2005年4月


2005/04/30 ホームページを立ち上げてから約1年
 昨年、ホームページを立ち上げ、4月にカウンターを設置してから7600件以上のアクセスがありました。ここ数ヶ月は、1日当たり平均で30件を越えており、月1000件以上となっています。
 現在、Yahoo! Japanやgoogle、livedoor、Allaboutなどのカテゴリーに、また、Jwordにも登録されました。
 また、日々のアクセス数はそれほど多くはありませんが、googleのPageRankでは5/10となっています。ただし、あくまで、機械検索でランク付けした結果に過ぎません。なぜなら、格段に優れていると思うホームページのランクが意外に低いことも少なからずあるからです。機械のランク付けでしかありませんが、ただ、何となくうれしい気持ちはあります。
 ホームページを立ち上げるとき、無料のホームページ作成サイトを利用しないで作ろうと考えました。ホームページの内容を信頼してもらうには広告がないことが大切と思いました。また、googleなどにおいて検索ランキングを上げるには、相互リンクが効果的とありましたが、同じ理由でやめようと思いました。信頼されるサイトになりたいと考えていますので、これからもこの方針で行きます。
 アクセスしていただいている方に感謝いたします。これからも、良質なコンテンツを掲載していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

▽ googleのPageRank
 8/10 google、Yahoo! Japan、首相官邸など
 7/10 毎日新聞、朝日新聞、農林水産省など
 6/10 ほぼ日刊イトイ新聞、日本農芸化学会など
 5/10 日本農業新聞、農研機構果樹研究所、園芸学会など


2005/04/29 NHK教育:アグネスのスーダン報告を視聴して
 ニュースとは、現在、社会に起きている問題を伝えることではないだろうか。ある一人の人物が行動を起こすときに見えてくる社会状況があるとすれば、それは報道に値すると思う。
 もし、アグネスがイラクに行けばニュースになったろう。イラクとスーダンでは、どちらが危険か私には分からないが、内戦が終結したとはいえ、スーダンはかなりの危険地帯だろう。そこへ、なぜアグネスは行ったのか。多くの子供たちが飢え苦しんでおり、そのための援助資金が大幅に不足している。アグネスは、NHK教育「視点・論点」でそのことを語った。アグネスを通じてスーダンの悲惨な様子がよく分かった。同時に、なぜ、日本ではスーダンの情勢がニュースにならないのかについても考えさせられた。日本とスーダンとの関わりが低いこともその理由の一つであると思うが、それだけではないように感じる。日本の社会の中で優しさが隅に追いやられている状況と関係があるのではないだろうか。「競争に敗れたものには、負けただけの理由と責任がある」というような感覚を感じる。


2005/04/28 ES細胞研究のガイドライン/アメリカ
 全米科学アカデミー(National Academy of Sciences)は、人間のES細胞(Embryonic Stem Cell )を使う研究について、米国の各研究機関に対し、厳しい倫理指針をつくるよう勧告する報告書(Guidelines Released for Embryonic Stem Cell Research)を発表した。報告書は、法律や医療倫理の専門家、市民からなる監視委員会を各研究機関がつくる必要性を指摘するとともに、ES細胞やクローン胚などを使う研究について、監視委が事前に審査するよう求めている。
 また、「国の指針がない以上、科学界や研究機関が自主的に動くべきだ」として、ES細胞を新たにつくる際の承認手続きや、受精卵の提供を受ける方法なども勧告している。
上記ニュースは下記のサイトで読めます(英文)。
http://www4.nationalacademies.org/news.nsf/isbn/0309096537?OpenDocument

▽ 科学の進展には多くの人の支持が必要である。そのためには、上記勧告のように研究が倫理的に行われていることを示す必要があるだろう。


2005/04/27 アグネススーダンから帰国
 日本ユニセフ協会大使として、内戦のただ中にあるスーダン西部・ダルフールを視察したアグネス・チャンさん(49)が4月17日に帰国した。家族に「遺書」も託していたという。
 ダルフールでは政府と反政府勢力が衝突している。ユニセフ大使就任以来8回目の視察だったが、「初めて国連からセキュリティーの心構えのトレーニングCDを渡され、それを修了しないと現地に入れてもらえないほど」だったそうである。
▽ 「アグネスのスーダン訪問はニュースではないか」(4/12)と書いたが、アグネスさんのホームページを見るとNHKのクルーが一緒に行っていた。また、4月28日NHK教育夜10時50分の視点・論点「スーダン難民キャンプの報告」でアグネスさんが報告する。全国紙には載らなかったが、やはり、ニュースと思う人たちもいるのだなと思った。ユニセフ大使としてアグネスの世界の子供たちを救うための活動に対して、「政治と音楽は全然別物だから」と報道を控えることにはならないのではないかと思う。


2005/04/26 第1回食料自給率向上協議会/農水省
 新たな食料・農業・農村基本計画で目指す食料自給率45%の達成に向け、農水省は、行政や関係団体でつくる食料自給率向上協議会を開催したと発表した(05/4/26)。
http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050426press_2.html
 国、県や市町村、農業団体や食品事業者、消費者団体のそれぞれが目標を明確にし、取り組みの行動計画を策定する。
 自給率を引き上げるため、消費面では 1.食育や地産地消の全国的な展開 2.米、野菜、果物など国産農産物の消費拡大 3.国産品に対する消費者の信頼確保、生産面では 1.担い手による需要に即した生産 2.食品産業と農業との連携 3.担い手への農地集積と飼料作物の生産拡大など効率的な農地利用である。
会議に提出された資料のサイトは下記。
http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050426press_2b.html

食料自給率向上に向けた行動計画について(事務局の考え方)は下記サイト。
http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050426press_2e.pdf

▽ この行動計画は、旧基本計画の下で自給率が上がらなかった反省から工程管理を導入し行動計画の達成度を毎年チェックする。

▽ 食育、地産地消の連携と推進などを柱とした案が提案されている。編集長 俗世夜話2005/03/07-03/10でもこの問題を取りあげてきた。そこで述べてきたことと事務局案とはほぼ同じであることに意を強くしている。食糧自給率を上げる、消費拡大を図る、そのための研究をどう進めるか、その方向を誤ってはいけないだろう。


2005/04/25 生物時計に関係する調節たんぱく質RORα
 睡眠・覚せいや体温変化など周期的なリズムをつかさどる生物時計の遺伝子の働きを調節している受容体たんぱく質が見いだされた。大阪バイオサイエンス研究所のTakumiらは、受容体RORα(NR1F1)の発現を抑制したマウスを作成し、正常マウスと比較したところ、RORαの発現を抑制したマウスは睡眠・覚せいのリズムが正常なマウスより短く、生物時計の調節に重要な光への反応も不安定だった。
 さらに、この受容体を持たない細胞を作り、生物時計に関与する遺伝子Bmal1(MOP3)の働きを調べたところ、Bmal1は通常、24時間周期で働きが強くなったり弱くなったりするが、受容体がない細胞では、周期がほとんど見られなくなった。また、細胞に外部から受容体を加えると周期は正常に戻った。
 以上のことから、RORαは、生物時計の周期性を調節する働きがあるとしている。

▽ RORαはコレステロール代謝と関係することから、コレステロールの摂取量と生体リズムが関係している可能性が示唆されている。

【文献】 Akashi M, Takumi T., (2005) The orphan nuclear receptor RORalpha regulates circadian transcription of the mammalian core-clock Bmal1. Nat. Struct. Mol. Biol. doi:10.1038/nsmb925


2005/04/24 厚労省による国民健康・栄養調査結果
 2003年11月、全国の4160世帯を対象に、肥満、運動習慣などを調査した結果を厚生労働省が4月21日に発表した。この国民健康・栄養調査によると40代男性の3人に1人が「上半身肥満の疑い」で、20代女性の2割がやせていることが分かった。体重を身長の2乗で割った体格指数(BMI)が25以上で、男性はウエスト85センチ以上、女性は90センチ以上を「上半身肥満の疑い」とし、「上半身肥満」を調べたところ男性の40代に続いて、30代が29%で多かった。「上半身肥満」になると糖尿病や高血圧などの生活習慣病になる率が高い。

上記結果は下記のサイトで見ることができる。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/04/h0421-1.html
 
 国民健康・栄養調査とは、健康増進法に基づいて厚生労働省が行う全国調査で、全国300地区の約5000世帯及びその世帯員(約15000名)に対して、毎年11月に実施される。各保健所が、栄養摂取状況を中心に、食事状況、生活習慣、体格、血液指標、運動量等を調査し、それらの集計にかかわる業務は独立行政法人国立健康・栄養研究所が行っている。


2005/04/23 私の家は山の向こう
 有田芳生著「私の家は山の向こう」(文芸春秋社)を昨夜から一気に読み終えた。読み終えて、テレサ・テンの歌を聴き終え外に出た。外は青空が広がり、木々の青さが目にしみる。八重桜の花が満開で小鳥の鳴き声も聞こえる。すがすがしく、快い空気がそよそよと吹く風に乗ってほてった頬を冷やす。読後感はこの朝の光景に同調している。プロの仕事とはこのようなことをさすのだろう。

▽(追記)「私の家は山の向こう」は若くして亡くなったテレサ・テンさんの人生とアジア現代史のドキュメンタリーです。執筆をを始めたのが13年前、推敲に推敲を重ねた本書は一気に読めます。テレサ・テンさんについて何も知らない人にも薦めたい。ドキュメンタリーとはの教科書の一つとなるのではないかと思う。(05/4/27)


2005/04/22 果物&健康NEWS54号の発行は来週です。


2005/04/22 昨年度のミカンとリンゴの収穫量大幅減
 昨年度(2004年産)のミカンの収穫量は106万トンで、ピークだった1975年以来、最低の水準になったことが農水省の調査で分かったと日本農業新聞が伝えている(05/4/21)。リンゴの収穫量も75万4600トンで、3年ぶりに80万トンを割った。ミカンは裏年に加え、老木園の廃園や天候不順の影響が大きく、111万トンの生産目標量を下回った。リンゴは台風による落果などで、87万トンの適正生産量より13%少なかった。
 ミカンの収穫量を主産県別でみると、和歌山が同比3%増の18万300トンで愛媛を抜き、データが残っている1950年以降、初めて日本一になった。35年ぶりに1位の座を明け渡した愛媛は6%減の17万200トンだった。
▽ 昨年度は何度も台風が上陸して大きな被害をもたらした。


2005/04/21 アメリカCDCが肥満度と死亡率との意外な関係を発表
 肥満が深刻な社会問題になっているアメリカで、最新データを基に体格と死亡数の関係を調べたところ、肥満度を示すBMIが30以上の肥満とBMIが18.5以下のやせの死亡率が高いことと、BMIが25-29.9の肥満まではいかない「太り過ぎ」に分類された人たちの方が、標準とされる集団より死亡数が少ないと、アメリカ疾病対策センター(CDC)が発表した。
 この結果を受けて、CDCは、「太り過ぎ」の結果は意外だが肥満が深刻な問題であることは変わらないとし、引き続き対策を進める考えである。

CDCのプレスリリースのサイトは下記。
http://www.cdc.gov/od/oc/media/pressrel/fs050419.htm

▽ 肥満とやせは両方とも死亡率が高いことは従来の結果と同様であるが、「太り過ぎ」が標準より低いとの結果は今までに見られなかった。この点に関して今後の検討が必要である。もしかしたら、BMIの標準値はもう少し上なのかも知れない。


2005/04/20 ミニ講演会「予防医学の新潮流-果物の力をみなおそう」
 果樹研究所・花き研究所の一般公開に合わせて行われたミニ講演会(予防医学の新潮流-果物の力をみなおそう:午後2時から20分)が終了しました。40人前後の人で会場はほぼ満席となり、皆さん熱心に聞いてくれました。午前中は曇りでしたが、午後は雨となり、全体として出足が鈍ったようです。


2005/04/20 書籍で「がんに効く」に薬事法違法容疑
 キノコの一種アガリクスを成分とする健康食品を書籍で「がんに効く」と紹介したのは、未承認医薬品の広告に当たるなどとして、警視庁生活環境課が薬事法違反(未承認医薬品の広告、販売)の疑いで出版社「史輝出版」と健康食品販売「ミサワ化学」など約10カ所を家宅捜索したと共同通信などが伝えている(04/4/19)。
 警視庁によると、出版物の内容が薬事法の定める広告に当たるとして捜査対象となるのは、全国でも初めてとのこと。史輝出版はミサワ化学とともに、薬事法で未承認医薬品の広告が禁じられていることを知りながら、「即効性アガリクスで末期がん消滅」などの書籍2冊の中で、健康食品の特集を載せ、書籍巻末に、本当はミサワ化学につながる電話番号を「問い合わせ先・アガリクス研究センター」と偽って掲載していた。

▽ 薬事法に違反していることを知りながら健康食品を売ることは論外であるが、知らずに違反することもあるので関係する法令等を下記に記載する。

健康食品とは
1.普通の食品よりも健康によいと称して売られている食品。
2.法令上明確な定義はない。
3.栄養成分を補給し、又は特別の保健の用途に資するものとして販売の用に供する食品(食品として通常用いられる素材から成り、かつ、通常の形態及び方法によって摂取されるものを除く=野菜、果物など) 。
4.バランスのとれた食生活が困難な場合においての2次的・補完的なもの。

 従って、健康食品といっても「食品」なので、医薬品として認められているような効能効果は表記できない。そのため、食品を医薬品と思わせるような表現をした場合、医薬品としての承認や許可を取得せずに広告や販売をしたと判断され、薬事法違反となる。

下記のような表現があれば医薬品と判断され、薬事法違反となる。
1.疾病の治療又は予防を目的とする効能効果
2.身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果
  (ただし、栄養補給、健康維持等に関する表現はこの限りでない。)
3.医薬品的な効能効果の暗示
 (1)名称又はキャッチフレーズよりみて暗示するもの
 (2)含有成分の表示及び説明よりみて暗示するもの
 (3)製法の説明よりみて暗示するもの
 (4)起源、由来等の説明よりみて暗示するもの
 (5)新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、経験談などを引用又は掲載することにより暗示するもの

薬事法 第66条(誇大広告等)
 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2.医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。


2005/04/19 科学カフェ:研究者との語らいの場
 コーヒーやワインを片手に研究者と市民が語り合う「サイエンスカフェ」の取り組みが広がり始めたと報じられている。文部科学省が今年の科学技術週間(4月18~24日)に合わせて初めて開くほか、民間でも試みが始まった。「科学離れを防ぎ、研究者の意識改革にもつながる」と同省の期待は大きい。
 98年に英国で始まり、米国やシンガポールに広がった。科学を身近に感じてもらうため、30~40人の比較的少人数がバーやカフェ、書店に集まり、科学者と対話するとのことである。

▽ 科学の普及にはこうした人と人とのふれあいを通じた地道な取り組みが必要なのではないかと思う。対話するときの話題の進め方としては、イギリスの科学者ファラデーが1860年に書いた「ろうそくの科学」などが参考になるのではないか。


2005/04/18 立山のアルペンルートが全線開通
 北アルプス・立山連峰を貫き、富山県と長野県を高原バスやロープウエーで結ぶ立山黒部アルペンルートが17日、約5カ月ぶりに全線開通、まだ雪深い山に春の観光シーズンが訪れたと共同通信が伝えている(05/4/18)。
 同ルート上の富山県立山町の室堂(2450m)付近は「雪の大谷」と呼ばれ、高さ数メートルの雪の壁がそそり立ち、回廊が長さ約500メートルにわたって続いているとのこと。

▽ 毎年の春訪れを告げるニュースです。この時期、果樹研究所では、新しい品種を作るためのナシの袋掛けが行われています。雄しべを取り除き雌しべだけにして、目的の花粉を交配します。木全体を見ると白い花が咲いているのに見えます。


2005/04/17 食育基本法案が衆院内閣委員会を通過
 食育基本法案が15日の衆院内閣委員会を通過したと日本農業新聞が伝えている(05/4/16)。19日の本会議に上程され可決されると参院に送付される。


2005/04/16 コンピュータのトラブルで徹夜
 昨日から今日の朝までコンピュータのトラブル解消に時間をとられてしまいました。昨日の朝からWindows MEがおかしくなり出し、リセットを繰り返しているうちに立ち上がらなくなりあわてました。バックアップを最近とっていなかったので何とかしないと行けないと焦りました。
 最終的には、フロッピーディスクから起動し、シマンテックのWorksの救済ブートフロッピーとWindows ME用の起動ディスクから元に戻すことができてほっとしています。
 最初はウイルスに感染したかと思いウイルスソフトで検査しましたが、ウイルスは発見できませんでした。でもこの検定だけでも数時間かかってしまいました。どうも、Windowsは1年間位フルに使うとおかしくなるように思います。今度仕事場のコンピュータをWindows XPに変更する予定ですが、安定性は十分なのでしょうか。今まではCDなどでのバックアップしていましたがファイルが大きくなってきたので、スペースが足りなくなってきました。そのため、今度はどうするか思案中です。
 個人的使用には現在のOS(Windows MEでも)十分なので、新機能を付け加えるより、安定性を高めてほしいと思います。2年位で新しいOSがでてきますが、マイクロソフトがもうけているだけなような気がしています。
 それにしても疲れました。


2005/04/15 二本足で歩くタコの動画サイト
 科学雑誌Scienceに載った二本足で歩くタコのきれいな動画サイトを紹介する。インドネシアとオーストラリアの海中にカメラを設置し撮影された。

メジロダコ:水中を2本足で歩くメジロダコの動画(QuckTime)は下記
http://www.sciencemag.org/content/vol307/issue5717/
images/data/1927/DC1/1109616s1.mov

 2本足歩行は、筋肉が骨を支えている動物だけができると考えられているが、チームは「運動学的にみて歩行と呼んでもいい」としている。メジロダコは、8本のうち2本の足を規則的に交互に動かし、後ろ向きに移動している。はうように進む通常の移動よりわずかに速く、残る6本は胴体に巻きつけていた。このタコはサンゴ礁などの砂地に生息し、ココナツの殻を巣にすることから「ココナツタコ」とも呼ばれる。海底を転がるココナツの殻に見せかけることで、捕食者にさとられないよう速く移動できるためと推測している。

藻タコ:藻タコは、メジロダコと同様に2本の足で歩きながら、6本を藻のように頭上に広げていた。こうした行動は、環境に合わせて自在に体の色や形を変える擬態の一種と推定している。ただ、研究者も、タコは8本の足を、生殖や触角など目的別に使い分けているが、2本の足で歩く様子は見たことがないとのことである。
六本の足を上げて泳ぐ藻タコの動画(QuckTime)は下記
http://www.sciencemag.org/content/vol307/issue5717/
images/data/1927/DC1/1109616S2.mov


[文献] Huffard, CL., et al. (2005) Underwater Bipedal Locomotion by Octopuses in Disguise. Science, 307: 1927. [DOI: 10.1126/science.1109616]

▽ すでに新聞やネットなどで見た人も多いと思うが、上記の画像は大きくてきれいです。私の知っている擬態とは、茶色ところでは茶色になり、緑色のところでは緑色になるなど本能的に身体を隠すあるいは目立たせるものと思っていた。一方、本物でないものを本物のように思わせる技術は、結構、高等な考えだと思っていた。「見せかける」が高等な技術としたらタコは考えていることになってしまう。どうなっているのだろう。自然界にはまだまだ不思議なことがいっぱいあるに違いない。
 ところで、なぜ、この画像が科学雑誌Scienceに掲載されたかを研究者は立ち止まって考える必要があるのではないだろうか。誰も知らなかった新しい発見であり、思考とは、擬態とは、など多くの謎があり、この先の研究を行ってみたいと思わせる事実を含んでいるからではないだろうか。科学はおもしろくて、楽しくて、驚きを含んでいるのだという原点を忘れないようにしなくてはいけないと思う。論文偏重の結果主義者には、このタコの論文の科学的なおもしろさを理解できないのではないかと推測しているがその理由については別に述べたい。


2005/04/15 天王寺動物園のゾウの春子のお祝い
 大阪市天王寺区の天王寺動物園は14日、雌のアジアゾウの春子(推定57歳)の来園55周年を祝って、春子に好物のスイカとパンで作った特製ケーキをプレゼントしたと共同通信が伝えている(05/4/14)。春子は長い鼻でケーキにトッピングされたミカンやリンゴを一つずつ、おいしそうに食べ、来園客から拍手と「おめでとう」の声が上がったとのことである。


2005/04/14 南極観測船「しらせ」帰港
 南極観測船「しらせ」(基準排水量1万1600トン)が13日午前、東京・晴海埠頭に到着したと朝日新聞が伝えている(04/5/13)。2月9日に日本を出発し2カ月余りの長旅を終えた。「しらせ」は世界でも屈指の大型砕氷艦で、今回が22回目の航海だそうだ。3年後に引退を迎えるが、後継船の建造にはあと4年かかる見通しのため、1年の空白を埋める対策が急務となる。

朝日新聞の南極プロジェクトの報告は下記のサイトで。
http://www.asahi.com/nankyoku/

▽ 子供の頃、南極は行ってみたいところの代表であった。西堀栄三郎著「南極越冬記」岩波新書のことを思い出す。 第一次南極越冬隊の1年間の記録で、水が貴重なので、テーブルは紙で拭くなど、今でもその内容の一部を記憶している。アムンゼンとスコットの南極点の争いを読んだときには、冒険だけでなく科学的探索をも目的としていたスコットが破れ、亡くなったことを残念に思った。
 イギリスの大英博物館を訪れたときには、スコット最後の日の日記を見落とさないようにとしっかり下調べをした。本物の日記を見たときは、じいんときたことを覚えている。その後も、ニュージーランドのオークランドにある博物館でスコットが南極で使った1911年当時の所持品もみてきた。今でも南極は行ってみたいところの一つである。


2005/04/14 豪雪で果樹の枝折れ深刻
 今冬の豪雪で東北や北海道などの果樹地帯では、枝折れ被害が広がっていると日本農業新聞が伝えている(05/4/13)。青森県ではリンゴの収穫量に影響が出るとみられる被害程度「中」以上の割合が、わい性台木で3割を超しているとのことである。

▽ 美味しい果実が実るには良い枝が必要、そのため、剪定作業を冬の間に行うが、この作業も大雪のために遅れ気味とのことである。また、開花の遅れなども心配される。


2005/04/13 糖転移ヘスペリジンで中性脂肪が減少
 林原生物化学研究所は、ポリフェノール(フラボノイド)の一種であるヘスペリジンに、中性脂肪を減らす効果があることを人で確認したと発表した。ヘスペリジンはミカンのすじやふくろ(じょうのう膜)に多く含まれている成分。
 同研究所では、ヘスペリジンにブドウ糖を付加し水に溶けやすいようにした糖転移ヘスペリジンを開発していたが、今回、この糖転移ヘスペリジンを、成人男性に500ミリグラムを毎日投与したところ、中性脂肪が当初標準値を超えていた8人で半年後に平均約3割低下したが、正常だった6人への影響はほとんどなく、副作用もなかった。
 すでに糖転移ヘスペリジンは、動物実験では血管の強化などに効果があることが確認されていたが、人での効能を確認したのは今回が初めてである。同研究所は、5月中旬に東京都内で開かれる日本栄養・食糧学会大会で研究結果を報告する。
プレスリリースは下記のサイトで見られる。
http://www.hayashibara.co.jp/html/press/2005/050411/index.html

▽ 動物実験や細胞レベルでの裏付け試験も行われており、実験結果に信頼が置ける成果だと思う。この研究のオリジナリティーは、水に溶けにくいヘスペリジンを水に溶けやすくした糖転移ヘスペリジンを使用しているところ。


2005/04/12 読売新聞&中日新聞
 読売新聞4月9日夕刊10面に冷温高湿庫開発秘話?が掲載されました。「失敗伝説」の欄で、プロジェクトX風です。なんだかもう一人、田中がいるみたいです。残念ながらYOMIURI ON LINEでは読めません。

 中日新聞 in しずおかに「リンゴとチーズを一緒に食べよう」が掲載されました(05/4/5)。こちらは下記のサイトで読めます。読んでみて下さい。
 http://www.chunichi-tokai.co.jp/food/food146.shtml


2005/04/12 アグネスさんが危険地帯スーダンへ
 アグネス・チャンさん(49)が、子供の権利を守るユニセフの依頼で、激しい紛争の地、スーダン西部ダルフールの視察に出発したと夕刊フジなどが伝えている(05/4/9)。スーダンは殺戮、レイプ、強奪被害が続く危険地帯である。
 アグネスさんは「これまでにない怖さを感じる。でも、子供たちが呼んでいる」と現地入りする心境を明らかにした。「民衆が殺されたり、売られたり。レイプで妊娠する子もいっぱいいて、生まれた子は捨てられたりも…。この状況を皆さんに知ってもらいたい。誰かが見てこないといけない」。スーダン入り後、避難民らを訪ね、援助のために生活状態などを調査するほか、武装民兵側との対話も申し入れているという。
 スーダンは、宗教対立や資源の利権争いなどで南部で長く内戦状態にあったが、ダルフール周辺ではこれとは別に2003年ごろから表面化した政府と反政府勢力の衝突による被害が続いている。
 ユニセフ関係者によると、スーダンは情報も不足し、国連に対する現地勢力の不信感が人道支援組織にも及び、緊張が高まっているとのこと。実際、ユニセフと協力関係にあった国際NGOのスタッフらも犠牲になっている。
 アグネスさんも「(民兵は)やりたい放題で、無法地帯になっている」と不安はあるが、「子供が生きてるんだから、私だって大丈夫だよ」と自らを奮い立たせる。17日に帰国予定、18日に報告会見を行うとのこと。

 昨年のアグネス・チャン日本ユニセフ協会大使によるモルドバ帰国報告記者会見レポート「STOP! 人身売買 積み残された子どもたち」は下記のサイトで読める。
http://www.unicef.or.jp/siryo/sek_rep11.htm

▽ スーダンについては別のニュースでも悲劇的な状況が伝えられている。だから、アグネスさんは、かなりの決意で出発したに違いないと思う。かって、私は、今より平和であった中東のシリアへ出張したことがあるが、そのとき若干の覚悟をしたことを覚えている。
 残念ながら今回のこのニュースは主要な新聞には掲載されていない。マスコミは、ボランティア活動の必要性を訴えることが多いが、その割に、実際に行っているボランティア活動を取りあげることは少ないように感じる。芸能人の活動は売名行為と関係するので規制があるとしても、今回のスーダン行きはニュースではないか(05/4/14一部追記)。


2005/04/11 WHO職員、地元住民に襲撃される(アンゴラ)
 世界保健機関(WHO)は、アフリカ南部のアンゴラで深刻な被害が出ているウイルス性出血熱マールブルグ病の対応に向かった医療チームが感染の拡大を恐れる地元住民から投石などの襲撃を受けたため、WHOは遺体収容などの活動を一時休止した。
 WHO職員が乗った車が襲われたのは、マールブルグ病の被害が集中しているアンゴラ北西部ウイゲ州。コンゴ民主共和国(旧ザイール)との国境に近いこの地区の地元住民は、WHOの医療チームがこの病気を広めているとの恐れから、車を攻撃した模様とのことである。
 そのため、WHOは遺体の収容作業などを一時中止したが、9日には救援活動を再開した。マールブルグ病ウイルスの情報を伝えたり、感染者の遺体に触らないよう地元住民に呼びかけている。
 10日までの感染者は13人に達し、医療関係者を含む184人が死亡、そのうち医療関係者14人が死亡したと述べている。 マールブルグ病は下痢や発熱、おう吐、出血などの症状を伴い、致死率は20%以上となっているが、ワクチンや治療法はまだ見つかっていない。
WHOのサイトは下記。
http://www.who.int/csr/don/2005_04_08a/en/

▽ WHO職員が襲撃されたことは悲しい出来事である。誤解や無知がその根底にあるのだろう。また、住民の死者を葬る習慣とも関係するのだろう。医学や科学をすべてにおいて優先させるわけにはいかないのだろうと思う。だからこそ、その中で活動しているWHO職員に対し敬意を表したい。


2005/04/10 肥満の経済コスト、年217億ドル(カルフォルニア州)
 カリフォルニア州の成人の半分以上が太り気味か肥満で、こうした太り過ぎのための医療費支出や生産性の低下による経済損失は年217億ドル(2兆3400億円)に上ると毎日新聞が伝えている(05/4/7)。
 25歳以上の53%が標準体重を超えており、うち17%は寿命を縮める危険がある「肥満」状態にあるという。ヒスパニック系、黒人、学歴が高卒以下の人口では、60%以上が太り過ぎているとしている。
 太り過ぎによる医療費、生産性の低下などでカルフォルニア州が00年に被った経済損失を計217億ドルと概算しており、このまま放置すれば、今年は280億ドルの損失になると警告している。
 また、米疾病対策センター(CDC)では、全米で肥満が原因で起こる病気の医療費だけで750億ドルに上るとしている。


2005/04/08 メタボリックシンドローム
 日本内科学会など8学会は、過食や運動不足で起こる生活習慣病の一種「メタボリックシンドローム」の診断基準を作成したと毎日新聞が伝えている(05/4/8)。
 メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満が原因で糖尿病や高血圧、高脂血症などが重なり、動脈硬化症を引き起こす病気で、中高年がかかりやすく、国内には1000万人以上の患者がいると推定されている。診断基準は、胴回りが男性で85センチ以上、女性で90センチ以上で、リポたんぱくの異常、高血圧、高血糖のうち二つ以上のリスクを持つと判断された場合としている。

▽ 国民の死因の約1/3を占める心血管疾患発症には、耐糖能異常や高血圧、脂質代謝異常、肥満といった複数の危険因子が重複する病態が高頻度に存在する。このような複数の危険因子の重複は、偶然に期待される以上の頻度や程度で生じることから、各々の危険因子は互いに独立したものではなく、互いに密接に関連しているものと考えられ、そのような病態を「メタボリックシンドローム」と総称している。


2005/04/06 単身赴任や独身は高血圧になりやすい
 30歳代の単身赴任や独身の男性は、家族と同居している同じ世代に比べ、高血圧の割合が3.6倍になると毎日新聞が報じている(05/4/4)。外食中心による塩分の過剰摂取が原因とみられ、40歳代でも1.5倍に達した。単身生活による生活習慣病の影響が明確に示されたデータは珍しいとのこと。中電病院(広島市)の平賀裕之・内科副部長らが日本内科学会で発表する。
 中国地方にある企業の男性社員1570人を対象に調査した。内訳は単身217人、家族同居1353人。年代別に高血圧の割合は、30歳代が単身14.9%、家族同居4.1%。また、40歳代は21.4%と13.8%で、50歳代は27.6%と23.2%で、若年層ほど差が大きかった。
 同時に実施したアンケートによると、単身者は野菜や果物の摂取が少なく、塩分の多い食事で、運動不足の傾向がみられた。一方、カロリー過多が原因の肥満や糖尿病は、単身と家族同居で差はほとんどなかった。

▽ 単身や独身の男性は外食が多くなるため、果物や野菜の摂取が少なくなるのだろう。こうした人たちの栄養バランスを良くするためにはどうすればよいか、考えなくてはいけない。ただ、果物や野菜を食べなさいと言ってもなかなか改善することは難しいと思う。例えば、ファミリーレストランに定食メニューに果物を1つ付けてもらうなどの働きかけが考えられる。


2005/04/05 ニュージーランドでは果物のなどを持ち込むと罰金
 本年度のアカデミー主演女優賞を受賞したヒラリー・スワンクさん(30)がニュージーランドへ入国する際、荷物に入れていた果物を申告せずに罰金200ニュージーランド(NZ)ドル(約1万5000円)と、裁判費用30NZドル(約2300円)の支払いを命じたとCNNが伝えている(05/3/30)。 スワンクさんはオークランド空港で1月15日、荷物に入れていたリンゴとオレンジ各1個を申告しなかったとして罰金を受けたが、これを不服として異議を申し立てていた。
 スワンクさんは農水省にあてた文書で、「20時間のフライトで、オレンジとリンゴを1つずつ持っていたことを、すっかり忘れていました。心からお詫びします」と、意図的な持ち込みではなかったと説明したが、裁判所はスワンクさんの異議を却下、罰金が確定した。
 農業国ニュージーランドは、疫病の侵入を防ぐため、厳しい検疫基準を設けている。毎年、持ち込み禁止の果物などを所持していたとして、数千人が入国時にその場で罰金を言い渡されており、今年に入ってオークランド空港で罰金を受けたのは約1700人に上るとのこと。

▽ 海外旅行するときは各国の検疫制度を調べ、守ってほしいと思います。そうしないと、知らずにその国の農業生産や自然環境に被害を与えてしまう恐れがあります。


2005/04/03-04 園芸学会にて
 平成17年度園芸学会春季大会が筑波大学で開催されました。日曜日は晴れで月曜日は午前中雨でしたが、両日とも会場の教室はとても寒かった。今回の発表を見て研究とは何かなどいくつかの点で考えさせられるものがありました。このことは能力・結果主義と関係があると思いました。研究とは、故山村雄一元大阪大学総長の「夢みて行い、考えて祈る」ではないでしょうか。


2005/04/02 日本型雇用慣行を再評価する兆し
 終身雇用、年功賃金など、日本型雇用慣行を支持する人の割合が高まっていることが、独立行政法人労働政策研究・研修機構の「勤労生活に関する調査」の定点観測の結果から分かった。
 日本人の仕事観に関する問いで、終身雇用について「良い」または「どちらかといえば良い」と回答した人は78.0%で、前回の2001年調査(76.2)を上回った。1999年からの継続調査で終身雇用を良いとする割合は、前回調査で減少に転じたが再び増加した。
 年功賃金については66.7%が「良い」、「どちらかといえば良い」と答え、前回(62.3%)を上回った。年功賃金は1999年の第1回調査以来、一貫して増加している。
 また、いまの世の中について不公平感をもつ割合は、非正規従業員では約8割、正規従業員では約7割で、第1回調査以来、男性の正規従業員不公平感は一貫して増加している。
 ここ5年間で日本型雇用慣行を再評価する兆しがみられる。また、家庭と仕事については約6 割が男性が仕事優先にすることを支持している。
 多様化する働き方については、良い面と悪い面について認める人がそれぞれ多いが、自身については正社員での就労希望が高く、非正規従業員の約7 割は正社員を希望している。実 際に就業形態別に仕事や社会についての意識をみると、仕事の満足度は、正規従業員では横ばいかやや低下、非正規従業員ではやや上昇の傾向があり両者の差は小さくなっているが、非正規従業員では失業不安が高く、生活の満足度は低く、不公平感が高い。

第4 回勤労生活に関する調査結果報告は下記のサイトで読める。
http://www.jil.go.jp/press/documents/20050331.pdf

▽ 生活不安を増長する能力・結果主義の問題点(不公平感など)が明らかになるにつれ、日本型雇用慣行を支持する人が増えていると考えられる。仕事や生活の満足度が低ければ、仕事に身が入らない。結果として企業の業績も落ちるのではないか。今までに行われた日本型雇用について調査した報告では、日本型雇用で成功している企業(例えばトヨタ)の従業員の勤労意識は高い。


2005/04/01 今日ではない!
 我が友よ。
 諸君の目の中に、私をも襲うであろう恐れが見える。
 人間の勇気が挫けて友を見捨てる日が来るかも知れない。
 だが、今日ではない!
 盾が砕かれ、魔狼の時代が訪れ、人間の時代が終わるかもしれない。
 だが、今日ではない!
 かけがえのないものすべてを賭けて、踏み止まって戦うのだ。
 友よ。今日は戦う日だ!

 映画「ロードオブザリング/王の帰還」の終幕に近い場面で、圧倒的な力を持つ冥王サウロンの闇の勢力に対して、人間の王であるアラゴルンが全軍に向かって士気を鼓舞した言葉です。今日から新年度ですが、その最初の日に書いておきたかった。つらい悲しい時に読み直そうと思っています。