2006年12月


2006/12/30 隕石から地球外の有機物発見
 カナダ北西部の氷原に落ちた隕石の中から、約46億年前の太陽系誕生当時に形成されたと考えられる有機物が発見されたと、米航空宇宙局(NASA)ジョンソン宇宙センターの研究チームが発表した。地球上の現在の有機物とは同位体の組成に大きな違いがあり、太陽や惑星が生まれつつあった原始太陽系の一番外側の区域で形成された有機物である可能性が極めて高いと述べている。
 発見された有機物には、中性子が1個多い窒素15(15N)の含有量が地球の有機物に存在する比率より1.2~2倍多く含まれていた。また、中性子が1個多い重水素の含有率は地球の有機物に存在する比率と比較して2.5~9倍も多く含まれていた。
 こうした有機物の特徴は、-260°前後の極寒の環境下で出来たことを示していると考えられることから、地球で最初の生命が誕生した際に材料になった有機物は、隕石などで地球外からもたらされたとする説を裏付けるデータである。

【文献】
Nakamura-Messenger, K. et al.: Organic Globules in the Tagish Lake Meteorite: Remnants of the Protosolar Disk. Science 314:1439-1442. (2006) [DOI: 10.1126/science.1132175]


2006/12/29 新サーバーへ移転
 レンタルサーバーが更新されたため、すべてのコンテンツを新しいサーバーに移転しましたた。そのため、不具合が生じる可能性があり、ご迷惑をおかけすることがあります。分かり次第修正していきますのでよろしくお願いいたします。


2006/12/24-25 サンタ移動中
 12月25日午前6時20分エジプトのピラミッド付近を通過中です。。
 12月25日午前0時20分中国万里の長城付近を通過しました。
 12月24日午後10時45分予定通り富士山のそばを通過しています。新幹線も新しい型になっています。
 12月24日午後7時16分ニュージーランド上空でサンタの姿が発見されました。

2006/12/24 本日サンタは東京上空を23時頃に通過予定?
 クリスマスに合わせて、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)によるサンタ追跡が始まる。昨年は18:17頃に北極上空でサンタさんが発見された。東京では23:00頃にサンタさんは東京上空を新幹線より100倍速いスピードで移動していると報告された。今年はどうだろうか?

サンタさん発見情報は下記のサイトで。
http://www.noradsanta.org/jp/tracking.php


2006/12/23 リンゴ赤色を制御する遺伝子の発見
 オーストラリア・CSIRO Plant Industryの研究者らは、リンゴの赤色を制御する遺伝子を発見したと発表した。リンゴの皮の赤色はアントシアニンに起因する。また、アントシアニンは酸化防止剤として健康に寄与する。
 そこで、光で活性化する遺伝子に焦点を合わせ研究を行った結果、R2R3 MYBがアントシアニンの生合成の転写制御因子であることが分かった。転写制御因子とは、最終的にタンパク質として発現する過程における、最初でかつ最大の影響を及ぼす制御因子のことである。
 この遺伝子の発見により色が良くて健康に役立つリンゴの育成が進むと期待されている。

【文献】
Takos, A. M. et al.: Light-Induced Expression of a MYB Gene Regulates Anthocyanin Biosynthesis in Red Apples. Plant Physiol. 142: 1216-1232. (2006) [doi: 10.1104/pp.106.088104]


2006/12/22 水溶性ビタミン葉酸の吸収メカニズム
 アメリカ・アルバート・アインシュタイン医科大学の研究者らは水溶性ビタミンである葉酸の吸収に係わるタンパク質(PCFT/HCP1)を発見したと発表した。
 水溶性ビタミンは、小腸の脂溶性の細胞膜を簡単には通過できない。そのため、水溶性ビタミンを吸収する特別なメカニズムがあると考えられていた。
 研究者らは、葉酸分子を小腸の細胞内へ輸送するPCFT/HCP1と名付けた膜タンパク質を特定した。また、PCFT/HCP1の遺伝子変異が遺伝性葉酸吸収不全症の原因となることを示した。
 このタンパク質を持たない幼児は、葉酸の吸収が出来ないために遺伝性葉酸吸収不全症となることから、遺伝子診断による疾病防止に役立つと期待されている。

【文献】
Qiu, A. et al.: Identification of an Intestinal Folate Transporter and the Molecular Basis for Hereditary Folate Malabsorption. Cell 127: 917-928. (2006)


2006/12/21 仕事で燃え尽きると、2型糖尿病リスクが上がる
 イスラエル・テルアビブ大学の677人中年男性を対象とした調査によると、仕事で燃え尽きた人は2型糖尿病が発症しやすい傾向にあることが分かった。
 仕事で感情的疲労、肉体的疲労、認識的な疲れなどで燃え尽き症候群になった人は2型糖尿病のリスクが1.84倍に高まることが分かった。

【文献】
Melamed, S. et al.: Burnout and Risk of Type 2 Diabetes: A Prospective Study of Apparently Healthy Employed Persons. Psychosom. Med. 68: 863-869. (2006)


2006/12/20 BMIとウエストサイズで糖尿病を予測
 BMIとウエストサイズは、前-糖尿病状態でインシュリン抵抗性の人の心臓病や代謝性異常のリスクを予測出来ることをカリフォルニア・スタンフォード大学の研究グループが明らかにした。
 ボランティア261人を対象に、BMI、ウエストサイズ、コレステロール、中性脂肪、インシュリンなどを測定した結果、BMIかウエストサイズを測定することで糖尿病患者の心臓病リスクを予測できると結論づけた。

【文献】
Helke, M.F. et al.: Comparison of Body Mass Index Versus Waist Circumference With the Metabolic Changes That Increase the Risk of Cardiovascular Disease in Insulin-Resistant Individuals. Amer. J. Cardiol. 98: 1053-1056. (2006)


2006/12/15 赤ワインに含まれるポリフェノールは心臓病のリスクを下げる
 赤ワインの適度な消費は冠状動脈性心臓病のリスクが低いが、特に、赤ワインに含まれているポリフェノールの一種であるプロシアニジンにその活性が強いことが分かったと、イギリスの研究グループが発表した。
 また、フランスの南西地方やイタリアのサルデーニャ島のワインにはこのプロアントシアニジンが多く含まれており、75歳以上の男性の比率が多く長生きする傾向にあった。

【文献】
Corder, R. et al.: Oenology: Red wine procyanidins and vascular health. Nature 444, 566. (2006) [doi: 10.1038/444566a]


2006/12/12 講演「ナシの機能性と健康」
 大分県なし生産振興大会(12月12日:大分県由布市狭間町中央公民館「未来館」(主催:大分県なし研究会)で「ナシの機能性と健康」について講演を行った。大会は、ナシ生産農家など約200名が参加しで盛り上がった。


2006/12/11 火星で新しい水の流れた跡の発見
 アメリカの火星探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー(Mars Global Surveyor )」が撮影した画像を分析したところ、火星のクレーター内に新しくできた水の流れたあとのような地形が発見された。火星には太古に海があったことが確実視されているが、この発見から現在も地表に水が流れ出ていることが示唆される。
 研究チームは1999年と2006年に撮影した火星表面の画像を比較したところ、7年前にはなかった新しいクレーター20個と、液体が流れてできた峡谷のような地形2カ所を見つけた。峡谷はいずれも南半球のクレーター内壁にあり、長さ数百メートルで、地下の氷が溶けて、水が地表に流出した跡と推測している。

【文献】
Malin, M. C. et al.: Present-Day Impact Cratering Rate and Contemporary Gully Activity on Mars. Science 314: 1573-1577. (2006) [DOI: 10.1126/science.1135156]


2006/12/10 世界では1%の人が富の40%を所有している
 国連の世界開発経済研究所が「世界の個人の富の状況(The World Distribution of Household Wealth)」調査から、世界では1%の人が富の40%を所有し、2%では約半分の富を所有していた。一方で、世界の約半数を占める貧しい人々は「富」の1%しか所有していないことが分かった。世界を10人の集団にたとえると、1人が99%の富を独占し、残りの1%を9人で分けている状態となっていることになると述べている。
 各国政府や国際機構の2000年の統計をもとに、不動産や預貯金、株式などの個人の資産から借金などの負債を差し引いたものを「富」と定義した。また、国有資産となっていることが多い原油などの資源や大企業の資産は除外された。

上記の報告は下記のサイトで読める。
http://www.wider.unu.edu/research/2006-2007/
2006-2007-1/wider-wdhw-launch-5-12-2006/
wider-wdhw-press-release-5-12-2006.htm



2006/12/09 アメリカガン学会によるガン治療後のガイドライン
 アメリカガン学会(ACS)は、科学的な証拠に基づいたガンの治療と回復期の栄養、身体的活動について専門家による評価を行い新ガイドラインを発表した。
 ガンと診断されたあとの最も良い治療は、最適栄養の摂取と運動である。治療後の最適栄養は、アメリカガン学会のガン予防のための栄養摂取基準と原則的には同じである。
 果物摂取は、ガンの進行に影響するビタミン、ミネラル、ファイトケミカル、食物繊維など多数の成分を含んでいるだけでなく、低カロリーで満腹感を促進する食品であることから健康的な体重維持に有効と考えられるとし、積極的な摂取を推奨している。

【文献】
Doyle, C. et al.: Nutrition and Physical Activity During and After Cancer Treatment: An American Cancer Society Guide for Informed Choices. CA Cancer J. Clin. 56: 323-353. (2006)


2006/12/08 赤味の肉は大腸ガン発症のリスクを高める
 赤身の肉および加工された肉を食べる人は大腸ガン発症のリスクが高いと、スエーデン・カロリンスカ研究所のグループが発表した。
 赤身の肉に関する15の研究と加工された肉に関する14の研究を調べた結果、赤身の肉を食べる人は、結腸・直腸ガン発症のリスクが28%、加工された肉を食べる人は20%上昇することが分かった。また、男性で1日当たり120グラムの赤身肉を食べる人は28%リスクが高かった。また、加工された肉を1日当たり30グラムを食べる人は9%リスクが増加した。

【文献】
Larsson, S. C. and Wolk, A.: Meat consumption and risk of colorectal cancer: A meta-analysis of prospective studies. Inter. J. Cancer. 119: 2657 - 2664. (2006)


2006/12/02 高炭水化物・低GI食で心疾患のリスクと体重の減少
 高炭水化物で低グリセミック・インデックス(GI)の食事は、心疾患発症のリスクを下げ、体重も減少すると、オーストラリア・シドニー大学の研究グループが発表した。
 炭水化物を55%以上摂取する高炭水化物食と、タンパク質を25%以上摂取する高タンパク質食について、炭水化物のGI値が高い時と低い時の4つの食事について、肥満または過体重のヒト129人(18~40歳)を対象に12週間調査を行った。
 その結果、高炭水化物・低GI食と高タンパク質・高GI食で体重の減少が大きかった。また、BMI値が5%以上減少した人の割合は両者とも50%以上であった。
 一方、心疾患発症と関係するLDL-コレステロールでは、高炭水化物・低GI食で統計的に有意に減少していた。しかし、高タンパク質・高GI食では高くなった。
 以上の結果から、研究者らは、高炭水化物・低GI食は、心疾患発症を予防できるだけでなく、体重も減らせることから、体重減少に有効な高タンパク質ダイエット(アトキンス・ダイエット)の必要性はない考えている。

【文献】
McMillan-Price, J. et al.: Comparison of 4 Diets of Varying Glycemic Load on Weight Loss and Cardiovascular Risk Reduction in Overweight and Obese Young Adults: A Randomized Controlled Trial. Arch. Intern. Med. 166: 1466-1475. (2006)


2006/12/01 血液中のビタミンEレベルの高い人は死亡リスクが低い
 50-60才代の喫煙男性29.092人を調査したフィンランド・ヘルシンキで行われた研究によれば、血液中のビタミンEレベルの高い人はガンや心臓病などの死亡リスクが低いことが分かった。
 血液中のビタミンEレベルの高い人は、低い人に比べて死亡率が18%低くかった。また、ガンでは21%、心臓病では19%、その他の疾病では30%低かった。また、最適な血液中のビタミンEのレベルは13-14mg/lと考えられた。
 ビタミンEのサプリメントの摂取では死亡率改善効果が認められていないが、研究者らは、食事からビタミンEを摂取することは有益であると結論づけている。

【文献】
Wright, M. E. et al.: Higher baseline serum concentrations of vitamin E are associated with lower total and cause-specific mortality in the Alpha-Tocopherol, Beta-Carotene Cancer Prevention Study. Amer. J. Clin. Nutr. 84: 1200-1207. (2006)