで前後2カ所の窓ガラスを男性数人で割った。外したカーテンをちぎり、ロープのようにつないだ。 最初に男性2人が窓からカーテンのロープを屋根に引っかけながら上がった。次に女性から次々と引っ張り上げた。バスの水位はその後も上がり、最後は潜るような状態で脱出したという。
 午前2時ごろ。水位は屋根より高くなり、一時は屋根に立っていても、へその辺りまで来た。周囲は真っ暗だ。肩を組み、ひたすら、励ましあった。「それは、それは怖かった。」と。

 声を出して歌を歌う、声を出して励まし合う、互いに肩を組む。こうしたことが奇跡的な救出につながったのではないだろうか。


2004/10/21
 午前2時、台風23号による雨もやみ静かな夜となっている。ただ、インターネットによる情報では、また、大きな被害が出たようだ。24号も次第に勢力を増し、23号と同じようなコースをたどっているので心配である。


2004/10/20
 「難解な研究の成果を国民に分かりやすく解説できるよう、国の音頭でサイエンスライターを育てるべきだ。」と文部科学省の科学技術・学術審議会の部会が骨子案にまとめたと朝日新聞が伝えている(04/10/20)。
 学問の専門化、細分化が進み、専門家同士でも最先端の研究を理解するのは難しいとして、国を挙げて人材育成に乗り出すべきだとしている。骨子案では「国がイニシアチブをとって、サイエンスライターを育て、日本全体の科学のレベルを上げる方策を検討すべきだ」と盛り込んだ。この中で、科学誌だけでなく、一般誌でも研究成果が取り上げられるように、研究成果を分かりやすく、解説できる人材を育てることが重要と分析した。
 また、国の研究費からライターへの経費支出を認める必要性も指摘した。さらに、研究成果の発表ができるホームページの開設や科学ジャーナルの刊行の支援も必要と盛り込んだ。「納税者である一般の国民に対しても、各家庭レベルでその価値と研究の重要性を分かりやすく説明することが重要」とした。

 上記のもととなる科学技術・学術審議会学術分科会、研究費部会(第2期第13回)議事録(2004年6月25日)は下記のサイトにある。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/
gijiroku/002/04100601.htm



2004/10/19
 10月18日(月)付け、インターネットサイト(サイト名:牧 太郎・二代目・日本魁新聞社)の「新聞記者で死にたい」をぜひ読まれることをおすすめしたい。牧太郎氏は毎日新聞記者で、13年前、脳卒中で倒れた時、言語療法士の女性から『失語症は治らないと言われた』と書いている。でも懸命なリハビリで復活した。
 また、牧太郎氏は、一級の新聞記者である。月曜日から金曜日に下記サイトで読み応えのあるコラムを掲載している。

 牧太郎氏のサイトは下記。ここから「編集長ヘッドライン日記」をクリックし、2004年10月に入ると、18日の「新聞記者で死にたい」が読める。
http://www.maki-taro.net/


2004/10/18
 中国東北部の遼寧省で眠ったままの姿とみられる恐竜の化石が発見された。中国科学院の考古学者らが、英科学誌(XING XU, MA. NORELL, A new troodontid dinosaur from China with avian-like sleeping posture. Nature 431, 838- 841(2004) )に発表した。化石は1億3000年ほど前の恐竜とみられ、体長約53センチ。一般に恐竜の化石は、首を後ろにのけぞらせた姿勢で発見されることが多いが、この化石は、頭を前腕の下に潜らせた姿で見つかった。これは睡眠中の鳥類によくみられる姿勢であるとのこと。骨格の特徴などからみても、鳥類の祖先である可能性が高いという。


2004/10/17
 英オックスフォード大学トリニティ・コレッジのジョン・スタンレー博士は、忙しいビジネスパーソン向けの昼食メニューを考え出した。
 午後の会議前には、チキン・ティカ・マサラにマンゴソースがかかった、全粒粉パンのサンドイッチを勧めている。鶏肉のたんぱく質が脳の神経伝達物質の合成を助け、すっきりと起きていられるほか、疲れに効くビタミンやミネラルも含んでいるという。
 仕事前後にスポーツ・ジムで汗を流すなら、リンゴとピーナツバターを全粒粉パンにはさんだサンドイッチがいいという。低インシュリン・ダイエットで知られるようになった、血糖値の上昇率を食品ごとに測定したGI値(グリセミックインデックス値)が低く、運動中に安定したエネルギー供給が可能なためだ。
 一晩中お酒を飲んだ翌日に働く場合、朝食には全粒粉パンにチョコレートとバナナをはさんだホット・サンドイッチ。血糖値とミネラル分の回復に役立ち、二日酔いの解消になるとしている。
 ストレスが多く疲れやすいマネージャーには、夜よく眠れるよう、伝統的なスモーク・ターキーとクリームチーズのサンドイッチ。ターキーに含まれる必須アミノ酸のトリプトファンが、抗うつ剤として使われ安定感をもたらすとされるセロトニンの脳内分泌を促し、クリームチーズに含まれるカルシウムとビタミンB12が、睡眠パターンを調節する神経伝達物質を作るからだという。
 ハードな1日を終えて、力があまり残っていない人には、イチジクにハチミツ、オレンジとリコッタ・チーズを、厚めの白パンにはさんだサンドイッチがよいという。古代ギリシャではイチジクは精力増強剤として使われ、中世ヨーロッパではハチミツは愛情を高める薬として使われていた。スタンレー博士はこの2つを組み合わせたサンドイッチは、先人の知恵を現代流にアレンジしたものだと話している。

上記ニュースはイギリスパン協会のサイトにある。
http://www.bakersfederation.org.uk/pr_latest_a.aspx?id=32


2004/10/16
 日本高血圧学会が第27回総会で高血圧治療ガイドラインを4年ぶりに改定した(毎日新聞04/10/10、日本農業新聞04/10/14)。高血圧を予防するため、食塩の制限を1日6グラム未満と、これまでの7グラム以下から、より強化された。さらに、野菜・果物を積極的に摂取する項目を追加した。また、65歳以上では目標とする最高血圧を140未満とし、高齢者といえども血圧の重要性を強調している。若年・中年者は130未満で変更はない。高血圧は、脳卒中、心臓病の引き金となり、死因の原因として大きな位置を占める。同学会は「高血圧患者は厳重な血圧管理をし、日ごろから塩分を控え、野菜・果物を積極的に取る必要がある」と、注意を促している。
 秋には、改訂版が出版されるとのこと、全容が明らかになった時点で詳しく報告したい。


2004/10/15
 昨日に引き続いて乳幼児の死亡率についてユニセフの報告書をさらに詳しくみてみたい。日本の新聞やテレビなどではあまり伝えられていないが悲しい現実がある。
 報告書によると、02年に5歳未満で死亡した乳幼児の割合は、世界平均で12人に1人。新生児医療の遅れや栄養失調、マラリアなどの病気が主な死因とみられ、死亡例の半数をサハラ砂漠以南のアフリカ諸国が占めた。 中でも最悪の数字を記録したのはアフリカ西部のシエラレオネでは、5歳未満児1000人当たり284人が死亡していた。この国では、5歳になる前に4人に1人以上の子どもが死亡している。これにニジェール(同265人)、アンゴラ(同260人)が続き、4位はアフガニスタン(同257人)だった。逆に、最も死亡率が低かったのはスウェーデンで1000人当たり3人。日本は同6人、米国は同8人だった。
 乳幼児死亡率が高い国では何が悪いのか?それは、出産時の環境が不適切であるためで、母親・妊産婦への保健医療サービスが殆ど、あるいは、全く整備されていなかったり、出産に熟練した助産婦が足りないためと報告書は指摘している。下痢や肺炎などの急性呼吸器疾患に続き、マラリアやはしかなどの感染症や寄生虫症が、大きな死亡原因になっている。急性呼吸器疾患や下痢は、乳幼児の死因の3分の1を占めている。
 また、死亡原因の根底には栄養不良の蔓延がある。死亡した乳幼児の半数以上が栄養不良状態であった。不衛生な飲料水や不十分な衛生状態も子どもの死の原因の一つである。
 年間の改善率がマイナスになってしまった国もある。サハラ以南のアフリカ地域や独立国家共同体(CIS)の一部の国々では1990年より子どもが5歳の誕生日を迎えることが難しくなっている。
 サハラ以南のアフリカ地域では、HIV/エイズが、乳幼児死亡率の主な要因の一つとなっている。乳幼児死亡率の上昇が、ボツワナが世界で2番目、ジンバブエが3番目、スワジランドが4番目に高いが、これらの国ではHIV/エイズの罹患率がそれぞれ37%、25%、39%と世界で最も高い国だからである。乳幼児死亡率の急上昇に影響を与えている他の要因として、イラクやアフガニスタンなどに見られる武力紛争や社会不安の存在が挙げられる。


2004/10/14
 世界は「子どもの命を守る」約束を果たしていない-と、国連本部でユニセフが乳幼児死亡率について報告書を公表した(04/10/07)。
 2000年、ニューヨークで開かれた「ミレニアム・サミット」で約束された「2015年までに乳幼児死亡率を3分の2削減する」の目標に98カ国が到達していない。予防接種のように、低コストで効果が実証された方策があるにもかかわらず、子どもたちの死亡率の削減が遅々として進んでいない。90カ国は、2015年までに乳幼児死亡率を3分の2に削減する目標を達成できるものの、他の98カ国は、達成できる状況になく、また世界全体を見ても、改善の速度があまりにも遅すぎるとユニセフは訴えている。
 改善速度が現在のままだと、5歳未満児死亡率は世界平均で、2015年までにおよそ4分の1しか削減されない。この数値は、「ミレニアム・サミット」で世界の指導者たちが合意した目標に遠く及ばない。
 「子どもの生きる権利は平等、可能性、そして自由をはかる第一の指標です」と、ユニセフ事務局長のキャロル・ベラミーは述べている。「すばらしい技術と医学の時代に、子どもたち、特に貧しい人々や社会の周辺に追いやられた人々の生存が危機にさらされていることは信じがたいことです。私たちは、現状をもっと良くすることができるはず」と述べている。
 「子どもの死亡率を改善する手段を、世界はすでに手にしています。問題はそれらの手段を行使しようという意志があるか否かです」。「ワクチン、ビタミン剤、殺虫剤を染み込ませた蚊帳は高価なものではありませんが、何百万人もの子どもたちを救うことができます。しかし、これら簡単な命を守る道具や手段さえ、すべての子どもたちの手に行き渡っていません。これこそが変えてゆかなければならない状況です。子どもたちの状況の改善がほとんど進まないまま、10年間を手をこまねいて見過ごすことは、もう、どの政府にも許されません。世界の指導者たちは、合意した目標の達成に責任を持たなければいけません」と訴えている。

 ユニセフの報告書は下記のサイトにある。
 ttp://www.unicef.org/media/media_24252.htm


2004/10/13
 リンゴ、ナシ、ブドウ、カキなど日本の果物が、北京で開催されている中国農産物交易会に初出展された。「甘みも酸味も強く、おいしい」と試食した人々から好評だ。生鮮流通業の陳達さんも「ナシを筆頭に甘みが格別。高価だが、包装で高級感を出せば贈答用として価値が増す」と。
 日本産の農産品は関税などを加えると販売価格は日本の3割高、中国産の10倍を超すが、先行して上海市内の百貨店で販売されたリンゴやナシは、贈答用として富裕層から好評だ。とりわけ、1玉88元(1元=13円)のナシ「新高」が人気を集めていると朝日新聞が伝えている(04/10/13)。


2004/10/13
 今年はクマの被害が各地で報告されているが、リンゴにも被害が出た。9月中旬から兵庫・波賀町の原観光りんご園に、ツキノワグマが出没し、1ヶ月間で1万個のリンゴを食べてしまう被害がでたと毎日新聞が伝えている(04/10/13)。
 同園では、1800本の木に、例ならばリンゴ約15万個が実が、今年は8月末の台風16号で7割以上が落ちた。その上、9月中旬から毎夜、5、6頭のツキノワグマがあらわれ残り少ないリンゴを食べ荒らした。「けが人が出なかったのがせめてもの救い。クマにプレゼントしたとあきらめるしかないが‥」と同園。


2004/10/12
 地産地消について各地で取り組まれている。その例を日本農業新聞の紙面から。
 1.リンゴ産地の青森県で、廃棄物を出さない、環境に優しい果樹栽培の可能性を求める挑戦が始まった。リンゴ加工の際に出る搾りかすなどを融雪材に利用したり、糖質資源を作り出す試験など、ゼロエミッション(廃棄物ゼロ)についての研究。

 2.北海道大滝村では村と農家が一体となってアロニアの特産化を進め、加工品開発にも積極的に取り組んでいる。今年は果実を真空凍結乾燥して粉末にしたアロニアパウダーを開発。そのパウダーを活用したアロニアそばを村内のレストランで限定販売したところ、人気を呼んだ。


2004/10/11
 今年は、日本同様アメリカもハリケーンでフロリダ州などが大きな被害を受けた。AP通信によると、米本土だけで122人が死亡したと伝えている。また、農産物の被害も大きく、フロリダ州のグレープフルーツは、壊滅的な打撃を受けた。フロリダ州のグレープフルーツを含む柑橘類の収穫は平年の6割程度に落ち込み、住宅などを含めると同州の被害総額は200億ドル(約2兆2000億円)を超す見通しとのことである。そのため、日本などの輸入国にも影響は及ぶ見通しである。グレープフルーツやオレンジの価格が上がるかも知れない。


2004/10/10-11
 マサチューセッツ工科大(MIT)は、ホウレンソウを使った「太陽電池」を開発した。植物の光合成は、光のエネルギーを利用して有機物をつくるが、この働きを発電に応用した。光合成を担うたんぱく質が働くためには、水と塩が必要であるが、固体電池には両者とも致命的である。そこで、研究チームは、ペプチドで出来た膜の中に、光合成を担うたんぱく質を包み込む方法を考え、この方法を用いると乾燥状態でも長持ちすることを発見した。そこで、入手が簡単なホウレンソウから抽出した光合成を担うたんぱく質複合体を使い、ガラスと特殊な半導体で挟んだサンドイッチ構造のソリッドステート光合成太陽電池を作成した。この方法で作成された電池にレーザー光を当てると、弱い電流が生じた。「今回の電力変換効率は12%くらい。多層構造にするなどの工夫で、実用に耐えうる20%を突破したい」と研究チームは説明している。
 MITのニュースサイトは下記。ほうれん草太陽電池の写真も掲載されている。
 http://web.mit.edu/newsoffice/2004/spinach-0915.html
 アイデアとしては今までもあったが、MITのグループの光合成タンパク質を固定するペプチドの発見は独創的である。将来は、携帯電話など応用したいとの期待を持っているようだ。


2004/10/08-09
 10月4日の本欄で有人宇宙船スペース・シップ・ワンの飛行成功で、宇宙観光時代の到来が近いと書いたが、宇宙観光産業として成り立たせるためにはリスクの評価など様々なハードルがある。例えば、乗客に、宇宙旅行の危険性について情報を知らせる必要があるが、何を知らせなければならないかが、まだ明らかにされていない(リスクに対するインフォームド・コンセプトの必要性)。身体的能力が異なれば、リスクの程度も当然異なる。そのため、一般の人を乗客として乗せるためには、宇宙空間でおきる重力変化による心理的・医学的要因の変動について研究が必要である。
 また、スリルを求める人が乗る場合のリスクと一般乗客のリスクの程度も異なり、一般乗客のためには非常に高い安全性が確保される必要がある。こうした問題を解決しないと宇宙観光事業は成功しない。そのため、アメリカ政府は、新産業として期待される宇宙観光事業についての検討を始めたようだ。今回の件も含めて、アメリカは、研究レベルから産業レベルへ展開する場合の対応に優れていると感じた。


2004/10/07
 食品安全委員会プリオン病専門調査会委員の山内一也東大名誉教授は、日本農業新聞の取材に答え、「科学的には牛海綿状脳症(BSE)の検査対象の線引きは判断できない。全頭検査をあと数年は続けるべきだ」との考えを示した。また、過去3年間の検査で20カ月齢以下の牛から感染牛を見つけられなかったことを盛り込んだが、同氏は「科学的に検査対象見直しの線引きについての見解を示したものではない」としている。(日本農業新聞2004/10/05)


2004/10/07
 リンゴのポリフェノールに筋力増強や脂肪を減少させる効果があることをアサヒビールと日体大のグループが、マウスを使って明らかにしたと読売新聞(2004/10/04)が伝えている。
 リンゴポリフェノールを5%混ぜた固形エサを3週間与えたマウスと、普通の固形エサを与えたマウスを比較した。その結果、ポリフェノールを食べたマウスは、筋力が16%高く、内臓脂肪は27%少なかったという。今後、ヒトでも同様な効果が得られるのかどうか検討する必要がある。


2004/10/06
 本年度のノーベル化学賞が発表された。イスラエル工科大のアーロン・チカノバー教授(Aaron Ciechanover :57)とアブラム・ハーシュコ教授(Avram Hershko :67)、カリフォルニア大アーバイン校のアーウィン・ローズ博士(Irwin Rose :78)が受賞した。残念ながら今年は科学部門での日本人の受賞はなかった。
 受賞理由は、「ユビキチンが仲介するタンパク質分解の発見について」("for the discovery of ubiquitin-mediated protein degradation")である。3氏は、生物の細胞内では、必要なたんぱく質の合成と、不要になったたんぱく質の分解が常に行われているが、たんぱく質の合成に失敗した不完全なタンパク質には「目印」がつけられ、その目印だけを選んで壊す仕組みを発見した。この目印は、たんぱく質の一種である「ユビキチン」である。ユビキチンが関係するタンパク質分解は、細胞分裂やDNA修復、タンパク質合成、免疫防御など、生物が生きていくうえで重要な役割を担っている。このたんぱく質分解の仕組みに異常が起きると、パーキンソン病やがんが発現すると考えられている。
http://nobelprize.org/chemistry/laureates/2004/


2004/10/05
 ノーベル物理学賞が発表された。カリフォルニア大学サンタバーバラ校のデビッド・グロス教授(David J. Gross 63)と、カリフォルニア工科大のデビッド・ポリツァー教授(H. David Politzer 55)、マサチューセッツ工科大のフランク・ウィルチェック教授(Frank Wilczek 53)の3人が受賞した。3氏は、物質を形作る究極の基本粒子「クオーク」がなぜ単独で取り出せないかを理論的に解き明かした。(受賞理由:"for the discovery of asymptotic freedom in the theory of the strong interaction")
http://nobelprize.org/physics/laureates/2004/

2004/10/04
 2004年のノーベル医学生理学賞を、米コロンビア大のリチャード・アクセル(Richard Axel)教授(58)と米フレッド・ハッチンソンがん研究センターのリンダ・バック(Linda B. Buck)博士(57)に授与すると発表したと新聞各紙が伝えている。授賞理由は「におい受容体ときゅう覚系の機構の発見」("for their discoveries of odorant receptors and the organization of the olfactory system")。両氏は91年、におい物質を鼻の奥で受け止めて脳に伝える受容体が約1000種類あり、それぞれが個別の遺伝子からつくられていることを突き止めた。人間の全遺伝子(約3万種類)の3%もの遺伝子が、においの感知にかかわっていることを明らかにした。
 においは複数のにおい物質によって生じる。ひとつひとつの受容体は特定のにおい物質にしか反応せず、においごとに反応する受容体の組み合わせが異なる。人間はその違いを脳で認識し、受容体の種類を上回る種類のにおいをかぎ分けていた。
 両氏はその後、この仕組みが味覚やフェロモンによる性行動とも共通していることも解明した。バック博士は、アクセル教授の研究室で博士研究員として働き、91年に共著の論文を発表した。女性が自然科学分野でノーベル賞を受賞するのは95年以来とのことである。

 下記サイトで上記ノーベル賞の受賞者を発表している。ノーベル賞のメダルを見ることもできる。明日(5日)は物理学賞、6日は化学賞が発表される。ノーベル賞受賞者のインタビューなども動画で見ることができる。
 http://nobelprize.org/index.html

 Prize-Awarding Institution:The Nobel Assembly at Karolinska Institutetは下記サイト
 http://nobelprize.org/medicine/prize-awarder/index.html


2004/10/04
 米国の有人宇宙船スペース・シップ・ワンが4日早朝、カリフォルニア州のモハベ砂漠上空で2回目の宇宙飛行に成功し、無事帰還した。高度100キロを上回っており、2週間以内に2度の宇宙飛行を達成した民間チームに贈られる「アンサリX賞」(ANSARI X PRIZE)の賞金1000万ドル(約11億円)を獲得したと新聞各紙が伝えている。
 英ヴァージン・グループはスペース・シップ・ワンをもとにして5機の宇宙船をつくり、07年にも商用宇宙飛行を実現させると発表しているので、もうすぐ「宇宙観光」時代がやってくる。
 アンサリX賞のホームページは下記。ビデオも見られる。
 http://www.xprize.org/


2004/10/03-04
 メジャー年間最多安打記録(257安打)を更新したイチローの言葉を記録しておきたい。

 「ちょっと言葉にはできない。自分の野球人生の中で最高の瞬間でした」

 「熱かったですね。僕の野球人生の中では、最高に熱くなりました」。監督、チームメートらがベンチを出て、イチローを取り囲む。「全く予期していなかった。うれしかった」

 「こちらに来て強く思ったのは、体が大きいことに、そんなに意味はない。僕は大リーグに入ってしまえば一番小さい部類です。でも、こういう記録を作ることもできた。大きさや強さに対するあこがれが大きすぎて、自分自身の可能性をつぶさないで欲しい。自分自身の持っている能力を生かせれば、可能性はすごく広がると思う」

 ―自分の年間最多安打は破られるだろうか。
 「84年もなかったので簡単ではないと思うが、ここにやってしまった人(自分)がいる。願わくば自分が(もう一度)破りたい」

 ―打率4割への挑戦はどうか
 打率はコントロールできてしまう。「野球が好きでグラウンドに立ちたい」というのがぼくの原点。打率を目標にしたら、打席に立ちたくなくなる可能性がある。それは本意ではないから、目標にはできない。

 ―自分にとって、満足できるための基準は
 少なくとも誰かに勝った時ではない。自分が定めたものを達成した時に出てくるものです。

 ボブ・メルビン監督、ポール・モリターコーチからアドバイスを受け、4月は選球にフォーカスを置いた。結果は、屈辱の打率2割5分5厘。モリターコーチは誤りを認め、イチローに積極策を授ける。つまり、元のアグレッシブなスタイルに戻しなさいと。これを、無駄な回り道ととらえる声もあるが、イチローは涼しい顔で言った。
 「僕にとっていい経験だったと思ってます。決して無駄なことではないですし、野球っていうのは、無駄なことを考えて、無駄なことをしないと、伸びない面もありますから。だから、決して(回り道になったとは)思っていないです」

 「他人を目標にするのは若手の選手がやるアプローチ。他人の記録は自分の限界じゃない可能性がある。自分の記録を追うのは大変なこと」


2004/10/02
 がんによる死亡の決定的因子は、リンパ節転移と遠隔転移である。がん細胞は、転移するとき自分でリンパ管を新しく作る(「リンパ管新生」)。京都大大学院の久保肇助教授らのグループは、この「リンパ管新生」を抑えて転移を防ぐことに世界で初めて成功し、福岡市で開会中の日本癌学会で報告したと読売新聞が伝えている(読売新聞04/10/01)。
 研究チームは、がん細胞が分泌するVEGF-C(リンパ管新生因子)という特殊な物質を、リンパ管が受け取って増殖しないようブロックする抗体を合成し、胃がんの細胞をネズミに移植して実験したところ、抗体を使わなかったネズミでは16匹中12匹(75%)の高率でリンパ節に転移したのに対し、抗体を使ったネズミは16匹のうち3匹(19%)しか転移しなかった。
 久保助教授グループのホームページは下記。
http://sentan1.hmro.med.kyoto-u.ac.jp/teams/index_kubo.html


2004/10/01
 イチゴは、7月~10月にかけて国内ではにほとんど生産されていない。そのため、この期間は、ケーキ用などのため海外から大量に輸入されている。そこで、(独)農研機構東北農業研究センターは、夏に生食できるイチゴの育種に取り組み、新品種「なつあかり」を育成し、9月30日に命名登録した。果実重量は平均13.2gで、糖度は9.4と高く、食味も良い。現在、東北6県で普及に向けた栽培試験を始めている。

2004年9月


2004/09/30
 理化学研究所は、「最も重い新元素」生成に成功したと9月28日に発表した。新元素の原子核は陽子113個と中性子165個でできており、原子番号は113番。今後、複数合成して再現性を確かめるなどしてデータが補強され、新元素と認められれば、国際学会から研究チームに元素の命名権が与えられる。日本にちなんだ「ジャポニウム」や理研にちなんだ「リケニウム」などの名前が候補にあがっているそうである。
 世界最高のビーム強度を有する理研線形加速器を80日間連続稼働させて得られた実験結果 から、陽子数113個の新元素の原子を1個確認した。この原子は放射線を出し、約1万分の3秒後により軽い元素に変わった。
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2004/040928_2/index.html
Morita, K., et al. Experiment on the Synthesis of Element 113 in the Reaction 209Bi(70Zn, n)278113. J. Phys. Soc. Jpn., 73(10):(in press)


2004/09/28
 青森県民2000人(男性758人、女性1242人)を対象に「りんごのイメージにピッタリの芸能人・有名人は?」とのアンケートで、総合1位は卓球の福原愛選手だったと朝日生命保険が発表した。この調査は青森県の特産物であるリンゴが健康にも良いことなどを全国にアッピールするために行われた。
http://www3.asahi-life.co.jp/pdf/p040927/040927.pdf

 福原選手は「元気で愛らしい」「健康的でさわやか」というりんごのイメージにぴったりなどの声が多かったという。2位は歌手の吉幾三さん、3位はタレントの新山千春さん、5位は相撲の高見盛関と青森県出身者が上位を占めた(4位は美空ひばりさん)。「冬のソナタ」に出演した俳優のペ・ヨンジュンさんが7位、チェ・ジウさんが20位に入った。ペ・ヨンジュンさんは、女性からの票が男性の約3倍であった。純粋で可憐な2人のイメージがりんごの清廉なイメージと重なったためのではないかと分析している。


2004/09/27
 静岡で開催された園芸学会に参加してきたが、内容については別な機会に紹介する。今日は、泊まったホテルを推薦したい。エコノミーシングルプランで1泊朝食付きで6,700円のJR静岡駅近くの静岡グランドホテル中島屋である。この価格からは、よくある安いビジネスホテルのイメージであり、部屋の大きさはそうした想像の通りである。しかし、朝食がこの値段とは思えないほど充実している。和食、洋食が自由に選べるブッフェスタイルで、フルーツもあり、食べ放題である。そして、何よりも驚いたのは、部屋へ持ち帰れるコーヒーが用意されていることである。
 サービスも良い。チェックインの時、「部屋へのお持ち込み自由です。」と言われた。こんな経験は初めてである。いつも貧乏旅行なのでたいていコンビニでジュースなどを買って持ち込むのだが、フロントにこう言われるとほっとする。
 また、エレベーターに乗っているとき、お客が食べきれなかったケーキを部屋へ運ぶホテルウーマンに出会った。自分とは直接関係がないのにうれしくなった。
 高級ホテルに泊まったことは数えるほどしかないが、そのサービスに匹敵すると感じた。静岡で泊まる機会があったらまたこのホテルにしようと思う。
 ホテルのホームページは下記
 http://www.sn-hotels.com/sgh/top.html


2004/09/24
 9月27日発行のメールマガジン「果物&健康NEWS」に、果樹試験場に入省以来行ってきた愛着のある研究「クリの渋皮剥皮性」について書いた。また、WHOが「世界ハートの日」に向けて出した心臓病、脳卒中の世界地図についても書いた。WHOは、法律など整備するよう勧告しているが、日本ではどうなるのだろうか。タバコの分煙については法律化されたが、果物や野菜の摂取を推進することに厚生労働省は踏み切るのだろうか。果物摂取に対する医師の反対も相変わらず強いのだろうか。過去にもWHOの勧告を無視してきた歴史があるらしい。
 9月25-26日は園芸学会に出席のためこのコラムはお休みです。


2004/09/23
 今、まもなく放送されるNHKの健康番組を担当しているYディレクターのお手伝いをしている。その番組の内容についてどこまで公開できるか分からないので詳しくは述べないが、よく調べている。私のところに、各テレビ局から様々な問い合わせがあるので、NHKは他局と異なり、放送しない部分までも正確な情報を集めていることが分かる。こうした徹底した調査に裏付けられているので、NHKの番組は地味ではあるが見応えがあるのではないかと思っていた。
 今日の「ほぼ日刊イトイ新聞」の「おもしろ魂」で、フジテレビの三宅恵介氏と日本テレビの土屋敏男氏、糸井重里氏がNHKの番組作りのすごさを論じている。また、「欽ちゃん!」では、萩本欽一氏がNHKの番組の作り方をほめている。両コラムのNHKに対する評価に、やっぱりそうなのだと思った。
 「くだもの・科学・健康ジャーナル」を定期的に読んで頂いている方もおられるが、人数としては極めて少数である。でも、もしNHKの関係者がいたら、ぜひ、下記のサイトを教えてあげてほしい。喜ぶと思う。

「おもしろ魂」のサイトは下記
http://www.1101.com/miyake_tsuchiya/index.html
「欽ちゃん!」のサイトは下記
http://www.1101.com/kinchan/index.html


2004/09/22
 帝京大の山崎正利教授のグループは、バナナ、スイカ、ブドウ、ナシが、動物実験で免疫増強剤並みに白血球を活性化することを、29日から始まる日本がん学会で発表すると日本農業新聞が伝えている(2004/9/22)。山崎教授は「白血球が増えると動脈硬化やがん、糖尿病などの予防につながるので、1日に200グラムの果物を食べるように」と勧めている。


2004/09/21
 化学離れが言われて久しいが、日本化学会はじめ多くの団体が、化学の普及のために様々な取り組みを行っている。今年の7月、ドイツのキールで開かれた第36回国際化学オリンピックで日本代表の高校生4人のうち一人が金メダル、三人が銅メダルを獲得した。数学のオリンピックは有名であるが、化学のオリンピックでもすばらしい成績を収めた。化学オリンピックは化学の総合力を競う大会で、実験問題と筆記試験で行われる(すべて英語)。プレス発表等は下記のサイトで。

http://edu.chemistry.or.jp/oly/delegateIChO361.html


2004/09/20
 農林水産省は9月16日に2003年の農業総産出額(概算)(全国推計値)が前年より0.3%少ない8兆9011億円だったと公表した。農業総産出額が減ったのは、畜産部門の産出額が7.4%減の2兆2937億円と大きく減ったのが要因である。肉用牛の生産量が15.1%減の3960億円、豚が16.5%減の4313億円であった。
 米は価格上昇により7.9%増の2兆3427億円で1994年以来、9年ぶりに増加した。 果実は7415 億円で、前年に比べ1.0 %減少した。これは、りんごの産出額が価格の上昇により増加したものの、みかんの産出額が価格の低下により減少したことなどによる。野菜は2.2%減の2兆1035億円、花きは2.4%減の4263億円だった。
 農業総産出額の最高は1984年の11兆7171億円で、ほぼ20年間でピーク時の4分の3に縮小した。米、豚、鶏、果実などが大幅に減っている。

http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/sousanshutsu-gai2003/
sousanshutsu-gai2003.pdf


1984年:グリコ森永事件、ロサンゼルスオリンピック、夏目漱石が肖像の千円札発行


2004/09/19
 9月14日、百歳長寿者に対する祝状及び記念品の贈呈について厚生労働省老健局から発表になった。本年度中に百歳に到達する人(明治37(1904)年4月1日から明治38年3月31日の間に生まれた者)は、国内 11,867人(対前年1,168増)、うち男性 1,991人(対前年161増) 、女性9,876人(対前年 1,007 増)で、海外在留邦人 44人(対前年3増)、うち男性 12人(対前年 5増) 、女性32人(対前年2減)となり、合計で11,911人(対前年1,171増) 、うち男性2,003人(対前年 166 増)、女性9,908人(対前年 1,005 増)となった。
 その結果、百 歳以上の長寿者は、昨年に比べ2 ,477人増加し23 ,038人となった。このうち、女性が19 ,515人となっており、全体の8 割以上を占めている。小山ウラさん(女)が114歳(明治23年8月30 日:福岡県飯塚市)で、長寿日本一である。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/09/h0913-2.html

日露戦争:明治37(1904)年2月6日に始まり、明治38(1905)年9月5日に収束
国会開設:明治23(1890)年
大日本帝国憲法(明治憲法)発布:明治22(1889)年、東アジア初の成文憲法


2004/09/17
 ドイツのニュースを地球語30カ国語で放送してきたドイツ公営放送局「ドイチェ・ヴェレ」が、アメリカテレビ番組スタートレックに登場するクリンゴン星人のクリンゴン語で情報を提供しているサイトをCNNが紹介している。 クリンゴン語サイトは、ドイチェ・ヴェレのオンライン事業開始10周年を記念したものだそうで、「文化交流はこの太陽系内だけにとどまるものではない」とのことである。
 サイトでは、クリンゴン星人の独自の文化や歴史を紹介している。英訳の頁も用意されているので、スタートレックファンは必見である。
http://klingon.dw-world.de/klingon/index.php

 日本の地上波ではあまり放映されていないので有名ではないが、スタートレックはかなりおもしろい(スーパーチャンネルで放送されている)。色々なシリーズがあるが、スタートレック・ヴォイジャー・シリーズが一番気に入っている。特に、キャスリン・ジェインウェイ艦長が最も好きなキャラクターである。 スーパーチャンネルのスタートレック・ヴォイジャーのサイトは下記。
http://www.super-ch.com/line/st/stvg/index.html

また、下記のサイトでヴォイジャーの各エピソードの予告編が見られる(Quick Timeが必要)。
http://www.usskyushu.com/etc/voy_dvd1.html


2004/09/15
 講演のため岡山県へ出張してきたが、やはり台風の被害が大きかった。多くの果実が落ちたり、傷がついたりしたとのことであった。今年は天気に恵まれて、味がよいとの評価を受けて果樹農家の方は張り切っていたが、台風のためかなり落胆しているようだ。


2004/09/13
 明日というか、今日は岡山でモモ、ブドウを中心とした果物についての講演を行う。朝の6時すぎには家を出ないと行けない。岡山に1泊するので明日の更新は出来ない。毎日更新は、話題と物理的条件とが一致しないとできないが、そうした条件にもかかわらず毎日更新している人たちがいる。その苦労が分かる。


2004/09/12
 中国遼寧省の白亜紀前期(1億3000万年前)の地層からプシッタクサウルス(Psittacosaurus)の親恐竜1頭と子恐竜34頭の化石が50cm四方の中に密集して発掘された(Nature 431, 145 - 146 (2004)) 。研究チームは「火山噴火や洪水が起こり、親子一緒の状態で化石になった」と推定している。
 は虫類であるワニや鳥類は子育てをするが、恐竜が子育てをしていたかどうかについては論争があった。しかし、今回の発見は、「恐竜が子育てをしていた確実な証拠だ」としている。
 今まで、巣の中で見つかった白亜紀後期(9900万~6500万年前)に生息したマイアサウラ(Maiasaura)の赤ちゃん恐竜の歯がすり減っており、足の発育が不完全だったため、親恐竜がえさを運んでいたと解釈されてきた。


2004/08/10
 台風18号の被害はやはり大きかったようである。日本海を北上した台風15号、16号につづいての被害である。特に、青森のリンゴが落下したり、傷が付いたりしたようだ。青森県の推定では生産量が1~2割減少すると推定されている。


2004/09/08
 これまで巨大なガス惑星しか見つかっていなかった太陽系の外で、海王星に近いサイズの小型惑星が、最近相次いで発見され、今後さらに研究が進めば、生命体の存在が期待できる惑星が新たに登場するかもしれないとCNN(9/5付け)が伝えている。
 米カリフォルニア大バークレー校のジェフリー・マーシーらは、獅子座にある恒星の周りを回っている惑星を発見した。質量は地球の約21倍で、同約17倍の海王星に近いとのことである。また、米テキサス大オースティン校のバーバラ・マッカーサーらは、かに座の恒星の周りに地球の約18倍の惑星を発見した。地球からの距離は約41光年とはなれているが、3個の惑星があることが分かっており、太陽系内の惑星との共通点が指摘されている。
 「未知との遭遇」の夢を抱かせる話題である。


2004/09/07
 ロシア人科学者のグリゴーリ・ペレルマン博士が現代数学で「7大難問」の一つ、「ポアンカレ予想」を解決したとする主張について、米スタンフォード大学のキース・デブリン教授が6日、英国学術協会主催の科学フェスティバルで、「正しいと思われる」と述べた。証明が正しければ、ペレルマン博士は米クレイ数学研究所から100万ドル(約1億1000万円)の賞金を受けることになるとCNNが伝えている。
 ペレルマン博士は、この問題について誰とも議論せず、賞金にも興味を示していないようだ。また、ペレルマン博士は、自分の証明をインターネット上で公開しただけという。
 科学の成果もカネ、カネ、カネと言われているなかで、ペレルマン博士の行動は、何となくほっとさせる。


2004/09/06
 ホームページを改造中である。特に、「果物摂取で生活習慣病予防」の充実を図っている。今週いっぱいかけて行う予定である。


2004/09/05
 千葉では午後から雨が降り、人ではあまり伸びなかった。ミニ講演会の人数は予定より少なかったが、皆熱心に聞いていただいた。2回行ったが、2回とも聞いてくれた人もいた。ナシと食物繊維、ナシで肥満や便秘解消などについて説明した。
 つくばから千葉まで2時間くらいで着いた。乗換えが多いのでもっとかかると思っていたが意外と早く着いた。


2004/09/04
 明日9月5日は三越千葉店でミニ講演会を行う。雨模様なので来場者数が少ないか心配である。一人でも多くの人にくだものの良さを知ってもらいたいと思う。


2004/09/03
 農林水産省サイトから発行してるメールマガジン「果物&健康NEWS」の配信数が3000件を越えた。大変うれしい。まぐまぐでは殿堂入りの資格を配信数3000以上としているが、この基準についてはクリアできた。さらに多くの方に読んでいただけるよう努力したい。


2004/09/02
 拙著「くだもののはたらき」が順調に売れており、残部も少なくなったとの連絡があった。通常の販売ルートにのせずにどのくらい売れるのか心配していたが安心した。類書は、機能性成分の観点から書かれているが、本書は、果物そのものの働きに焦点を当て、科学文献に基づいたデータの提示が受け入れられたのではないかと考えている。


2004/09/01
 若い牛でも牛海綿状脳症(BSE)の感染を判別できる技術が開発されたと日本農業新聞が伝えている(04/08/29付け)。
 「異常プリオン」の発見でノーベル賞を受賞したカルフォルニア大スタンリー・プルシナー教授のグループが、月齢の若い牛でも感染を発見できる新しい検査手法を開発した。この新しい手法は特殊な試薬を加えることで、異常プリオンを壊さずに区別できる画期的な方法なので、「生きた牛でも感染が見つけられる可能性があるとしている。今までは、解体した牛に対する判別方法だったので、これが実現するとBSEに対する対策が変わる可能性がある。また、日米で協議している牛肉の対日輸出再開交渉にも影響が出ると考えられる。

2004年8月


2004/08/31
 やはり台風16号で果樹菜などに大きな被害が出ているようだ。 暴風雨による果実の落下、ハウスの倒壊などが報告されている。福岡県は果樹産地を中心に落果などの被害がかなりある。熊本県南部ではハウスの倒壊、出荷の始まった栗や梨では落果や枝折れの被害も見られている。大分県宇佐地域はブドウに宮崎県内ではかんきつ類などの果樹の傷果がでているようだ。
 鳥取の梨や、佐渡のカキ、長野や東北地方のリンゴは大丈夫だろうか。
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2004/09/01
追記
 台風16号の影響で大阪市中央卸売市場本場、福岡市中央卸売市場の青果物の入荷が大幅に減少したようである。


2004/08/30

 台風が九州に上陸し、中国地方を縦断している。明日、東北地方に再上陸するかも知れないとの予報が出ている。大きな被害が出なければよいのだが。
 今年の果物の出来はとても良く、美味しい。しかし、今回の台風は果樹生産地帯を通過している。強風が吹くと果物は落下の危険が高まるので被害が出ないかと心配である。


2004/08/27
 アテネオリンピックのハンマー投げで1位となったアドリアン・アヌシュ(ハンガリー)が、国際オリンピック委員会(IOC)から求められていたドーピング(薬物使用)再検査を、期限までに受けなかったことから金メダルをはく奪される可能性が高まったと報道されている。そのため、2位だった室伏広治選手が繰り上がり、金メダルを獲得する可能性が高まった。
 今回のオリンピックで日本の金メダルラッシュが続いているが、もしかしたらドーピング検査の強化と関係があるのかも知れない。筋肉増強剤などの薬による効果の出やすい個人競技での金メダルメダルが多く、効果の出にくい団体競技では少ないこともそのことを裏付けているように思う。今までも、日本人選手の実力は世界レベルに達していたが、他国の選手は薬の使用により順位を上げていたため、メダルを取れなかったが、ドーピング検査が強化されため、同じレベルでの競争になったので、日本人選手がメダルを手にしたと考えられないだろうか。
 金メダルが多いことの主な理由は他にあると思うが、ドーピング検査の強化も少なからず影響していると思う。


2004/08/25-26
 アメリカ厚生省の研究チームが、アメリカの成人の3人に1人(約6500万人)が、高血圧状態にあるとの調査結果を発表した。10年前と比べて約30%増加していた。
 健康と栄養に関する1999-2000年の調査結果を基に、1988-1994年の調査結果を参考にした推定では成人の28.9%が高血圧だったが、今回の調査では31.3%に増えた。(CNN:8/23)
 高血圧の傾向は男女に関係なく、加齢とともに増加した。人種別では、白人やヒスパニック系の高血圧者は10人に3人の割合だったが、黒人では10人に4人だった。さらに、高血圧を自覚している人は、高血圧者のうち3人に2人にとどまり、治療を受けているのは3人のうち1人に過ぎない。
 調査主任のラリー・フィールズ(Larry E. Fields)博士は、「高血圧によって、心臓疾患や腎不全の可能性が高くなる」と指摘している。「定期的に血圧を調べ、もし血圧が上がったら、すぐに治療を受けることが必要だ」と話している。
 心臓病・脳卒中の原因となる高血圧を予防することは日本においてもますます重要性が増すと考えられる。DASH摂取プランを参考に、日本人のための高血圧予防のための摂取プランを作る必要がある。

http://www.cnn.com/2004/HEALTH/conditions/08/23/
blood.pressure.ap/index.html



2004/08/24
 金メダルが今回多い理由について語られ始めたが、何が本当かは時間がたたないと分からないと思う。例えば、今まで、日本人は本番に弱いと言われていたが、今回は、記録的には負けている選手が、本番で競い合いに勝利し、メダルを獲得している。従って、「本番に弱い」ことに関する今までの解説の多くは誤っていた可能性が考えられる。
 選手と食事についても語られ始めている。日刊スポーツに「Dr.平石貴久のアテネを診る」( 8月24日)に、長距離走における食事摂取のやり方が記載されている。参照されるとおもしろいかも知れない。
http://athens2004.nikkansports.com/column/hiraishi_040824.html


2004/08/23
 Googleで「くだもの・科学・健康ジャーナル」が検索できるようになった。Yahoo!Janan、Infoseekでは、すでに検索可能となっていたので、主な検索サイトに登録が完了したことになる。また、Open Directoryの「健康/食事・栄養/」にも登録された。
 果物の栄養・科学的情報やその周辺について、原著に当たるなど他のサイトとはひと味違う視点から、内容の充実を図っていきたい。

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 アテネの女子マラソンで野口みずき選手が金メダルを獲得した。キャサリン・ヌデレバ(ケニア)やポーラ・ラドクリフ(英国)、東京女子マラソンで高橋尚子選手を破ったエルフィネッシュ・アレム(エチオピア)らの追撃をかわしての1位には金メダルをさらに高める価値がある。それにしても日本代表は3人ともすばらしい成績を収めた。アップダウンが激しく、暑いアテネでは上位に食い込むことは難しいのではないかと思っていたので驚いている。
 ただ、気になるのは、野口選手がゴールしてから20分間医務室で休んだことである。高橋尚子選手が東京女子マラソンで、途中失速したこととあわせて、走るためのエネルギー補給と食事との関係が長距離選手には極めて重要なことが改めて認識された。
 今後、高橋選手も含め、日本選手の食事内容を科学的に検討する必要があるだろう。この解析により、持久力を必要とする運動選手にたいする有効は食事摂取の方策が明らかになると期待される。


2004/08/22
 アテネオリンピックでは、連日、メダルラッシュが続いている。期待以上の成果が上がっているがその理由は何なのであろうか。オリンピックが終わるとその解析が進むと思うが、その一つに科学的なトレーニングとそれを支える科学的な食事摂取法の進歩が上げられている。食事摂取法では、特に、糖質の吸収の指標であるグリセミック・インデクスが注目されている。この点を中心にオリンピック後の解析結果を注視したい。


2004/08/21
 ガンの発生率と体格指数(BMI)との関係について全国の40~60代の男女約9万人(男42,093人、女46834人)を追跡調査した結果、男性でBMIが23.0~29.9の人では、がん発生率がほとんど変わらなかった。しかし、やせ形になるに従って発生率は上昇し、発生率の最も低いBMI23.0~24.9と比較すると、BMI19.0~20.9では14%、最もやせていたBMI14.0~18.9だと29%発生率が高くなった。また、最も太っていたBMI30.0~39.9の発生率は22%高かった。一方、女性ではやせた人に顕著な発生率の増加はみられなかったと国立がんセンターのグループが発表した(Inoue M, et al. Cancer Causes Control. 15:671-680. (2004))。
 この研究は、新聞発表もされたので多くの個人サイトでもニュースとして載せているが、ニュースの元にあたる文献にふれたサイトは調べた範囲でなかった。くだもの・科学・健康ジャーナルでは、ニュースを鵜呑みにしないために文献検索サイトを紹介している。サイエンス欄の科学情報の無料検索サイトのパブメドから検索してみてほしい。
 キーワードとして「BMI Japanese Cancer Causes Control 2004」を入力すると最初に上記の論文が出てくる。


2004/08/20
 今日は、食品の健康機能性について考えてみたい。まず第一に、個々の成分含量の多少で食品の優劣を競うことは誤りであると考えている。どんなに優れた食品でも一つの食品の摂取だけで健康の維持向上を図れるはずはなく、ましてや一つの機能性成分が豊富であっても健康に寄与するとは思えない。例えば、何か特別な成分が豊富であれば、その成分の代謝に係わる別の成分が不足し、健康を害する可能性が考えられる。
 一方、ある特殊な成分が多く含まれていると健康によいと宣伝している。その考えが、疾病に対する薬と考えるなら分からなくもないが、日常摂取する食品には当てはまらない。なぜなら、食品は薬と異なり、摂取量を規制できないからである。薬には副作用があるため、薬は医師の診断により病状に応じて処方される。しかし、食品は、健康な人、病弱な人など老若男女を問わず様々な体質の人が食べるので、薬のようには処方できない。
 従って、食品は、食事全体のバランスを考えながら摂取することが何より大切であると考える。このような観点から日常の食生活を考えると、食バランスにおいて不足している果物摂取の重要性がより明確になると思う。


2004/08/19
 昨日、東京都栄養士会主催の生活習慣病予防セミナーで「なぜ今、果物の機能性が問われているのか」の講演を行った(参加者180名)。熱心にお聞きいただいたことに感謝したい。限られた時間ではあったが質問も多くほっとした。また、申し込みをしながら、会場の関係で出席できなかった人もいると聞き、その人たちにもいつかお話しできる機会があればと思っている。
 その後、講演会スタッフと懇親したが、とても楽しいひとときを過ごすことができた。このことにも感謝したい。今年の夏の暑さとジュースの売り上げとの関係については、とても興味深かった。もしかしたら秘密の部分もあるかもしれないので詳しくはここでは述べない。
 メルマガのパンフレットを配ったが、配信増につながることを期待してる。東京駅から会場の大手町サンケイプラザまで歩いていったが、暑かった。とはいえ、なんとはなしに秋の気配が感じられた。秋は果物の季節である。また、そのために研究が忙しくなる季節でもある。オーバーペースなので身体には気をつけねばと思っているが、時間を調整する余地がほとんどないのがつらい。


2004/08/17
 髪の毛は毛嚢(もうのう)から作られるが、毛嚢が失われると、そこから毛髪は生えなくなる。最近、毛嚢の再生についての研究が発表された(Nature Biotechnology 22(4):411-7. (2004))。マウスから「幹細胞」(様々な組織の細胞に分化する機能をもった細胞)を分離し、皮膚細胞と混合してマウスの皮膚にもどしたところ、それが毛嚢に成長し、毛が成長してきたと報告している。この研究は、なくなってしまった毛嚢が再生されたとするだけではなく、脱毛のメカニズムの解明や治療に新しい展望を開く成果である。
 「幹細胞」の様々な働き、可能性についてはいつか報告したい。


2004/08/16
 アメリカの研究チームが、赤身の肉や精白小麦粉、砂糖を多く摂取する西欧型食生活グループと、果物、野菜、魚、豆類、全粒穀物を多く摂取する食生活グループとを比較したところ、西欧型食生活をしているグループの脳卒中発生リスクは、統計的に有意に高いとオンラインジャーナルで発表した(Stroke 2004, doi:10.1161/01)。
 7万1千人以上の看護婦を対象に実施されたこの調査は、総合的な食事パターンと脳卒中の発生リスクを検証したものとしては初めてであると述べている。

 すでに、赤身の肉など動物性脂肪の摂取が多く、食物繊維や果物、野菜の摂取が少ない食生活をしていると、心臓病や糖尿病、ガン、肥満の発生リスクを高めるとされていたが、脳卒中も同じであることが証明された。


2004/08/15
 今日は「不戦の誓い」の日である。戦争の悲惨さと科学の進歩は平行しているように見える。古代の戦争は、兵士以外の死はほとんどなかったと言われている。一方、現代の戦争では、兵士以上に民衆が死亡するケースがほとんどである。

 大量破壊兵器として戦争の道具となったダイナマイトの発明者アルフレッド・ベルナルド・ノーベル(1833~1896)は、そのことを悲しみ、遺言で「基金を設立し、その利子を毎年、その前年に人類のためにもっとも貢献をした人に賞として与えるものとする。」と言い残した。「国家間の友好と軍隊の廃止ないし削減と平和会議の開催ないし推進のためにもっとも尽くした人に与える」平和賞や化学賞、生理学・医学賞、物理学賞、文学賞が設立され、1901年からノーベル賞が授与されるようになった(後に経済学賞が新設されている)。

 科学を発展させる大きな発見や発明は戦争とは無縁なところから生まれている。例えば、相対性原理の発見、DNAの発見などである。戦争と科学の発展が一見平行して見えるのは、そうした発見や発明を戦争の道具として利用する者がいるからである。そして、そうしたことに莫大な国家予算をつけるからである。『戦争は発明の母』などと言われることがあるが、これは戦争屋の宣伝文句に過ぎない。

 軍需産業がほとんどない日本の戦後における科学の進歩・発展の歴史が、戦争と科学とは直接結びつかないことを具体的に示していると思う。「不戦の誓い」だけでなく、ノーベルの遺言の精神に立ち返って科学の進歩とは何かを考える日でもあると思う。


2004/08/14
 いよいよアテネオリンピックが始まったが、なかなか生中継を見られない。開会式も今日の朝のNHKの録画放送で見た。開会式は整然と行進するとのイメージがあったが、今回は、かなり自由に行進していた。そのためか、日本選手団を含め笑顔が印象に残る開会式であった。

 各国のユニホームは白が多かったのは、やはり、ギリシャのイメージなのだろう。アフリカの国は、黒いユニホームが目についた。これは、アフリカの主張なのだろうか。

 各国の選手団がメインスタンドを通るとき、スタンドの貴賓席の首脳も立ち上がって手を振っていた。イギリスのブレア首相も満面の笑顔であった。国内で苦しい立場にあるブレア首相もそうだが、内戦の続くイラクやアフリカの諸国の選手団も喜びいっぱいで、ひとときの平和を十分に楽しんでいるように思えた。これがオリンピック精神なのかも知れない。

 古代オリンピックでは「オリンピック休戦」が守られ、平和の中で行う競技大会であった。オリンピックの間は、すべての戦いは禁じられた。それだけではなく、もう一つ重要なことについてはあまり知られていない。古代オリンピックの開催中は、対立する当事者間の交渉が行われる場でもあった。

 近代オリンピックでは、大会を契機に平和が実現したという話は聞かないが、貴賓席のメンバーや雰囲気を見ると、交渉の場に最適なように思われた。オリンピックが平和の祭典としてだけでなく、平和の創造の場でもあればもっと良いのだが。


2004/08/13
 糖尿病患者が増加しつつあるが、患者の増加数と精白炭水化物の消費量の増加とが一致するとする研究が報告された(Am. J. Clin. Nutr. 79: 774-779 (2004 ))。

 ハーバード大学のグループは、1909年から1997年までの食品の消費量と糖尿病発病率とを比較した結果、摂取カロリーが増大するにつれて糖尿病も増加していくことを報告した。この結果は、肥満が糖尿病のリスクを高めるという考えと一致している。 さらに、この報告では、食物繊維量が減少していることと、精製炭水化物(コーンシラップなど)の摂取量が多いほど糖尿病を発症するリスクが高くなることを明らかにした。

 ただし、この報告は、精製炭水化物が糖尿病増加の原因であることを完全に証明しているわけではない。しかし、この報告は、今までの研究報告と一致している点が多いので、糖尿病研究のリーディングペーパーとして各国の研究者によって検証されると思う。

 現在、糖尿病予防のため、栄養学者の多くは、精製された炭水化物を避け、代わりに食物繊維の多い全粒穀粉の食事をとることを勧めている。また、食物繊維の供給源である果物や野菜をとり、運動の回数を増やすことも奨励している。
 この研究論文については、メルマガ「果物&健康NEWS」などで、さらに詳しく説明したいと思っている。


2004/08/11-12

 緑茶をよく飲んでいる女性は胃がんが少ないと厚労省の研究班が調査結果を発表した。(2004.8.4、毎日新聞、朝日新聞など)

 この研究は、全国7地域の男女約7.3万人(40-60歳)を、7-12年にわたって追跡して調べ、胃がんになったヒトと、ならなかったヒトの1日に飲む緑茶の飲量を比べた結果、1日当たり5杯以上飲む女性は、1杯未満の女性に比べて、胃がんになるリスクが33%低かった。また、胃の下部にがんができるリスクでは、1日5杯以上飲む女性は1杯未満の女性の約半分だった。しかし、男性では統計的な差がみられなかった(Cancer Causes Control. 2004; 15:483-491)。

 緑茶の胃がん予防効果について、初期の症例対照研究と呼ばれるヒトを対象とした疫学調査の多くが「効果あり」とする結果を発表していた。一方、2001年、宮城県民2 万 6 千人を9年間追跡したコホート研究では、緑茶をたくさん飲むグループでも胃がんリスクが減少しなかったと発表された(New England Journal of Medicine 2001; 344:632-636)。

 さらに、2002年、文部科学省研究班による7.3万人を対象に胃ガンの死亡率を8年間追跡調査したコホート研究では、緑茶を飲むと胃がんの死亡リスクが減るという関係は認められなかったと報告された(British Journal of Cancer 2002; 87:309-313)。

 緑茶と胃がんについてのこれまでの研究では、症例対照研究が「効果あり」とし、コホート研究では「効果なし」とされていた。症例対照研究は比較的調査が容易であるが、科学的信頼性がコホート研究に劣ることから緑茶の胃がん予防効果は疑問視されていた。今回のコホート研究結果は、緑茶側に有利な報告となった。しかし、男性で緑茶の効果がないことが気にかかる。

 従って、今回の研究報告で、緑茶が胃がんリスクを下げる作用があると結論できないが、可能性が高まったと言えると思う。さらに、他の大規模なコホート研究による検証やヒト介入研究などによる証明が必要だろう。


2004/08/10
 いつの間にか稲穂が垂れ下がる季節になってしまった。早いところでは稲刈りが始まったとのニュースが報道された。今日はこれからの予定を記す。次回メルマガ「果物&健康NEWS」は、果物由来の食物繊維が心臓病予防に有効との論文紹介である。明日の「俗世夜話」では緑茶の胃ガン予防についてのいくつかの論文(有効、効果なし)を紹介する。8月18日は東京都栄養士会主催の講演会である。


2004/08/09
 農林水産省から食料自給率(食料消費について国産でどの程度賄われているかを示す指標)が発表された。それによると平成15年度の食料自給率はカロリーベースでは40%で、6年連続の横ばいであった。45%が目標であるが、残念ながら上昇の兆しがみえない。

 主食用穀物自給率は60%、金額ベースの総合食糧自給率は70%、穀類(食用+飼料用)自給率は27%、飼料自給率は24%である。
 品目別自給率(重量換算)は、果実類44%(前年度44%)、みかん104%(98%)、りんご62%(63%)となった。

 他の品目では、コメ95%(96%)、小麦14%(13%)、豆類6%(7%)、野菜82%(83%)、牛肉39%(39%)、豚肉53%(53%)、魚介類50%(47%)であった。
 平成2年では、カロリーベースの食糧自給率が48%、果実類の自給率は63%である。つい最近まで、かなり高かったことになる。

 自給率=国内生産量/国内消費量×100

 食用自給率を含む食料需給表(平成15年度版)は下記のサイトで見られる(2004.8.6発表)
 http://www.kanbou.maff.go.jp/www/fbs/fbs-top.htm


2004/08/08
 この土日はずーっと寝て過ごしてしまった。体力的に昔のようには行かない。暑い季節は、体力消耗も激しいように思う。計画が遅れ気味なので、今週はその分、仕事をしなければと思う。


2004/08/04-05-06
 現在公式に世界最古の鳥とされている「始祖鳥(Archaeopteryx)」の頭部化石をCTスキャンで分析した結果、視覚やバランス感覚を制御する脳や内耳の一部が現代の鳥類(Avialae類)並みに発達し、十分に空を飛べたことがわかったと英科学雑誌Natureに報告されたと伝えている。(朝日新聞など)

 原著(Dominguez Alonso P., et al., Nature 430:666-669 (2004))に当たるとともに周辺を調べてみた。それによると、始祖鳥(大きさはカササギと同じくらい)は、原始的な恐竜であるコエルロサウルス類(中国鳥竜)と歯や骨のある尾などが共通している。一方、、始祖鳥の翼や羽毛配列は現生の鳥類と共通している。そのため、半分はは虫類で、半分は鳥であった。始祖鳥は、1961年、ドイツのバイエルンで発見された。その時から、始祖鳥が空を飛んだかどうかが議論されていた。飛ばなかったとする説は、始祖鳥の胸骨が発達していないためパワー不足であるとしていた。

 今回の研究は、始祖鳥が飛べたことを論証している。今までも、自力で飛ぶ能力がある程度備わっていたとみられていたが、始祖鳥の脳や特殊な感覚がどの程度関与していたか不明であった。そこで、ロンドンの標本を用いて調べたところ、始祖鳥は視覚の比重が大きく、耳の聴覚や空間知覚が優れている点で現生鳥類に非常に近いことが分かった。すなわち、バランスを制御する内耳構造が鳥と同じであるなど、飛ぶのに必要な鋭い感覚、動作、バランス制御が整っているとした。従って、始祖鳥は神経及び構造面で飛ぶのに必要な新たな適応を遂げていたと著者らは結論づけている。そうすると、1億4700年前、ドイツのバイエルン州(州都ミューヘン)の上空を始祖鳥は飛び回っていたのでしょうか。


2004/08/03
 アジア・カップの準決勝で日本サッカーチームはバーレーンに劇的な勝利を収めた。負けたと思った時間帯もあったのでうれしい。監督に対して色々批判もあるようだけれど、今日の試合を見ると、選手は精神的にとても強くなっていると感じた。決勝戦も勝ってほしい。


2004/08/02
 ギネスブックのホームページを見るとテニスボール5個口にくわえたゴールデンレトリバーの写真が載っている。世界記録とのこと。7/27に載せた世界最小の魚はまだギネスには登録されていないようだ。ギネスブックの審査はどの様にしているのか興味がある。
http://www.guinnessworldrecords.com/


2004/08/01
 (独)国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性について解説したサイトを7/30に紹介し、納豆の説明に違和感があることを述べた。果物についても同様である。ブドウの解説にワインが含まれているが、食品として考えるなら、ワインは別のカテゴリーに分類する必要があるだろう。

 果物の摂取は、ガンや循環器系疾患など生活習慣病に有効であるとする科学的な証拠は蓄積しており、本年度のWHO総会でも、果物の摂取が推奨されている。ブドウを取り上げて、科学的証拠はないと論ずることの違和感は、こうしたところにある。

 別の例を上げよう。例えば、生活習慣病に有効な野菜なども、個別に取り上げて見れば、ほとんどの野菜で健康増進に有効であるとする科学的な証拠はない。日常摂取している食品で、科学的に評価された例は、ほんのわずかである。サイト制作者は意図していないと思うが、このサイトを見た消費者は、科学的に評価されていない野菜などは健康に寄与しないと考えてしまうのではなかろうか。

 ゲルマニウム、クマザサなど非食品や機能性成分と同列に、食品である納豆、ブドウなどを論ずることに、どうしても違和感がある。もちろん制作者は、『このサイトは「健康食品」の安全性について解説している』と述べている。「健康食品」の安全性を明らかにすることには賛成である。しかし、繰り返しになるが、やはり、「健康食品」と食品は分けて考える必要があると思う。

2004年7月


2004/07/31

 果物博物館をUP。果物に係わる小物などを紹介。今後増やしていきたい。
 果物博物館 (1)


2004/07/30
 独立行政法人国立健康・栄養研究所が、「健康食品」の有効性、安全性、そして他の食品や医薬品との相互作用などの情報を下記のサイトに提示している。「健康食品」に関心のある方は、1度は見ておく必要のあるサイトである。まだ、立ち上げて日が浅いため、論文の引用には食品ごとに濃淡があり、今後の充実が期待される。
 ただ、「健康食品」と食品の区別がないため、このサイトで、効能がないとされた食品が、健康には何も有効ではなく、食べる必要はないと誤解されないかと心配である。例えば、納豆についていえば、豆類摂取のために重要な食形態であり、日本人の食生活において必要な食材である。特定保健用食品だけが健康に役立つわけではなく、むしろ多様な食材をバランスよく摂取する方がより健康に役立つと考えられる。
 「健康食品」に対する誤った情報に対して科学文献に基づく評価は極めて重要である。しかし、バランスのとれた食生活を実現するための食品としての重要性は別にあり、そうした情報を区別して、あるいは、分かりやすく提示する必要があるのではないかと思う。

 http://hfnet.nih.go.jp/main.php


2004/07/29
 平成16年の農家調査が農林水産省より発表された。この報告によると平成16年1月1日現在の農家数は216万1千戸で、前年に比べ4万4千戸(2.0%)減少している。

○離農した主な理由(複数回答)
 「主たる農業従事者が高齢化したため」        44.0%
 「病気や介護等により農業が続けられなくなったため」 29.6%
 「農家以外の仕事に就職又は専念するため」      15.6%
 「農業では十分な収入が得られないため」       14.8%


○農業経営者の平均年齢
  稲作農家      61.9歳
  露地野菜農家   63.8歳
  施設野菜農家   59.3歳
  果樹農家      63.5歳
  酪農農家      55.3歳
  
 なかなか減少が止まらないだけでなく、高齢化が進んでいる。離農した理由もかなり厳しいものがある。利益が上がり、働きがいのある農業にしたい。

http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/kihon-kouzou2004/
kihon-kouzou2004.htm



2004/07/28
 我が家にラブラドールレトリバーの「ハバネラ」がやってきた。将来、盲導犬になるかも知れない候補犬である。今後、写真を掲載していこうと思う。


2004/07/27
 世界で一番小さい魚(脊椎動物)を知ってますか。シドニーのオーストラリア博物館の研究誌の最新号(Records of the Australian Museum. 56: 139-142.(2004))で世界で最も小さく、最も軽い魚の発見について発表している。この魚はスタウト・インファントフィッシュ(Stout Infantfish)で、成魚の重さは1ミリグラム。体長はオスが最大7ミリメートル、メスは8.4ミリメートルとのこと。これまで確認された世界最小の脊椎動物はドウォーフ・ゴビーフィッシュという魚で、オスは体長8.6ミリメートル、メスは8.9ミリメートルとされていた。
 スタウト・インファントフィッシュは透明な魚で、1カ月ほどで成魚になり、歯やうろこ、ひれはない。オーストラリア、クイーンズランド州のグレート・バリア・リーフ周辺で採取された。
 下記で写真が見られる。
http://www.amonline.net.au/fishes/fishfacts/fish/sbrevip.htm


2004/07/26
 和歌山県学校栄養士会主催の会議で「くだもののはたらき」についての講演を行いました。熱心に聞いていただいたことに感謝します。ただ、質問がなかったことが気になっています。
 また、和歌山県の落葉果樹地帯を案内していただいたI氏にはお礼申し上げます。本当にお世話になりました。毎日くだもの200g運動を成功させたいと思っています。


2004/07/25
 再放送で見たNHK「新撰組!:池田屋事件」はよかった。視聴率はそれほど上がらなかったとか。出演者、制作者、演出家、脚本家が残念がっているのではないか。そう思うほどの出来であった。


2004/07/24
 たいてい土曜日は朝帰りとなってしまう。朝食?を食べ、風呂に入り、扇風機にあたりながら涼んでいると、NHK土曜インタビュー(10:05-10:45)にちょうど良い時間となる。今日の人は、蜷川幸雄氏であった。
 1970年前後をアングラ演劇の演出家として過ごした氏は、その後商業演劇の演出家として成功する。しかし、その後の10年間はあまりうまくいかず、空白の時代あるいは履歴から消してしまいたい時代と表現していた。そして、再度、氏の演劇がよみがえった。ギリシャで行われた公演では、幕が下りると観客のスタンディングオペレーションで氏の舞台へ登場が迎えられた。
 蜷川氏は、舞台がはねた後、誰もいない観客席に座り、その喜びに浸っていたという。このことを語るところが特に印象に残った。研究も同じだからと思う。私の場合も、こうなるはずであると思っていても、なかなか思うように実験データがとれない時があった。そして、そのような時間が長かった。でも、望むデータが得られたときのうれしさは、はね回り、喜びを叫びまわるものではなかった。実験室の片隅にすわり、いつまでもいつまでも頭の中で、実験のやり方、データについて回想していた。微笑みもうかんでいたかも知れない。そんな時間であった。
 60~70年代を肯定的にとらえる68歳の蜷川氏は、「疾走するじじいになりたい」と語っていた。いい言葉である。この番組はインタビューする相手によっておもしろさが変わるが、欽ちゃんや大平光代さんの時が印象にある。


2004/07/23
 イスラエルの動物園で飼育されている5歳の若いサル(黒いマカク属の猿:black macaque)が、突然2本の脚だけで歩くようになったとCNNが伝えている。まるで人間のようにまっすぐに立ち、歩く姿は下記のサイトで見られる。確かに手を使わずに二本の足で歩いているが、両手は前にある。ただ、幼児のように、両手をまっすぐ前に出しているのではなく、下げている。
 このサルは、テルアビブ近郊の動物園の「ナターシャ」で、2週間前、ほかのサル3匹と共にウイルス性胃腸炎と診断され、園内で治療を受けた。ナターシャの症状は悪化し、呼吸や心拍にも異常が出るほどの重体になり、一時はスタッフも別れを覚悟したが、懸命に治療を続けた結果、ようやく回復したという。
 ナターシャは元通りすっかり元気になったが、1つだけ以前と変わったのは、歩く時に前脚を使わなくなり、後ろ脚だけを使い、ぴんと背筋を伸ばした姿勢で歩き出した。
 担当の獣医も「こんな例は見たことも聞いたこともない。説明として考えられるのは、病気による脳の損傷と考えられる。そうでなければ元に戻るはずだ」と言っている。
 担当獣医のコメントが気にかかる。まだ、若いサルなのでいつまで二本足歩行が続くのかも興味がある。ヒトの進化と関係があるのだろうか。二本足歩行は、ヒトの進化の上で重要なポイントである。すなわち、前足が解放され、足から手へと機能が向上したことが、ヒトを他の動物から分ける点であると考えられているためである。

http://www.cnn.com/2004/WORLD/meast/07/22/monkey.walking.ap/index.html


2004/07/22
 ケンブリッジ大学の宇宙物理学者であるスティーブン・ホーキング博士が、自説のブラックホール理論を修正したとCNNが伝えている。
 今まで、ブラックホールは、重力が強すぎて光も脱出できない天体で、ブラックホールが飲み込んだ物質の情報は、ブラックホールが「蒸発」するとき消滅し、新しい「赤ちゃん宇宙」が誕生すると考えられていた。
 今回、ホーキング氏は、ブラックホールが「蒸発」する際に、飲み込んだ物質の情報が宇宙空間に放出されると述べ、自説を修正した。すなわち、ブラックホールに飲み込まれていた物質の情報は、われわれのこの宇宙にとどまるとした。
 多くのSF小説やSF映画は、今までのホーキング博士の理論に従い、ブラックホールを使って別の宇宙に旅することを描いてきたが、これからはこの設定が使えなくなる。
 なんとなく残念な理論の修正である。


2004/07/21
 人類初、1969年7月20日にアポロ11号が月面に着陸してから35周年の記念式典が開催された。当時の写真やビデオを掲載したNASAのサイトは下記にある。あの時を思い出す。また、35年もたったのだとも思う。

http://www1.nasa.gov/audience/forstudents/5-8/features/
F_Apollo_35th_Anniversary.html



2004/07/20
 「戦場特派員」(橋田信介著)の目次を紹介する。ベトナム戦争、カンボジアの戦争、大韓航空機爆破事件、湾岸戦争、ボスニアの戦争、3人目の残留日本兵士、日本人鉱山技師拉致事件、パレスチナ。これだけをみても橋田氏の足跡のすごさが分かる。その上、スクープの連続には驚くほかはない。日本では報道されていない戦場の残酷さ、日常、真相が書かれている。

 時がたち、幸か不幸かいっぱしの戦場記者となった。ある時はこわごわと、ある時はやけくそで戦場を走った。その結果、戦争は一部の軍国主義者だけで起こせるものではないという結論に達した。
 「戦争を知らない大人」が多い中で、私は戦争を知っている。すべての戦争は、多数の国民の了解なしには成立しない。そしてその暗黙の了解は、今の日本の日常生活の中にもある。(348頁)


2004/07/19
 橋田信介「戦場特派員」(実業之日本社)を読み終えた。読了後、しばらく外を歩いた。


2004/07/18
 美人の定義は、時代とともに変化してきている。昔は、ふくよかな感じがする人が美人であったといわれている。最近は、美人の定義もあっという間に変わってしまうように思う。現代の美女は誰だかよく分からないが、美男といえばヨン様(ペ・ヨンジュン)で異論は少ないのではないか。
 一方、科学の世界では、美しさの定義はあまり変わらない。科学的な美しさとは、シンプルで無駄がなく、しかも論理的に明快なことである。エレガントと表現されることもある。研究者は、美しい研究を目指しているが、なかなかそのようにはならない。


2004/07/17
 厚生労働省が7月16日発表した平成15年簡易生命表によれば、日本人の平均寿命は、女性が85.33歳、男性が78.36歳となった(リンクのページに簡易生命表サイトを掲載)。
 昨年より寿命の延びた主な要因は、がんや脳血管疾患などで亡くなる人の割合が減ったことによる。一方、下げた要因として自殺者が統計史上最悪(約2万3千人)を記録したことが上げられている。
 海外との比較では、男性は(1)アイスランド(78.7歳)(2)香港(78.6歳)(3)日本(78.4歳)、女性は(1)日本(85.3歳)(2)香港(84.5歳)(3)スイス(83.0歳)である。
 生命表は、その年の年齢別の死亡状況が今後も変化しないと仮定した場合、各年齢の男女があと何年生きられるかなどを算定したものであり、0歳児の平均余命が、平均寿命になる。従って、85歳の女性の平均余命は7.95年、80歳の男性の平均余命は8.26年である。まだまだ長生きしてもらいたい。また、定年を迎える60歳男性の平均余命は21.98年である。十分にもう一仕事できる。皆さん、ファイト!である。


2004/07/16
 毎日新聞社説「農業コンクール 明るい未来を確信させた」は、うれしい便りである。特に大賞を受賞した新福青果が設立した宮崎アグリサポートの入社資格は、55歳以上か身障者とのことである。農業再建とともに、地域社会をも活性化している。ただ、まだ完全に農業が見なおされるには時間がかかるのではないかと感じている。希望はあるが、残念ながら、潮目はまだ変わっていない。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/
20040717k0000m070170000c.html



2004/07/15
 岐阜ラジオでサクランボの健康機能性について話をする機会をいただいたことに感謝したい。ただ、電話を通じての会話だったので、聴取者に、うまく伝わらなかったかも知れないなと反省している。うまく伝えるコツがあったら知りたいと思っている。スタッフの皆さんごめんなさい。でも、楽しい8分間であった。
 つくばでは珍しく夕立が来て雨が降った。果樹園の水不足が心配されていたので、ひとまず安心である。今年のモモの味はとても良い。例年であると7月のモモの糖度は低いが、雨が降らなかったためか甘くて美味しい。机の上に置いておくとほのかな甘い香りが漂ってくる。


2004/07/14
 今日(7月14日)はフランスの独立記念日である。1789年、ルイ16世の時代に、パリのバスチーユの要塞が攻撃され、革命が始まった日である。日本ではパリ祭と呼ばれている。昭和8年(1933)に封切られたフランス映画の原題「7月14日」(監督ルネ・クレール)の邦題「巴里祭」が由来である。
 6月に行われたシーアイランド・サミットでは、ブッシュ大統領ほか各国首脳がノーネクタイだったのにもかかわらずシラク・フランス大統領は唯一ネクタイを着用していた。フランスからの報道によれば、このネクタイは趣味の問題ではなく政治の問題であったとのことである。
 テレビニュースでこの映像を見たとき、学生の頃みた映画のことを思い出した。題名は忘れてしまったが、第二次世界大戦中のフランスにおけるゲリラ活動を描いた映画である。ゲリラメンバーに教授と呼ばれていた登場人物がいた。彼は、白っぽいセーターを着てネクタイを締めていた。戦いの時もネクタイを締めていた。まるで戦場にはにつかわしくない姿であったために記憶している。ネクタイには特別な意味があるのだと感じた。ヨーロッパには「知識人」がいて、そして、その人たちを尊敬する人たちがいることにちょっと驚き、強く印象づけられた。


2004/07/13
 永井ドクターに哀悼の意を表する。うまく表現できないが、心の深いところで、はかなさを感じている。医師である氏は、自身の死期の近いことを十分に知っていた。覚悟も十分に出来ていた。だが、5月12日のコラムに新しい手帳を買ったとある。氏の著書を読みたいと思っている。


2004/07/12
 朝日新聞インターネットサイトAICに「メディカル漂流記」を連載していた永井明氏が7月7日に亡くなられたと知った。今はサイトの更新が昼になったのですぐ読むわけにはいかないが、かっては、水曜日の夜の0時に更新されていた。その頃は、時計を見ながら0時になるとAICをクリックし、更新されていないと更新されるまでクリックを続けて、読んでから、また仕事をしていた時期があった。海の上の話、お酒の話、女の人との河原での出来事などなど、思い出す話がたくさんある。
 今まで、1度も欠号がなかったと記憶しているが、7月7日は更新されなかったので、珍しいこともあるものだなと思っていた。きっと、船の上で、うまく原稿が遅れないのだろうくらいに考えていた。
 穴吹氏(AIC編集長)によると、すでにだいぶ前からご自身の死期について自覚されていたらしい。仕事をすべて断って、最後に「メディカル漂流記」を書こうとしていたらしい。もしかしたら「グッドバイ」だったかも知れない。あるいは、もう少し、思い出を書いておこうとしていたのかも知れない。56才の死は若すぎる。お声を聞いたことも、お会いしたこともない。しかし、とても悲しい。もっと永井ドクターの話を聞きたかった。
 最後の2通は、いつもと感じが違うが、心にしみる話である。ぜひ読んでいただきたい。

June  30, 2004 ヒロシさんの絵筆
http://www.asahi.com/column/aic/Wed/d_medical/20040630.html

June  16, 2004  みえこ姐さんのパラソル
http://www.asahi.com/column/aic/Wed/d_medical/20040616.html


2004/07/11
 参議院選挙が終わった。選挙では、1軒1軒回って支持を訴える「どぶ板選挙」が有効だといわれている。「毎日くだもの200g」運動も、同じではないかと思っている。橋田信介氏の言葉を借りるなら「いつでも、どこでも、誰にでも」あって、果物の健康効果を伝えていく必要があるだろう。


2004/07/10
 長野県栄養士会(約100名)で講演(「果実の栄養学的特性」)を行った。熱心に聞いていただいたことに感謝したい。スライドをじっくり見ている姿が印象的であった。果物に対する誤解を解くには、西川きよし氏ではないが「出来ることからコツコツと。」以外にはないと考えている。テレビで放映されたりして、ある日を境に突然に変わるということはないと思う。


2004/07/09
 現在、7/10午前3時、まだ仕事(果物をたくさん食べれば、健康になることの科学的証拠の解明)をしている。最近、家に帰れる時間がほとんどなくなっている。何のためにと自問するが、少なくともお金のためではない。使命感だけではない。一番しっくりする回答は、「やり甲斐のある仕事」だからと思う。


2004/07/08
 千葉県I地域のうまい果実作り推進協議会の方々(30名)に「果物の健康機能性」についての講演を行った。とても熱心に聞いていただいた。ただ、果物に対する誤解は生産者も例外ではない。例えば「果物には果糖が含まれているので中性脂肪が増える」、「果物のカロリーは高い」などである。今後、このホームページやメールマガジン「果物&健康NEWS」などで、少しづつではあるが誤解を解いて、果物のすばらしさを知ってもらいたいと思う。


2004/07/07
 今日は、七夕である。織姫と彦星は、この夜だけは天の川を渡って愛し合うことが許されるという。火星探索、土星の輪の写真撮影など、最近、宇宙の話題が多いように思う。ただ、宇宙はまだ遠い。97年10月に打ち上げられた土星探査機カッシーニ(Cassini)は、約35億キロ、7年近くかけて土星に到達した。そうしてみると、1年に1度は、必ず会える織姫と彦星は、それはそれで幸福なのかも知れない。

 アメリカNASAのカッシーニプロジェクトのページは下記にある。写真も多数掲載されている。
 http://www.nasa.gov/mission_pages/cassini/main/index.html


2004/07/06
 骨粗鬆症の治療薬として注目されている天然化合物ノルゾアンタミン(norzoanthamine)の化学合成に、宮下正昭(北海道大)らのグループが成功した(Miyasita, M. et al. (2004) Total synthesis of norzoanthamine. Science[DOI: 10.1126/science.1098851])。この化合物は上村大輔(名古屋大)らのグループによって、奄美大島で採ったイソギンチャクの仲間のスナギンチャクから1995年に発見された。骨粗鬆症のマウスに、この化合物を1日40μg飲ませるだけで骨密度や骨重量の低下が抑えられるという。しかし、5kgのスナギンチャクから21μgしか取れないため、世界各国の研究チームが化学合成法の開発を競ってきた。

 ノルゾアンタミンは、七つの環がつながる複雑な化学構造をしているが、宮下らは環が一つの簡単な有機化合物から出発し、39 のステップを経て5年で完全合成に成功した。環が三つのところで難関があったらしいが、瞬間的に240℃に加熱することで乗り越えたという。

 我が国の天然物化学は、世界の最先端を行っているが、また一つ大きな成果が生まれた。「瞬間的に240℃にする」ことを思いついたのはどうしてなのか聞いてみたい。

 テレビを見ていて、どの人が美人でエレガントなのか区別がつかず子供にバカにされているが、この合成法は美しく、エレガントである。ということは、テレビに出ている美人よりも美しいということになるのかな。


2004/07/05
 橋田信介著「イラクの中心で、バカとさけぶ」(アスコム)を読み終えた。題名から推察される通り、軽い感じで書かれており、自分をハシやんと呼んでいる。しかし、そんな軽いのりの中で、ハシやんの「いつでも、どこでも、誰にでも」殺されるかもしれない覚悟、その「志」に共感する。妙な小細工ばかりの出世主義とは無縁な生き方である。
 本書は、戦場特派員の日常が具体的である。ビザの偽造、ワイロの渡し方、戦場写真のとり方、逃げ方、恐怖まで克明に記述されている。


2004/07/04
 1985-2001年に、脳卒中になった40-59歳の2116人と60歳以上の10,413人について調査した鳥取大医学部の結果によると、脳卒中になるリスクが一番低いのは日曜日で、月曜日は、日曜日に比べ1.5倍も高くなるそうである。40-50代は、日曜日より月曜日の方が、1・3-1・5倍と高いとのこと。(共同ニュース04/07/04)
 明日は、月曜日である。リラックスして仕事に取りかかることにしよう。とはいえ、油断していると、すぐに書類が山のようになってしまうのが悩みである。「貧乏暇なし」に間違いはない。


2004/07/03
 YahooとInfoseekの検索サイトで「くだもの 科学 健康」と入力すると、このページが検索できるようになった。今のところGoogleには登録されていないが、そのうち、可能になると思っている。ありがたいことに、少しずつではあるが読者も増えている。ご愛読に感謝します。


2004/07/02
 今日は金曜日。いつも締め切りに追われているので、明日は休みと思うと、とてもほっとする。なぜなら、土曜日と日曜日には督促の電話はないからである。
 こうしたときに、コーヒーでも飲みながらパンダを見ているとさらに和む。アメリカ国立スミソニアン動物園(The Smithsonian's National Zoo)にいるパンダ(Mei Xiang と Tian Tian)が下記のサイトで見られる。 サイト画面中央にパンダカメラ(pandacam)があるので、Live Cam IかLive Cam IIをクリックしてみてください。動いているときも、寝ているときでも、しばし時を忘れる。

 http://natzoo.si.edu/Animals/GiantPandas/


2004/07/01
 NHKの番組「プロジェクトX」は、無名な人たちの血と汗と涙のドラマであるが、最初は、番組が成功するかどうか分からなかったそうである。その「プロジェクトX」のプロデューサー有吉伸人氏と糸井重里氏の対談が下記のサイトに掲載されている。

 http://www.1101.com/documentary/index.html
 「その企画はうまくいかない」という理由は、ばんばん出てくる。みんな、アタマいいから。だけど、「これは当たる!やりましょう」という奴はなかなかいない。真剣にリスクを分析したら、大抵の場合は「やめよう」となります。リスクは計算できるけど、成功は計算できないから。
 でも、「やる!」と言いきってしまうことの大切さってあると思います。昔のプロジェクトから、学びました。成功する理由って、煎じつめると、「やらないと見つからないもの」のような気がします。「これはこうしたから、成功した」というのはたいてい後から考えたことですよ。結局は、「やったものだけが、成功できる」。当たり前なことですが、

 この対談はとても勇気を与えてくれる。余分なコメントを付け加えるなら、リスクばかりを計算しているアタマいい人が、じゃぁ何をやるのかというと、リスクのないものだけを強引にやり、『やった、やった』と宣伝をする。口実の見つけ方や遊泳術がうまいだけなんてことになっている。