2007年1月


2007/01/31 2型糖尿病の予防に生活習慣の改善が有効
 生活習慣の改善は2型糖尿病を予防あるい進行を遅らせることができるとイギリスの研究チームが発表した。食事内容を健康的なものにして運動量を増加させると2型糖尿病の発症リスクを半分に出来るとしている。従って、研究者らは糖尿病予防薬ととともに生活習慣の改善が糖尿病を予防するために必要であるとしている。

【文献】
Gillies, C. L. et al.: Pharmacological and lifestyle interventions to prevent or delay type 2 diabetes in people with impaired glucose tolerance: systematic review and meta-analysis. BMJ. Online 19, Jan. 2007 [doi:10.1136/bmj.39063.689375.55]


2007/01/30 産経新聞に「果物」の記事
 産経新聞に「見直しましょう“果物” ダイエットに効果 生活習慣病を予防」が掲載された。多くの人に読んでもらえるとうれしい。

WEBサイトにも記事が掲載されている。
http://www.sankei.co.jp/seikatsu/kenko/070130/knk070130000.htm


2007/01/29 朝食を食べない子供は十代後半で体重が増す
 アメリカ・ミリアム病院とブラウン医科大学の研究グループが、アメリカの9,919人の青少年(7学年~12学年まで)を対象に調査を行った結果、朝食を食べない子供とファーストフードをひんぱんに食べる子供は十代後半に体重が増加することが分かった。

【文献】
Niemeier, H. M. et al.: Fast Food Consumption and Breakfast Skipping: Predictors of Weight Gain from Adolescence to Adulthood in a Nationally Representative Sample. J. Adol. Health. 39: 842-849. (2006) [doi: 10.1016/j.jadohealth.2006.07.001]


2007/01/28 肥満患者はやせの患者より急性心不全の回復が早い?
 アメリカ・カリフォルニア大学の研究グループが、BMI値が高いほど急性の心臓疾患で入院した患者の病院内の死亡率が低いと発表した。この研究結果は、従来の考え方(BMI値が高く肥満の人ほど心臓病による死亡率が高い)と大きく異なる。そのため、研究論文のタイトルも肥満パラドックスとしている。
 研究では108,927人を対象にアメリカ国内263病院で行われた。BMI値に従って4分割(QI:16.0-23.6, QII:23.7-27.7, QIII:27.8-33.3, QIV:33.4-60.0)して調査したところ高いグループは低いグループより死亡率が10%低かった。
 肥満の人は新陳代謝が良く回復が早くなり院内の死亡率が低いと示唆されるが、この研究だけでは不足でさらなる研究が必要であるが興味深い研究である。

【文献】
Fonarow, G. C. et al.: An obesity paradox in acute heart failure: Analysis of body mass index and inhospital mortality for 108927 patients in the Acute Decompensated Heart Failure National Registry. Amer. Heat J. 153: 74-81. (2007)


2007/01/27 果物と野菜の摂取はメタボリックシンドローム予防に効果
 イランの研究チームがテヘランに住む486人を対象に果物と野菜の摂取とC反応性タンパク質とメタボリックシンドロームとの関係について調べた。被験者の果物の摂取量は、平均で1日当たり228±79g、野菜の摂取量は186±88gであった。血液中のC反応性タンパク質は、果物の摂取量に従って5分割し低い順に1.94、1.79、1.65、1.61、1.56mg/Lであった。また、野菜では順に2.03、1.82、1.58、1.52、1.47mg/Lであった。メタボリックシンドロームとの関係では果物の摂取量が多い人は少ない人よりリスクが34%低く、野菜では30%低かった。
 以上の結果より、果物と野菜の摂取はメタボリックシンドロームのリスクを下げることが分かった。その理由としてC反応性タンパク質が関係していると考えられた。従って、果物と野菜の摂取量を増やす必要があると研究者らは述べている。

【文献】
Esmaillzadeh, A. et al.: Fruit and vegetable intakes, C-reactive protein, and the metabolic syndrome. Am. J. Clin. Nutr. 84: 1489-1497. (2006)


2007/01/26 炎症性遺伝子と塩分過敏性高血圧との関連
 アメリカ・ジョージア医科大学の研究者らは、高血圧と炎症性遺伝子との関連性を指摘している。研究グループは、高血圧とは炎症性症状の一種であり、高血圧症状を引きおこすのはある種の遺伝子環境における多くの相互作用の結果であるとして研究を行っている。研究者らは、炎症反応と高血圧は、ナトリウムを放出する腎臓の能力と関係があると考えている。

研究の詳細はジョージア医科大学の下記のサイトで読める。
http://www.mcg.edu/news/2006NewsRel/Zhu122706.html


2007/01/25 オリーブオイルはガンのリスクを減らす
 オリーブオイルを食事に追加するとガンのリスクが減少するとデンマークの研究チームが発表した。研究では、182人の男性を対象に1日当たりオリーブオイルを2.5ml摂取してもらったところ、細胞の損傷を示すバイオマーカー8oxodGのレベルが下がった。
 一方、北ヨーロッパの人は、南ヨーロッパの人と比べて8oxodGのレベルが高いが、この違いはオリーブオイルの摂取量と関係している可能性があると研究者らは述べている。

【文献】
Machowetz, A. et al.: Effect of olive oils on biomarkers of oxidative DNA stress in Northern and Southern Europeans. FASEB J. Online Nov. 16, (2006) [doi: 10.1096/fj.06-6328com]


2007/01/24 ねつ造事件と視聴率
 昨日発売された週刊朝日に「納豆ダイエット「ウソだった!」(112: 18-24. (2007) 2/2号)」が掲載された。この記事を読むと、関西テレビが主張している「部分的には事実と異なる内容を放送してしまったが、番組全体については学説に基づいて制作した」としていることも怪しくなる。納豆と体重との関係を調べたデータが本当にあるのだろうか。また、被験者の体重を本当に減少したのかも疑問を感じる。相当に悪質な事例である可能性がある。
 今回のねつ造事件は、番組の評価を視聴率という1つの数字だけからみることと関係しているのではないかと思う。視聴率が良いとは視聴者の要求を満たす番組である。視聴者の要求を満たす番組が良い番組であり、視聴者の要求を満たせない番組は悪い番組であるとなる。この論理からすると視聴率の良かった納豆ダイエットの番組内のデータのねつ造も許容されてしまう。視聴者は、番組を見て満足したのだから文句を言う筋合いはないとなる。再発防止は視聴率に頼らない番組評価に改めることが必要ではないかと思う。


2007/01/23 混濁リンゴジュースはポリフェノールが多い
 ポリフェノールは、心臓病やガンのリスクを下がることが知られている。ポーランドの研究者らが、リンゴの混濁ジュースと清澄ジュースを分析したところ、混濁ジュースのポリフェノール含量は清澄ジュースと比較して2倍多く含まれていることが分かった。

【文献】
Oszmianski, J. et al.: Comparative study of polyphenolic content and antiradical activity of cloudy and clear apple juices. J. Sci. Food Agri. Online: 15 Jan (2007) [DOI: 10.1002/jsfa.2707]


2007/01/22 「発掘!あるある大事典Ⅱ」のデータねつ造と果物との関係
 本サイトで紹介している果物のガン予防とリンゴなど果物のダイエット効果についても番組内で取り上げられている。この点についての科学的根拠は充分にあり、「あるある大事典」の検証結果の如何に関わらず本サイトの記事を変更する必要はないと考えている。
 リンゴなど果物のダイエット効果は、カロリーが少なくて、重さに比べてボリュームが大きく、水分や食物繊維を多く含むためである。例えば、リンゴの食物繊維は、水を吸収すると体積が12~38倍にも大きくなる。このように食物繊維は、ボリュームを大きくする力が強いため満腹感が得られ、結果として摂取する食事の量が減り、体重を減らす効果がある。

果物とガン予防は下記にまとめた。
http://www.kudamononet.com/LifeStyle/medical/cancer.html
果物のダイエット効果は下記にまとめた。
http://www.kudamononet.com/LifeStyle/medical/obesity.html



2007/01/21 「発掘!あるある大事典2」でねつ造
 「発掘!あるある大事典2」で1月7日に放送された「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」でねつ造があったと番組を制作した関西テレビが発表した。
 ねつ造は以下の5点であるという。1)被験者がやせたことを示すのに別人の写真を使用した。2)米の大学教授の発言の日本語訳の一部をねつ造した。3)被験者の一部の中性脂肪値が正常値になったとしたが測定していなかった。4)納豆を朝2パックまとめて食べた場合と、朝晩1パックずつ食べた場合の比較で、被験者の血中イソフラボン濃度の結果をねつ造した。5)被験者の血中のDHEA(副腎から分泌されて性ホルモン)のデータをねつ造した。また、年齢に伴ってDHEAが減少するとしたグラフを許可なく引用したことも発表した。
 なぜ、ねつ造したのか。ねつ造が極めて悪質な問題であることは情報を発信するテレビ局としてのイロハではないのか。被験者の体重は実際に減ったとテレビ局は発表しているが本当か。この部分が崩れるとさらにねつ造のたちが悪くなる。
 「部分的には事実と異なる内容を放送してしまったが、番組全体については学説に基づいて制作した」としているが、本当に充分な科学的根拠があるのかも検証の対象となるだろう。
 関西テレビは社内に調査委員会を設け、原因の究明を行うとともに過去の放送分についても検証を行い、番組を継続するかどうかを含めて検討するとしている。また、関西テレビから同番組の制作を受注した「日本テレワーク」は、2年前にも番組で実験結果をねつ造し、放送が打ち切りになっていたと毎日新聞が伝えている。


2007/01/21 ねつ造事件のコメントを考える
 新聞各紙がねつ造問題に対して消費者の怒りの声を掲載している。一方、メーカーなどは、「納豆にはあまり栄養がないとされるのが怖い」、「納豆は伝統ある食品。今回の問題には困惑しているが、納豆に対する消費者の信頼は崩れないと確信している」とコメントしている。だが、全国紙におわび広告を出した大手納豆メーカーT社の担当者は、「正直言って、テレビで放映されて良かったという声は社内では一つもない」とコメントしている。
 ねつ造と科学的根拠のある納豆の健康効果とは直接的な関係はないが影響は避けられないだろう。だが、T社のコメントは予想の範囲内だが、やはり悲しい。

 昨年の「発掘!あるある大事典2(第130回:10月22日)」で『あなたのダイエットフルーツはどっち?みかんorリンゴ』が放映された。その中で果物のダイエット効果についてコメントした部分には充分な科学的根拠があるので問題はない。が、番組の一部にねつ造があればやはり事件になる。そのとき、T社の担当者のように関係者から「正直言って、テレビで放映されて良かったという声は一つもない」とのコメントは必ず出てくるだろう。あるいは「勝手に情報を流して迷惑である」とも言われるだろう。

 情報を発信するとは、リスクを負うことでもある。このリスクを避けるには情報を発信しないことである。どちらを選ぶかは研究者の選択だろう。私はこうしたリスクを選択した。ただし、ねつ造や科学的根拠のない情報、科学的根拠があっても納得できない報告は流さないと決めている。


2007/01/20 アメリカ:2年連続ガンの死者実数が減少
 アメリカでガンによる死者の実数が2年連続で減少したとアメリカガン学会が発表した。2年連続の減少にアメリカガン学会のSeffrin会長は「予防、早期発見、治療の効果を高める努力が、命を救う劇的な結果をもたらしている」と述べた。
 2003年にガンによる死者実数が前年より369人減少した。このことは1930年から統計を取り出して初めてのことであった。2004年の死者実数は553,888人で、2003年より3014人減った。
 2004年は女性の肺・気管支以外の肺・気管支、結腸・直腸、前立腺、乳ガンにによる死亡実数が前年より減少した。

上記発表は下記のサイトで読める。
http://www.cancer.org/docroot/NWS/content/
NWS_1_1x_Cancer_Deaths_Down_Again.asp



2007/01/19 記者懇談会盛況
 本日開催された「毎日くだもの200グラム運動」記者懇談会は盛況でした。多くの方にお集まりいただき、会場が狭いくらいでした。また、質問が多く、予定していた時間をかなりオーバーしましたが熱心な質疑で充実した懇談会でした。果物の力を知っていただけたのではないかと思います。

 『食事バランスガイドに果物が初めて入った理由』
 ~医者にも誤解されている果物の効能~


 「果物の摂取は糖尿病を誘発しやすい」というのは誤りで、逆に予防に効果的です。そのほか果物摂取はダイエットに効果的なことや生活習慣病予防に有効なことも科学的にも証明されています。
 農研機構果樹研究所 果物&健康NEWS編集長 田中敬一

 試食会:リンゴを使ったフルコースのオリジナルレシピの紹介~家庭で簡単に作れます~
 サッポロライオン銀座ライオンブラッスリー小松店調理長 安齋功ニ氏

【 日時 】 平成19年1月19日(金)  14:00 ~ 15:30   (13:45より受付) 
【 会場 】 銀座ライオンブラッスリー  小松店
          中央区銀座6-9-5 ギンザコマツB1  TEL 03-3571-7000

問い合わせ・申し込みは下記までお願いいたします。
「毎日くだもの200グラム運動」記者懇談会事務局
㈱サン・クリエイティブ・パブリシティ内 青木



2007/01/19 ポリコサノールはコレステロールを下げない
 アメリカでベストセラーの1つとして知られる栄養補助食品ポリコサノール(policosanol)は、コレステロールを下げると広告されているが、その効果はないと科学雑誌に報告された。
 ポリコサノールはコレステロールを下げるスタチン(statin)と同じくらい有効であるとの報告が複数あるが、一つの研究グループからの報告のみであった。
 そこで、ノースカロライナ大学の研究グループは、コレステロールがやや高い40人の成人に対して偽薬とポリコサノールを8週間以上飲用してもらった。その結果、偽薬と比べてポリコサノールのコレステロール改善効果は認められなかった。

【文献】
Dulin, M. F. et al.: Policosanol is ineffective in the treatment of hypercholesterolemia: a randomized controlled trial. Am. J. Clin. Nutr. 84: 1543-1548. (2006)


2007/01/18 カリフォルニアに大寒波、カンキツに大被害
 アメリカ・カリフォルニア州に寒波が襲来し、氷点下の気温が数日間にわたって続いたため、収穫を控えたオレンジやレモンなどのカンキツが大きな被害を受けているとCNNが伝えている。収穫予定のカンキツのうち、4分の3が被害を受けた可能性があるとしている。カリフォルニア州のカンキツの生産量は全米一であり、販売されるレモンの86%、オレンジの21%を占めているため寒波による被害が価格や供給量に大きな影響を与えると予想されている。

CNNの記事は下記のサイトで読める。
http://www.cnn.com/2007/US/01/17/citris.freeze.ap/index.html


2007/01/17 低炭水化物、高タンパク質ダイエットで総死亡率が増加
 ヨーロッパで健康な成人113,230 人を対象に総死亡率について追跡調査が行われた。その結果、炭水化物の摂取量が多いと総死亡率は減少したが、タンパク質の摂取量が多いと総死亡率は増加していた。炭水化物とタンパク質と摂取量に従って5分割した場合、低炭水化物で高タンパク質の食事をしている人の死亡リスクが22%高くなることが分かった。

【文献】
Trichopoulou, A. et al.: Low-carbohydrate-high-protein diet and long-term survival in a general population cohort. Eur. J. Clin. Nutr. Online Nov. 29. (2006) [doi: 10.1038/sj.ejcn.1602557]


2007/01/16 低タンパク質ダイエットはガン予防に効果的
 アメリカ・ワシントン医科大学の研究から、長期的に低たんぱく質、低カロリーダイエットをする人は、定期的に持久運動している人と比べて血漿成長因子の一つIGF-1が極めて低くガンに対する保護効果がより強いことが分かった。

【文献】
Fontana, L. et al.: Long-term low-protein, low-calorie diet and endurance exercise modulate metabolic factors associated with cancer risk. Am. J. Clin. Nutr. 84: 1456-1462. (2006)


2007/01/15 ゆっくり食べると摂取カロリーが減少する
 アメリカ・ロードアイランド大学の研究から、ゆっくり食事をすると摂取カロリーが減少することが分かった。若い女性30人にパルメザンチーズで付けられたトマトと野菜ソースの食事を好きなだけ食べてもらったところ、急いで食べたとき(9分)は平均646カロリー摂取したが、ゆっくり食べるとき(29分)は579カロリーの摂取であった。このことから、ゆっくり食べることで、食べる量も減り、食をより楽しむことができることが分かった。

【文献】
Andrade, A. et al.: Eating rate and satiation. 2006 Obesity Soc. Ann. Sci. Meeting. 20-OR (2006)
著者による解説記事は下記のサイトで読める。
http://www.uri.edu/news/releases/?id=3771


2007/01/14 肝臓ガンのリスクに影響する食品
 イタリアで行われた研究によると、牛乳、ヨーグルト、果物などを多く摂取していると肝臓ガンのリスクが低くなることが分かった。185人の肝臓ガン患者と健康な412人を対象に研究を行った結果、肝臓ガンのリスクが牛乳とヨーグルトを多く摂取していると78%、卵では69%、トリ胸肉では56%、果物では52%低くなったが、野菜では統計的な差は認められなかった。

【文献】
Talamini, R. et al.: Food groups and risk of hepatocellular carcinoma: A multicenter case-control study in Italy. Int. J. Cancer 119: 2916-2921. (2006) [doi: 10.1002/ijc.22267]


2007/01/13 葉酸の摂取量が多い人とアルツハイマー病のリスクが低い
 葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12は、ホモシステインレベルを下げる働きを通じてアルツハイマー病のリスクを下げるとされていた。
 そこで、オーストラリア・タスマニア大学の研究チームは認知症のない65歳以上の965人を対象に追跡調査を行った結果、葉酸の摂取量が最も多いグループは、少ないグループと比較してアルツハイマー病の発症リスクが半分であった。一方、ビタミンB6とB12ではこうした関係は認められなかった。
 以上の結果から葉酸の摂取は、アルツハイマー病の発症と関係していると結論づけた。

 果物は葉酸が豊富であること、管ののの摂取量が多いとアルツハイマー病発症のリスクが少ないことなどがすでに報告されているが、こうした報告と今回の結果は矛盾しない。

【文献】
Luchsinger, J. A. et al.: Relation of Higher Folate Intake to Lower Risk of Alzheimer Disease in the Elderly. Arch. Neurol. 64: 86-92. (2007)


2007/01/12 腸内細菌が肥満と関係
 同じだけ食べても太る人と太らない人がいるが、その理由に腸内細菌が関係しているとアメリカ・ワシントン大学医学部の研究チームが発表した。
 マウスの腸内に棲む 主要な腸内細菌であるBacteroidetesとFirmicutesについて調べた結果、肥満のマウスの腸内のBacteroidetesは50%未満で、Firmicutesは50%以上であった。また、肥満の患者は、肥満のネズミと同様にBacteroidetesが少なくFirmicutesが相対的に多いことが分かった。さらに、肥満患者の体重が減少するに伴って腸内の Bacteroidetesは増加しFirmicutesは減少した。以上の結果より、肥満の現任の一つとして腸内細菌が関係していると結論づけた。

【文献】
Turnbaugh, P. J. et al.: An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest. Nature 444: 1027-131 (2006) [doi: 10.1038/nature05414]


2007/01/11 16世紀:イタリア・メディチ家当主の変死の理由解明
 イタリア・フィレンツェの支配者だったメディチ家当主で、変死したフランチェスコ1世(1541―87年)夫妻の死因は、ヒ素による毒殺であったことをイタリアの研究チームが明らかにした。
 夫妻は1587年10月、同時に倒れ1日違いで亡くなった。当時からフランチェスコ1世の弟で枢機卿のフェルディナンド1世が当主の座を狙い毒殺したとのうわさが広まったが、マラリア原因説も強くイタリア史の謎とされていた。
 研究チームは、素焼きのつぼに納められ教会に保管されていた夫妻の肝臓組織を分析し、通常以上のヒ素を検出したことから毒殺されたと結論づけた。

【文献】
Mari, F. et al.: The mysterious death of Francesco I de' Medici and Bianca Cappello: an arsenic murder? BMJ 333: 1299-1301. (2006) [doi: 10.1136/bmj.38996.682234.AE]


2007/01/10 それでもリンゴはダイエットに効果的
 1月6日付け毎日新聞に「本当?「2週間で2キロ程度やせられる」 過大評価は危険」(小島正美記者)と題した記事が掲載された。この記事は、「発掘!あるある大事典」の番組内容の検証であるが、放送された内容の一部のみ(ポリフェノール)を取り上げ、学者は疑問視として、高橋久仁子・群馬大学教育学部教授と度会隆夫・甲子園大学栄養学部教授のコメントを掲載している。
 リンゴのダイエット効果は、ポリフェノールよりも食物繊維の寄与が大きいと考えているが、この点については、わずか60字程度触れているのみである。私たちの主張は、本サイト(下記)に掲載しているので読んでいただきたいが、検証取材として十分ではないと思う。
 また、識者の「2、3の症例だけでは信頼できるデータとはいえない」とするコメントも承伏しかねる。リンゴはダイエットに効果的であるとする十分な論文があると考えており、こうした論文を読まれたあとの科学的な反論は考慮する必要があるが、読んでいないと思われるコメントには納得できない。むしろ、データを見てもいないのにコメントするとは科学者の態度としてどうなのかと疑問を感じる。

果物摂取でダイエット、肥満予防 - 目次


2007/01/03 若いときの運動は将来の骨折リスクを減らす
 アメリカ・インディアナ大学の研究者らは、ラットの実験から若いときに運動しておくと大人になってからの骨折リスクが減ると発表した。若いときに運動しておくと骨のサイズや強さが増強され、運動による疲労の回復も良く、このことは一生涯続くことが分かった。

【文献】
Warden, S. J. et al.: Exercise When Young Provides Lifelong Benefits to Bone Structure and Strength. J. Bone Mineral Res. online (2006) [doi: 10.1359/jbmr.061107]


2007/01/01 謹賀新年
 本年もどうぞよろしくお願いいたします。