2005年5月

2005/05/31 がん予防の常識の崩壊??  5月30日発売AERA(05.6.6, No30:31-33)に「がん予防常識の崩壊」の記事が掲載されました。副題は、「野菜や食物繊維が大腸がんを予防する。教科書にも載るそうした常識を覆す研究結果が次々と出ている。何を信じて生活すればいいのか」とあります。著者は編集部の大岩ゆり氏です。  タイトルと副題だけ読むと今までの常識がすべて覆ったように読めます。ところが、記事の結論部分で、「科学的根拠に基づくがん予防」の中で、「野菜・果物を少なくとも1日400グラムとるようにする」という指針を紹介しています。なんだか騙されたような記事です。  それに、大腸がんについては昔から論争が続いていて、効果があるかないかの判定はまだ下っていないと思います。動物実験などでは、予防効果があるとした結論の方が多いと思います。そのため、今回の厚生労働省の研究班の結果だけを取り上げて常識の崩壊とは科学的にはいえないのです。なぜなら、疫学研究の場合、1つの論文だけですべてを言うことができないためです。  たとえば、お茶に胃がん予防効果があるかどうかについては、東北大の坪野らのグループと文部科学省の研究班が効果なしの結論を出しましたが、厚生労働省の研究班は効果ありとしています。同じ日本人を対象にした大規模な、そして、信頼性の高い研究でも結果に違いがでます。  疫学研究は統計学を基礎とした学問であるため、比較する対象間の差が小さい場合は、有意差もでにくくなります。我が国の果物の摂取量は世界的に見て、とても少ないことが知られています。そのため、果物の摂取量の多い人と少ない人を比べても、もともとの差が小さいので統計的な有意差はでにくくなります。ところが、そうした条件でも果物を多く摂取している人では胃がんの発生が少ないとの報告は注目に値します。  結論、「がん予防のために果物や野菜をたくさん摂取する」の常識は覆っていないです。 2005/05/30 微小な穴で発光量が4~5倍増加  野田(京都大)らのグループは、自然発生的な光の放射を抑制し、エネルギーの再配分に役立つ方法を開発したと米科学雑誌Scienceに報告した。  屈折率が変えられる二次元(2D)のフォトニック結晶を使用し、自然発生的な光の放射を抑制するとともにエネルギーの再分配することに成功した。ガリウムなどでできた光半導体の表面に390-480nm間隔で直径250nm前後の微小な穴を開けると、内部での発光がなくなり、外部への発光量が穴を開けない場合の4~5倍になったとしている。 【文献】 Masayuki Fujita, Shigeki Takahashi, Yoshinori Tanaka, Takashi Asano, Susumu Noda: Simultaneous Inhibition and Redistribution of Spontaneous Light Emission in Photonic Crystals. Science, 308: 1296-1298. (2005) [DOI: 10.1126/science.1110417] ▽ 発光ダイオードは光半導体を組み合わせてつくるが、半導体内部に光がこもるため、蛍光灯と同じ強さの光を得るためには、約2倍の電気エネルギーが必要など効率が悪かった。研究グループは「半導体レーザーなど、他の発光素子にも応用できる。照明に加え、ディスプレーや光通信など発光素子が既に応用されている分野の効率改善にも貢献できる」としている。 2005/05/29 未承認広告で家宅捜査  5月18日に警視庁は、「アガリクスはがんに効く」と本で宣伝した疑いで出版社のなどを家宅捜査したと毎日新聞などが伝えています。容疑は薬事法違反です。医薬品の販売や広告には厳しい規制(薬事法)がありますが、出版社などは、本の中で薬事法に違反した広告をしたとして捜査されています。  具体的には、健康食品の「即効性アガリクスS」などが「がんに効く」と効能をうたった本の中で健康食品販売会社につながる電話番号を掲載したのは、未承認医薬品の広告に当たるとした疑いです。  昨年から厚生労働省は、出版社側に本から健康食品会社の電話番号を削除するよう行政指導していたが、その後、本のしおりに電話番号を記すなど、いたちごっこが続いていたとのことです。  病気が治るなどとして錠剤や加工食品などを販売広告するのはすべて未承認医薬品として薬事法違反です(特別に許可されている特定保険用食品などを除く)。たとえ広告内容に科学的根拠があっても薬事法違反です。科学的に正しいのだから広告・宣伝してもよいと思っておられる方がいますが間違いですので気をつけてください。 2005/05/28 アフリカで新種のサル発見  アフリカ・タンザニア南部の山岳地帯で昨年、新種のサルが発見された。サルは、体長が90cmほどで尾の長さも体長と同じ約90cmのオナガザルの仲間。標高約1800-2500mの森林に生息し、茶色の体毛と黒い顔面、警笛のような独特の鳴き声が特徴である。 【文献】 Trevor Jones, Carolyn L. Ehardt, Thomas M. Butynski, Tim R. B. Davenport, Noah E. Mpunga, Sophy J. Machaga, and Daniela W. De Luca: The Highland Mangabey Lophocebus kipunji: A New Species of African Monkey . Science, 308: 1161-1164. (2005) [DOI: 10.1126/science.1109191] ▽  アフリカでの新種のサルの発見は1984年以来20年ぶりとのことです。霊長類の新種が見つかったことで、まだまだ、未知の世界が地球上にはたくさんあることを再度認識しました。ただ、このサルの個体数は1000頭を下回っており、発見と同時に絶滅が心配されています。 2005/05/27 あのボイジャー1号が太陽系最後の辺境へ  アメリカ航空宇宙局(NASA)が1977年に打ち上げた惑星探査機「ボイジャー1号」が、太陽系最後の辺境の地へ突入したと5月24日に発表した。 ボイジャー1号は現在、太陽から約139億2000万キロ離れた場所に位置している。  太陽系の端には、太陽から放出される高エネルギー粒子の流れ「太陽風」と、太陽系外の恒星間ガスがぶつかる「末端衝撃波面」があるが、ボイジャー1号が検知した太陽風の速度から、末端衝撃波面に到達したことが判明したという。  ボイジャー1号は打ち上げ後、1979年3月に木星、1980年11月に土星を観測した。1998年に、地球から最も離れた人工物体となった。 NASAのプレスリリースサイトは下記。 http://www.nasa.gov/home/hqnews/ 2005/may/HQ_05131_Voyager_agu.html ▽ ボイジャー1号は28才になったことになります。このニュースはわくわくするような想像力を刺激します。TVドラマ「スタートレック」では、宇宙で変身したボイジャーが地球に戻ってくるエピソードがありました。 2005/05/26 赤は勝利の秘策  スポーツで勝利を目指す者は、赤いユニホームで試合の望むよいとする分析結果が英科学雑誌ネイチャーNatureに発表された(文献下記)。  2004年にアテネで開催されたオリンピック競技のうち、ボクシング、テコンドー、レスリングのグレコローマンスタイル、フリースタイルの個人競技4種目について、選手が着ていたユニホームの色と勝敗の記録を比較した。これらの競技では、選手に赤または青のウエアが無作為に割り当てられるが、全試合の55%で赤の選手が勝っていたことが分かった。また実力がほぼ互角とされた試合だけをみると、赤グループは60%以上の試合で勝利を収めていたという。重量別にみると、29階級のうち19階級で、赤を着た選手の勝率が青を上回っていた。  研究チームではさらに、サッカーの2004年の欧州選手権(ポルトガル大会)の結果も分析した。特に、赤と別の色のユニホームを使い分けていた5チームに注目して調べたところ、どのチームも赤を着て戦った時の方が得点や勝率が高かったという。  研究者らは、赤が持つ効果の仕組みは不明だが、赤はさまざまな動物が攻撃性を示す時に現れる色であることが知られている。そのため、スポーツの試合でも、技術や力に大きな差がない時は、赤が相手を無意識のうちに威嚇し、勝ちやすい状況を作るのではないかと考えている。 【文献】 Hill R. A., Barton R. A..: Psychology: Red enhances human performance in contests. Nature, 435:293. (2005) [doi: 10.1038/435293a] ▽ 文献を読んでみましたが、ちょっと信じられないくらい赤の勝利が一貫しています。この論文についてのNatureの解説記事で、「イギリスのサッカーの歴史の中でうまくいっているクラブチームは、マンチェスター・ユナイテエッドとリバプールであるが、そのどちらも赤いユニフォームがある」そうです。そして、 「赤のユニホームを着て試合の臨む時は、非常に嬉しい。」との選手のインタビューを載せています。でも、ブラジルサッカーチームのユニホームはカナリア色です。  スポーツの勝敗はユニホームの色の違いが大きく関係するとする結果は、データを見たあとでも不思議です。ただ、わずかな精神状態の違いがスポーツでの勝敗を決するのではないかとの結論には納得しています。 解説記事のサイトは下記です。 http://www.nature.com/news/2005/050516/full/050516-4.html 2005/05/26 削除を確認  盗用された文章は当該サイトからすべて削除されたことを確認しました。 2005/05/25 著作権法に違反したサイト  私たちの著書「くだもののはたらき」を丸ごと盗用したサイトが見つかりました。そのため、本日、制作者に対してすべて削除するように要請しました。ホームページを運営者は、著作権法を知らないのでしょうか。このような違法行為をやめてもらいたいと思います。削除されない場合は、当サイトにそのURL等を掲載します。 2005/05/25 平成17年度産温州ミカンとリンゴの適正生産見通し  農水省は、平成12(2005)年産の温州ミカンとリンゴの適正生産出荷見通しを公表した(05/5/23)。温州ミカンの適正生産量は111万トン、リンゴは87万トンで、それぞれ前年と同じである。  公表内容は下記のサイトで。  http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/ 20050523press_4b.html 2005/05/24 スマトラ沖地震は地球を揺らす  昨年12月に破壊的な津波をもたらしたスマトラ島沖の地震は、遠いアラスカのランゲル山でも揺れを引き起こしたと米科学雑誌Scienseに報告された。  インドネシアからおおよそ1万1000km離れたアラスカのランゲル山の周りで、14回の小さな地震が観察された。 火山の周りの地震計ネットワークは、地震による表面波を、スマトラ沖島からおよそ1時間後にとらえた。この揺れは20~30秒毎に系統的に起こった。このことは、スマトラ沖地震は地球規模で揺れを引き起こしたことを示している。 【文献】  West, M., et al., (2005) Periodically Triggered Seismicity at Mount Wrangell, Alaska, After the Sumatra Earthquake. Science, 308: 1144-1146. [DOI: 10.1126/science.1112462] 2005/05/23 新しい宇宙食「Nutraffin」  アイオワ州立大学の「NASA Food Technology Commercial Space Center」で、農学部や食物科学を専攻する大学生を対象にした「宇宙食コンテスト」が開かれ、オクラホマ州立大学のチームが「Nutraffin」というマフィンの一種を提案し、優勝したとAP通信が報じた(05/5/17)。  「Nutraffin」は一口サイズで、原料には小麦粉やにんじん、ピーナッツが使われている。繊維を多く含む高カロリー食品で、熱吸収が良く、エネルギーを多く必要とする宇宙飛行士には最適と評価された。今秋にNASAの研究所へ渡され、宇宙食としての利用を検討するという。 2005/05/22 生協が食育で国民運動  日本生活協同組合連合会(日本生協連)は今年度、食育を重点テーマにした「たべる、たいせつキャンペーン」を展開すると発表した(05/5/18)。食育活動の事例集や、食生活をチェックするための「家庭版 食育プログラム」を作成するという。今年の11月には生産者、消費者、研究者、食品事業者が一堂に集まるイベントを開き、食育を国民的な運動に盛り上げていくとしている。  日本生協連が、食育キャンペーンを打ち出すのは初めて。各生協が行っている生産者との交流や食育活動の継続・発展につなげ、他団体との連携を強化するのが狙いとのこと。食育活動の事例を200件集め、事例集を発行する。食育プログラムは小学生のいる家庭を対象に、項目ごとに毎日の食事をチェックできるよう冊子形式にする。 詳細は下記のサイトで。 http://www.co-op.or.jp/jccu/Press_Release/Press_050518_03.htm ▽ 多様な食育活動によって、食と農が結びつくことを期待したい。そのため、特に事例集の編集は重要となる。今までは、どちらかというと、理念のみが語られ、先進的な事例をのぞくと、具体的な活動が不足しているように思う。 2005/05/21 平成16年度食料・農業・農村白書  平成16年度食料・農業・農村白書が農林水産省より、公表されました(05/5/17)。この白書は平成16年度食料・農業・農村の動向及び平成17年度食料・農業・農村施策について記載されています。  白書によれば、消費者の多くは国産農産物の安全性や品質を評価しており、輸入品より割高でも買いたいという声が多いと指摘し、国産品への消費者の関心をさらに高めるような販売戦略を展開することが、農業の活性化に必要だとしています。  また、消費者の8割は輸入品より高くても国産の農産物を買いたがっており、「3割高くても国産品を買う」という声も1割を占めるという。  しかし、野菜を例にとると、多くの品目が輸入品より3割以上も高価となっています。生産コストの引き下げに努力し、国産品を買いやすい環境を整える重要性を強調しています。  農業の生産コストが高い理由の一つは、肥料、農薬といった農業資材にあるので、農産物の価格を下げるには、欧米に比べて割高な農業資材の使用を減らすことが大切だとしています。  さらに、食料品を買う際に消費者の半数は、品質の良さの目安として「ブランド」を重視していることから、生産地の地名を冠した松阪牛や魚沼産コシヒカリなど高品質の農産物を積極的に生産し、販売していくことを提唱しています。 平成16年度食料・農業・農村白書トップページ http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050517press_1.html 白書のポイント http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050517press_1c.pdf 要旨 http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050517press_1d.pdf ▽ この農業白書では、国産農産物価格を下げるために省力化技術を緊急に開発する必要性を示しています。それなのに、次期果樹研究目標・計画立案者らは、当初、研究推進重点項目に省力化研究を上げていませんでした。それに対して、私たちは、省力化研究の重要性を指摘してきました。また、消費者のニーズに応える果物の健康機能性研究の必要性を訴えてきました。農林水産省の方針と異なる研究目標・計画を立案する管理者の下で推進される研究で果樹農家は困らないのでしょうか。 2005/05/20 食生活パターンと大腸がんとの関連  塩分が多い「伝統型」や肉類中心の「欧米型」食事をする女性は、大腸がんになりやすいことを、津金(国立がんセンター)らの研究グループが発表した(文献下記)。  岩手、秋田、長野、沖縄の4地域に住む40~59歳の男女4万人を対象に、1990年から10年間調査した。調査は44食品の摂取量から「欧米型」、「伝統型」、「健康型」とに分け、大腸ガンの発生との関係を解析した。  その結果、女性では、肉や脂肪を多く食べる「欧米型」や、塩漬け食品を多く食べる「伝統型」の食事をしている人でで大腸がんの一種である結腸がんが増えていたが、大腸がん全体では明確な関連はみられなかった。また、男性の場合、「欧米型」でもがんの発症は特に増えなかった。果物や野菜を多く摂取している「健康型」では、最も多く食べるグループと最も少ないグループの間に統計的な有意差は認められなかった。 【文献】 Kim, M.K., et al., Dietary patterns and subsequent colorectal cancer risk by subsite: A prospective cohort study. Int. J. Cancer, 115: 790-798. (2005) ▽ 上記結果を受けて、研究グループは「日本では大腸がんが急増しており食事の欧米化が主因と言われてきたが、定説に疑問」としています。ただ、この1つの論文だけで決定的なことを言うのは難しいと思います。著者らも述べているようにこの研究では、食品をたった44品目しか調査していません。そのため、それ以外の食品を含めれば結果が違ってくるかも知れません。また、調査の対象者数は多いのですが、大腸がんの発生数が少ない(10年間で370人が大腸がんを発症)ことも考慮する必要があります。本欄の2005/05/11付けの「野菜・果物摂取と大腸がん」と同じ一連の研究ですが、これらの調査結果は他の研究グループの疫学調査結果と異なる結論が多いように感じています。何故なのでしょうか。 2005/05/19 体内時計の動きを試験管の中で成功  生物学的サイクルの遺伝子発現を制御する3種類のたんぱく質(KaiC, KaiA, KaiB)とエネルギー源(アデノシン3リン酸)を混ぜるだけで、試験管の中で約1日周期で動く生物時計(体内時計)を作り出したと、名古屋大グループが科学雑誌Scienceに発表した。これまで時計遺伝子の精妙な働きとされてきた生物時計の本体が、化学物質を組み合わせた機械的な「発振器」であることを解明した画期的な成果である。  生物時計は、ヒトなどほとんどの生物が持っている時間を計る体内の仕組みで、生物時計に従い、睡眠や血圧、体温など体全体のリズムがほぼ1日周期でコントロールされており、時差ぼけの原因でもある。 【文献】 Nakajima, M., et al., Reconstitution of Circadian Oscillation of Cyanobacterial KaiC Phosphorylation in Vitro. Science, 308: 414-415. (2005)[DOI: 10.1126/science.1108451] 下記のサイトで原文を読める。 http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/308/5720/414?ck=nck 2005/05/18 女子高校生・女子大学生を対象とした科学へチャレンジキャンペーン  内閣府男女共同参画局は、女子高校生や女子大学生を対象に、科学技術分野への女性進出を促すため、「チャレンジ・キャンペーン」を始めた。科学技術分野の職業の魅力を訴えるため、ホームページを開設、全国で女子高校生向けの講演会も開くとのこと。  政府の男女共同参画会議がまとめた最近の報告に、女性の参画が遅れている分野に科学技術が追加された。研究者に占める女性の割合は人文科学を含めても11.2%(03年)にすぎず、理工系は4%だった。  家庭や学校に「女性は理工系に進むべきではない」との「偏見」が根強く、関心があっても文系の進路を選ぶ女子も多いと考えられるため、社会に出る前の女子生徒、女子学生に対して、科学技術や理工系の職業の魅力、活躍する先輩の素顔を紹介し、興味を持ち続けてもらう狙い。下記のサイトに順次コンテンツを追加していくとのことである。 http://www.gender.go.jp/c-challenge/ ▽ 「科学のおもしろさを知ろう」など男性が見ても有益だと思う。キャンペーンの共催は毎日新聞。 2005/05/17 ホモシステインがアルツハイマー病に関与  アルツハイマー病の原因とされるβ-アミロイドが脳への蓄積に、ホモシステインが酸化したホモシステイン酸が関与していると、長谷川亨(佐賀女子短大)らが発表した。  実験は、アミノ酸の一種ホモシステインが酸化した「ホモシステイン酸」という物質を微量混ぜた溶液中で遺伝子を組み換えたヒトの脳細胞を培養したところ、ホモシステイン酸を混ぜていないものに比べ、脳細胞でのベータアミロイドの蓄積量が約1・4倍になった。そのため、ホモシステインの酸化を抑制すればアルツハイマー症の治療に役立つと期待される。 【文献】 Hasegawa, T., et al., Homocysteic acid induces intraneuronal accumulation of neurotoxic A42: Implications for the pathogenesis of Alzheimer's disease. J. Neurosci. Res., online doi: 10.1002/jnr.20514 (2005) ▽ ホモシステインとは、必須アミノ酸であるメチオニンから生成される含硫アミノ酸です。体内でメチオニンからホモシステインを経由してシステインに代謝される過程でビタミンB6が不足するとホモシステインからシステインへの代謝が低下し、ホモシステインが余り、血中ホモシステイン値が上昇します。また、葉酸、ビタミンB12が不足するともホモシステインからメチオニンへの代謝が低下して血中ホモシステイン値が上昇します。 メチオニン ←/→ (葉酸、B12) ←/→ ホモシステイン →(B6)→ システイン  ホモシステインが体内に蓄積すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞になりやすくなることが明かとなってきています。また、アルツハイマー病などの痴呆症の発症との関係も深いと考えられていました。今回の研究もその考え方を支持しています。 2005/05/16 日本の高校生が国際科学・工学フェアで入賞  高校生の科学オリンピックと呼ばれる「国際科学・工学フェア」(the Intel International Science and Engineering Fair)が米アリゾナ州フェニックスで開かれ、日本からは下記の2団体と2個人がグランドアワードに入賞しました。1位に選ばれるとノーベル賞の受賞講演と記者発表に出席できます。子供たちにとって最高の副賞ではないでしょうか。この副賞はなかなかいいアイディアだと思います。 サイトは下記です。 http://www.sciserv.org/isef/results/grnd2005.asp 日本人の入賞者は下記の通りです。 EN335 Study of Safe and Comfortable Electric Wheelchair that Overcomes Road Conditions:-Development of a Wheel that Can Easily Climb Curbs 電動車いす:奈良県立王寺工業高のチーム(Kentaro Yoshifuji,Kentaro Yoshifuji,Tsuyoshi Hino) CH303 Hydrogen Fuel Cell with Use of Stainless Steel Cathode that Bears Palladium "Thorn" 燃料電池:千葉県立安房高チーム(Shigenori Imafuku,Yutaro Nagai,Atsushi Miyazaki,) EV107 Establishment of a New Cultivation Method Using Deep Ocean Water and Slightly Acidic Electrolyzed Water 海洋深層水などを使う栽培法:神奈川県立平塚農高初声分校出身(Tomoyuki Suzuki) BO017 Mechanisms of Flower-Stalk Lay-Down After Fertilization and Re-Erection After Seed Naturation in Dandelion たんぽぽの受精の研究:千葉県八千代松陰高校(Miho Ishikawa) 2005/05/15 スイスで氷河を布で覆う  地球温暖化によるとみられる氷河の後退が進むスイス・アルプスのスキー場で、夏の間に氷が解けるのを防ぐため、約4000平方メートルの巨大な布が広げられたとCNN(05/5/14)が伝えている。アルプスの氷河は、このまま後退が続けば、今世紀中にほぼ消失すると予測されている。 そこで考案されたのが、白い布で夏の日差しを反射する「作戦」。  布はポリエステルなどで作られ、遠目には雪のように見える。製作費は約10万スイスフラン(約880万円)。関係者らは「氷河を守るための手段として、今後普及するはず」と。  一方、この作戦について「局地的には有効な手段かもしれないが、根本的な対策にはならない」と批判する専門家もいる。世界自然保護基金(WWF)のマーティン・ヒラー氏は「前向きだが一時しのぎの対策」と指摘。「問題解決への道は、二酸化炭素など原因物質の排出削減に尽きる」と強調した。 2005/05/14 農業生産者の遺伝子組み換え作物に対する意向調査  農林水産先端技術産業振興センターによる全国の農業生産者5000人を対象にしたアンケートによる遺伝子組み換え(GM)作物に対する意向調査(05/3/15公表)が下記のサイトで読める。 http://web.staff.or.jp/data/ivent/200503/18-2005031810072619368.pdf Q1:現在あなたはどのような栽培方法(農薬や肥料について)で、農業生産を行っていますか。下記の中から最も近いもの1つに印を付けてください。  農業生産形態については、「有機栽培」及び「無農薬栽培」が併せて10%で、「低農薬栽培」は40%、「国等の定めた基準に従った栽培」は43%という回答43%であった。 Q18:あなたが感じる遺伝子組換え農作物の長所は何ですか。(複数回答可)  遺伝子組換え農作物に関するメリット認知は、「病気に強い」(56%)「害虫に強い」(46%)など生産しやすくなるような要因にメリットを感じている。 Q19:あなたが感じる遺伝子組換え農作物の短所は何ですか。(複数回答可)  遺伝子組換え農作物に関するデメリット認知は、「安全性に疑問が残る」「消費者に受け入れられない」が、それぞれ70%、54%と高い回答を示した。 ▽ 上記結果を見て総合的に判断すると、農業生産者は、遺伝子組み換え(GM)作物にデメリットを多く感じているようです。 2005/05/13 JR東海 葛西敬之社長の講演  昨年の6月に行われたJR東海の葛西敬之社長の講演『国益を踏まえた企業経営』の要旨が下記のサイトに記載されています。 葛西社長は、国鉄民営化推進の中心人物として知られています。 http://www.dfc.ne.jp/report/r_04_4.html  葛西氏はこの講演の中で、「道路公団、郵政公社などの特殊法人の民営化が注目されています。民営化議論の中で、民営化の効果として次のような点が上げられています。  ①市場規律による活性化  ②規制緩和による活性化(関連事業の拡大)  ③政治介入の遮断  しかし、国鉄の民営化に携わった人間としていいますと、①、②の効果はないといえます。」と述べています。その理由として公益事業では、「市場の競争原理による活性化の効果はない。」とのことです。  それに対して、国鉄では③については大変大きな効果が得られたと述べています。その訳として、「国鉄時代は、運賃値上げひとつとっても法律を変えるために国会の承認を得なければなりません。企業にとって最も重要な価格政策が機動的に発動できないのです。事業予算も衆参両院の承認が必要です。しかも単年度予算です。  話し合い、協議でことを進める政治の世界と、軍隊式に即断即決で行動に移す企業経営との間のネジレが国鉄の不幸の元凶でした。  組合にしても、決定権を持たない経営者と交渉しても始まりません。政党などを通して政治的に自分たちの要求を実現しようとします。そんなところにまともな労使関係が育つわけがありません。」と述べています。 ▽ 国立研究所、国立大学の民営化に当たっての最大の効用は、①市場規律による活性化 と、②規制緩和による活性化(関連事業の拡大)とされてきました。しかし、葛西氏の講演要旨を読んで、なんだか騙されたような気がしています。国立研究所も国立大学も、政治介入が問題であったことはほとんどないからです。つまり民営化の効果はほとんど期待できないことになります。民営化で得をしたのは、60才定年を超えても勤めている理事や理事長だけかも知れません。 2005/05/12 初の地産地消活動の実態調査  農林水産省は、「平成16年度農産物地産地消等実態調査結果の概要」を公表した(05/05/10)。この調査はアンケート形式で行われ、地産地消の取組の中で代表的な取組である産地直売所、農産加工場及び学校給食における地場農産物の取扱い状況の実態をまとめた。  産地直売所における年間販売総額(1産地直売所当たり平均)は7,462万円であり、このうち、地場農産物の販売額は4,759万円で年間販売総額の63.8%を占めていた。産地直売所の年間購入者数は「1万人~5 、万人未満」が30.8%で最も多く、次いで「1万人未満」が28.4%となっている。一方、20万人以上も9.6%を占めていた。また、売り上げ1億円以上の直売所は2割強あったが、少ないところもあり格差が大きかった。  地場産農産物を給食に「恒常的に使う」小・中学校は76.6%あり、「地場産を増やしたい」とする小・中学校も多いことが明らかになった。 データ等は下記のサイトで見られる。 http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou /data/tisanti-jittai2004/tisanti-jittai2004.pdf ▽ 公表された結果を見ると全体的に二極分化が進んでいるように思われる。小・中学校における地産地消の広がりが期待できそうであるが、やはり、数量まとまらない、地場産農作物の種類が少ない等の問題点がアンケート結果でもあがっている。 2005/05/11 野菜・果物摂取と大腸がん  厚労省研究班が野菜たくさん食べても、大腸がんの予防には効果がないのではないかとの調査結果を公表した。研究班は1990年に4地域(岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部)と1993年に5地域(茨城県水戸、新潟県柏崎、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古)の40-59歳の男女、計8万8652人に食生活についてのアンケート調査を行い、その後、追跡調査を行い、7年から10年の間に大腸がんにかかったかどうかを確認した。  野菜の量が少ないグループから多いグループまで全体を四つに分けて調べると、大腸がんになった人の数は、どのグループでも年間1000人に1人前後であった。一方、果物では、最も果物摂取量の多いグループは、少ないグループと比較して、大腸がんのリスクは0.92となり、やや予防効果が認められたが、統計的な有意差はなかった。 【文献】 Tsubono Y, Otani T, Kobayashi M, Yamamoto S, Sobue T, Tsugane S.: No association between fruit or vegetable consumption and the risk of colorectal cancer in Japan. Br J Cancer. 92:1782-1784. (2005) 下記のWEBサイトで全文(PDFファイル)を読むことができる。 http://www.nature.com/cgi-taf/dynapage.taf?file= /bjc/journal/v92/n9/full/6602566a.html&filetype=pdf ▽ 果物と野菜が大腸がんに効果があるかどうかについては、効果があるとする報告と効果がないとする報告とがある。効果があるとした報告の代表例は、ヨーロッパで行われた52万人を対象にヨーロッパで行われた疫学調査(コホート研究)である。この調査では、果物による大腸がん予防効果が認められているが、その理由として食物繊維の摂取量があげられている。予防効果が認められたグルールの食物繊維の摂取量は1日あたり31.9gで、少ないグループは12.6gであった。現在、我が国における食物繊維の摂取量は14g程度なので、少ないグループに近い。そのため、統計的に有意な差がでなかったのではないか。 2005/05/10 ES細胞から心筋細胞を効率よく生成する技術の開発  さまざまな細胞になる能力を持つマウスのES細胞(胚性幹細胞)を培養して、9割以上を心筋細胞に育てる方法を、慶応大のグループが開発し、Nature Biotechnologyに報告した。ヒトの心筋細胞の大量生産にもつながる技術で、心筋梗塞などで失われた細胞を補うことができる可能性を秘めた成果である。  マウスの初期の胎児を詳しく観察し、将来心臓になる細胞では一時的にノギンというたんぱく質がたくさんできていることから、ES細胞を培養する際、特定の濃度のノギンを特定の時期に限って加えると、9割以上が心筋細胞になることを明らかにした。ノギンを使わない従来の培養法だと心筋細胞は1割未満しかできないという。 【文献】 Yuasa, S., et al.: Transient inhibition of BMP signaling by Noggin induces cardiomyocyte differentiation of mouse embryonic stem cells. Nature Biotechnology 23, 607 - 611 (2005) //doi:10.1038/nbt1093 【用語解説】  ノギン(Noggin):BMP〔骨形成たんぱく質〕の阻害薬。ノギン添加によりに骨芽細胞から神経細胞への転換への分化効率が優れていることが知られている。ノギンはBMPの細胞表面のレセプターに結合する。  ノギンの分子量や塩基配列などは下記のHuman Protein reference Databaseのサイトでみられる。 http://www.hprd.org/protein/04291 2005/05/09 大型連休終わる  自転車通勤の道の両側でみられる田んぼに水が張られ、苗が植えられました。大型連休も終わり、これから夏まで、ペース配分を考えて仕事をしていかなくてはと思っています。とはいえ、この連休は今までの疲れが出たせいか、寝ている日が多くありました。そのため、原稿の完成が遅れています。急がなくては。 2005/05/08 フリーラジカル除去でマウスの寿命が延長  遺伝子操作で、マウスのミトコンドリアからで抗酸化酵素であるカタラーゼを過剰に発現させると、マウスの寿命が延長し、心臓病や老化も減少したと米科学雑誌サイエンス(Science)に発表された。カタラーゼには抗酸化作用があり、生体に有害な過酸化水素を除去する。遺伝子を組み換えられミトコンドリアのカタラーゼ濃度が高くなったマウスでは、細胞の酸化に起因する損傷や老化による心臓の衰弱および白内障が減少し、寿命がほぼ20%延長した。  著者らは、今回の結果から生体内で発生するフリーラジカルが細胞を攻撃して生体機能を低下させ、最終的には死に至るとしている。また、フリーラジカル源としてのミトコンドリアの重要性も指摘している。 【文献】Schriner, S.E., et al. (2005) Extension of murine lifespan by overexpression of catalase targeted to mitochondria. Science online 5 May 2005 [DOI: 10.1126/science.1106653]. ▽ 今回の研究は、生体内の酸化作用を抑制すると哺乳類の寿命をのばすとする説を支持する結果です。酸化作用を抑制する酵素や成分が生活習慣病を予防するとの説を裏付ける研究が蓄積してきました。ただ、完全証明までには、まだまだ実験の積み重ねは必要だと考えています。 2005/05/07 鉄道員(ぽっぽや)  高倉健主演の「鉄道員(ぽっぽや)」は浅田次郎原作を映画化した作品です。  -- 北海道のローカル線の小さな終着駅・幌舞駅。この駅の一人駅長佐藤乙松は、職務に忠実なあまり生後2ヶ月の一人娘を亡くした日も、愛する妻を思いがけない病で亡くした日も、駅に立ち続けた。これまで長い年月を、気概と誇りを胸に、筋金入りの鉄道員(ぽっぽや)として生きてきた乙松も、近く廃線になる幌舞線と運命を共にするかのように定年を目前にしていた。  そんな乙松のもとにある冬の夜、愛らしい少女が訪れる。次に、3人姉妹の長女だと名乗る高校生くらいの少女が現れた。そして、あらわれた娘が、幼くして死んだ自分の娘だと気づいた乙松は、娘が成長する姿を見せてくれたのだと知り思わず抱き締めた。 --  妻は、娘は、乙松を許してくれたのだろうか。亡き妻と娘と3人で食卓を囲んで食べたご飯の味はどうだったろう。  速度や効率を重視することも、富を追求することも、大事なことです。しかし、こうした業績だけで会社の価値が判断できるのでしょうか。事故を起こした会社でも業績が良ければ勝ち組なのでしょうか。  事故を防ぐために、報酬を増やしても、罰を増やしても、脅しても良くならないと思います。そうではなく、働く人が誇りを持てる会社でなければ事故は防げないのではないでしょうか。仕事に誠実に取り組み、自分の仕事に自信とこだわりを持ち、仕事に誇りを持つ人を大切にすることが会社の価値を決めるのではないでしょうか。そうした会社には人材が集まり、長期的に見れば評価され、業績も伸びると思います。  佐藤乙松は、他人から見たら変でも、金や名誉のためでなく、地道に一途に自分の出来ることを精一杯やる鉄道員気質を身をもって体現しています。結果(成果)主義全盛の中で、失われつつある職人気質、技術者気質、研究者気質を今一度見なおす必要があるのではないかと思います。いかにも前時代的な考え方に聞こえるかも知れないけれど、そうではないと思います。 参考:国鉄は、1983年(昭和58年)12月26日に過去10年責任事故による旅客の死者なしという世界でも余り例を見ない記録を達成したそうです。 2005/05/06 NHK朝ドラ「ファイト」  NHKの朝ドラには、「ちゅらさん」に代表されるような主人公が明るく、さわやかなストーリーが似合っているとの印象があります。そのため、現在放送中の「ファイト」は、その題名からしてシリアス過ぎないかと思っていました。さらに、「バネすりかえ」の不正問題が家族をバラバラにする物語とのことで、夜の番組ではないかと見るのを躊躇していました。  ところが、この連休に見てみるとなかなかiいい出来です。特に、ヒロインの父、職人気質の木戸啓太を演じている緒形直人が魅力的です。注文先の商社の不正を暴いたために取引が激減し、工場は閉鎖に追い込まれ、家族バラバラの暮らしの中でも、工場再開をあきらめず、がんばり続ける姿に打たれます。ヒロインよりもその父の姿の方がとても印象的です。こんな朝ドラは今までなかったのではないでしょうか。  脚本家橋部敦子氏は、「ヒロインとその家族の生活は、ある日、一変し、「将来」が見えなくなってしまいます。 たとえ将来が見えなくても、「今」を生きていかなければなりません。たとえ今、何をしたらいいのかわからなくても、「今」を生きていかなければなりません。でも、「今」できることを精一杯やっていれば、きっと「将来」に夢や希望を持てる ―― そう信じて生きていくことができたら……。そんな願いを込めて、」物語を書いていると述べています。  バブル期から「お金がすべて」、「結果がすべて」の流れが続いています。そうした流れの中で、働くことに誇りを持って生きることがどんどん難しくなってきています。木戸啓太の未来が明るくありますように。 2005/05/05 こどもの日  「こどもの日」にちなんで総務省が、「我が国のこどもの数(15歳未満人口)」を発表した。同推計人口によると、平成17年4月1日現在のこどもの数は前年より15万人少ない1765万人で、昭和57年から24年連続の減少となった。男女別では,男性が904万人、女性が860万人で、男性が女性より44万人多く,女性100人に対する男性の数(性比)は105.1となっている。総人口に占めるこどもの割合は13.8%(前年比0.1ポイント低下)で,過去最低となった。  年齢区分別人口の割合の推移を見てみると、50年前の、1950年には15歳未満人口は、全体の35.4%、65歳以上人口は4.9%だった。  その後、1995年には、15歳未満人口16.0%、65歳以上人口は14.6%とほぼ同じ割合となり、2000年には、15歳未満人口14.7%、65歳以上人口は17.1%と逆転した。  一方、子供の割合は、沖縄県が18.6%で最も高く、東京都が12.0%で最も低い。また、全国平均(13.9%)よりも低いのは、18都道府県となっている。平成15年と比較すると、東京都及び大阪府は前年と同率、他の道府県はすべて低下している。都道府県別の低下幅をみると、青森県、秋田県、島根県、長崎県及び沖縄県が0.4ポイントと最も大きくなっている。 総務省が発表した統計は下記に記載されている。 http://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi120.htm ▽ 子供たちのいる生活は楽しい。そんな気持ちにさせてくれる漫画がほぼ日刊イトイ新聞のサイトにある「うるまでるびののぞきあな3」です。ごゆっくりお読み下さい。 http://www.1101.com/urumadelvi3/index.html ▽ 昭和26(1951)年5月5日に定められた児童憲章は下記のサイトで読めます。 http://list.room.ne.jp/~lawtext/1951JidoKensho.html 2005/05/03 憲法記念日  今日は憲法記念日です。昭和21年11月3日に公布され、昭和22年5月3日は施行されました。憲法第11章補則第100条【憲法施行期日,準備手続】には、「(1)この憲法は,公布の日から起算して6箇月を経過した日(昭和22.5.3)から,これを施行する。」とあります。時の内閣総理大臣兼外務大臣は吉田茂でした。下記のサイトで「公布の詔」も含め全文が読めます。 http://kenpou.jp/ 日本国憲法英語版は下記サイトで読めます。 http://list.room.ne.jp/~lawtext/1946C-English.html  また、日本国憲法と関係する国際連合憲章(1945(昭和25)年6月26日にサンフランシスコにおいて調印され、1945(昭和25)年10月24日に発効)は、国連広報センターのサイトで読めます。 http://www.unic.or.jp/know/kensyo.htm 2005/05/02 プロジェクトXの魅力とは  NHKプロジェクトX-挑戦者たち-という番組があります。中高年に人気の番組ですが、経営者も見ているとそうです。番組は、不思議な情熱を持った人たちが、不可能と思われた目標を達成するまでの日々を描いています。  どの回も感動的ですが、中でも2000年4月4日に放送された「窓際族が世界規格を作った-VHS・執念の逆転劇-」(第2回)は何度も再放送されています。当時、弱小といわれていた家電メーカー日本ビクターの、さらに窓際族と言われた技術者たちの「意地」により生み出された世界規格「VHS」の物語です。  昭和45年、日本ビクターは、脚光をあびつつあったビデオ事業に乗り出しましたが、赤字続きで、そこに配属されたら「1年やればクビがとぶ」と言われていたそうです。そんなとき、高野鎮雄氏(47歳)がビデオ事業部長になりました。営業しても全然売れない。そんな中で、高野氏はわずか3人の技術者による極秘プロジェクトを始めました。このプロジェクトには高卒の若い技術者もいました。本社には一切報告せずに新型ビデオの開発を続けたとあります。6年の努力の末に完成させた「VHS」の技術は松下幸之助を驚かせ、そしてβ規格を越え世界規格になりました。  短期利益を重視する会社の壁と闘い続けて実現させたVHS開発のドラマは目頭を熱くします。何が私たちを涙に誘うのでしょうか。金をうまく動かして成功したとかの単なる成功物語ではないからではないでしょうか。チームがともに手を組み、悪戦苦闘を繰り返しながら目標を達成する過程に涙するのではないだろうか。結果にではありません。そこにある人生に対して感動するのではないでしょうか。  挑戦者たちの情熱が、不可能と思われる壁を溶かして行きます。こうした挑戦者を生むのは、やはり夢のある目標なのではないでしょうか。夢や希望のある目標は、驚くような不思議な情熱を導くように思えます。私たち労働者(研究者)はそうした仕事に取り組みたいと思っています。それに対して、経営者(研究管理者)は夢のある目標を提示しているでしょうか。短期的成果だけを追い求めていないでしょうか。 2005/05/01 つくばでは今日がメーデー  つくばでは今日がメーデーです。曇り空ですが、雨は降らないでしょう。近年、労働者がどんどん追いつめられているように思います。経営者は、今までより少し、強制を強める。それでも弊害は出ない。そこで、また、強制を強める。弊害は出ない。そこで‥‥と続きます。しかし、人はそんなに長く無理な仕事はできない。ある時突然におれ、爆発します。  経営者がしなければならないことは、もし、システムに問題があると感じたら、そのシステムのボトルネックを見つけて改善することなのではないでしょうか。少しずつ締め付けることではありません。研究についても同様です。しかし、現在、結果(成果主義)を求めて、少しずつ強制を強めています。その結果、少し改善したかも知れません。でも、そのことで失われつつあるのは、研究にとって最も大切な自由な発想、独創的な創造です。今、必要なのは、強制ではなく、研究者を奮い立たせるような研究テーマを提供することだと思います。しかし、こうしたテーマには、多くの困難が待ちかまえています。  「うまくいったら研究者の業績に、失敗したら責任を研究管理者がとる。」、そうした決意が研究管理者に見られないのが残念です。