2007年4月


2007/04/29 肥満の予防と治療に対するカナダの新ガイドライン

 カナダの医学会誌に、子供と成人に対する肥満の予防と治療に対するガイドラインが発表された(2007/4/10)。この新ガイドラインは医学の専門家と政策立案者により作成され、国として作成された世界で最初のガイドラインである。このガイドラインでは以下のことを推奨している。

・太りすぎや肥満を解消するための最初の処置は、生活習慣(食生活、運動)の改善を行う。もし失敗したら、薬物療法や肥満手術を考える必要がある。
・太りすぎか肥満体であるなら10歳から血糖値やコレステロールなどの測定を定期的に受ける必要がある。
・体重管理プログラムに参加する患者に対して、ライフスタイルを変更するための方法やサポートを受けられるようにする必要がある。
・子供たちの太り過ぎや肥満を防ぐためのプログラムを学校で行う必要がある。また、体育の時間などを通じて毎日の活動を増やすようにする必要がある。
・テレビやビデオ、ゲームなどに使う時間を1日あたり2時間未満に制限する必要がある。

【文献】
Lau, D. C. W. et al.: 2006 Canadian clinical practice guidelines on the management and prevention of obesity in adults and children. CMAJ 176: S1-13. (2007) [doi: 10.1503/cmaj.061409]

下記のサイトで上記要約及び論文全文を読める。
http://www.cmaj.ca/cgi/content/full/176/8/S1/DC1


2007/04/29 朝日新聞茨城版で「果物&健康NEWS」が紹介される

 本日の朝日新聞朝刊の茨城版にメールマガジン「果物&健康NEWS」の紹介記事が掲載されました。WEBページにもありますので読んでみてください。
http://mytown.asahi.com/ibaraki/news.php?k_id=08000000704290005
 もし、まだメールマガジンのご登録がお済みでなかったら、ぜひ、この機会にご登録ください。


2007/04/28 フラボノイドの摂取と心臓関連の死亡率を下げる

 アメリカとノルウェーの研究チームは、植物由来のフラボノイドを多く摂取すると心疾患による死亡率が低くなると報告した。

 アメリカに住む閉経後の女性34,489人を対象に16年間調査を行った結果、フラボノイドの摂取量が多いと冠動脈心臓病、心血管疾患による死亡率が低くなることが分かった。

 フラボノイドは、アントシアニジン、フラバノン、フラボンに分類される。フラバノンの摂取量が多い人は、少ない人と比べて冠動脈心臓病のリスクが22%低く、アントシアニジンの摂取量が多いと摂取していない人と比べ心臓病関連の死亡率が10%低かった。

 フラボノイドを多く食品であるリンゴやナシは冠動脈心臓病と心血管疾患のリスクを下げることも分かった。そのほか、グレープルルーツは冠動脈心臓病を、イチゴは心血管疾患をのリスクを下げた。

 以上のことから、研究者らはフラボノイドの豊富なしく品を摂取すると冠動脈心臓病や心血管疾患による死亡リスクが下がると述べている。

【文献】
Mink, P. J. et al.: Flavonoid intake and cardiovascular disease mortality: a prospective study in postmenopausal women. Amer. J. Clin. Nutr. 85: 895-909. (2007)


2007/04/27 フラボノールとすい臓ガン予防

 すい臓ガンの危険因子としてはっきりしているのは喫煙だけである。アメリカ・カリフォルニアとハワイに住む18万3518人を対象にmすい臓ガン発症とフラボノールの摂取量を調べた結果、フラボノールの摂取量が多い人は、少ない人と比べてすい臓ガンのリスクが23%低いと、カリフォルニア大学などの研究チームが発表した。特に、喫煙者では、フラボノールの摂取量が多いと、少ない人に比べて59%発生のリスクが低いことが分かった。

 フラボノールは、ポリフェノールの一種で、リンゴやタマネギ、ベリー、ケール、ブロッコリーなどの果物や野菜に多く含まれている。そのため、研究者らは、植物性食品を食べることはすい臓ガンの予防に対して有効であると述べている。

【文献】
Nothlings, U. et al.: Flavonols and pancreatic cancer risk: The Multiethnic Cohort Study. Amer. Assoc. Cancer Res. Ann. Meeting 2007 abstract No. 856 (2007)


2007/04/26 果物と野菜摂取は頭頸部のガン予防に効果的

 アメリカに住む成人49万802人を対象に5年間、食事摂取と頭頸部のガンについて調べた結果、果物と野菜を1日当たり1サービング増やすと頭頸部のガンの発生が低くなることが分かったとアメリカ・国立がんセンターの研究チームが発表した。

 果物と野菜を1,000カロリー当たり6サービング摂取している人は、1.5サービングの人と比べて頭頸部ガンの発症が29%低いことが分かった。以上の結果から、1,000カロリー当たり果物か野菜を1サービング増やすと頭頸部のガンのリスクが6%減少すると研究者らは述べている。

【文献】
Freedman, N. D. et al.: Fruit and vegetable intake and head and neck cancer in a large United States prospective cohort study. Amer. Assoc. Cancer Res. Ann. Meeting 2007 abstract No. 849 (2007)


2007/04/25 リンゴを食べた妊婦の子供は小児ぜん息になりにくい

 イギリスとオランダの研究チームは、1924人の妊婦に食物頻度アンケートを行い、5年後にその子供1,253人の気道を調べたところ、妊娠中にリンゴを食べた女性から生まれた子供の小児ぜん息のリスクは統計的に有意に低かった。このリンゴ効果は特異的で、喘鳴のリスクが37%、ぜん息のリスクが46%、医者による治療が必要なぜん息のリスクが53%低くなることがわかった。

【文献】
Willers, S. et al.: Maternal food consumption during pregnancy and asthma, respiratory and atopic symptoms in 5-year-old children. Thorax. Online 27 March (2007) [doi: 10.1136/thx.2006.074187]


2007/04/24 果物や野菜、ナッツを摂取するとぜん息予防に効果的

 果物や野菜、ナッツを豊富に摂取していると子供のぜん息と呼吸アレルギー予防に効果があると、ギリシャやイギリスなどの研究チームが発表した。

 クレタ島に住む7歳から18歳の子供たち690人を対象に調査したところ、80%子供たちは毎日1日に2回以上、リンゴやオレンジ、ブドウなどの果物を摂取していた(野菜は68%であった)。果物や野菜などを沢山摂取していると喘鳴とアレルギー性鼻炎に対する保護作用のあることが示唆された。また、ナッツを多く食べていた子供はぜん息のリスクが低かった。また、果物や野菜の摂取量が多く、脂肪の摂取量の少ない地中海ダイエットはアレルギー性鼻炎に有効であることも分かった。一方、マーガリンの摂取が多いと喘鳴とアレルギー性鼻炎のリスクが高まった。

 以上の結果から、果物や野菜、ナッツに含まれている抗酸化成分がぜん息予防に有効ではないかと研究者らは述べている。

【文献】
Chatzi, L. et al.: Protective effect of fruits, vegetables and the Mediterranean diet on asthma and allergies among children in Crete. Thorax. Online 5 April (2007) [doi: 10.1136/thx.2006.069419]


2007/04/23 高血糖の女性はガンになりやすい

 高血糖の女性はガンになりやすいとスウェーデン・ウメア大学(Umea Univ,)の研究チームが発表した。

 女性3万3293人と男性3万1304人を調査したところ、女性のガンのリスク危険は最も血糖値が低いグループに比較して、最も高いグループは26%リスクが高くなることが分かった。一方、男性ではこうした関係は認められなかった。

 以上の結果から、女性では、肥満の如何にかかわらず、血糖値が高い女性はガンのリスクが高くなることから、血糖値の高い女性は生活習慣の改善が必要であると研究者らは述べている。

【文献】
Stattin, P. et al. Prospective study of hyperglycemia and cancer risk. Diabetes Care. 30: 561-567. (2007)


2007/04/20 海外トピックス:ノルウェー議会で果物と野菜に変更

 ノルウェーは閣議や会議などで提供される軽食を、従来のお菓子類から果物と野菜に変更するとした内閣府の通達がだされたとAFPが伝えた(07/3/20)。
 現在、会議中はクッキーやケーキが提供されているが、果物や野菜など健康にいい食べ物も用意するもので、この通達はあくまで「助言」であって「義務」ではないとのことである。

ニュースの全文は下記のサイトで読める。
http://rawstory.com/news/afp/Serve_fruits_rather_
than_chocolate__03192007.html



2007/04/19 肥満はぜん息発症を促進

 過体重および肥満の人は、標準体重の人に比べてぜん息を発症しやすいとアメリカ国立ユダヤ医療研究センターの研究グループが発表した。
 ぜん息は気道の炎症および狭窄を伴う慢性疾患で治癒は難しいが管理が可能であることが多い。反復性の喘鳴(ぜんめい)、咳(せき)、アレルギーを起こしやすいなどの症状があり、アメリカの罹患者数は、小児患者900万人を含め約2,000万人といわれる。また、アメリカ人の65%は肥満または過体重であるとされ、ぜん息と肥満との関連性も従来の研究から示唆されていた。

 アメリカ、カナダ、ヨーロッパでぜん息とBMI(肥満指数)との関係について1966年~2006年に行われた7つの研究(計33万3,000人以上)を検討した結果、BMIが25以上の人はぜん息発症率が50%高く、体重が増えるに従ってリスクも増大することが分かった。また、男女差は認められなかった。

 以上のことから肥満が重度のぜん息の危険因子であると研究者らは述べている。

【文献】
Beuther, D. A. and E. R. Sutherland: Overweight, Obesity, and Incident Asthma
A Meta-analysis of Prospective Epidemiologic Studies. Amer. J. Resp. Crit. Care Med. 175: 661-666. (2007) [doi: 10.1164/rccm.200611-1717OC]


2007/04/18 遺伝子変異の解析から脂肪摂取と肥満との関係解明

 脂肪代謝に関連するアポリポタンパク質A5遺伝子(apolipoprotein A5 gene)の1塩基多型(SNP)の遺伝子異型を分析した結果、APOA5-1131Tの遺伝子を持つ人は脂肪の摂取量が多いとMBI値が増加したが、APOA5-1131Cの遺伝子を持つ人にはこうした関係が認められなかったとアメリカ・タフツ大学の研究チームが発表した。

 フラミンガム心臓病研究に参加している男性1,073人と女性1,207人を調べた結果、 APOA5-1131Cの遺伝子を持つ人は、APOA5-1131Tの遺伝子を持つ人に比べて肥満のリスクが39%、オーバーウエイトのリスクが37%低いことが分かった。また、APOA5-1131Tの遺伝子を持つ人でも脂肪の摂取量が少ないと肥満やオーバーウエイトのリスクも下がった。
 以上のことから、肥満の問題は複雑であるが、SNPを調べることで、個人個人の食事と体重増加との関係を明らかに出来る可能性が広がったと述べている。

【文献】
Corella, D. et al.: APOA5 gene variation modulates the effects of dietary fat intake on body mass index and obesity risk in the Framingham Heart Study. J. Mol. Med. 85: 119-128. (2007) [doi: 10.1007/s00109-006-0147-0]


2007/04/17 肥満のリスクと強く関係したFTO遺伝子変異の発見

 世界中で肥満が増大しているが、肥満は2型糖尿病、心臓病、ある種のガンのリスクを高める。

 オックスフォード大学などの研究チームは、38,759人のヨーロッパ人を調べ、今までで最も明確に肥満とリンクするFTOと呼ばれる遺伝子の変異を特定した。第16番染色体にあるFTO遺伝子の塩基配列の1カ所がT(チミン)ではなくA(アデニン)の割合が高くなっている人は肥満になるリスクが高くなった。

 FTO遺伝子の変異を1つもつ人は持たない人と比べて体重が1.2kg重く、2つもつ人は3kg重く肥満のリスクが67%高くなった。

 しかし、「遺伝的な要因だけが、世界的に増加している肥満の原因ではない」と研究者は述べている。肥満には、過剰なカロリー摂取など生活習慣の要因が大きく関与している。適切な体重を維持するためには、肥満を遺伝のせいにすることなく、生活習慣の改善が大切だが、「この遺伝子変異は、体重を落とすことが困難な理由を説明するのではないか」と研究者は予想している。

【文献】
Timothy M. Frayling, T. M. et al.: A Common Variant in the FTO Gene Is Associated with Body Mass Index and Predisposes to Childhood and Adult Obesity. Science Online April 12, (2007) [DOI: 10.1126/science.1141634]


2007/04/15 簡単な質問で子供は果物を食べるようになる

 アメリカ・エール大学の研究によると、昼食の時、カフェテリアで並んでいる子供たちに「果物かジュースが欲しい?」と聞くだけ小学生は果物を食べることが分かった。

 アメリカでは学食に「アラカルト」のオプションがあり、子供たちはしばしばジャンクフードを選んで食べている。そこで、コネチカットの小学校のカフェテリア・スタッフが子供たちに「果物かジュースが欲しい?」とたずねる実験を行った。その結果、声をかけた子供の90%が果物かジュースを選ぶことが分かった。対照とされた学校では60%しか選ばなかった。

 以上の結果から、研究者らは子供たちに言葉をかけることが果物の摂取量を増やす良い方法ではないかと述べている。

【文献】
Schwartz, M. B. et al.: The influence of a verbal prompt on school lunch fruit consumption: a pilot study. Int. J. Behav. Nutr. Physic. Act. 4: 6 (2007) [doi: 10.1186/1479-5868-4-6]


2007/04/14 仕事によるストレスは肥満を増大させる

 ロンドン医科大学の調査によると仕事のストレスがためると太ることが分かった。男性6,895人と女性3,413人を対象に19年間調査を行った結果、少なくとも3回仕事のストレスを感じた人は、そうでない人と比べて73%肥満のリスクが高まった。また、ウエストが102cm以上の男性、88cm以上の女性を肥満と定義するとストレスは61%肥満を促進した。

 以上の結果から、研究者は、仕事のストレスは肥満の原因にあると結論づけ、ストレスに対する社会的サポートの重要性を指摘している。

【文献】
Brunner, E. J. et al.: Prospective Effect of Job Strain on General and Central Obesity in the Whitehall II Study. Amer. J. Epid. 165: 828-837 (2007) [doi: 10.1093/aje/kwk058]


2007/04/13 果物の摂取量が多く肉の摂取量が少ない人は結腸・直腸ガンになりにくい

 アメリカ・ノースカロライナ大学の研究チームは、果物を沢山食べて肉の摂取量を減らすと結腸・直腸ガンの発症リスクが減ると発表した。

 大腸内視鏡検査を受けた725人を対象に食事パターンと結腸・直腸ガンとの関係を調査した。調査から、1)果物の摂取量が多く肉の摂取量が少ない食事パターン、2)野菜の摂取量が多く肉の摂取量が中間的である食事パターン、3)肉の摂取量が多い食事パターン(典型的なアメリカ人の食事)の食事パターンに分けられた。
 3つの食事パターンを比較した結果、果物の摂取量が多く肉の摂取量が少ない食事パターンの人は統計的に有意にポリープの発生が少ないことが分かった。

 以上の結果から、果物の摂取量が多く肉食の摂取量が少ない食事パターンは、結腸ガンを予防に有効であると述べている。

【文献】
Gregory, L. et al.: A Diet High in Fruits and Low in Meats Reduces the Risk of Colorectal Adenomas. J. Nutr. 137: 999-1004. (2007)


2007/04/13 Gmailを使うと携帯電話でメルマガ「果物&健康NEWS」が読める

 「果物&健康NEWS」はテキスト形式で送信されているので、メール受信の文字数制限が30kb以上に拡張されてい最新機種では問題なく受信できます(各機種の文字数制限についてはそれぞれの携帯電話各社へおたずね下さい)。

 「果物&健康NEWS」のメールサイズは1回当たり20kb(約1万字)前後です。文字数制限がこの数値以下の携帯メールでもメルマガを受信することは可能ですが、制限を超えた分は破棄されてしまうため全文を読むことは出来ません。

 携帯メールの文字数制限を回避するには分割転送という方法がありますが一般的ではありませんでした。今度GoogleのウェブメールであるGmailが日本の携帯電話でも使えるようになったため、Gmailのアドレスで「果物&健康NEWS」に登録すれば携帯電話でも全文をお読みいただけます(2007/4/10より)。

 Gmailの登録と利用は無料で誰でも使えます。コンピューターのインターネットサイトからGmailのアカウントを得たら、そのアドレスを「果物&健康NEWS」へご登録下さい。そうするとGmailのアドレスへ「果物&健康NEWS」が届きます。次に、携帯電話のインターネット接続画面からGmailのアドレスにアクセスすれば、どこにいてもメルマガを読むことが出来ます。iモード、EZWeb、Yahoo!ケータイに対応しています(一部の機種を除く)。

 利用にあたってはインターネットにアクセスできる携帯電話とサービスプランが必要となります(通信料等については携帯電話各社にお問い合わせ下さい)。

携帯電話からのGmailの使い方や特徴、登録等については下記のサイトをご覧下さい。
http://mail.google.com/mail/help/intl/ja/whatsnew.html


2007/04/12 果物と野菜の摂取量が多いと肥満のリスクが減少する
 アメリカで74,063人の女性看護師(38-63歳)を12年間追跡した結果、 年をとるに従って太る傾向があることが分かった。しかし、果物と野菜の摂取量を増やすと肥満のリスクが減少していた。果物と野菜の摂取量が大きく増加したグループは、大きく減少したグループより24%肥満リスク(BMIが30以上)が低かった。

【文献】
He, K. et al.: Changes in intake of fruits and vegetables in relation to risk of obesity and weight gain among middle-aged women. Int. J. Obesity 28: 1569-1574. (2004) [doi: 10.1038/sj.ijo.0802795]


2007/04/11 アメリカ:果物と野菜の摂取量はまだ不十分
 アメリカ疾病対策センター(CDC)の調査によれば、多くのアメリカ人は果物と野菜の摂取量が不足していることが分かった。果物と野菜の摂取が健康に有効であることは知られているが、政府の摂取目標(Healthy People 2010)には達していない。

 アメリカ政府は、2010年までに果物を1日少なくとも2回以上摂取している人の割合を75%、野菜を1日に少なくとも3回摂取摂取している人の割合を50%にすることを目標としている。しかし、摂取目標値に達している人は果物では32.6%、野菜では27.2%にすぎないことが分かった。

 そのため、果物と野菜の摂取を推奨する努力が必要であると結論づけている。

【文献】
Blanck, H. M. et al.: Fruit and Vegetable Consumption Among Adults - United States, 2005. Mor. Mort. Weekly Rep. 56: 213-217. (2007)