2004年6月


2004/06/30

 米国で大流行している「低炭水化物ダイエット」に異論を唱える研究機関や消費者団体が反対運動の組織を立ち上げた。 米国がん研究財団(AICR)をはじめ、老人医学や糖尿病、肥満などの研究団体が参加している。AICRのプリンス(J. Prince)氏が「科学的根拠のない説を売り文句にして、一部の企業だけが暴利をむさぼることになる」と述べ、厳しく批判した。AICRによると、炭水化物を極端に抑えて体重を減らす方法は、腎臓や肝臓に負担がかかり、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病など生活習慣病発症のリスクが高まるとしている。また、低脂肪ダイエットとの比較調査では、最初の6カ月は低炭水化物ダイエットの方が急激に体重が落ちるが、1年後の効果はほぼ同じになるとの結果が報告されている。(CNN 04/06/28)
 果物、野菜、豆類、全粒穀類を食べると生活習慣病の予防効果が高いことは科学的に証明されている。これらの主成分は炭水化物であることから「低炭水化物ダイエット」の異常さが分かる。


2004/06/29
 「研究者の役目を探偵の役目に比べてみました。探偵は必要な事実を集めた後で、純粋な思考によって正しい解決を見つけ出すのです。しかし一つ大切な点で、比較はよほど皮相的だと見なくてはなりません。実生活でも探偵小説でも、犯罪が前提となっています。探偵は書類や、指紋や、弾丸や、銃などを調べる必要がありますが、少なくとも殺人が行われたことだけは知っております。科学者では事情が異なっています。‥‥科学者は研究を行うとともに、少なくとも一部分は彼自身で犯罪に関わり合わなくてはならないのです。その上に科学者の仕事はあたかもその一つの場合だけを説明したのでは足りません。すでに起こった現象や、なお起こるかも知れない現象まででもすべて説明しなければらならいのです。」「物理学はいかに創られたか」(上巻p86-87)
 的確に科学者の役割が示されている。同時に、科学のおもしろさもうまく表現されている。


2004/06/28
 アインシュタイン、インフェルト共著「物理学はいかに創られたか」(上巻)を読んでいる。かって、受験生の時にも 感銘を受けたが、再読してもその良さは変わらない。何故、ニュートン力学が科学史上のキーポイントなのかが分かる。 題名だけ読むと難しい本だと思うだろうが、とても分かりやすい。訳もこなれている。 推理小説と物理学の違いについても書いてある。物理学は分からないと思いつつある中学生、高校生の必読書である。 これから、数回にわたって本書を紹介していきたい。


2004/06/26
 私のイヌが、私が彼らを愛する以上に私を愛してくれるという明らかな事実は否定し難いものであり、常にある恥ずかしさを私の心にかきたてる。ライオンかトラが、私を脅かすとすれば、アリ、ブリイ、ティトー、スタシ(ローレンツの飼っていたイヌの名前)、そしてその他のすべてのイヌは一瞬のためらいも見せず、私の命を救うために絶望的な戦いに身を投ずることだろう。よしんばそれが数秒の間だけのものであっても。ところで、私はそうするだろうか? - 「人イヌにあう」コンラード・ローレンツ著より -
 「愛するもののために、それが数秒間の間だけのものであっても絶望的な戦いに身を投ずる」の言葉は、重い。


2004/06/25
 梅雨の時期には珍しく晴天が続いていたが、今日は久しぶりに雨が降った。この時期の花の代表はアジサイである。あじさいの花(ガクが変化し花びらのように見える)の色は、ピンク、紫、青など様々であるが、植えられた場所によって花の色が変わる。
 あじさいの花の色はアントシアンという色素がもとになっている。このアントシアンがアルミニウムと結合すると青色になる。アルミニウムは、土壌が中性やアルカリ性では水に溶けないため植物に吸収されないが、酸性土壌では水に溶けるため吸収される。そのため、酸性土壌でアジサイを育てると青くなる。ただし、この説明だけでは、アジサイの様々な色の変化は説明できない。植物細胞内のpHや他のポリフェノールなども関係していると考えられるが詳細は不明なようである。
 花の色の変化は、昔から歌や小説の題材とされてきている。恋の歌などが多いが、一番印象に残っているのは、夏樹静子のショートショートである。

 快く思っていた青年から「結婚してくれるなら赤い花を、だめならば白い花を窓のところに」といわれた娘は、思い悩んだ末、白い花を選び、花瓶にさして寝る前に窓に飾った。これでよいのだと自分に言い聞かせ。
 ところが、翌朝、目を覚ますと花の色は赤く変わっていた。娘はこれを神の啓示だと思い結婚を決意する。

 下手な要約なので、読了後のすがすがしさを伝えられないのが残念である。白い花が赤く変わった秘密は、推理小説作家夏樹静子ならではと思う。いたずら好きの娘の弟が、夜のうちに赤いインクを花瓶に入れたために白い花が赤い花に変わったのである。おそらく、夏樹静子は、このショートショートを書くために自分でも実験をしているに違いない。そして色が変わるまでの時間を計り、それにあわせてショートショートのプロットを作り上げたのではなかろうか。


2004/06/24
 英国の科学者ロザリンド・フランクリンの名を冠した大学ができた。フランクリンの撮影したDNAのX線写真photo51を見なければ、ワトソンとクリックは「DNAの二重らせん」を発見できなかったと言われている。彼女は、37才の若さでなくなったが、一流の科学者であった。そこで、92年の歴史を持つアメリカのフィンチ大学が2004年3月から大学名を彼女の名前に変更した(Rosalind Franklin University of Medicine and Science)。
 ワトソンとフランクリンにまつわる「研究とは?」、「モラルとは?」については今日はふれない。素直に喜びたい。

 http://www.finchcms.edu/
 上記は、ロザリンド・フランクリン大学のホームページである。大学の校章は、photo51のX線写真を中心において作られている。
 http://www.sdsc.edu/ScienceWomen/franklin.html
 彼女を紹介している英文サイト(ポートレートを含む)
 http://www.nature.com/nature/journal/v421/n6921/fig_tab
/nature01399_F1.html

 Photo51の掲載されているサイトである。科学史上有名な「二重らせん」の記念写真として見るのもおもしろい。


2004/06/23
 アメリカの民間チームが製作した有人宇宙船「スペース・シップ・ワン(SpaceShipOne)」は、米太平洋時間21日朝(日本時間22日未明)、高度100kmの宇宙空間を3分間余り飛行し、無事帰還した。
 宇宙船スペース・シップ・ワン(重さ約3トン)は3人乗りで、今回は、パイロット、マイク・メルビル氏(Mike Melvill , 62才)一人が乗り込んでいた。両手の親指を上げている姿は喜びいっぱいである。今回の成功は、国家予算を使わない民間初の有人宇宙飛行であるが、それだけではない。例えば、日本で打ち上げられていれば、日本初の有人宇宙飛行船の成功となるほどの歴史的な出来事といえる(ただし、日本人としては、スペースシャトルなどで宇宙に行っているが)。

「スペース・シップ・ワン」の飛行経過
 2004年6月21日午前6時47分ごろ、宇宙船を機体の下に取り付けた航空機が、カルフォルニア州モハベ砂漠の飛行場を離陸した。約1時間後、高度15kmで切り離された宇宙船は、ロケットエンジンを80秒間ほど噴射して音速の3倍まで加速し、高度100kmに到達した。3分間余り、無重量状態で飛行し、滑空して元の飛行場へ着陸した。

有人宇宙飛行の歴史
 世界最初の有人宇宙飛行は、ユーリ・A・ガガーリン氏(27才)の乗った旧ソ連のボストーク1号である。打ち上げ日は1961年4月12日である。バイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、地球周回軌道に入り、地球の大気圏外を1時間50分弱で1周した。ガガーリン氏の「地球は青かった」は、感動的な言葉である。
 世界で2番目に有人宇宙飛行を行ったのはアメリカで、アラン・B・シェパード氏が乗ったマーキュリー3号である。打上げ日は、1961年5月5日、飛行時間は、15分28秒であった。今回と同じ弾道飛行である。
 両者の日付はほとんど同じである。いかに、競争が熾烈であったかが分かる。しかし、アメリカは、旧ソ連に1歩及ばなかったことにショックを受け、当時のケネディアメリカ大統領は月に人間を着陸させる計画(アポロ計画)を決めた。このケネディ大統領の英断は評価に値する。なぜ、この決断を評価するかについては別の機会に述べたい。成果主義と呼ばれる評価システムではこの決断はない。


2004/06/22
 厚生労働省が全国1500人を対象にアンケート調査を行った結果、糖尿病や心疾患などの原因として56%の人が生活習慣にあると考えていることが分かった。ついで健康を損なう原因として、インフルエンザやSARSなどの感染症(22%)で、次が大気や環境汚染(16%)となっている。一方、医療機関や医師に不安を感じることが「よくある」「ときどきある」が73%、安心のために患者ができることは、「納得できるまで治療に関する説明を聞くこと」(55.1%)としているが、実践している人は41%であった(04年度厚生労働白書より)。


2004/06/21
 ヒト遺伝子のデータベースが日本を中心とする国際チームによって作成され、無料で利用できるようになった。生命の設計図であるヒトゲノム(ヒトの遺伝情報)は約30億個の塩基対でできているが、タンパク質を作る部分は5%ほどと考えられている。このタンパク質に係わる個々の遺伝子情報の公開は遅れていた。そこで、世界中から集めた相補的DNA(cDNA)から重複をのぞき21,037個のcDNAが、全塩基配列、生成するタンパク質の細胞内での働きや疾病との関係など詳しい情報をつけ公開された。
 cDNAを動物細胞や植物細胞などに組み込めば、目的のタンパク質が出来る。この組換え技術を使うと医薬品などの生産が可能であり、肝炎治療薬のインターフェロンなどが、この方法により作られている。ヒトのcDNAデータベースが作成されたことから、今後、医療への応用や医薬品の合成などの研究が活発になると考えられる。
 データベース名はH-InvDB(H-Invitational Databese)で公開サイトは下記である。
 http://www.jbirc.aist.go.jp/hinv/top.html

用語解説
 相補的DNA(cDNA:相補的デオキシリボ核酸)
 相補的DNAは、DNAを複製したmRNA(伝達リボ核酸)を基にして作られる遺伝子である。酵素などのタンパク質を作る部分を遺伝子と呼び、相補的DNAはその“金型”である。自然界にはないため『人工遺伝子』とも呼ばれる。


2004/06/20
 コンラート・ローレンツは、動物の行動の研究から鳥の「刷り込み」などの現象を発見・提唱した。その生涯をまとめた映像を下記で見ることができる。
http://sc-smn.jst.go.jp/8/bangumi.asp?i_series_code=
C010501&i_renban_code=047

 上記はサイエンスチャンネルの番組で、見るためにはRealPlayerが必要である(約30分)。

用語解説
刷り込み
 刷り込みとは、生まれて直ぐにおこる学習の過程をいう。雛鳥は、生まれて直ぐに物を見ることができ、歩くこともできるが、誕生直後に身近にあった動く物に対して、無差別的に愛着を寄せ、「親」と見なす。ヒナは親の行動や体の特徴を学び、そのことは一生失われることはない。


2004/06/19
 「人イヌにあう」(コンラート・ローレンツ(Konrad Lorenz)著、小原秀雄訳、至誠堂選書)はおもしろい。動物行動学の領域を開拓した功績によりノーベル賞を受賞したローレンツとイヌたちとの感動的なエピソードもたっぷりと含まれている。また、イヌの様々な性質を知ることができ、犬の育て方もこの本で変わると思う。


2004/06/18
 犬に関する話題を2つ

 シェパードよりもチャウチャウの方がオオカミに近いと、アメリカの研究チームが遺伝子(DNA)を比較した結果をサイエンスに報告した(Parker, H.G. et al., Genetic Structure of the Purebred Domestic Dog. Science, 304, 1160-1164. (2004))。オオカミと外見が比較的似ているジャーマンシェパードはかなり遠縁で、むしろ柴犬や、チャウチャウ、秋田犬の方がオオカミに近いこと。また、この三つの中でチャウチャウと秋田犬が互いに近縁であるとしている。

 福岡県北九州市の洞くつからニホンオオカミの頭の骨が発見された。ニホンオオカミは、1万年ほど前から日本に生息し始め、体長も1メートルほどの小型のオオカミだったと考えられていた。しかし、100年ほど前に絶滅したため、起源や体格の移り変わりなど詳しいことはわかっていなかった。今回の骨からみると、からだ全体がこれまで考えられていたのより、1回り大きいとのこと。ニホンオオカミの実態を探る貴重な手がかりが得られた。(NHK on line 2004/06/18)


2004/06/17
 イギリスの研究グループは、遺伝子研究用のモデル植物として世界的に用いられているアラビドプシス(シロイヌナズナ)の遺伝子を組み換えて、長鎖不飽和脂肪酸であるアラキドン酸とエイコサペンタエン酸(EPA)を生産できることを明らかにした(Baoxiu, Qi., et al., Nature Biotechnology 22, 739-745 (2004))。
 今まで魚から供給されていたEPAなどの長鎖不飽和脂肪酸の供給源として高等植物も可能であることが示された。

用語解説
・アラキドン酸:n-6系必須脂肪酸。動物の体内においてアラキドン酸は、リノール酸から γ-リノレン酸を経て合成されるが、十分な量のリノール酸を摂取しても、体内合成だけでは不十分だと考えられている。

・EPA(エイコサペンタエン酸)は、魚に多く含まれている不飽和脂肪酸。血液の流れを妨げるコレステロールや脂肪を減らす働きがあると考えられている。動脈硬化や心筋梗塞、脳血栓などの予防効果が期待されている。


2004/06/14-15-16
 中国・遼寧省の白亜紀前期(約1億2100万年前)の地層から、世界で初めて翼竜の卵の化石が見つかった。化石の中には、赤ちゃん翼竜の骨格がほぼ完全な状態で保存されていた。イギリスの科学研究雑誌ネーチャー(Wang, X. & Zhou, Z. Nature,429, 623, doi:10.1038/429621a (2004))に掲載された写真を下記で見ることができる。
http://www.nature.com/nsu/040607/040607-6.html
 昆虫採集の好きな子供たちが、大きくなったら科学者になるケースは少なくない。恐竜の好きな子供たちも多い。そうした子供たちに上記の科学雑誌のコピーを見せてあげたらどうか。英文のため、読めないかも知れないが、写真を見ることで夢が広がるに違いない。そして将来、科学者になりたいと思うかも知れない。
 子供たちにもう一つ伝えてほしいことがある。それは、化石を見つけることは、とても地味な作業の連続であるということである。Wang氏とZhou氏は、毎日、毎日、化石を掘り出し、記録し、分類する作業を進めていたに違いない。ある日、ある場所に行って、1日探したら出てきたということはまずない。また、見つけた化石が、科学的にどのような意味を持つかを知るには、前人の研究をよく調べておく必要がある。そうしておかないと、新しい発見かどうか分からない。
 このことは、科学研究全般にも言えることで、研究は、地道な努力の連続で、つらい日も多い。しかし、新しい発見をしたとき、人知れず微笑むその瞬間は、それまでの苦労を吹き飛ばすほどの至福の時である。ただ、意外とこの至福の瞬間を知らない研究者がいる。それも少なくないのが残念である。また、この瞬間を論文が完成したときだと誤解している人もいる。
 科学的発見の瞬間を得るためにどうすればよいかについて、島津製作所の田中さんと同年(2002)にノーベル賞を受賞したバーノン・L・スミス氏は「自分の専門分野のルールを知って尊重し、それに従わないこと」と述べている。同じくリカルド・ジャコーニ氏は科学は金儲けのためにあるものではないとして、「自分自身の中にある何かによって自分が行動すれば、それを実現できる」と、語っている。


2004/06/12-13
 犬は基礎的な言語能力を備えていると、ドイツの研究チームがアメリカの科学研究雑誌サイエンス(Kaminski, J. et al., Science, 304, 1682-1683 (2004))に発表した。ボールや靴下、バナナなど約200語を区別できるだけでなく、全く新しいものが混じる中で初めて見るものをとってくるなど、言語を操る前提となる能力があることが分かった。
 この研究が注目される理由は、「消去法で言葉の意味を推測したり、学んだ知識を記憶したりという基礎的な能力を人以外の動物も持つている」と考えられることにある。イヌの写真は、下記の解説記事で見られる。オスで名前は「リコ(Rico)」、賢そうなイヌである。
http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/sci;304/5677/1605
下記のサイトでは、リコが、部屋から人形などをとってくる音声付き映像(Movie)が見られる(Natureのサイト)。
http://www.nature.com/nsu/040607/040607-8.html


2004/06/11
 映画「デイ・アフター・トゥモロー」では、二酸化炭素の大量排出に伴う地球温暖化によりロサンゼルスをハリケーンが襲い、大津波がマンハッタン島を呑み込む。地球温暖化を主題としたパニック映画である。
 このまま、二酸化炭素の排出が続くと、海面が数メートル上昇し、果樹地帯も北上すると予測されている。この科学的な予測に対して対策がとられるわけであるが、最も重要なことは二酸化炭素の削減であり、そのための研究が求められていることである。海面が上昇するからといって日本全土を数メートルの壁で囲むための工事や研究を始めることではない。原因と予測と対策を誤ると、今からマンハッタン島の住民を内陸に移動するようなおかしなことになる。また、同様に果樹地帯が北へ移動する可能性があるからといって不安をあおっても仕方がない。果樹農業についていえば、果実の値段を下げても品質を落とさず、果樹農家の利益も上がる省力化研究が重要ではなかろうか。


2004/06/10
 今日は「時の記念日」。1920(大正9)年、生活改善同盟会が「日本書紀」の天智天皇の条、水時計創設の記によって6月10日を選定したそうである。
 セイコーが時間の感覚について調査したところ、相手を待つなら25分、待たせるなら17分だそうである。目上の人に対しては、待つが待たせない。家族に対しては、待たないが待たせる。友人に対しては、待たないし待たせない。恋人に対しては、待ちたいし待たせる。
 この結果を見ると、家族と恋人との時間関係がおもしろい。家族では、相手が待ち合わせに遅れたら待たないが、自分は遅れていくとなり、恋人同士では、相手が遅れても待つし、待たせても大丈夫と思っている。アンケート結果のサイトは下記。
http://www.seiko.co.jp/nihongo/shinchaku_joho/kinenbi/
kinenbi2004/index.html



2004/06/09
 6月8日に金星が太陽面を通過したのは、日本では130年ぶり、世界的にも122年ぶりという珍しい現象だそうである。次回は8年後の2012年6月6日で、そのあとは次の世紀、2117年12月11日まで起こらないとのこと。こうした宇宙の出来事は、魅惑的で夢を誘う。
 横浜こども科学館が記録した金星の太陽面通過の画像記録は下記のサイトに掲載されている(ただし、天気が悪かったため完全な画像とは言えない)。
 http://astro.ysc.go.jp/2004VT-ysc6.avi
 下記のデンマークのサイトの画像はきれいである。
 http://www.rummet.dk/8af2774


2004/06/08
 「虚妄の成果主義」(高橋伸夫著、日経BP)(その2)
 第3章 人が働く理由を知っていますか?‥‥『目標を達成すること自体が、快感を伴っていたもののはずなのに、その後、それが金銭的報酬に連動したときにわき起こる不条理感』(p117)
 人はカネのために働くのではない。トップが考えることは、長期的展望に立った戦略を示すことで、成果の数を数えることではないし、目標を矮小化することでもない。やりがいのある仕事であれば、人は現時点の苦しいことや、つらいことにも耐えられる。


2004/06/07
 「虚妄の成果主義」(高橋伸夫著、日経BP)について
 高橋氏の主張の断片は、新聞等で知ることはできるが、やはり、本書を読むことを奨めたい。「昨今の人事制度、特に成果主義の導入をめぐって巷で言われていることには重大な事実誤認がある」と述べている部分だけを読むと、いやにセンセーショナルないいようだと感じる方もおられると思う。しかし、本書が他の類書と異なる点は、すべて科学的実験の裏付けに基づいている点にある。そのため、成果主義が、なぜ『虚妄』なのかがよく理解できる。「成果主義の誤り」は、科学研究の最前線でも同じことである。科学者が科学的研究成果である「成果主義の誤り」を認めないで、何を信じるのだろうか。


2004/06/06
 「プロジェクトX リーダーたちの言葉」(今井彰著、文春文庫)から
 「やっぱり、これは会社のためだけに、ではできない。社会のために自分たちはやってるんだって、皆でいい合って‥‥。使命感みたいなものがありました。」(ホンダCVCC開発のリーダー久米是志の言葉,p41)
 いい仕事をするためには、社内政治の力学や保身とは無縁な、使命感が必要なのだと思う。


2004/06/05
 文部科学省が平成15年度の科学技術白書を公表した。(04/06/04)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/16/06/04060202.htm
 白書では、科学技術の発展が環境汚染や生命操作などの「負の遺産」を生んでいる現状を指摘し、その克服が必要であるとしている。
 世論調査からみると、暮らしの安全・安心への期待が高まっているが、一方で、科学技術に関心のある人は約53%まで減ってきている。そのため、「社会のための科学技術」となることを提言している。
 具体的には、社会との間で生じる負の側面を考えながら研究を進めることや、分野の壁を超えた研究の推進、研究者が社会に積極的に語りかける必要があると述べている。


2004/06/04
 厚労省がアレルギーについて調査した結果、皮膚や呼吸器、目鼻のいずれかでアレルギーのような症状を過去1年間に経験した人は35.9%、アレルギー性の病気と診断された人は14.7%いることが分かった。(毎日新聞04/06/03)
 この数字を見ると、アレルギー予防についての研究の重要性が再認識される。

2004/06/03
 アレルギー増加は、抗生物質を使いすぎたのが原因と米ミシガン大の研究チームがマウスの実験をもとに発表した。抗生物質は病気の原因となる細菌を退治するが、大腸や小腸の中の「善玉菌」も殺してしまい、これが全身の免疫システムを狂わせると述べている。(CNN04/05/30)
 アレルギーの増加は脂肪のとりすぎなど食生活が関与しているが、抗生物質の使いすぎも関係あるかもしれない。