2004年12月


2004/12/31
 今年は、台風や地震で多くの被害を受けた。イラク戦争が激化し、凶悪な犯罪も多く発生した。研究環境も悪化している。どうにかならないのだろうか。
 しかし、スーパーマンが現れて一挙解決とはいかない。どうにかするためには、やはり、一歩一歩の地道な努力しかない。それは分かっているが、気の遠くなるような道のりを思い佇んでしまう。
 宮城谷昌光著「長城のかげ」(文春文庫)を読んだ。この本は、中国古代の項羽と劉邦の時代を描いた短編連作集である。混乱の時代に生きた人々の思想と行動は心にしみる。明日に向かって踏み出す勇気を与えてくれる。
 来年が平和で、よい年でありますように!


2004/12/30
 歳末の29日、東京・上野の約430店が連なる幅8メートルの通りの商店街「アメヤ横丁」(通称アメ横)は、雪が降りしきる中、正月用の食材を求める買い物客でごった返したと共同通信が伝えている(04/12/30)。大みそかまでの3日間で、約170万人の人出を見込んでいるとのことである。
 いよいよ今年も残すところあと1日となった。貧乏暇なしを地でいく忙しい年であった。


2004/12/29
 京都大の篠原隆司教授らのグループが生後すぐの精子を作り出す細胞(精巣)の中に「万能細胞」を発見したと科学雑誌セルに報告した。
 Kanatsu-Shinohara M, Inoue K, Lee J, Yoshimoto M, Ogonuki N, Miki H, Baba S, Kato T, Kazuki Y, Toyokuni S, Toyoshima M, Niwa O, Oshimura M, Heike T, Nakahata T, Ishino F, Ogura A, Shinohara T., (2004) Generation of pluripotent stem cells from neonatal mouse testis. Cell, 119:1001-1012.
 再生医療への応用が研究されている受精卵の胚性幹細胞(ES細胞)と同じ機能を持つ「万能細胞」は、精子のもとになる精子幹細胞を培養する研究のなかで見つかり「多能性生殖幹細胞(mGS細胞)」と名づけられた。ES細胞のように、筋肉や血液、神経などの体細胞や生殖細胞など多種類の細胞になりうると述べている。しかし、ES細胞と違い、オスだけがいれば作り出せる。
 ES細胞は胎児になる前の受精卵の細胞を利用するが、mGS細胞は生まれたあとの精巣を使うので、倫理的な問題は少ないと考えられ、再生医療の新たな技術として期待されている。


2004/12/28
 米科学雑誌サイエンス(Breakthrough of the year. Science, 306: 2001, 2010-2012 & 2013-2017 (2004))は、今年最大の科学的進歩として火星に水が存在していた「証拠」を見つけた米航空宇宙局(NASA)探査車の成果(On Mars, a Second Chance for Life)を第1位に選んだ。NASAが火星に送り込んだ2台の無人探査車「スピリット」「オポチュニティー」について、「地球以外に生命が存在した可能性のある場所を発見するという、人類初の偉業を成し遂げた」と、高い評価を与えた。ドナルド・ケネディ(Donald Kennedy)編集長は「今年のトップにはほとんど異論がなかった」と強調している。特に、ロボット技術を駆使した探査車の性能に注目し、「火星や月への有人飛行計画を重視するあまり、ロボット探査をおろそかにするべきではない」と述べている。

 第2位は、「ホモ・フロレシエンシス」と名付けられた人類の化石の発見が選ばれた(The Littlest Human)。インドネシア東部のフロレス島で発見された身長1メートル、脳の容積は現代人の3分の1以下で、約1万8000年前まで現代人の祖先と共存していたとみられる。

 3位には、クローン研究が挙げられた(Clone Wars)。ソウル大のファン・ウソク(SukHwang)教授らのチームは最近、ヒトのクローン胚から、人体のあらゆる細胞に成長する能力を持つ胚性幹細胞(ES細胞)を作ることに成功したと発表した。

 4位は、超低温で現れる物質の状態「ボーズ凝縮」(Deja Condensates)を、「フェルミオン(fermion)」粒子により高い温度で実現した研究。
 5位は、遺伝情報を持たずジャンク(くず:)と呼ばれていたDNA(Junk DNA)に重要な役割があることを指摘した研究(Hidden DNA Treasures)。
 6位は、新たな中性子星の発見(Prized Pulsar Pair)。
 7位は、絶滅危機にある生物についての新たな報告(Documenting Diversity Declines)。
 8位は、水を取り巻くなぞに迫る研究(Splish, Splash)。
 9位は、世界各地で進む官民共同の医薬品開発(Healthy Partnerships)。
 10位は、海水や地中から採取された新種の遺伝子の解明(Genes, Genes Everywhere)。


2004/12/28
 「ドラえもん」そっくりのキャラクターが米連邦通信委(Federal Communications Commission (FCC))のHPに記載されており、著作権を持つ藤子プロ側が「非常に似ている」と警告の申し入れ書を送ったと共同通信が伝えている(04/12/28)。
 このドラえもんには耳があるが、藤子・F・不二雄原作の「ドラえもん」にそっくりである。名前はブロードバンド君。
 下記のサイトで耳のあるドラえもんが見られるが、非常に重いページなので、サイトを開けるときは注意が必要である。明らかに著作権を侵害していると思う。
 http://www.fcc.gov/cgb/kidszone/


2004/12/28
 Yahoo! JAPANサーファーチームより、Yahoo!の新着サイトとカテゴリー トップ > 生活と文化 > グルメ、ドリンク > 各種食品、料理 > 果物 に登録されるとのメールをもらった。うれしい。アクセス数が前日と比較して約7倍増加した。やはりYahoo!の影響力は大きい。


2004/12/27
 1905(明治38)年創業の小千谷市の老舗果物店「星野屋」は、隣に総合病院があり、多くの見舞客が訪れた。夏涼しくて冬暖かい15畳の地下室があり「夏なのにナシや桃を買える」と評判を呼んだ。3代目の夫良雄さんを92年に亡くし、洋子さんが後を継いだ。創業100年目の記念すべき創業100年目を新潟県中越地震が襲った。
 店の土台は傾き、壁もはがれ落ちた。その惨状に、果物店を切り盛りする4代目主人星野洋子さん(63)は廃業を決意し、泣く泣く従業員8人に「解雇」を通告した。だが独立して北海道、東京、京都に暮らす息子3人から異口同音に言われた。「お母さんこそ頑張らないと」
 「必要としてくれる人がいる。もう一度やってみよう」。今月1日、市役所そばに所有する駐車場にプレハブを建てて営業を再開した。従業員も元通り働いている。(毎日新聞04/12/25)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/
niigatajishin/news/20041226k0000m040043000c.html

 とても良い話である。


2004/12/26
 バランスの取れた食生活に向けた「食生活指針」を広く普及するため、農水省は、フードガイド(仮称)づくりに着手したと日本農業新聞が伝えている(12/25)。各食品の望ましい摂取量を料理で具体的に図式化する。新基本計画づくりに合わせ、来年3月末までの完成を目指す。野菜不足や塩分、脂肪の取り過ぎなど、現在の食生活を改善するのに「何を」「どれだけ」食べればいいか、ひと目で分かる絵をつくるという。米国のフードガイドピラミッドを参考に、主食類、主菜類、副菜類、果物に分けて構成する考えとのことである。
 検討委員会資料は下記。
 http://www.maff.go.jp/food_guide/1_itiran.htm
 上記資料を見ると相変わらず果物の位置づけは低い。野菜と果物は同等であるとすべきであると思う。


2004/12/25
 6時、サンタさんは中国から東南アジア、ヒマラヤ山脈、インドを経由して、中東、ロシア、エジプトを過ぎギリシャを通過中です。サンタさんのそりを引くトナカイの先頭にいる赤いお鼻のルドルフを確認できましたか。サンタさんのそりはとても早いので流れ星のように見えます。
 日本では夜が明けてきたようです。
 http://www.noradsanta.org/japanese/radar/index.html(日本版)
 http://www.noradsanta.org/english/radar/index.html(英語版)

 7時45分、サンタさんがイタリア上空にいるのが確認されました。サンタさんのそりにナビゲータがついているのが見えました。日本時間で朝9時になるとグリニッチ時(標準時)では真夜中の0時です。もうすぐロンドンで確認できるのではないでしょうか。

 大西洋上で一休みしてお菓子を食べたサンタさんは、南アメリカへ向かい、プレゼントを配り終わると北に向かい北アメリカ、ニューファンドランド島上空を飛行中です。

 17時、サンタさんはアメリカ大陸を横断し、西海岸のシアトルにいます。このあとバンクーバーに向かうそうです。飛行は時間通りとのことです。アメリカの子供たちの皆さん、プレゼントは届いていますか。

 17時35分、サンタさんはハワイに到着したと追跡チームが報告しています。追跡は、これで終わりとのことです。ただ、サンタさんは、これからもう一度寝ていなかった子供たちのところを訪ね、プレゼントを配るそうです。メリークリスマス。


2004/12/24
 日本時間で19時、サンタさんが北極上空で発見されました(グリニッジ時間より日本は9時間進んでいます。)

 日本時間で21時30分ニュージーランド上空を通過中!
 http://www.noradsanta.org/japanese/radar/earliertonight/1200.html
 25日0時、オーストラリアを過ぎて、日本上空を通過中!サンタさんのそりのスピードは新幹線の100倍も速いそうです。

 下記の地図の日本上空をクリック。
 http://www.noradsanta.org/japanese/radar/index.html


2004/12/23
 サンタ追跡の準備はいかがですか。世界中から送られるサンタカム・ビデオを見たり聞いたりするには、無料リアルプレーヤーの8ベーシックが必要です。
 2004年12月24日の朝早くから、サンタさんの居場所探しが始まります。何年も前から保存されている綿密な記録、そして高度な技術を身に付けたレーダー・サテライト技師の力を借りて追跡が行われます。サンタさんがクリスマスイヴに訪れる場所は大体見当がついているとのことです。
 クリスマス音楽は下記のサイトで。
 http://www.noradsanta.org/japanese/christmasmusic/index.html


2004/12/21
 中国北部、黄河近くにある河南省の村で、9000年以上前の陶器のつぼから、世界最古とみられるワインの残留物を見つけたと、アメリカ科学雑誌「Proc. Natl. Acad. Sci. USA」に発表された。 (McGovern, P.E. et all., Fermented beverages of pre- and proto-historic China. PNAS published December 8, 2004, 10.1073/pnas.0407921102) 。分析手法など、この欄で詳細について報告する。


2004/12/20
 クリスマス・イブを控え、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が「サンタ追跡プログラム」のウェブ・サイトを開設した。24日朝から、世界中に設置したカメラを使ってサンタを追跡し、ウェブ上の地図で居場所を知らせる。1955年から始まったこのプログラムは、今年で50回目。NORADの高性能レーダーや人工衛星などのハイテク機器を駆使して、トナカイがひくソリに乗ったサンタの場所を調査している。 24日にはサンタの居場所が、リアルタイムでわかるようになっている。
 日本語サイトは下記。今から準備をしよう。
 http://www.noradsanta.org/japanese/index.html

サンタさんはいるの?

編集者さんへ、

 私は8歳になります。何人かの友達がサンタクロースはいないと言っているの。パパは、昼間サンタさんが見えればいるんだよと言っています。真実を教えてください、サンタクロースはいるの?

1897年12月、バージニア・オーハンロン (Virginia O'Hanlon)より


バージニアへ

 君の友達はまちがっていますよ。その子たちはきっと、何でとうたがう、うたがい病にかかっているんだと思います。自分に見えるものだけしか信じない、自分にわからないことは、何でもうそだと思うんです。あのね、バージニア、心というものは大人でも子供でも、みんな小さいものなんです。この偉大な宇宙の中では、人間を囲っている限りない世界に比べると、人の知性はアリのような、一匹の虫のようなものなのです。存在する真理と知識の全てを理解するなんて、人間にとっては計り知れないものなのです。そうですバージニア、サンタクロースはいます。この世に、愛や優しさや信じる心があるように、またそれらのものが満ち溢れ、人生に最も崇高な愛と喜びを与えてくれると君も知っているように、サンタさんは本当にいるのです。ああ!もしサンタクロースがいなかったら、この世はなんてさびしくて、つまらなくなってしまうでしょう。バージニアという子供たちが存在しないのと同じくらいさびしいところになってしまうでしょう。そしたら、この世に生きていくのに耐えていけるための、子供のように純真な信じる心も、詩も、ロマンスも存在してはいないでしょう。ただ目で見たり、手でさわったりするもの以外に、なんの喜びもなくなってしまうはずです。世界をてらしてくれる子供時代という名の永遠の光は、消え去ってしまうでしょう。

 サンタクロースを信じないですって!サンタクロースなんていないなんて言うのは、妖精を信じないのと同じです。クリスマスにパパにお願いして、誰かをやとってもらい、町中のエントツをみはってもらったらどうでしょう。サンタクロースがつかまるかもしれませんよ! でも、もしエントツから下りてくるサンタクロースが見えなかったとしても、それが何の証拠になるでしょう。サンタクロースを見た人は誰もいません。でもそれは、サンタクロースがいないということの証明ではありません。この世の中で一番真実なことは、子供にも大人にも見えないものなのです。君は、妖精が芝生の上でダンスをしているのを見たことがありますか?もちろん、ないでしょう。だからといって、それが妖精がいないという証拠にはならないのです。この世の中には、見たり見られたりすることができない不思議があるでしょうが、そういう不思議を全部、想像したり実際に思い浮かべたりできるとは限りません。人は、中の何が音をたてているのか見たくて、赤ちゃんのがらがらを分解したりします。でも、目に見えない世界をおおっているベールがあって、どんな力持ちでも、今までにいた一番の力持ちの力を合わせても、それをやぶることができないのです。ただ、信じる心や、詩や、愛や、ロマンスだけがカーテンを開き、その向こうにある超自然の美や栄光をながめさせてくれるのです。それって本物なのでしょうか?

 ああ、バージニア、これほど真実で永遠に続くものは、この世の中には他にはないのです。

 サンタクロースがいないですって!?

 すばらしいことに、サンタさんは生きています。それも永遠に。

 バージニア、今から何千年たっても、それどころか一万年たっても、子どもの心をよろこばせつづけてくれるんです。

 -- Yes, Virginia, There is a Santa Claus.  ニューヨーク・サン新聞より (The New York Sun)


2004/12/18
 魚類のえらは進化の過程で失われ、陸上の脊椎(せきつい)動物にはないと考えられてきたが、人の血中のカルシウム濃度を一定に保つ働きをする副甲状腺は、えらが変化したものであることが分かった (Okabe M, Graham A., Proc Natl Acad Sci USA, 51:17716-17719. (2004))。この成果はゲノム(全遺伝情報)を用いた解析から得られたもので脊椎動物が海から陸へ上がった進化の過程を解明する新たな手掛かりと考えられている。


2004/12/17
 植物において乾燥ストレスによって活性化するタンパク質リン酸化酵素を同定し、この遺伝子を利用して乾燥ストレスに強い植物を作製することに成功したと、理研の研究グループが報告している。
 水分不足や高濃度の塩類などの影響による乾燥ストレスは、植物の生育を著しく阻害し、世界の農業生産に深刻な影響を与えている。研究グループは、モデル植物であるシロイヌナズナを用いて、乾燥ストレスによって活性化するタンパク質リン酸化酵素SRK2Cを同定した。さらに、SRK2C遺伝子をシロイヌナズナで過剰に発現させると、乾燥耐性が有意に向上することが明らにした。この遺伝子は、乾燥地帯などで農作物を栽培するのに有利な特性として応用期待が期待される。
 概要は理研の下記のサイトに掲載されている。
 http://www.riken.jp/r-world/info/release/
press/2004/041203/index.html



2004/12/16
 朝日新聞に連載している南極「越冬隊の人々」で気象観測を担当している佐々木利さんを取り上げている(04/12/16)。
 零下60度にもなる厳冬の大陸遠征で、風上に顔を向け、観測機器を掲げて15分間。40日間で計218回の観測。そのため、顔中が黒く変色するほどの凍傷を負った。「地球で最も寒い気象条件を全身で体験し、記録したかった」と佐々木さん。
 昭和基地では、気温や風速、日照時間など、11項目の観測記録をとりまとめ、観測機器の整備にあたる。日々、同じ作業の繰り返しだが、「気候変動などを解明するには、一日でもデータが抜けてはならない」という。 この地道な日常が科学の進歩につながるのだと思う。
 サイトは下記。
 http://www.asahi.com/nankyoku/people/TKY200412160191.html


2004/12/16
 ふたご座流星群による流れ星をたくさん見られることを期待していたのですが、残念ながらあまり見ることは出来ませんでした。
 流れ星が消えるまでに祈った願いは叶えられると言われています。今回も流れ星を探しながら何を祈ろうかと考えましたが、やはり子供の成長が一番だと思いました。若い頃に何を願ったかを思い出してみると自分のことばかりだったように思います。子供は親のことなど願いはしませんが、親は子供のことが一番心配です。
 そうした親の思いを踏みにじるような出来事が立て続けに起こりました。北朝鮮に拉致された横田めぐみさんのニセ遺骨。奈良の少女を殺害した犯人による両親への卑劣な電話。最低最悪で許すことの出来ない行動です。こうしたことがおきない社会にする努力をしなくてはいけないと改めて思っています。


2004/12/13
 子どもたちに科学の楽しさを知ってもらおうと、日本ユネスコ協会連盟が主催したソニーの二足歩行人型ロボット「QRIO(キュリオ)」を使った体験教室が群馬県高崎市役所であり、午前の部には地元の中学生ら約120人が集まったと朝日新聞が伝えている(04/12/12)。
 QRIOがダンスやクラシック音楽の指揮を披露したほか、開発担当者に質問するコーナーもあり、会場からは「どうしてロボットを作ろうと思ったのですか」といった質問が寄せられた。
 また、QRIOに直接触れることができる時間もあり、生徒たちは目を輝かせながらQRIOとの交流を楽しんだ。

 科学の楽しさを伝えるにはどうしたらよいのだろうか。多くの試みが行われているが、「直接ふれる」、「開発者や研究者と話が出来る」が大きなインパクトになるのかも知れない。


2004/12/11
 日経新聞NIKKEIプラス112面にリンゴの生活習慣病が取り上げられ、私たちの「リンゴ摂取で中性脂肪が減る」「リンゴでアレルギー予防」が取り上げられました。お近くに日経新聞がありましたらお読みください。


2004/12/11
 IBMがパソコン事業を中国企業に売却するとの発表には驚いた。IBMは、現在使われている大半のパソコンの規格(IBMが公開した仕様をもとに作られたIBM互換パソコン)を作った企業である。今までIBMはパソコン開発のシンボル的な企業であった。しかし、そのIBMが利益の出ないパソコン事業より、収益性の高いサービス部門を拡大する戦略を選択し、パソコン事業を売却した。
 利益を追求する企業とはこういうものかもしれないが、今まで特別な存在であったIBMという企業が普通の会社になってしまったとの感想である。企業理念への信頼感が薄れたので、今後は、IBMだから選ぶということはなくなるだろう。
 農業はこうは行かない。動くことのない土地を耕すことを離れては考えられないからだ。生活もそうだ。税金が高くなり暮らしにくくなったから別な国に移りますとはいかない。農業と企業の理念はこの点で大きく異なる。


2004/12/10
 国立天文台では、できるだけ多くの人に流れ星を眺めてもらおうと、流星数が最も多くなると思われる12月13日(月曜日)の夜に「ふたご座流星群を眺めよう」というキャンペーンを行う。この夜の20時~22時(午後8時~午後10時)の間に、15分ほど夜空を観察し、その間に何個の流れ星を見ることができたかを報告してもらう。また、13日から14日にかけての夜を中心に、前後1週間ぐらいは流星群が活動しているので、極大の時より少ないが、他の夜にも流星を見ることができるとのこと。詳細は下記のサイトで。
 http://www.nao.ac.jp/pio/20041213geminids/index.html


2004/12/09
 国連食糧農業機関(FAO)は、世界の食料不安に関する年次報告書を発表し、毎年500万人以上の子供が飢えのために死亡していると報告した。「5秒に1人」が死亡している計算で、食糧事情の改善が必要だと訴えている。
 報告書によると、2000─02年で飢えに苦しむ人の数は約8億5200万人に達し、1990年代半ばから1800万人増加した。96年の世界食糧サミットで、2015年までに飢えに苦しむ人を半減させる目標を設定したが、90─92年に比べて900万人しか減っていないと指摘している。 特に、中国とインドでの問題悪化に言及している。
 また、飢えや栄養不足により、年間約300億ドル(約3兆1000億円)の医療費が掛かると試算。飢餓問題の解決は、国にとっても良い投資になるとして、問題解決に向けて各国が積極的に取り組むよう促している。
 FAOのプレスリリースのサイトは下記。
 http://www.fao.org/newsroom/en/news/2004/51809/index.html


2004/12/08
 睡眠時間と食欲との関係についてヒト介入研究と疫学調査の2つの研究についてCNNなどが伝えている。

[ヒト介入研究]
 米シカゴ大学のグループは、20代前半の健康な男性12人を対象に、4時間睡眠を2日続けた後、10時間睡眠を2日続けた後、食欲に関係するレプチンとグレリンの血中濃度を測定した。レプチンは満腹中枢を刺激する働き、グレリンは食欲を促す作用がある。この結果、4時間睡眠を2日続けた場合、レプチンの濃度が18%減少し、グレリンは28%増加したことが分かった。 4時間睡眠の後のグレリンの濃度は、9時間寝た後と比べ71%も多かったという。 また、睡眠時間を減らした場合、キャンディーやケーキなどの甘いものやでんぷん質の食物をより多く取る傾向がみられた。その理由として、睡眠不足で疲労がたまると、脳がブドウ糖で満たされるため、体が純粋に糖類を欲しがるのではと推測している。睡眠時間の長さは、2種類のホルモンの増減、空腹感の強さと関係することが明かとなった。

[疫学調査]
 米スタンフォード大学のグループは、1000人を対象に実施した調査から、いつも5時間以下の睡眠しか取らない人は、常に8時間寝る人に比べ、グレリンの濃度は平均で14.9%多く、レプチンは15.5%少なかったと報告している。また、肥満度の指標であるBMI指数を使って統計をまとめたところ、睡眠時間の少ない被験者の方が、体重が多かったとのことである。

 ヒト介入研究と疫学調査の結果が一致したので、睡眠時間と空腹感との間にはかなり強い関係があると言える。


2004/12/07
 12月10日から国立科学博物館で日本の科学者技術者展シリーズ第1回「高峰譲吉生誕150年記念展」が開催される。国立科学博物館上野勇館のホームページは下記。
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/index.html
 高峰譲吉(1854~1922年)は、ホルモン物質(アドレナリン)の抽出・結晶化に世界で初めて成功した。その時の結晶化したアドレナリンをスケッチした実験担当者のノートの復刻や、高峰が使っていた机や顕微鏡などが公開されるという。


2004/12/06
 青森県西目屋村の尾太(おっぷ)鉱山跡地の廃水中から、最大で直径7.5センチの淡水性マンガン団塊が発見されたと報道された。マンガン団塊は深海底に大量にあり、将来の金属資源として注目されるが、陸上でマリモのように大きく「成長」した形で発見された例は珍しいという。 マンガン団塊の形成に微生物が関与しているとみられ、そうした環境を調べれば、より短時間に価値の高いマンガン団塊を作り出せる可能性があるとのことである。
 興味深い発見である。マンガンの利用的価値、微生物によるミネラルの体内蓄積など、時間があればもう少し周辺を調べてみたい。


2004/12/05
 胎児のエコー診断に使われる超音波は、脳梗塞(こうそく)の治療にも威力を発揮することが、米テキサス医科大などの研究で明らかになった。この研究は、カナダ、スペインとの共同チームの成果で医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの最新号に報告された。
 脳梗塞発症直後の患者126人に脳に超音波を当てる治療を試したところ、2時間以内にほぼ半数の患者で、血流の回復や症状の改善がみられた。
 超音波は脳梗塞の診断によく使われるが、最近は治療効果にも期待が寄せられている。しくみは解明されていないが、血栓付近の血液をかきまぜ、薬の効果を高めるのではないかとのことである。


2004/12/04
 日本など10カ国・地域が1998年から進めてきたイネの全遺伝情報(イネゲノム)の完全解読が、12月中旬に完了する見通しとなったと毎日新聞が伝えている(04/12/02)。このことにより、ゲノムに存在する重要な遺伝子などの存在位置がこれまでより早く、正確に割り出せるようになり、栄養価の高い品種や病気・害虫に強い品種など、さまざまな品種改良に結びつくと期待される。今回の解読完了により、全体の95%にあたる3億7000万の塩基配列が99.99%の精度で、ほぼ切れ目なく解読されたという。


2004/12/03
 糸井重里氏の「中越地区のある町の観光再生のための企画」が下記のサイトに載っている。大変参考になるコラムである。コメをリンゴに、ミカンなどに変えたらどうだろうか。ぜひ下記のサイトを見て頂きたい。
http://www.1101.com/darling_column/index.html
 コメントの一部を引用する。
 「美味しい水、美味しいコメ、山の幸、景観にすぐれた山々、川、歴史のある温泉」は、もちろん観光資源ではある。しかし、都市周辺以外のほとんどの田舎には、「美味しい水、山の幸、景観にすぐれた山々、川」くらいはある、と思ったほうがいい。
 ということは、つまり、
 「美味しい水、山の幸、景観にすぐれた山々、川」のある、ほとんどの田舎の人たちは、この町を訪れる理由がないということだ。

 コメのめしがうまい、ということにおいて、すでにこの地方は、ブランドとなっている。しかも、日本一ブランドと言っていいほどの強いブランドになっている。

 「コメのめしの旅」!
 観光の核は、この「コメのめし」という、あらゆる日本人にとっての基本中の基本のおいしさを、万人に味わってもらおうということになる。このとき、「美味しいコメ」を育てた「美味しい水」が、こんどは、そのコメを炊くための秘密兵器になる。

 「コメのめしの旅」は、ローカロリーでリーズナブルだ。しかし、予算に糸目はつけないという場合には、ふつうの献立に見えて、実は「最高のぜいたく」という、センスのいい和食が提供できる。最高級のごはん茶わんに、最高のごはんをよそって、最高の出汁をとり、最高の野菜をつかったみそ汁を添え、天然のぶりの塩焼きを少々、漬物は京都から選りすぐり、最高の卵に最高のしょうゆをちょっと加えて、卵かけごはんも食べつつ‥‥。

 これで、温泉もあるのだからたまらない。

 カギは、この町が呼びかけて、日本中の「うまいもの文化交流」を実現することである。市場を編集すれば、儲けたい人、試したい人、売り出したい人は、自然にその舞台にやってくる。


2004/12/03
 毎日更新することはつくづく難しいと感じている。今後も毎日という訳にはいかないとしても、これからも出来るだけ更新を続けたいと思っている。