2004年9月


2004/09/30
 理化学研究所は、「最も重い新元素」生成に成功したと9月28日に発表した。新元素の原子核は陽子113個と中性子165個でできており、原子番号は113番。今後、複数合成して再現性を確かめるなどしてデータが補強され、新元素と認められれば、国際学会から研究チームに元素の命名権が与えられる。日本にちなんだ「ジャポニウム」や理研にちなんだ「リケニウム」などの名前が候補にあがっているそうである。
 世界最高のビーム強度を有する理研線形加速器を80日間連続稼働させて得られた実験結果 から、陽子数113個の新元素の原子を1個確認した。この原子は放射線を出し、約1万分の3秒後により軽い元素に変わった。
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2004/040928_2/index.html
Morita, K., et al. Experiment on the Synthesis of Element 113 in the Reaction 209Bi(70Zn, n)278113. J. Phys. Soc. Jpn., 73(10):(in press)


2004/09/28
 青森県民2000人(男性758人、女性1242人)を対象に「りんごのイメージにピッタリの芸能人・有名人は?」とのアンケートで、総合1位は卓球の福原愛選手だったと朝日生命保険が発表した。この調査は青森県の特産物であるリンゴが健康にも良いことなどを全国にアッピールするために行われた。
http://www3.asahi-life.co.jp/pdf/p040927/040927.pdf

 福原選手は「元気で愛らしい」「健康的でさわやか」というりんごのイメージにぴったりなどの声が多かったという。2位は歌手の吉幾三さん、3位はタレントの新山千春さん、5位は相撲の高見盛関と青森県出身者が上位を占めた(4位は美空ひばりさん)。「冬のソナタ」に出演した俳優のペ・ヨンジュンさんが7位、チェ・ジウさんが20位に入った。ペ・ヨンジュンさんは、女性からの票が男性の約3倍であった。純粋で可憐な2人のイメージがりんごの清廉なイメージと重なったためのではないかと分析している。


2004/09/27
 静岡で開催された園芸学会に参加してきたが、内容については別な機会に紹介する。今日は、泊まったホテルを推薦したい。エコノミーシングルプランで1泊朝食付きで6,700円のJR静岡駅近くの静岡グランドホテル中島屋である。この価格からは、よくある安いビジネスホテルのイメージであり、部屋の大きさはそうした想像の通りである。しかし、朝食がこの値段とは思えないほど充実している。和食、洋食が自由に選べるブッフェスタイルで、フルーツもあり、食べ放題である。そして、何よりも驚いたのは、部屋へ持ち帰れるコーヒーが用意されていることである。
 サービスも良い。チェックインの時、「部屋へのお持ち込み自由です。」と言われた。こんな経験は初めてである。いつも貧乏旅行なのでたいていコンビニでジュースなどを買って持ち込むのだが、フロントにこう言われるとほっとする。
 また、エレベーターに乗っているとき、お客が食べきれなかったケーキを部屋へ運ぶホテルウーマンに出会った。自分とは直接関係がないのにうれしくなった。
 高級ホテルに泊まったことは数えるほどしかないが、そのサービスに匹敵すると感じた。静岡で泊まる機会があったらまたこのホテルにしようと思う。
 ホテルのホームページは下記
 http://www.sn-hotels.com/sgh/top.html


2004/09/24
 9月27日発行のメールマガジン「果物&健康NEWS」に、果樹試験場に入省以来行ってきた愛着のある研究「クリの渋皮剥皮性」について書いた。また、WHOが「世界ハートの日」に向けて出した心臓病、脳卒中の世界地図についても書いた。WHOは、法律など整備するよう勧告しているが、日本ではどうなるのだろうか。タバコの分煙については法律化されたが、果物や野菜の摂取を推進することに厚生労働省は踏み切るのだろうか。果物摂取に対する医師の反対も相変わらず強いのだろうか。過去にもWHOの勧告を無視してきた歴史があるらしい。
 9月25-26日は園芸学会に出席のためこのコラムはお休みです。


2004/09/23
 今、まもなく放送されるNHKの健康番組を担当しているYディレクターのお手伝いをしている。その番組の内容についてどこまで公開できるか分からないので詳しくは述べないが、よく調べている。私のところに、各テレビ局から様々な問い合わせがあるので、NHKは他局と異なり、放送しない部分までも正確な情報を集めていることが分かる。こうした徹底した調査に裏付けられているので、NHKの番組は地味ではあるが見応えがあるのではないかと思っていた。
 今日の「ほぼ日刊イトイ新聞」の「おもしろ魂」で、フジテレビの三宅恵介氏と日本テレビの土屋敏男氏、糸井重里氏がNHKの番組作りのすごさを論じている。また、「欽ちゃん!」では、萩本欽一氏がNHKの番組の作り方をほめている。両コラムのNHKに対する評価に、やっぱりそうなのだと思った。
 「くだもの・科学・健康ジャーナル」を定期的に読んで頂いている方もおられるが、人数としては極めて少数である。でも、もしNHKの関係者がいたら、ぜひ、下記のサイトを教えてあげてほしい。喜ぶと思う。

「おもしろ魂」のサイトは下記
http://www.1101.com/miyake_tsuchiya/index.html
「欽ちゃん!」のサイトは下記
http://www.1101.com/kinchan/index.html


2004/09/22
 帝京大の山崎正利教授のグループは、バナナ、スイカ、ブドウ、ナシが、動物実験で免疫増強剤並みに白血球を活性化することを、29日から始まる日本がん学会で発表すると日本農業新聞が伝えている(2004/9/22)。山崎教授は「白血球が増えると動脈硬化やがん、糖尿病などの予防につながるので、1日に200グラムの果物を食べるように」と勧めている。


2004/09/21
 化学離れが言われて久しいが、日本化学会はじめ多くの団体が、化学の普及のために様々な取り組みを行っている。今年の7月、ドイツのキールで開かれた第36回国際化学オリンピックで日本代表の高校生4人のうち一人が金メダル、三人が銅メダルを獲得した。数学のオリンピックは有名であるが、化学のオリンピックでもすばらしい成績を収めた。化学オリンピックは化学の総合力を競う大会で、実験問題と筆記試験で行われる(すべて英語)。プレス発表等は下記のサイトで。

http://edu.chemistry.or.jp/oly/delegateIChO361.html


2004/09/20
 農林水産省は9月16日に2003年の農業総産出額(概算)(全国推計値)が前年より0.3%少ない8兆9011億円だったと公表した。農業総産出額が減ったのは、畜産部門の産出額が7.4%減の2兆2937億円と大きく減ったのが要因である。肉用牛の生産量が15.1%減の3960億円、豚が16.5%減の4313億円であった。
 米は価格上昇により7.9%増の2兆3427億円で1994年以来、9年ぶりに増加した。 果実は7415 億円で、前年に比べ1.0 %減少した。これは、りんごの産出額が価格の上昇により増加したものの、みかんの産出額が価格の低下により減少したことなどによる。野菜は2.2%減の2兆1035億円、花きは2.4%減の4263億円だった。
 農業総産出額の最高は1984年の11兆7171億円で、ほぼ20年間でピーク時の4分の3に縮小した。米、豚、鶏、果実などが大幅に減っている。

http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/sousanshutsu-gai2003/
sousanshutsu-gai2003.pdf


1984年:グリコ森永事件、ロサンゼルスオリンピック、夏目漱石が肖像の千円札発行


2004/09/19
 9月14日、百歳長寿者に対する祝状及び記念品の贈呈について厚生労働省老健局から発表になった。本年度中に百歳に到達する人(明治37(1904)年4月1日から明治38年3月31日の間に生まれた者)は、国内 11,867人(対前年1,168増)、うち男性 1,991人(対前年161増) 、女性9,876人(対前年 1,007 増)で、海外在留邦人 44人(対前年3増)、うち男性 12人(対前年 5増) 、女性32人(対前年2減)となり、合計で11,911人(対前年1,171増) 、うち男性2,003人(対前年 166 増)、女性9,908人(対前年 1,005 増)となった。
 その結果、百 歳以上の長寿者は、昨年に比べ2 ,477人増加し23 ,038人となった。このうち、女性が19 ,515人となっており、全体の8 割以上を占めている。小山ウラさん(女)が114歳(明治23年8月30 日:福岡県飯塚市)で、長寿日本一である。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/09/h0913-2.html

日露戦争:明治37(1904)年2月6日に始まり、明治38(1905)年9月5日に収束
国会開設:明治23(1890)年
大日本帝国憲法(明治憲法)発布:明治22(1889)年、東アジア初の成文憲法


2004/09/17
 ドイツのニュースを地球語30カ国語で放送してきたドイツ公営放送局「ドイチェ・ヴェレ」が、アメリカテレビ番組スタートレックに登場するクリンゴン星人のクリンゴン語で情報を提供しているサイトをCNNが紹介している。 クリンゴン語サイトは、ドイチェ・ヴェレのオンライン事業開始10周年を記念したものだそうで、「文化交流はこの太陽系内だけにとどまるものではない」とのことである。
 サイトでは、クリンゴン星人の独自の文化や歴史を紹介している。英訳の頁も用意されているので、スタートレックファンは必見である。
http://klingon.dw-world.de/klingon/index.php

 日本の地上波ではあまり放映されていないので有名ではないが、スタートレックはかなりおもしろい(スーパーチャンネルで放送されている)。色々なシリーズがあるが、スタートレック・ヴォイジャー・シリーズが一番気に入っている。特に、キャスリン・ジェインウェイ艦長が最も好きなキャラクターである。 スーパーチャンネルのスタートレック・ヴォイジャーのサイトは下記。
http://www.super-ch.com/line/st/stvg/index.html

また、下記のサイトでヴォイジャーの各エピソードの予告編が見られる(Quick Timeが必要)。
http://www.usskyushu.com/etc/voy_dvd1.html


2004/09/15
 講演のため岡山県へ出張してきたが、やはり台風の被害が大きかった。多くの果実が落ちたり、傷がついたりしたとのことであった。今年は天気に恵まれて、味がよいとの評価を受けて果樹農家の方は張り切っていたが、台風のためかなり落胆しているようだ。


2004/09/13
 明日というか、今日は岡山でモモ、ブドウを中心とした果物についての講演を行う。朝の6時すぎには家を出ないと行けない。岡山に1泊するので明日の更新は出来ない。毎日更新は、話題と物理的条件とが一致しないとできないが、そうした条件にもかかわらず毎日更新している人たちがいる。その苦労が分かる。


2004/09/12
 中国遼寧省の白亜紀前期(1億3000万年前)の地層からプシッタクサウルス(Psittacosaurus)の親恐竜1頭と子恐竜34頭の化石が50cm四方の中に密集して発掘された(Nature 431, 145 - 146 (2004)) 。研究チームは「火山噴火や洪水が起こり、親子一緒の状態で化石になった」と推定している。
 は虫類であるワニや鳥類は子育てをするが、恐竜が子育てをしていたかどうかについては論争があった。しかし、今回の発見は、「恐竜が子育てをしていた確実な証拠だ」としている。
 今まで、巣の中で見つかった白亜紀後期(9900万~6500万年前)に生息したマイアサウラ(Maiasaura)の赤ちゃん恐竜の歯がすり減っており、足の発育が不完全だったため、親恐竜がえさを運んでいたと解釈されてきた。


2004/08/10
 台風18号の被害はやはり大きかったようである。日本海を北上した台風15号、16号につづいての被害である。特に、青森のリンゴが落下したり、傷が付いたりしたようだ。青森県の推定では生産量が1~2割減少すると推定されている。


2004/09/08
 これまで巨大なガス惑星しか見つかっていなかった太陽系の外で、海王星に近いサイズの小型惑星が、最近相次いで発見され、今後さらに研究が進めば、生命体の存在が期待できる惑星が新たに登場するかもしれないとCNN(9/5付け)が伝えている。
 米カリフォルニア大バークレー校のジェフリー・マーシーらは、獅子座にある恒星の周りを回っている惑星を発見した。質量は地球の約21倍で、同約17倍の海王星に近いとのことである。また、米テキサス大オースティン校のバーバラ・マッカーサーらは、かに座の恒星の周りに地球の約18倍の惑星を発見した。地球からの距離は約41光年とはなれているが、3個の惑星があることが分かっており、太陽系内の惑星との共通点が指摘されている。
 「未知との遭遇」の夢を抱かせる話題である。


2004/09/07
 ロシア人科学者のグリゴーリ・ペレルマン博士が現代数学で「7大難問」の一つ、「ポアンカレ予想」を解決したとする主張について、米スタンフォード大学のキース・デブリン教授が6日、英国学術協会主催の科学フェスティバルで、「正しいと思われる」と述べた。証明が正しければ、ペレルマン博士は米クレイ数学研究所から100万ドル(約1億1000万円)の賞金を受けることになるとCNNが伝えている。
 ペレルマン博士は、この問題について誰とも議論せず、賞金にも興味を示していないようだ。また、ペレルマン博士は、自分の証明をインターネット上で公開しただけという。
 科学の成果もカネ、カネ、カネと言われているなかで、ペレルマン博士の行動は、何となくほっとさせる。


2004/09/06
 ホームページを改造中である。特に、「果物摂取で生活習慣病予防」の充実を図っている。今週いっぱいかけて行う予定である。


2004/09/05
 千葉では午後から雨が降り、人ではあまり伸びなかった。ミニ講演会の人数は予定より少なかったが、皆熱心に聞いていただいた。2回行ったが、2回とも聞いてくれた人もいた。ナシと食物繊維、ナシで肥満や便秘解消などについて説明した。
 つくばから千葉まで2時間くらいで着いた。乗換えが多いのでもっとかかると思っていたが意外と早く着いた。


2004/09/04
 明日9月5日は三越千葉店でミニ講演会を行う。雨模様なので来場者数が少ないか心配である。一人でも多くの人にくだものの良さを知ってもらいたいと思う。


2004/09/03
 農林水産省サイトから発行してるメールマガジン「果物&健康NEWS」の配信数が3000件を越えた。大変うれしい。まぐまぐでは殿堂入りの資格を配信数3000以上としているが、この基準についてはクリアできた。さらに多くの方に読んでいただけるよう努力したい。


2004/09/02
 拙著「くだもののはたらき」が順調に売れており、残部も少なくなったとの連絡があった。通常の販売ルートにのせずにどのくらい売れるのか心配していたが安心した。類書は、機能性成分の観点から書かれているが、本書は、果物そのものの働きに焦点を当て、科学文献に基づいたデータの提示が受け入れられたのではないかと考えている。


2004/09/01
 若い牛でも牛海綿状脳症(BSE)の感染を判別できる技術が開発されたと日本農業新聞が伝えている(04/08/29付け)。
 「異常プリオン」の発見でノーベル賞を受賞したカルフォルニア大スタンリー・プルシナー教授のグループが、月齢の若い牛でも感染を発見できる新しい検査手法を開発した。この新しい手法は特殊な試薬を加えることで、異常プリオンを壊さずに区別できる画期的な方法なので、「生きた牛でも感染が見つけられる可能性があるとしている。今までは、解体した牛に対する判別方法だったので、これが実現するとBSEに対する対策が変わる可能性がある。また、日米で協議している牛肉の対日輸出再開交渉にも影響が出ると考えられる。