2007年5月


 2007年5月31日
リンゴジュースとぜん息との関係

 イギリス・南ロンドンの子供たち2640人(5-10歳)を対象にぜん息と果物摂取との関係が調査されました。

 その結果、リンゴジュースを1日当たり1回以上摂取していた子供たちは、1ヶ月に1回以下の子供たちと比べて、ぜん息の喘ぎ症状の発生が47%低くいことが分かりました。

 喘ぎ症状は、ぜん息の重要なサインの1つです。しかし、リンゴジュースとぜん息との間には直接的な関係は見いだされませんでした。

 そのため、研究者らはさらなる研究が必要であるとした上で、ぜん息予防には、ビタミンや抗酸化成分に富んだ食事が大切であることを示す証拠の1つと考えています。

【文献】
Okoko, B. J. et al.: Childhood asthma and fruit consumption in South London. Eur. Respir. J. Online Feb. 14, 2007 [doi: 10.1183/09031936.00097806]




 2007年5月30日
穀類由来の食物繊維は2型糖尿病の発症リスクを下げる

 穀類由来の食物繊維とマグネシウムの摂取量が多いと2型糖尿病の発症リスクが低くなるとドイツの研究チームが発表しました。

 男性9,702人、女性1万5,365人を対象に、平均7年間行った追跡調査と、これまでに発表された食物繊維とマグネシウムに関する研究のメタ解析が行われました。

 その結果、穀類由来の食物繊維の摂取量を5分割し、摂取量が最も多かった群は最も少なかった群に比べ、2型糖尿病発症のリスクが28%低いことが分かりました。果物由来の食物繊維や野菜由来の食物繊維の摂取量と2型糖尿病との間には統計的な関連性は認められませんでした。また、メタ解析の結果、穀類由来の食物繊維は2型糖尿病の発症リスクが33%低く、マグネシウムでは23%低くなりました。

【文献】
Schulze, M. B. et al.: Fiber and Magnesium Intake and Incidence of Type 2 Diabetes: A Prospective Study and Meta-analysis. Arch. Intern. Med. 167: 956-965. (2007)




 2007年5月29日
火星:スピリットもオポチュニティも、元気に活躍中

 2004年に火星に到着した無人火星探査車スピリット(spirit)もオポチュニティ(opportunity)も元気に活躍しています。

 最近、スピリットから送られてきたX線画像を解析した結果、シリカ(二酸化ケイ素)を約90%含む土壌が発見されました。シリカを高濃度に含む土壌が作られるためには水が必要なことから、研究者らは、火星に水があったとする今までで最も確実な証拠としています。オポチュニティは、ビクトリアクレーターを探索中です。

スピリットから送られてきた画像は下記のサイトで見られます。
http://www.nasa.gov/mission_pages/mer/images/pia09491.html

火星探査車の活動状況は下記のサイトで読めます。
http://marsrovers.jpl.nasa.gov/mission/status.html




 2007年5月28日
インスリン分泌量と体重減少とが関係

 インスリン分泌量の多い人は、低グリセミック・ロードの食事で体重の減少が大きいことが分かりました。

 グリセミック・ロード(GL)とは、糖質の質及び摂取量を考慮した食品の指標です。GL=「一人前の分量の食物に含まれる糖質のグラム数」×「その食物のGI/100」で計算します。このグリセミック・ロードの計算の元となるグリセミック・インデックス(GI)とは、血糖上昇反応度の指標です。糖質を50g含む食品を摂取した後の血糖値の上昇を、基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇と比較し、パーセントで表した数字です。GIが高い食品ほど血糖が急激に上昇し、インスリンの分泌が必要となります。

 アメリカ・ボストン小児病院の研究チームは肥満の成人(18-35歳)73人を対象に6カ月の介入試験と12、18カ月後に追跡調査が行われました。被験者の半数は、低グリセミック・ロード食、残りの半数は、低脂肪食を摂取しました。研究開始時に、ブドウ糖負荷試験を行い血液中のインスリンの分泌傾向について調査を行いました。

 調査した結果、全体では両群ともに体重の低下が認められましたが統計的に有意の差は認められませんでした。しかし、インスリンの分泌が平均を超える人は、低脂肪食の摂取群では18カ月で体重が2.6ポンド(約1.2kg)減少しましたが、低グリセミック・ロード食では18カ月で12.8ポンド(約5.8kg)と大きな体重の減少がみられました。また、低グリセミック・ロード食群ではHDL-コレステロールおよびトリグリセライド(中性脂肪)の値が大幅に改善されたのに対し、LDL-コレステロールは低脂肪食での改善効果が大きいことが分かりました。

 以上の結果から、インスリンの分泌の多い人では、低脂肪食より低グリセミック・ロード食が有効である可能性があると研究者らは考えています。低グリセミック・ロード食は、血糖インデックス(GI)の低い炭水化物を摂取するので、血糖値の上昇がゆるやかで、インスリンの分泌を比較的安定に保つことができます。低グリセミック・ロード食には、果物、野菜、豆類、低精白穀類などが含まれています。

【文献】
Ebbeling, C. B. et al.: Effects of a Low?Glycemic Load vs Low-Fat Diet in Obese Young Adults - A Randomized Trial. JAMA. 297: 2092-2102. (2007)




 2007年5月28日
重要な科学情報は見つからない

 多くの人が情報を見つけるためにインターネットを利用しています。しかし、重要な科学情報は、ウェブサイト上で見つけるのが難しいことが分かりました。イギリス・オックスフォード大学の研究によれば、主要な科学情報サイトはGoogle検索で上位30番目までに表示されないことが分かりました。

 研究では、社会的に重要なHIV/エイズ、気候変動、インターネットなど6項目についの科学情報がウェブ上でどう扱われているかを調査をしました。その結果、ウェブ上の情報は中立的ではないことが分かりました。いくつかのサイトには、他のものよりアクセスしやすくする特定の構造がありました。 そして、この構造はGoogleなどのサーチエンジンによる検索結果に影響を及ぼしています。

 そのため、ウェブ上の情報は、明らかではない方法で「勝者と敗者」が決まってしまい、内容に基づいていないと研究者らは考えています。

 情報は「目に見えること」が重要ですが、現状では、気候変動などの研究結果を探している人が、最も評価された研究に遭遇することは難しいことが分かりました。

【文献】
The World Wide Web of Science: Emerging Global Sources of Expertise
http://www.esrcsocietytoday.ac.uk/esrcinfocentre/
viewawardpage.aspx?awardnumber=RES-160-25-0031





 2007年5月25日
塩分を減らすと心臓病のリスクが低下

 塩分を減らすと心血管疾患や冠動脈性心臓病のリスクが減少することがハーバード大学などの研究から分かりました。

 アメリカで、約3千人を対象に減塩および食事指導の行った結果、指導を受けた介入群では、塩分の摂取量が10gから7g程度に減りました。その後の調査から、介入後10-15年間え心血管疾患リスクが25%、冠動脈性心臓病リスクが20%低下していたことが分かりました。

 この結果は、栄養指導を行うと食事からの塩分の摂取量が有意に減少し、その効果は長期有効であることを示しています。

【文献】
Cook, N. R. et al.: Long term effects of dietary sodium reduction on cardiovascular disease outcomes: observational follow-up of the trials of hypertension prevention (TOHP). BMJ, 334: 885 (2007) [doi:10.1136/bmj.39147.604896.55]




 2007年5月23日
DASH摂取プランで体重が大きく減少

 アメリカ・ペンシルバニア州立大学などの研究グループは、果物などエネルギー密度の低い食品を摂取するDASH摂取プランで体重が減少すると報告しました。

 研究では、50才以上で健康であるが太った(BMI値の平均33.6)男女658人を対象に摂取エネルギー、摂取した食品のエネルギー密度、体重の変化について6カ月調査が行われました。ボランティアを、1)食事の教育セッションを1回受けたグループ、2)食事のカウンセリングについての18のセッションを受け、運動を増やし、摂取エネルギーを減らすように指導されたグループ、3)食事のカウンセリングについての18のセッションを受け、DASH(Dietary Approaches Stop Hypertension)摂取プランの食事指導を受けたグループに分け調査が行われました。

 その結果、DASH摂取プランの食事指導を受けたグループは6ヶ月間で体重が大きく減少し(-5.9kg)、他のグループよりも体重の減少幅が大きかった。また、DASH摂取プランの食事指導を受けたグループは、他のグループより果物、野菜、低脂肪の乳製品、食物繊維、ビタミン、ミネラルの摂取量が多く、食事のエネルギー密度も低いことも分かりました。

 以上の結果から、研究者らは果物などエネルギー密度の低い食品を摂取するDASH摂取プランは食事の栄養価が高いだけでなく体重を減少するために有効である結論づけています。

【文献】
Ledikwe, J. H. et al.: Reductions in dietary energy density are associated with weight loss in overweight and obese participants in the PREMIER trial. Am. J. Clin. Nutr. 85: 1212-1221. (2007)




 2007年5月22日
日本:女性は長寿世界一、男性は2位

 世界保健機関(WHO)は「世界保健報告2007(World Health Statistics 2007)」を発表しました。この中で2005年の平均寿命が世界で一番長かったのは、男性はサンマリノの80歳、女性は日本の86歳でした。日本は前回まで男女とも「長寿世界一」でしたが、今回の発表では男性の平均寿命が79歳で2位でした。

 その他、男性の平均寿命が長いのはオーストラリア、アイスランド、スウェーデン、スイスで、日本と並ぶ79歳です。女性はモナコが85歳で2位、フランス、サンマリノなど7カ国が84歳で3位でした。世界193カ国(地域も含む)の平均寿命は男性64歳、女性68歳です。

WHOの平均寿命の各国の数値は下記のサイトで読めます。
http://www.who.int/whosis/whostat2007_1mortality.pdf

サンマリノ(San Marino):イタリア半島の中部に位置する国で、周囲は全てイタリア、世界で5番目に小さな国です。




 2007年5月21日
カナダ:糖尿病り患率が予測値を上回る

 カナダ・オンタリオ州における2005年の糖尿病り患率が、世界保健機関(WHO)の予測値を上回っていると医学雑誌に発表されました。

 研究では、オンタリオ州の人口データベースを用いて、1995年から2005年における糖尿病のり患率と死亡率を、また1997年から2003年の成人における新規糖尿病発症者数を求めました。

 その結果、糖尿病り患率は1995年から2030年の間に5.2%から8.8%と、69%上昇しており、WHO がカナダにおける同期間の上昇率として予測した65%を上回っていることが分かりました。

 WHOの推計では、世界の糖尿病人口は1995年から2030年までに30%、2000年から2030年の間に39%上昇するとされていましたが、オンタリオ州のり患率は、ここ5年間で27%上昇していました。もしこの傾向が続くのであれば、2010年以前に成人人口の10%が糖尿病にり患すると予測されています。

 WHOの予測値は肥満率が一定程度にとどまるとの予測に基づいていましたが、それ以上に肥満が増えていることと、州内への移民の増加がり患率上昇につながったと推測しています。異なる環境で生まれ育った移民が、西洋流の高カロリー食や、身体活動量の少ない生活スタイルになるとそれ自体が糖尿病の危険因子となります。

【文献】
Lipscombe, L. L. and Hux, J. E.: Trends in diabetes prevalence, incidence, and mortality in Ontario, Canada 1995?2005: a population-based study. Lancet 369: 750-756. (2007) [DOI: 10.1016/S0140-6736(07)60361-4]




 2007年5月15日
女性のアルコール依存症患者は男性より認知症になりやすい

 ロシアなどの研究チームは、女性は男性よりアルコールの摂取量が少ないが、 男性より短期間でアルコールよる害が出て認知症などになりやすいと報告しました。  ロシア人の男性アルコール中毒患者78人と女性患者24人、また、健常者68人を 対象に運動機能や視覚機能を測定しました。その結果、女性のアルコール患者は、男 性の患者と比べて、視覚作業、空間認知、問題解決能力、認識の柔軟性が低く、認知 症になりやすいことが分かりました。

【文献】
Flannery, B. et al.: Gender Differences in Neurocognitive Functioning Among Alcohol-Dependent Russian Patients. Alcoholism: Clinic. Exper. Res. 31: 745?754. (2007) [doi: 10.1111/j.1530-0277.2007.00372.x]




 2007年5月14日
果物と野菜の摂取は冠動脈心臓病のリスクを下げる

 フランスの研究グループは、男性9万1379人と女性12万9701人を対象に、果物と野菜の摂取と冠動脈性心臓病との関連について調査を行いました。この研究は今までに発表されている9つの疫学調査(コホート研究)をメタ分析した報告です。

 その結果、1日当たり果物と野菜の摂取量を1単位増やすと冠動脈心臓病のリスクが4%(P=0.0027)減少しました。果物の摂取量を1単位増やすと7%(P<0.0001)、野菜では11%減少しました。

 以上の結果から、果物と野菜の摂取は冠動脈心臓病のリスクを下げる働きがあるとしています。

【文献】
Dauchet, L. et al.: Fruit and Vegetable Consumption and Risk of Coronary Heart Disease: A Meta-Analysis of Cohort Studies. J. Nutr. 136: 2588-2593. (2006)




 2007年5月12日
植物のビタミンC全生合成経路が明らかに

 アメリカ・UCLA化学&生化学の研究者グループが、植物体内でビタミンCが作られる全経路を明らかにしました。

 ビタミンCは、植物体内でグルコースから10のステップで合成されていまが、7番目のGDP-L-galactoseからL-galactose 1-phosphate へ変換される過程が不明でしたが、アラビドプシス(Arabidopsis thaliana)を遺伝子操作して、この変換にVTC2と呼ばれる酵素(GDP-L-galactose/GDP-D-glucose phosphorylase)が関与していることを解明しました。

【文献】
Linster, C. L. et al.: Arabidopsis VTC2 encodes a GDP-L-galactose phosphorylase, the last unknown enzyme in the Smirnoff-Wheeler pathway to ascorbic acid in plants. JBC Online Apr. 26 (2007) [doi: 10.1074/jbc.M702094200]




 2007年5月9日
1回の高脂肪食で血圧上昇

 カナダ・カルガリー大学の研究グループは、高脂肪食を1回摂取するだけで食後に血圧が上がることを報告しました。

 高血圧や心臓病の病歴のない18~25歳の健康な30人を対象に、1回に42gの脂肪を摂取する高脂肪食グループと1gしか摂取しない低脂肪食グループに分け、食後に血圧を測定しました。その結果、高脂肪食群は低脂肪食群に比べ、血圧が1.25~1.5倍上昇することが明らかになりました。

【文献】
Jakulj, F. et al.: A High-Fat Meal Increases Cardiovascular Reactivity to Psychological Stress in Healthy Young Adults. J. Nutr. 137: 935-939. (2007)




■ 2007年5月6日
光を当てると結晶が曲がる

 紫外線を当てると棒状の結晶が一瞬で縮み、可視光線を当てると元通りに伸びる物質を立教大、九大、大阪市立大の研究グループが見つけました。

 長さ0.3mmの棒状の結晶をバットのように使い、微小なガラス球を「打つ」実験にも成功し、その様子がビデオで公開されています。結晶の先端近くに小さなガラス球を置いて、右から紫外線を当てると結晶の右側の紫外線が当たった部分だけ長さが約10%縮むとともに右に曲がり、ガラス球をはじき飛ばしました。そして、可視光線を当てると結晶は再び伸びて元に戻りました。

 今までに光で変形する物質はいくつか知られていましたが、固い結晶が変形するのは初めての発見とのことです。この結晶は、研究グループが開発したジアリールエテンと言う物質です。

 ミクロレベルの動力源に使える可能性や、非接触で微小な物を操る極小のピンセットなどへの応用が期待されています。

結晶が硝子球を打つビデオは下記のサイトで見られます(このビデオを見るためにはQuickTime Playerが必要です)。
http://www.nature.com/nature/journal/v446/
n7137/extref/nature05669-s6.mov


【文献】
Kobatake, S. et al.: Rapid and reversible shape changes of molecular crystals on photoirradiation. Nature 446: 778-781. (2007) [doi:10.1038/nature05669]




 2007年5月5日
アカゲザルのゲノムが解読される

 ヒト(2001年)、チンパンジー(2005年)に続いて霊長類のアカゲザルの全ゲノム配列(全遺伝情報)が解読されました。ヒトとチンパンジーが分岐したのは600万年前と比較的新しいが、アカゲザルとの分岐は2,500万年前と考えられています。

 チンパンジーとヒトは99%の遺伝子が一致していますが、アカゲザルとヒトでは約97.5%でした。また、進化の過程で変化している遺伝子は約200あり、これが霊長類同士の差を決定していると考えられています。

 生物医学の分野ではアカゲザルの研究が広く実施されています。今回決定されたゲノム配列は、エイズや老化などヒトの健康に関する様々な研究に役立つだけでなく、霊長類の進化についても理解を深める手助けになると期待されています。

下記Scienceのサイトでアカゲザルのゲノム情報が公開されています。PDFファイル(62ページ)をダウンロードすることもできます。
http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/316/5822/222/DC1

研究プロジェクト(Rhesus Macaque Genome Project)のホームページは下記です。
http://www.hgsc.bcm.tmc.edu/projects/rmacaque/

【文献】
RMGSA Consortium: Gibbs, R. A. et al.: Evolutionary and Biomedical Insights from the Rhesus Macaque Genome. Science 316: 222-234. (2007) [DOI: 10.1126/science.1139247]




 2007年5月3日
ビタミンCは胃ガンのリスクを下げる

 血液中のビタミンC含量が多いと胃ガンのリスクが低くなるとヨーロッパの研究グループが発表しました。

 今まで行われた多くの症例対照研究では、食事からビタミンCを多く摂取していると胃ガンのリスク下がると報告されていますが、前向きコホート研究の結果からはビタミンCの胃ガンに対する効果は限定的であると報告されています。

 そこで、ビタミンCと胃ガンとの関係を明らかにするために、ヨーロッパ10ヵ国が参加した研究(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC))が行われました。

 その結果、ビタミンCの食事からの摂取量と胃ガンとの関係は観測されませんでしたが、血液中のビタミンC含量が多いと胃ガンのリスクが下がることが明かとなりました。血液中のビタミンC含量が最も高い群は、最も低い群と比べて胃ガンのリスクが45%低いことが分かりました。また、発ガン物質であるニトロソ化合物を増加する可能性がある赤肉と加工肉の摂取量が多い人ほどビタミンCの効果は顕著でした。

 以上の結果から、ビタミンCは、赤肉や加工肉の摂取で増加する可能性があるニトロソ化合物の作用を打ち消す働きなどを通じて胃ガンの予防に効果があるのではないかと研究者らは推測しています。

【文献】
Jenab, M. et al.: Plasma and dietary vitamin C levels and risk of gastric cancer in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC-EURGAST). Carcinogenesis 27: 2250-2257. (2006)




 2007年5月2日
最高血圧で脳卒中のリスクを予測

 アメリカで行われた研究によると最高血圧は、最小血圧などより脳卒中のリスクを予測する因子として優れていることが分かりました。

 男性3295人、女性3462人を対象に15年間の追跡調査が行われました。その結果、最高血圧が脳卒中のリスクを予測する因子として、他の様々な血圧に関するパラメーターより優れていることが分かりました。また、最高血圧が10mmHg増加すると脳卒中のリスクは男性で19%づつ、女性で15%づつ増加することも分かりました。

 以前から脳卒中のリスクと最高血圧との関係が指摘されていましたが、今回の結果は、そうした研究を支持しています。

【文献】
Brown, D. W. et al.: Blood Pressure Parameters and Risk of Fatal Stroke, NHANES II Mortality Study. Amer. J. Hyper. 20: 338-341. (2007)




 2007年5月1日
肥満は前立腺ガンリスクを高める

 アメリカ・シアトルのFred Htchinson Cancer Research Centerの研究チームは、前立腺ガンと診断された肥満男性は、同じく前立腺ガンと診断されたやせている男性より死亡率が高くなると発表しました。

 1993-1996年に前立腺ガンと診断された男性752人を対象に平均9.5年間追跡調査を行った結果、BMI値が30以上の肥満体の男性は、前立腺ガンでの死亡率が2.6倍高く、ガンの転移のリスクも3.6倍高いことが分かりました。

 以上の結果から、肥満体の男性は前立腺ガンのリスクが高まることが分かったと研究者らは述べています。同時に。前立腺ガンの治療に減量が役立つかについては別の臨床試験が必要であるとしています。

【文献】
Gong, Z. et al.: Obesity is associated with increased risks of prostate cancer metastasis and death after initial cancer diagnosis in middle-aged men. Cancer 109: 1192-1202. (2007)