2007年2-3月


2007/03/16 「本当にすごいくだものの科学」セミナーin余市
 くだものの素晴らしい機能性(生活習慣病予防、ダイエット効果)を詳しく、そしてわかりやすく解説する「本当にすごいくだものの科学」セミナーを開催します。受講料は無料。どなたでも参加できます。参加ご希望の方は北海道果樹協会まで、電話でご連絡ください。

「本当にすごいくだものの科学」セミナーin余市
日時 平成19年3月16日(金)15:00から
場所 余市町中央公民館3階会議室(余市町大川町4-143)

講演 農研機構果樹研究所・健康機能性チーム 田中敬一

検討会「すごいくだものの機能性をどう活かすか?」
パネラー: 森元治氏(北海道果樹協会会長)/大島克予氏(コープさっぽろ小樽後志エリア委員長)/石川絢子氏(沢町小学校栄養職員)/田中敬一/コーディネーター:黒川晃次氏(後志農業改善普及センター 主任普及指導員)


2007/03/15 アメリカ・メイヨクリニックが選ぶ健康によい食べ物トップ10
 おいしくて、栄養価が高いだけでなく、疾病のリスクを軽減できる食品のトップ10食品をアメリカ・メイヨクリニックが公開している。
 リンゴ(ペクチンなど食物繊維はコレステロール値を下げる。また、ビタミンCなど抗酸化成分により体細胞を保護するだけでなく、鉄と葉酸の吸収を助ける。)
 アーモンド(食物繊維、リボフラビン、マグネシウム、鉄、カルシウム、ビタミンEなどを多く含むので心疾患のリスク下げる働きがある。また、アーモンドに含まれている脂肪の大部分は不飽和脂肪酸なのでコレステロール値を下げる。
 ブルーベリー(食物繊維、ポリフェノールなど抗酸化成分を多く含み低カロリーな食品である。また、老化抑制が期待できる)
 そのほか、ブロッコリー、小豆、サケ、ホウレンソウ、サウマイモ、野菜ジュース、麦芽が良いとしている。

【文献】
Mayo Clinic: Top 10 healthy foods and why they're good for you. Mayo Clin Womens Healthsource. 10: 9. (2006)


2007/03/06 ビタミンCで白内障発症リスクが下がる
 ビタミンCを食事から摂取している人は、老人性白内障になりにくいことを杏林大学らの研究グループが発表した。白内障は、加齢に伴って水晶体中のタンパク質が酸化することによっておきると考えられる。1995年に45-64歳だった男性16,415人と女性18,771人を対象に調査が行われた。その結果、男性で1日あたり摂取量が最も多い人たち(211mg)は最も少ない人たち(52mg)に比べて、発症のリスクが35%、手術を受けるに至る危険性は30%下がることが分かった。女性では摂取量が最も多い人たち(258mg)は、最も少ない人たち(75mg)に比べ、発症リスクが41%、手術リスクが36%低かった。

【文献】
Yoshida, M. et al.: Prospective study showing that dietary vitamin C reduced the risk of age-related cataracts in a middle-aged Japanese population. Eur. J. Nutr. 46: 118-124 (2007) [doi: 10.1007/s00394-006-0641-8]


2007/03/05 果物の摂取を増やすとダイエットに効果的
 カナダ・ラバル大学の研究チームが食事パターンと体重の変化を6年間とその後の追跡調査の結果、果物群の摂取が多いほど、脂肪群の摂取が少ないほど体重が減少していることが分かったと報告した。
 248人のボランティアを対象に1989-1994年、1995-2000の2度測定した。その結果、果物群の摂取量が多く、脂肪群の摂取量が少ないグループがBMI値の変化に貢献していることが分かった。さらに詳細に検討すると、スキムミルクと全果の摂取量が多いとBMI値が統計的に有意に低くなることが分かった。
【文献】
Drapeau, V. et al.: Modifications in food-group consumption are related to long-term body-weight changes. Am. J. Clin. Nutr. 80: 29-37. (2004)


2007/03/03 カルシウムとビタミンD不足は心血管疾患リスクを高める
 カナダ・ラバル大学の研究チームは、カルシウムが不足していると心血管疾患リスクが高まると発表した。
 BMI値が30以上の女性63人を対象に減量プログラムとカルシウムとビタミンDの摂取を組み合わせて15週間調査を行った。実験前のカルシウムの摂取量は、平均700mgで、摂取必要量の1,000mgをかなり下回っていた。実験中は、低カロリーの食事に加えてカルシウムとビタミンDか偽薬のどちらかを1,200mg摂取してもらったところ、カルシウムとビタミンDを摂取したグループは、HDL(善玉コレステロール)が増加し、LDL(悪玉コレステロール)が低下した。
 以上の結果から、減量プログラムを実施する場合は、カルシウムとビタミンDを補足する必要があるとしている。

【文献】
Major, G. C. et al.: Supplementation with calcium + vitamin D enhances the beneficial effect of weight loss on plasma lipid and lipoprotein concentrations. Am. J. Clinical Nutrition, 85: 54-59. (2007)


2007/03/02 「発掘!あるある大事典Ⅱ」ねつ造問題について
 「発掘!あるある大事典Ⅱ第130回あなたのダイエットフルーツはどっち?みかんorリンゴ」で行われたミカン摂取による実験で血糖値のデータにねつ造があったと関西テレビ調査班が発表した(2007/2/28)。
 今回のねつ造があっても果物の健康効果の科学的根拠が揺らぐことはないが、悪影響が出ると困るのでねつ造の問題点をまとめまた。

○関西テレビの検証結果
 番組内で紹介された実験で、1日目はパンだけ、2日目は先にミカンを食べた後にパンを食べて測定した被験者二人の血糖値のグラフのうち一人についてねつ造があったと発表した。

○ねつ造の問題点
 この実験は、食品のグリセミック・インデックスのデータを得る目的で行われたと考えられるが、グリセミック・インデックス値を比較する場合は、摂取する食品の糖質量を同じにする必要がある。
 今回のように、パンだけを食べたときと、ミカンとパンを食べた実験では、摂取した糖質量が違うので、両者の血糖値を比較することに科学的な意味はない。もし比較したいのであれば、ミカンと糖質量が同じ別の食品と比較する必要がある。例えば、パンと食品αを食べたときと、パンとミカンを食べたときを比較し、ミカンを食べると血糖値が下がるかを調べれば、恐らくねつ造の必要はなかったと考えられる。
 今回のねつ造はミカンを摂取したときの血糖値データの改変だがが、グリセミック・インデックス値を求める実験のやり方を知らなかったためにおきたと考えられる。


2007/03/01 あるある大事典でミカンの血糖値ねつ造
 あるある大事典でミカンの血糖値がねつ造されたと報道された。極めて遺憾である。なぜなら、行われた実験そのものが科学的に正しい実験ではなかったからである。そのため、期待された数値がでないのは当然で、それをねつ造でごまかすのはもってのほかである。詳しくは、本日夜、又は、明日発行のメルマガ「果物&健康NEWS」で報告する。


2007/02/21 講演:落葉果樹における果実の機能性について
 神奈川県神奈川県農業義技術センターにおいて神奈川県で果樹農業に携わっている人を対象に「落葉果樹における果実の機能性について」の講演を行った。参加者は約100名で熱心に聞いていただいた。しかし、講演でメルマガ「果物&健康NEWS」の講読も勧めたが、残念ながら新規の登録者はあまりいなかった。残念である。


2007/02/21 減量は肥満の人の心臓機能を高める
 オーストラリア・クイーンズランド大学の研究チームによる調査によると肥満のヒトが減量すると心臓の機能が向上することが分かった。心血管疾患ではない106人の肥満の男女に、8週間ライフスタイル改善プログラムにより指導を行った結果、減量度合いが多かった人の血管の機能(ひずみ率、心筋の拡張・弛緩速度など)が向上した。

【文献】
Wong, C. Y. et al.: Effect of Weight Loss Due to Lifestyle Intervention on Subclinical Cardiovascular Dysfunction in Obesity (Body Mass Index >30 kg/m2). Amer. J. Cardiol. 98: 1593-1598. (2006) [doi: 10.1016/j.amjcard.2006.07.037]


2007/02/20 メタボリックシンドロームは心疾患のリスクを高める
 アメリカ・メイヨクリニック医科大学の研究グループは、心臓発作と死亡リスクに強く関係していると発表した。
 37の研究(172,573人)を対象にメタ分析を行った結果、メタボリックシンドロームの人は、そのリスク要因のない人より、心臓発作か死亡のリスクが78%高いことが分かった。
 この結果は、臨床医が患者のライフスタイルについてカウンセリングするとき役立つと研究者らは述べている。

【文献】
Gami, A. S. et al.: Metabolic Syndrome and Risk of Incident Cardiovascular Events and Death: A Systematic Review and Meta-Analysis of Longitudinal Studies. J. Am. Coll. Cardiol. 49: 403-414. (2007) [10.1016/j.jacc.2006.09.032]


2007/02/18 食物繊維は乳がんのリスクを下げる
 イギリス・リード大学研究チームは35,792人の女性を7年間追跡調査した結果、毎日、食物繊維を30g以上摂取しているグループは20g以下のグループに比較して乳がんのリスクが0.48と半分になることが分かったと報告した。そして、穀類と果物が食物繊維の供給源として優れているとしている。
 そのため、朝食を普通のパンから全粒粉のパンに変えるなどして食物繊維を30g以上摂取することを勧めている。

【文献】
Cade, J. E. et al.:Dietary fibre and risk of breast cancer in the UK Women's Cohort Study. Int. J. Epid. Online on Jan. 24, (2007) [doi:10.1093/ije/dyl295]


2007/02/17 とにかく忙しい
 年度末の会議シーズンが半ばを越えた。組織が改編されたため、従来以上に負担が増えた。途中かなり時間的に厳しい時もあったが、多くの方に迷惑をかけながらも何とか乗り切れた。しかひ、ここ数年引いたことのなかった風邪になってしまった。あと半分、元気になってがんばろう。


2007/02/06 「あるある汚染」のアサヒ芸能は大丈夫?
 本日発売の週刊アサヒ芸能に「『あるある汚染』番組司会者が弁明」の記事が掲載された。その中で「はなまるマーケット:リンゴでアレルギー予防」を取り上げ異議を唱えている。情報源は医学博士・三好基晴氏で、「『信じている』ことを根拠にする科学者にも、専門家が言うからと言い訳する局にも驚きです」とコメントしている。この人、大丈夫なのか。科学者が信じるのは実験結果に基づく科学的根拠である。リンゴでアレルギー予防については下記にまとめてあるので読んでほしい。
 アサヒ芸能も怪しい医学博士の言説を鵜呑みにするのではなく、ちゃんと取材するべきだろう。私たちに実験が最も大切なように、記者にも取材が最も大切なのではなかろうか。こんなことをしているとアサヒ芸能も「あるある汚染」に飲み込まれてしまう。

リンゴがアレルギー予防に効果があることの科学的根拠
http://www.kudamononet.com/LifeStyle/medical/allergy.html

 安井至氏が運営している「市民のための環境学ガイド書庫」の中に、日垣隆氏(作家)が三好基晴氏の問題点を指摘している文章が掲載されている。
http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/FridayHigaki.htm
サイト中ほどに三好氏のアトピー論、環境ホルモン論の詐欺的手法が述べられている。


2007/02/02 北陸学院短期大学
 石川県金沢にある北陸学院短期大学で「食事バランスガイドと果物がもつ健康機能性」について約90分間講演を行った。大きな講堂が一杯で全部で170人ほどの栄養学科の1,2年生が出席してくれた。