2007年5月


 2007年5月31日
リンゴジュースとぜん息との関係

 イギリス・南ロンドンの子供たち2640人(5-10歳)を対象にぜん息と果物摂取との関係が調査されました。

 その結果、リンゴジュースを1日当たり1回以上摂取していた子供たちは、1ヶ月に1回以下の子供たちと比べて、ぜん息の喘ぎ症状の発生が47%低くいことが分かりました。

 喘ぎ症状は、ぜん息の重要なサインの1つです。しかし、リンゴジュースとぜん息との間には直接的な関係は見いだされませんでした。

 そのため、研究者らはさらなる研究が必要であるとした上で、ぜん息予防には、ビタミンや抗酸化成分に富んだ食事が大切であることを示す証拠の1つと考えています。

【文献】
Okoko, B. J. et al.: Childhood asthma and fruit consumption in South London. Eur. Respir. J. Online Feb. 14, 2007 [doi: 10.1183/09031936.00097806]




 2007年5月30日
穀類由来の食物繊維は2型糖尿病の発症リスクを下げる

 穀類由来の食物繊維とマグネシウムの摂取量が多いと2型糖尿病の発症リスクが低くなるとドイツの研究チームが発表しました。

 男性9,702人、女性1万5,365人を対象に、平均7年間行った追跡調査と、これまでに発表された食物繊維とマグネシウムに関する研究のメタ解析が行われました。

 その結果、穀類由来の食物繊維の摂取量を5分割し、摂取量が最も多かった群は最も少なかった群に比べ、2型糖尿病発症のリスクが28%低いことが分かりました。果物由来の食物繊維や野菜由来の食物繊維の摂取量と2型糖尿病との間には統計的な関連性は認められませんでした。また、メタ解析の結果、穀類由来の食物繊維は2型糖尿病の発症リスクが33%低く、マグネシウムでは23%低くなりました。

【文献】
Schulze, M. B. et al.: Fiber and Magnesium Intake and Incidence of Type 2 Diabetes: A Prospective Study and Meta-analysis. Arch. Intern. Med. 167: 956-965. (2007)




 2007年5月29日
火星:スピリットもオポチュニティも、元気に活躍中

 2004年に火星に到着した無人火星探査車スピリット(spirit)もオポチュニティ(opportunity)も元気に活躍しています。

 最近、スピリットから送られてきたX線画像を解析した結果、シリカ(二酸化ケイ素)を約90%含む土壌が発見されました。シリカを高濃度に含む土壌が作られるためには水が必要なことから、研究者らは、火星に水があったとする今までで最も確実な証拠としています。オポチュニティは、ビクトリアクレーターを探索中です。

スピリットから送られてきた画像は下記のサイトで見られます。
http://www.nasa.gov/mission_pages/mer/images/pia09491.html

火星探査車の活動状況は下記のサイトで読めます。
http://marsrovers.jpl.nasa.gov/mission/status.html




 2007年5月28日
インスリン分泌量と体重減少とが関係

 インスリン分泌量の多い人は、低グリセミック・ロードの食事で体重の減少が大きいことが分かりました。

 グリセミック・ロード(GL)とは、糖質の質及び摂取量を考慮した食品の指標です。GL=「一人前の分量の食物に含まれる糖質のグラム数」×「その食物のGI/100」で計算します。このグリセミック・ロードの計算の元となるグリセミック・インデックス(GI)とは、血糖上昇反応度の指標です。糖質を50g含む食品を摂取した後の血糖値の上昇を、基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇と比較し、パーセントで表した数字です。GIが高い食品ほど血糖が急激に上昇し、インスリンの分泌が必要となります。

 アメリカ・ボストン小児病院の研究チームは肥満の成人(18-35歳)73人を対象に6カ月の介入試験と12、18カ月後に追跡調査が行われました。被験者の半数は、低グリセミック・ロード食、残りの半数は、低脂肪食を摂取しました。研究開始時に、ブドウ糖負荷試験を行い血液中のインスリンの分泌傾向について調査を行いました。

 調査した結果、全体では両群ともに体重の低下が認められましたが統計的に有意の差は認められませんでした。しかし、インスリンの分泌が平均を超える人は、低脂肪食の摂取群では18カ月で体重が2.6ポンド(約1.2kg)減少しましたが、低グリセミック・ロード食では18カ月で12.8ポンド(約5.8kg)と大きな体重の減少がみられました。また、低グリセミック・ロード食群ではHDL-コレステロールおよびトリグリセライド(中性脂肪)の値が大幅に改善されたのに対し、LDL-コレステロールは低脂肪食での改善効果が大きいことが分かりました。

 以上の結果から、インスリンの分泌の多い人では、低脂肪食より低グリセミック・ロード食が有効である可能性があると研究者らは考えています。低グリセミック・ロード食は、血糖インデックス(GI)の低い炭水化物を摂取するので、血糖値の上昇がゆるやかで、インスリンの分泌を比較的安定に保つことができます。低グリセミック・ロード食には、果物、野菜、豆類、低精白穀類などが含まれています。

【文献】
Ebbeling, C. B. et al.: Effects of a Low?Glycemic Load vs Low-Fat Diet in Obese Young Adults - A Randomized Trial. JAMA. 297: 2092-2102. (2007)




 2007年5月28日
重要な科学情報は見つからない

 多くの人が情報を見つけるためにインターネットを利用しています。しかし、重要な科学情報は、ウェブサイト上で見つけるのが難しいことが分かりました。イギリス・オックスフォード大学の研究によれば、主要な科学情報サイトはGoogle検索で上位30番目までに表示されないことが分かりました。

 研究では、社会的に重要なHIV/エイズ、気候変動、インターネットなど6項目についの科学情報がウェブ上でどう扱われているかを調査をしました。その結果、ウェブ上の情報は中立的ではないことが分かりました。いくつかのサイトには、他のものよりアクセスしやすくする特定の構造がありました。 そして、この構造はGoogleなどのサーチエンジンによる検索結果に影響を及ぼしています。

 そのため、ウェブ上の情報は、明らかではない方法で「勝者と敗者」が決まってしまい、内容に基づいていないと研究者らは考えています。

 情報は「目に見えること」が重要ですが、現状では、気候変動などの研究結果を探している人が、最も評価された研究に遭遇することは難しいことが分かりました。

【文献】
The World Wide Web of Science: Emerging Global Sources of Expertise
http://www.esrcsocietytoday.ac.uk/esrcinfocentre/
viewawardpage.aspx?awardnumber=RES-160-25-0031





 2007年5月25日
塩分を減らすと心臓病のリスクが低下

 塩分を減らすと心血管疾患や冠動脈性心臓病のリスクが減少することがハーバード大学などの研究から分かりました。

 アメリカで、約3千人を対象に減塩および食事指導の行った結果、指導を受けた介入群では、塩分の摂取量が10gから7g程度に減りました。その後の調査から、介入後10-15年間え心血管疾患リスクが25%、冠動脈性心臓病リスクが20%低下していたことが分かりました。

 この結果は、栄養指導を行うと食事からの塩分の摂取量が有意に減少し、その効果は長期有効であることを示しています。

【文献】
Cook, N. R. et al.: Long term effects of dietary sodium reduction on cardiovascular disease outcomes: observational follow-up of the trials of hypertension prevention (TOHP). BMJ, 334: 885 (2007) [doi:10.1136/bmj.39147.604896.55]




 2007年5月23日
DASH摂取プランで体重が大きく減少

 アメリカ・ペンシルバニア州立大学などの研究グループは、果物などエネルギー密度の低い食品を摂取するDASH摂取プランで体重が減少すると報告しました。

 研究では、50才以上で健康であるが太った(BMI値の平均33.6)男女658人を対象に摂取エネルギー、摂取した食品のエネルギー密度、体重の変化について6カ月調査が行われました。ボランティアを、1)食事の教育セッションを1回受けたグループ、2)食事のカウンセリングについての18のセッションを受け、運動を増やし、摂取エネルギーを減らすように指導されたグループ、3)食事のカウンセリングについての18のセッションを受け、DASH(Dietary Approaches Stop Hypertension)摂取プランの食事指導を受けたグループに分け調査が行われました。

 その結果、DASH摂取プランの食事指導を受けたグループは6ヶ月間で体重が大きく減少し(-5.9kg)、他のグループよりも体重の減少幅が大きかった。また、DASH摂取プランの食事指導を受けたグループは、他のグループより果物、野菜、低脂肪の乳製品、食物繊維、ビタミン、ミネラルの摂取量が多く、食事のエネルギー密度も低いことも分かりました。

 以上の結果から、研究者らは果物などエネルギー密度の低い食品を摂取するDASH摂取プランは食事の栄養価が高いだけでなく体重を減少するために有効である結論づけています。

【文献】
Ledikwe, J. H. et al.: Reductions in dietary energy density are associated with weight loss in overweight and obese participants in the PREMIER trial. Am. J. Clin. Nutr. 85: 1212-1221. (2007)




 2007年5月22日
日本:女性は長寿世界一、男性は2位

 世界保健機関(WHO)は「世界保健報告2007(World Health Statistics 2007)」を発表しました。この中で2005年の平均寿命が世界で一番長かったのは、男性はサンマリノの80歳、女性は日本の86歳でした。日本は前回まで男女とも「長寿世界一」でしたが、今回の発表では男性の平均寿命が79歳で2位でした。

 その他、男性の平均寿命が長いのはオーストラリア、アイスランド、スウェーデン、スイスで、日本と並ぶ79歳です。女性はモナコが85歳で2位、フランス、サンマリノなど7カ国が84歳で3位でした。世界193カ国(地域も含む)の平均寿命は男性64歳、女性68歳です。

WHOの平均寿命の各国の数値は下記のサイトで読めます。
http://www.who.int/whosis/whostat2007_1mortality.pdf

サンマリノ(San Marino):イタリア半島の中部に位置する国で、周囲は全てイタリア、世界で5番目に小さな国です。




 2007年5月21日
カナダ:糖尿病り患率が予測値を上回る

 カナダ・オンタリオ州における2005年の糖尿病り患率が、世界保健機関(WHO)の予測値を上回っていると医学雑誌に発表されました。

 研究では、オンタリオ州の人口データベースを用いて、1995年から2005年における糖尿病のり患率と死亡率を、また1997年から2003年の成人における新規糖尿病発症者数を求めました。

 その結果、糖尿病り患率は1995年から2030年の間に5.2%から8.8%と、69%上昇しており、WHO がカナダにおける同期間の上昇率として予測した65%を上回っていることが分かりました。

 WHOの推計では、世界の糖尿病人口は1995年から2030年までに30%、2000年から2030年の間に39%上昇するとされていましたが、オンタリオ州のり患率は、ここ5年間で27%上昇していました。もしこの傾向が続くのであれば、2010年以前に成人人口の10%が糖尿病にり患すると予測されています。

 WHOの予測値は肥満率が一定程度にとどまるとの予測に基づいていましたが、それ以上に肥満が増えていることと、州内への移民の増加がり患率上昇につながったと推測しています。異なる環境で生まれ育った移民が、西洋流の高カロリー食や、身体活動量の少ない生活スタイルになるとそれ自体が糖尿病の危険因子となります。

【文献】
Lipscombe, L. L. and Hux, J. E.: Trends in diabetes prevalence, incidence, and mortality in Ontario, Canada 1995?2005: a population-based study. Lancet 369: 750-756. (2007) [DOI: 10.1016/S0140-6736(07)60361-4]




 2007年5月15日
女性のアルコール依存症患者は男性より認知症になりやすい

 ロシアなどの研究チームは、女性は男性よりアルコールの摂取量が少ないが、 男性より短期間でアルコールよる害が出て認知症などになりやすいと報告しました。  ロシア人の男性アルコール中毒患者78人と女性患者24人、また、健常者68人を 対象に運動機能や視覚機能を測定しました。その結果、女性のアルコール患者は、男 性の患者と比べて、視覚作業、空間認知、問題解決能力、認識の柔軟性が低く、認知 症になりやすいことが分かりました。

【文献】
Flannery, B. et al.: Gender Differences in Neurocognitive Functioning Among Alcohol-Dependent Russian Patients. Alcoholism: Clinic. Exper. Res. 31: 745?754. (2007) [doi: 10.1111/j.1530-0277.2007.00372.x]




 2007年5月14日
果物と野菜の摂取は冠動脈心臓病のリスクを下げる

 フランスの研究グループは、男性9万1379人と女性12万9701人を対象に、果物と野菜の摂取と冠動脈性心臓病との関連について調査を行いました。この研究は今までに発表されている9つの疫学調査(コホート研究)をメタ分析した報告です。

 その結果、1日当たり果物と野菜の摂取量を1単位増やすと冠動脈心臓病のリスクが4%(P=0.0027)減少しました。果物の摂取量を1単位増やすと7%(P<0.0001)、野菜では11%減少しました。

 以上の結果から、果物と野菜の摂取は冠動脈心臓病のリスクを下げる働きがあるとしています。

【文献】
Dauchet, L. et al.: Fruit and Vegetable Consumption and Risk of Coronary Heart Disease: A Meta-Analysis of Cohort Studies. J. Nutr. 136: 2588-2593. (2006)




 2007年5月12日
植物のビタミンC全生合成経路が明らかに

 アメリカ・UCLA化学&生化学の研究者グループが、植物体内でビタミンCが作られる全経路を明らかにしました。

 ビタミンCは、植物体内でグルコースから10のステップで合成されていまが、7番目のGDP-L-galactoseからL-galactose 1-phosphate へ変換される過程が不明でしたが、アラビドプシス(Arabidopsis thaliana)を遺伝子操作して、この変換にVTC2と呼ばれる酵素(GDP-L-galactose/GDP-D-glucose phosphorylase)が関与していることを解明しました。

【文献】
Linster, C. L. et al.: Arabidopsis VTC2 encodes a GDP-L-galactose phosphorylase, the last unknown enzyme in the Smirnoff-Wheeler pathway to ascorbic acid in plants. JBC Online Apr. 26 (2007) [doi: 10.1074/jbc.M702094200]




 2007年5月9日
1回の高脂肪食で血圧上昇

 カナダ・カルガリー大学の研究グループは、高脂肪食を1回摂取するだけで食後に血圧が上がることを報告しました。

 高血圧や心臓病の病歴のない18~25歳の健康な30人を対象に、1回に42gの脂肪を摂取する高脂肪食グループと1gしか摂取しない低脂肪食グループに分け、食後に血圧を測定しました。その結果、高脂肪食群は低脂肪食群に比べ、血圧が1.25~1.5倍上昇することが明らかになりました。

【文献】
Jakulj, F. et al.: A High-Fat Meal Increases Cardiovascular Reactivity to Psychological Stress in Healthy Young Adults. J. Nutr. 137: 935-939. (2007)




■ 2007年5月6日
光を当てると結晶が曲がる

 紫外線を当てると棒状の結晶が一瞬で縮み、可視光線を当てると元通りに伸びる物質を立教大、九大、大阪市立大の研究グループが見つけました。

 長さ0.3mmの棒状の結晶をバットのように使い、微小なガラス球を「打つ」実験にも成功し、その様子がビデオで公開されています。結晶の先端近くに小さなガラス球を置いて、右から紫外線を当てると結晶の右側の紫外線が当たった部分だけ長さが約10%縮むとともに右に曲がり、ガラス球をはじき飛ばしました。そして、可視光線を当てると結晶は再び伸びて元に戻りました。

 今までに光で変形する物質はいくつか知られていましたが、固い結晶が変形するのは初めての発見とのことです。この結晶は、研究グループが開発したジアリールエテンと言う物質です。

 ミクロレベルの動力源に使える可能性や、非接触で微小な物を操る極小のピンセットなどへの応用が期待されています。

結晶が硝子球を打つビデオは下記のサイトで見られます(このビデオを見るためにはQuickTime Playerが必要です)。
http://www.nature.com/nature/journal/v446/
n7137/extref/nature05669-s6.mov


【文献】
Kobatake, S. et al.: Rapid and reversible shape changes of molecular crystals on photoirradiation. Nature 446: 778-781. (2007) [doi:10.1038/nature05669]




 2007年5月5日
アカゲザルのゲノムが解読される

 ヒト(2001年)、チンパンジー(2005年)に続いて霊長類のアカゲザルの全ゲノム配列(全遺伝情報)が解読されました。ヒトとチンパンジーが分岐したのは600万年前と比較的新しいが、アカゲザルとの分岐は2,500万年前と考えられています。

 チンパンジーとヒトは99%の遺伝子が一致していますが、アカゲザルとヒトでは約97.5%でした。また、進化の過程で変化している遺伝子は約200あり、これが霊長類同士の差を決定していると考えられています。

 生物医学の分野ではアカゲザルの研究が広く実施されています。今回決定されたゲノム配列は、エイズや老化などヒトの健康に関する様々な研究に役立つだけでなく、霊長類の進化についても理解を深める手助けになると期待されています。

下記Scienceのサイトでアカゲザルのゲノム情報が公開されています。PDFファイル(62ページ)をダウンロードすることもできます。
http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/316/5822/222/DC1

研究プロジェクト(Rhesus Macaque Genome Project)のホームページは下記です。
http://www.hgsc.bcm.tmc.edu/projects/rmacaque/

【文献】
RMGSA Consortium: Gibbs, R. A. et al.: Evolutionary and Biomedical Insights from the Rhesus Macaque Genome. Science 316: 222-234. (2007) [DOI: 10.1126/science.1139247]




 2007年5月3日
ビタミンCは胃ガンのリスクを下げる

 血液中のビタミンC含量が多いと胃ガンのリスクが低くなるとヨーロッパの研究グループが発表しました。

 今まで行われた多くの症例対照研究では、食事からビタミンCを多く摂取していると胃ガンのリスク下がると報告されていますが、前向きコホート研究の結果からはビタミンCの胃ガンに対する効果は限定的であると報告されています。

 そこで、ビタミンCと胃ガンとの関係を明らかにするために、ヨーロッパ10ヵ国が参加した研究(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC))が行われました。

 その結果、ビタミンCの食事からの摂取量と胃ガンとの関係は観測されませんでしたが、血液中のビタミンC含量が多いと胃ガンのリスクが下がることが明かとなりました。血液中のビタミンC含量が最も高い群は、最も低い群と比べて胃ガンのリスクが45%低いことが分かりました。また、発ガン物質であるニトロソ化合物を増加する可能性がある赤肉と加工肉の摂取量が多い人ほどビタミンCの効果は顕著でした。

 以上の結果から、ビタミンCは、赤肉や加工肉の摂取で増加する可能性があるニトロソ化合物の作用を打ち消す働きなどを通じて胃ガンの予防に効果があるのではないかと研究者らは推測しています。

【文献】
Jenab, M. et al.: Plasma and dietary vitamin C levels and risk of gastric cancer in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC-EURGAST). Carcinogenesis 27: 2250-2257. (2006)




 2007年5月2日
最高血圧で脳卒中のリスクを予測

 アメリカで行われた研究によると最高血圧は、最小血圧などより脳卒中のリスクを予測する因子として優れていることが分かりました。

 男性3295人、女性3462人を対象に15年間の追跡調査が行われました。その結果、最高血圧が脳卒中のリスクを予測する因子として、他の様々な血圧に関するパラメーターより優れていることが分かりました。また、最高血圧が10mmHg増加すると脳卒中のリスクは男性で19%づつ、女性で15%づつ増加することも分かりました。

 以前から脳卒中のリスクと最高血圧との関係が指摘されていましたが、今回の結果は、そうした研究を支持しています。

【文献】
Brown, D. W. et al.: Blood Pressure Parameters and Risk of Fatal Stroke, NHANES II Mortality Study. Amer. J. Hyper. 20: 338-341. (2007)




 2007年5月1日
肥満は前立腺ガンリスクを高める

 アメリカ・シアトルのFred Htchinson Cancer Research Centerの研究チームは、前立腺ガンと診断された肥満男性は、同じく前立腺ガンと診断されたやせている男性より死亡率が高くなると発表しました。

 1993-1996年に前立腺ガンと診断された男性752人を対象に平均9.5年間追跡調査を行った結果、BMI値が30以上の肥満体の男性は、前立腺ガンでの死亡率が2.6倍高く、ガンの転移のリスクも3.6倍高いことが分かりました。

 以上の結果から、肥満体の男性は前立腺ガンのリスクが高まることが分かったと研究者らは述べています。同時に。前立腺ガンの治療に減量が役立つかについては別の臨床試験が必要であるとしています。

【文献】
Gong, Z. et al.: Obesity is associated with increased risks of prostate cancer metastasis and death after initial cancer diagnosis in middle-aged men. Cancer 109: 1192-1202. (2007)

2007年4月


2007/04/29 肥満の予防と治療に対するカナダの新ガイドライン

 カナダの医学会誌に、子供と成人に対する肥満の予防と治療に対するガイドラインが発表された(2007/4/10)。この新ガイドラインは医学の専門家と政策立案者により作成され、国として作成された世界で最初のガイドラインである。このガイドラインでは以下のことを推奨している。

・太りすぎや肥満を解消するための最初の処置は、生活習慣(食生活、運動)の改善を行う。もし失敗したら、薬物療法や肥満手術を考える必要がある。
・太りすぎか肥満体であるなら10歳から血糖値やコレステロールなどの測定を定期的に受ける必要がある。
・体重管理プログラムに参加する患者に対して、ライフスタイルを変更するための方法やサポートを受けられるようにする必要がある。
・子供たちの太り過ぎや肥満を防ぐためのプログラムを学校で行う必要がある。また、体育の時間などを通じて毎日の活動を増やすようにする必要がある。
・テレビやビデオ、ゲームなどに使う時間を1日あたり2時間未満に制限する必要がある。

【文献】
Lau, D. C. W. et al.: 2006 Canadian clinical practice guidelines on the management and prevention of obesity in adults and children. CMAJ 176: S1-13. (2007) [doi: 10.1503/cmaj.061409]

下記のサイトで上記要約及び論文全文を読める。
http://www.cmaj.ca/cgi/content/full/176/8/S1/DC1


2007/04/29 朝日新聞茨城版で「果物&健康NEWS」が紹介される

 本日の朝日新聞朝刊の茨城版にメールマガジン「果物&健康NEWS」の紹介記事が掲載されました。WEBページにもありますので読んでみてください。
http://mytown.asahi.com/ibaraki/news.php?k_id=08000000704290005
 もし、まだメールマガジンのご登録がお済みでなかったら、ぜひ、この機会にご登録ください。


2007/04/28 フラボノイドの摂取と心臓関連の死亡率を下げる

 アメリカとノルウェーの研究チームは、植物由来のフラボノイドを多く摂取すると心疾患による死亡率が低くなると報告した。

 アメリカに住む閉経後の女性34,489人を対象に16年間調査を行った結果、フラボノイドの摂取量が多いと冠動脈心臓病、心血管疾患による死亡率が低くなることが分かった。

 フラボノイドは、アントシアニジン、フラバノン、フラボンに分類される。フラバノンの摂取量が多い人は、少ない人と比べて冠動脈心臓病のリスクが22%低く、アントシアニジンの摂取量が多いと摂取していない人と比べ心臓病関連の死亡率が10%低かった。

 フラボノイドを多く食品であるリンゴやナシは冠動脈心臓病と心血管疾患のリスクを下げることも分かった。そのほか、グレープルルーツは冠動脈心臓病を、イチゴは心血管疾患をのリスクを下げた。

 以上のことから、研究者らはフラボノイドの豊富なしく品を摂取すると冠動脈心臓病や心血管疾患による死亡リスクが下がると述べている。

【文献】
Mink, P. J. et al.: Flavonoid intake and cardiovascular disease mortality: a prospective study in postmenopausal women. Amer. J. Clin. Nutr. 85: 895-909. (2007)


2007/04/27 フラボノールとすい臓ガン予防

 すい臓ガンの危険因子としてはっきりしているのは喫煙だけである。アメリカ・カリフォルニアとハワイに住む18万3518人を対象にmすい臓ガン発症とフラボノールの摂取量を調べた結果、フラボノールの摂取量が多い人は、少ない人と比べてすい臓ガンのリスクが23%低いと、カリフォルニア大学などの研究チームが発表した。特に、喫煙者では、フラボノールの摂取量が多いと、少ない人に比べて59%発生のリスクが低いことが分かった。

 フラボノールは、ポリフェノールの一種で、リンゴやタマネギ、ベリー、ケール、ブロッコリーなどの果物や野菜に多く含まれている。そのため、研究者らは、植物性食品を食べることはすい臓ガンの予防に対して有効であると述べている。

【文献】
Nothlings, U. et al.: Flavonols and pancreatic cancer risk: The Multiethnic Cohort Study. Amer. Assoc. Cancer Res. Ann. Meeting 2007 abstract No. 856 (2007)


2007/04/26 果物と野菜摂取は頭頸部のガン予防に効果的

 アメリカに住む成人49万802人を対象に5年間、食事摂取と頭頸部のガンについて調べた結果、果物と野菜を1日当たり1サービング増やすと頭頸部のガンの発生が低くなることが分かったとアメリカ・国立がんセンターの研究チームが発表した。

 果物と野菜を1,000カロリー当たり6サービング摂取している人は、1.5サービングの人と比べて頭頸部ガンの発症が29%低いことが分かった。以上の結果から、1,000カロリー当たり果物か野菜を1サービング増やすと頭頸部のガンのリスクが6%減少すると研究者らは述べている。

【文献】
Freedman, N. D. et al.: Fruit and vegetable intake and head and neck cancer in a large United States prospective cohort study. Amer. Assoc. Cancer Res. Ann. Meeting 2007 abstract No. 849 (2007)


2007/04/25 リンゴを食べた妊婦の子供は小児ぜん息になりにくい

 イギリスとオランダの研究チームは、1924人の妊婦に食物頻度アンケートを行い、5年後にその子供1,253人の気道を調べたところ、妊娠中にリンゴを食べた女性から生まれた子供の小児ぜん息のリスクは統計的に有意に低かった。このリンゴ効果は特異的で、喘鳴のリスクが37%、ぜん息のリスクが46%、医者による治療が必要なぜん息のリスクが53%低くなることがわかった。

【文献】
Willers, S. et al.: Maternal food consumption during pregnancy and asthma, respiratory and atopic symptoms in 5-year-old children. Thorax. Online 27 March (2007) [doi: 10.1136/thx.2006.074187]


2007/04/24 果物や野菜、ナッツを摂取するとぜん息予防に効果的

 果物や野菜、ナッツを豊富に摂取していると子供のぜん息と呼吸アレルギー予防に効果があると、ギリシャやイギリスなどの研究チームが発表した。

 クレタ島に住む7歳から18歳の子供たち690人を対象に調査したところ、80%子供たちは毎日1日に2回以上、リンゴやオレンジ、ブドウなどの果物を摂取していた(野菜は68%であった)。果物や野菜などを沢山摂取していると喘鳴とアレルギー性鼻炎に対する保護作用のあることが示唆された。また、ナッツを多く食べていた子供はぜん息のリスクが低かった。また、果物や野菜の摂取量が多く、脂肪の摂取量の少ない地中海ダイエットはアレルギー性鼻炎に有効であることも分かった。一方、マーガリンの摂取が多いと喘鳴とアレルギー性鼻炎のリスクが高まった。

 以上の結果から、果物や野菜、ナッツに含まれている抗酸化成分がぜん息予防に有効ではないかと研究者らは述べている。

【文献】
Chatzi, L. et al.: Protective effect of fruits, vegetables and the Mediterranean diet on asthma and allergies among children in Crete. Thorax. Online 5 April (2007) [doi: 10.1136/thx.2006.069419]


2007/04/23 高血糖の女性はガンになりやすい

 高血糖の女性はガンになりやすいとスウェーデン・ウメア大学(Umea Univ,)の研究チームが発表した。

 女性3万3293人と男性3万1304人を調査したところ、女性のガンのリスク危険は最も血糖値が低いグループに比較して、最も高いグループは26%リスクが高くなることが分かった。一方、男性ではこうした関係は認められなかった。

 以上の結果から、女性では、肥満の如何にかかわらず、血糖値が高い女性はガンのリスクが高くなることから、血糖値の高い女性は生活習慣の改善が必要であると研究者らは述べている。

【文献】
Stattin, P. et al. Prospective study of hyperglycemia and cancer risk. Diabetes Care. 30: 561-567. (2007)


2007/04/20 海外トピックス:ノルウェー議会で果物と野菜に変更

 ノルウェーは閣議や会議などで提供される軽食を、従来のお菓子類から果物と野菜に変更するとした内閣府の通達がだされたとAFPが伝えた(07/3/20)。
 現在、会議中はクッキーやケーキが提供されているが、果物や野菜など健康にいい食べ物も用意するもので、この通達はあくまで「助言」であって「義務」ではないとのことである。

ニュースの全文は下記のサイトで読める。
http://rawstory.com/news/afp/Serve_fruits_rather_
than_chocolate__03192007.html



2007/04/19 肥満はぜん息発症を促進

 過体重および肥満の人は、標準体重の人に比べてぜん息を発症しやすいとアメリカ国立ユダヤ医療研究センターの研究グループが発表した。
 ぜん息は気道の炎症および狭窄を伴う慢性疾患で治癒は難しいが管理が可能であることが多い。反復性の喘鳴(ぜんめい)、咳(せき)、アレルギーを起こしやすいなどの症状があり、アメリカの罹患者数は、小児患者900万人を含め約2,000万人といわれる。また、アメリカ人の65%は肥満または過体重であるとされ、ぜん息と肥満との関連性も従来の研究から示唆されていた。

 アメリカ、カナダ、ヨーロッパでぜん息とBMI(肥満指数)との関係について1966年~2006年に行われた7つの研究(計33万3,000人以上)を検討した結果、BMIが25以上の人はぜん息発症率が50%高く、体重が増えるに従ってリスクも増大することが分かった。また、男女差は認められなかった。

 以上のことから肥満が重度のぜん息の危険因子であると研究者らは述べている。

【文献】
Beuther, D. A. and E. R. Sutherland: Overweight, Obesity, and Incident Asthma
A Meta-analysis of Prospective Epidemiologic Studies. Amer. J. Resp. Crit. Care Med. 175: 661-666. (2007) [doi: 10.1164/rccm.200611-1717OC]


2007/04/18 遺伝子変異の解析から脂肪摂取と肥満との関係解明

 脂肪代謝に関連するアポリポタンパク質A5遺伝子(apolipoprotein A5 gene)の1塩基多型(SNP)の遺伝子異型を分析した結果、APOA5-1131Tの遺伝子を持つ人は脂肪の摂取量が多いとMBI値が増加したが、APOA5-1131Cの遺伝子を持つ人にはこうした関係が認められなかったとアメリカ・タフツ大学の研究チームが発表した。

 フラミンガム心臓病研究に参加している男性1,073人と女性1,207人を調べた結果、 APOA5-1131Cの遺伝子を持つ人は、APOA5-1131Tの遺伝子を持つ人に比べて肥満のリスクが39%、オーバーウエイトのリスクが37%低いことが分かった。また、APOA5-1131Tの遺伝子を持つ人でも脂肪の摂取量が少ないと肥満やオーバーウエイトのリスクも下がった。
 以上のことから、肥満の問題は複雑であるが、SNPを調べることで、個人個人の食事と体重増加との関係を明らかに出来る可能性が広がったと述べている。

【文献】
Corella, D. et al.: APOA5 gene variation modulates the effects of dietary fat intake on body mass index and obesity risk in the Framingham Heart Study. J. Mol. Med. 85: 119-128. (2007) [doi: 10.1007/s00109-006-0147-0]


2007/04/17 肥満のリスクと強く関係したFTO遺伝子変異の発見

 世界中で肥満が増大しているが、肥満は2型糖尿病、心臓病、ある種のガンのリスクを高める。

 オックスフォード大学などの研究チームは、38,759人のヨーロッパ人を調べ、今までで最も明確に肥満とリンクするFTOと呼ばれる遺伝子の変異を特定した。第16番染色体にあるFTO遺伝子の塩基配列の1カ所がT(チミン)ではなくA(アデニン)の割合が高くなっている人は肥満になるリスクが高くなった。

 FTO遺伝子の変異を1つもつ人は持たない人と比べて体重が1.2kg重く、2つもつ人は3kg重く肥満のリスクが67%高くなった。

 しかし、「遺伝的な要因だけが、世界的に増加している肥満の原因ではない」と研究者は述べている。肥満には、過剰なカロリー摂取など生活習慣の要因が大きく関与している。適切な体重を維持するためには、肥満を遺伝のせいにすることなく、生活習慣の改善が大切だが、「この遺伝子変異は、体重を落とすことが困難な理由を説明するのではないか」と研究者は予想している。

【文献】
Timothy M. Frayling, T. M. et al.: A Common Variant in the FTO Gene Is Associated with Body Mass Index and Predisposes to Childhood and Adult Obesity. Science Online April 12, (2007) [DOI: 10.1126/science.1141634]


2007/04/15 簡単な質問で子供は果物を食べるようになる

 アメリカ・エール大学の研究によると、昼食の時、カフェテリアで並んでいる子供たちに「果物かジュースが欲しい?」と聞くだけ小学生は果物を食べることが分かった。

 アメリカでは学食に「アラカルト」のオプションがあり、子供たちはしばしばジャンクフードを選んで食べている。そこで、コネチカットの小学校のカフェテリア・スタッフが子供たちに「果物かジュースが欲しい?」とたずねる実験を行った。その結果、声をかけた子供の90%が果物かジュースを選ぶことが分かった。対照とされた学校では60%しか選ばなかった。

 以上の結果から、研究者らは子供たちに言葉をかけることが果物の摂取量を増やす良い方法ではないかと述べている。

【文献】
Schwartz, M. B. et al.: The influence of a verbal prompt on school lunch fruit consumption: a pilot study. Int. J. Behav. Nutr. Physic. Act. 4: 6 (2007) [doi: 10.1186/1479-5868-4-6]


2007/04/14 仕事によるストレスは肥満を増大させる

 ロンドン医科大学の調査によると仕事のストレスがためると太ることが分かった。男性6,895人と女性3,413人を対象に19年間調査を行った結果、少なくとも3回仕事のストレスを感じた人は、そうでない人と比べて73%肥満のリスクが高まった。また、ウエストが102cm以上の男性、88cm以上の女性を肥満と定義するとストレスは61%肥満を促進した。

 以上の結果から、研究者は、仕事のストレスは肥満の原因にあると結論づけ、ストレスに対する社会的サポートの重要性を指摘している。

【文献】
Brunner, E. J. et al.: Prospective Effect of Job Strain on General and Central Obesity in the Whitehall II Study. Amer. J. Epid. 165: 828-837 (2007) [doi: 10.1093/aje/kwk058]


2007/04/13 果物の摂取量が多く肉の摂取量が少ない人は結腸・直腸ガンになりにくい

 アメリカ・ノースカロライナ大学の研究チームは、果物を沢山食べて肉の摂取量を減らすと結腸・直腸ガンの発症リスクが減ると発表した。

 大腸内視鏡検査を受けた725人を対象に食事パターンと結腸・直腸ガンとの関係を調査した。調査から、1)果物の摂取量が多く肉の摂取量が少ない食事パターン、2)野菜の摂取量が多く肉の摂取量が中間的である食事パターン、3)肉の摂取量が多い食事パターン(典型的なアメリカ人の食事)の食事パターンに分けられた。
 3つの食事パターンを比較した結果、果物の摂取量が多く肉の摂取量が少ない食事パターンの人は統計的に有意にポリープの発生が少ないことが分かった。

 以上の結果から、果物の摂取量が多く肉食の摂取量が少ない食事パターンは、結腸ガンを予防に有効であると述べている。

【文献】
Gregory, L. et al.: A Diet High in Fruits and Low in Meats Reduces the Risk of Colorectal Adenomas. J. Nutr. 137: 999-1004. (2007)


2007/04/13 Gmailを使うと携帯電話でメルマガ「果物&健康NEWS」が読める

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2007/04/12 果物と野菜の摂取量が多いと肥満のリスクが減少する
 アメリカで74,063人の女性看護師(38-63歳)を12年間追跡した結果、 年をとるに従って太る傾向があることが分かった。しかし、果物と野菜の摂取量を増やすと肥満のリスクが減少していた。果物と野菜の摂取量が大きく増加したグループは、大きく減少したグループより24%肥満リスク(BMIが30以上)が低かった。

【文献】
He, K. et al.: Changes in intake of fruits and vegetables in relation to risk of obesity and weight gain among middle-aged women. Int. J. Obesity 28: 1569-1574. (2004) [doi: 10.1038/sj.ijo.0802795]


2007/04/11 アメリカ:果物と野菜の摂取量はまだ不十分
 アメリカ疾病対策センター(CDC)の調査によれば、多くのアメリカ人は果物と野菜の摂取量が不足していることが分かった。果物と野菜の摂取が健康に有効であることは知られているが、政府の摂取目標(Healthy People 2010)には達していない。

 アメリカ政府は、2010年までに果物を1日少なくとも2回以上摂取している人の割合を75%、野菜を1日に少なくとも3回摂取摂取している人の割合を50%にすることを目標としている。しかし、摂取目標値に達している人は果物では32.6%、野菜では27.2%にすぎないことが分かった。

 そのため、果物と野菜の摂取を推奨する努力が必要であると結論づけている。

【文献】
Blanck, H. M. et al.: Fruit and Vegetable Consumption Among Adults - United States, 2005. Mor. Mort. Weekly Rep. 56: 213-217. (2007)

2007年2-3月


2007/03/16 「本当にすごいくだものの科学」セミナーin余市
 くだものの素晴らしい機能性(生活習慣病予防、ダイエット効果)を詳しく、そしてわかりやすく解説する「本当にすごいくだものの科学」セミナーを開催します。受講料は無料。どなたでも参加できます。参加ご希望の方は北海道果樹協会まで、電話でご連絡ください。

「本当にすごいくだものの科学」セミナーin余市
日時 平成19年3月16日(金)15:00から
場所 余市町中央公民館3階会議室(余市町大川町4-143)

講演 農研機構果樹研究所・健康機能性チーム 田中敬一

検討会「すごいくだものの機能性をどう活かすか?」
パネラー: 森元治氏(北海道果樹協会会長)/大島克予氏(コープさっぽろ小樽後志エリア委員長)/石川絢子氏(沢町小学校栄養職員)/田中敬一/コーディネーター:黒川晃次氏(後志農業改善普及センター 主任普及指導員)


2007/03/15 アメリカ・メイヨクリニックが選ぶ健康によい食べ物トップ10
 おいしくて、栄養価が高いだけでなく、疾病のリスクを軽減できる食品のトップ10食品をアメリカ・メイヨクリニックが公開している。
 リンゴ(ペクチンなど食物繊維はコレステロール値を下げる。また、ビタミンCなど抗酸化成分により体細胞を保護するだけでなく、鉄と葉酸の吸収を助ける。)
 アーモンド(食物繊維、リボフラビン、マグネシウム、鉄、カルシウム、ビタミンEなどを多く含むので心疾患のリスク下げる働きがある。また、アーモンドに含まれている脂肪の大部分は不飽和脂肪酸なのでコレステロール値を下げる。
 ブルーベリー(食物繊維、ポリフェノールなど抗酸化成分を多く含み低カロリーな食品である。また、老化抑制が期待できる)
 そのほか、ブロッコリー、小豆、サケ、ホウレンソウ、サウマイモ、野菜ジュース、麦芽が良いとしている。

【文献】
Mayo Clinic: Top 10 healthy foods and why they're good for you. Mayo Clin Womens Healthsource. 10: 9. (2006)


2007/03/06 ビタミンCで白内障発症リスクが下がる
 ビタミンCを食事から摂取している人は、老人性白内障になりにくいことを杏林大学らの研究グループが発表した。白内障は、加齢に伴って水晶体中のタンパク質が酸化することによっておきると考えられる。1995年に45-64歳だった男性16,415人と女性18,771人を対象に調査が行われた。その結果、男性で1日あたり摂取量が最も多い人たち(211mg)は最も少ない人たち(52mg)に比べて、発症のリスクが35%、手術を受けるに至る危険性は30%下がることが分かった。女性では摂取量が最も多い人たち(258mg)は、最も少ない人たち(75mg)に比べ、発症リスクが41%、手術リスクが36%低かった。

【文献】
Yoshida, M. et al.: Prospective study showing that dietary vitamin C reduced the risk of age-related cataracts in a middle-aged Japanese population. Eur. J. Nutr. 46: 118-124 (2007) [doi: 10.1007/s00394-006-0641-8]


2007/03/05 果物の摂取を増やすとダイエットに効果的
 カナダ・ラバル大学の研究チームが食事パターンと体重の変化を6年間とその後の追跡調査の結果、果物群の摂取が多いほど、脂肪群の摂取が少ないほど体重が減少していることが分かったと報告した。
 248人のボランティアを対象に1989-1994年、1995-2000の2度測定した。その結果、果物群の摂取量が多く、脂肪群の摂取量が少ないグループがBMI値の変化に貢献していることが分かった。さらに詳細に検討すると、スキムミルクと全果の摂取量が多いとBMI値が統計的に有意に低くなることが分かった。
【文献】
Drapeau, V. et al.: Modifications in food-group consumption are related to long-term body-weight changes. Am. J. Clin. Nutr. 80: 29-37. (2004)


2007/03/03 カルシウムとビタミンD不足は心血管疾患リスクを高める
 カナダ・ラバル大学の研究チームは、カルシウムが不足していると心血管疾患リスクが高まると発表した。
 BMI値が30以上の女性63人を対象に減量プログラムとカルシウムとビタミンDの摂取を組み合わせて15週間調査を行った。実験前のカルシウムの摂取量は、平均700mgで、摂取必要量の1,000mgをかなり下回っていた。実験中は、低カロリーの食事に加えてカルシウムとビタミンDか偽薬のどちらかを1,200mg摂取してもらったところ、カルシウムとビタミンDを摂取したグループは、HDL(善玉コレステロール)が増加し、LDL(悪玉コレステロール)が低下した。
 以上の結果から、減量プログラムを実施する場合は、カルシウムとビタミンDを補足する必要があるとしている。

【文献】
Major, G. C. et al.: Supplementation with calcium + vitamin D enhances the beneficial effect of weight loss on plasma lipid and lipoprotein concentrations. Am. J. Clinical Nutrition, 85: 54-59. (2007)


2007/03/02 「発掘!あるある大事典Ⅱ」ねつ造問題について
 「発掘!あるある大事典Ⅱ第130回あなたのダイエットフルーツはどっち?みかんorリンゴ」で行われたミカン摂取による実験で血糖値のデータにねつ造があったと関西テレビ調査班が発表した(2007/2/28)。
 今回のねつ造があっても果物の健康効果の科学的根拠が揺らぐことはないが、悪影響が出ると困るのでねつ造の問題点をまとめまた。

○関西テレビの検証結果
 番組内で紹介された実験で、1日目はパンだけ、2日目は先にミカンを食べた後にパンを食べて測定した被験者二人の血糖値のグラフのうち一人についてねつ造があったと発表した。

○ねつ造の問題点
 この実験は、食品のグリセミック・インデックスのデータを得る目的で行われたと考えられるが、グリセミック・インデックス値を比較する場合は、摂取する食品の糖質量を同じにする必要がある。
 今回のように、パンだけを食べたときと、ミカンとパンを食べた実験では、摂取した糖質量が違うので、両者の血糖値を比較することに科学的な意味はない。もし比較したいのであれば、ミカンと糖質量が同じ別の食品と比較する必要がある。例えば、パンと食品αを食べたときと、パンとミカンを食べたときを比較し、ミカンを食べると血糖値が下がるかを調べれば、恐らくねつ造の必要はなかったと考えられる。
 今回のねつ造はミカンを摂取したときの血糖値データの改変だがが、グリセミック・インデックス値を求める実験のやり方を知らなかったためにおきたと考えられる。


2007/03/01 あるある大事典でミカンの血糖値ねつ造
 あるある大事典でミカンの血糖値がねつ造されたと報道された。極めて遺憾である。なぜなら、行われた実験そのものが科学的に正しい実験ではなかったからである。そのため、期待された数値がでないのは当然で、それをねつ造でごまかすのはもってのほかである。詳しくは、本日夜、又は、明日発行のメルマガ「果物&健康NEWS」で報告する。


2007/02/21 講演:落葉果樹における果実の機能性について
 神奈川県神奈川県農業義技術センターにおいて神奈川県で果樹農業に携わっている人を対象に「落葉果樹における果実の機能性について」の講演を行った。参加者は約100名で熱心に聞いていただいた。しかし、講演でメルマガ「果物&健康NEWS」の講読も勧めたが、残念ながら新規の登録者はあまりいなかった。残念である。


2007/02/21 減量は肥満の人の心臓機能を高める
 オーストラリア・クイーンズランド大学の研究チームによる調査によると肥満のヒトが減量すると心臓の機能が向上することが分かった。心血管疾患ではない106人の肥満の男女に、8週間ライフスタイル改善プログラムにより指導を行った結果、減量度合いが多かった人の血管の機能(ひずみ率、心筋の拡張・弛緩速度など)が向上した。

【文献】
Wong, C. Y. et al.: Effect of Weight Loss Due to Lifestyle Intervention on Subclinical Cardiovascular Dysfunction in Obesity (Body Mass Index >30 kg/m2). Amer. J. Cardiol. 98: 1593-1598. (2006) [doi: 10.1016/j.amjcard.2006.07.037]


2007/02/20 メタボリックシンドロームは心疾患のリスクを高める
 アメリカ・メイヨクリニック医科大学の研究グループは、心臓発作と死亡リスクに強く関係していると発表した。
 37の研究(172,573人)を対象にメタ分析を行った結果、メタボリックシンドロームの人は、そのリスク要因のない人より、心臓発作か死亡のリスクが78%高いことが分かった。
 この結果は、臨床医が患者のライフスタイルについてカウンセリングするとき役立つと研究者らは述べている。

【文献】
Gami, A. S. et al.: Metabolic Syndrome and Risk of Incident Cardiovascular Events and Death: A Systematic Review and Meta-Analysis of Longitudinal Studies. J. Am. Coll. Cardiol. 49: 403-414. (2007) [10.1016/j.jacc.2006.09.032]


2007/02/18 食物繊維は乳がんのリスクを下げる
 イギリス・リード大学研究チームは35,792人の女性を7年間追跡調査した結果、毎日、食物繊維を30g以上摂取しているグループは20g以下のグループに比較して乳がんのリスクが0.48と半分になることが分かったと報告した。そして、穀類と果物が食物繊維の供給源として優れているとしている。
 そのため、朝食を普通のパンから全粒粉のパンに変えるなどして食物繊維を30g以上摂取することを勧めている。

【文献】
Cade, J. E. et al.:Dietary fibre and risk of breast cancer in the UK Women's Cohort Study. Int. J. Epid. Online on Jan. 24, (2007) [doi:10.1093/ije/dyl295]


2007/02/17 とにかく忙しい
 年度末の会議シーズンが半ばを越えた。組織が改編されたため、従来以上に負担が増えた。途中かなり時間的に厳しい時もあったが、多くの方に迷惑をかけながらも何とか乗り切れた。しかひ、ここ数年引いたことのなかった風邪になってしまった。あと半分、元気になってがんばろう。


2007/02/06 「あるある汚染」のアサヒ芸能は大丈夫?
 本日発売の週刊アサヒ芸能に「『あるある汚染』番組司会者が弁明」の記事が掲載された。その中で「はなまるマーケット:リンゴでアレルギー予防」を取り上げ異議を唱えている。情報源は医学博士・三好基晴氏で、「『信じている』ことを根拠にする科学者にも、専門家が言うからと言い訳する局にも驚きです」とコメントしている。この人、大丈夫なのか。科学者が信じるのは実験結果に基づく科学的根拠である。リンゴでアレルギー予防については下記にまとめてあるので読んでほしい。
 アサヒ芸能も怪しい医学博士の言説を鵜呑みにするのではなく、ちゃんと取材するべきだろう。私たちに実験が最も大切なように、記者にも取材が最も大切なのではなかろうか。こんなことをしているとアサヒ芸能も「あるある汚染」に飲み込まれてしまう。

リンゴがアレルギー予防に効果があることの科学的根拠
http://www.kudamononet.com/LifeStyle/medical/allergy.html

 安井至氏が運営している「市民のための環境学ガイド書庫」の中に、日垣隆氏(作家)が三好基晴氏の問題点を指摘している文章が掲載されている。
http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/FridayHigaki.htm
サイト中ほどに三好氏のアトピー論、環境ホルモン論の詐欺的手法が述べられている。


2007/02/02 北陸学院短期大学
 石川県金沢にある北陸学院短期大学で「食事バランスガイドと果物がもつ健康機能性」について約90分間講演を行った。大きな講堂が一杯で全部で170人ほどの栄養学科の1,2年生が出席してくれた。

2007年1月


2007/01/31 2型糖尿病の予防に生活習慣の改善が有効
 生活習慣の改善は2型糖尿病を予防あるい進行を遅らせることができるとイギリスの研究チームが発表した。食事内容を健康的なものにして運動量を増加させると2型糖尿病の発症リスクを半分に出来るとしている。従って、研究者らは糖尿病予防薬ととともに生活習慣の改善が糖尿病を予防するために必要であるとしている。

【文献】
Gillies, C. L. et al.: Pharmacological and lifestyle interventions to prevent or delay type 2 diabetes in people with impaired glucose tolerance: systematic review and meta-analysis. BMJ. Online 19, Jan. 2007 [doi:10.1136/bmj.39063.689375.55]


2007/01/30 産経新聞に「果物」の記事
 産経新聞に「見直しましょう“果物” ダイエットに効果 生活習慣病を予防」が掲載された。多くの人に読んでもらえるとうれしい。

WEBサイトにも記事が掲載されている。
http://www.sankei.co.jp/seikatsu/kenko/070130/knk070130000.htm


2007/01/29 朝食を食べない子供は十代後半で体重が増す
 アメリカ・ミリアム病院とブラウン医科大学の研究グループが、アメリカの9,919人の青少年(7学年~12学年まで)を対象に調査を行った結果、朝食を食べない子供とファーストフードをひんぱんに食べる子供は十代後半に体重が増加することが分かった。

【文献】
Niemeier, H. M. et al.: Fast Food Consumption and Breakfast Skipping: Predictors of Weight Gain from Adolescence to Adulthood in a Nationally Representative Sample. J. Adol. Health. 39: 842-849. (2006) [doi: 10.1016/j.jadohealth.2006.07.001]


2007/01/28 肥満患者はやせの患者より急性心不全の回復が早い?
 アメリカ・カリフォルニア大学の研究グループが、BMI値が高いほど急性の心臓疾患で入院した患者の病院内の死亡率が低いと発表した。この研究結果は、従来の考え方(BMI値が高く肥満の人ほど心臓病による死亡率が高い)と大きく異なる。そのため、研究論文のタイトルも肥満パラドックスとしている。
 研究では108,927人を対象にアメリカ国内263病院で行われた。BMI値に従って4分割(QI:16.0-23.6, QII:23.7-27.7, QIII:27.8-33.3, QIV:33.4-60.0)して調査したところ高いグループは低いグループより死亡率が10%低かった。
 肥満の人は新陳代謝が良く回復が早くなり院内の死亡率が低いと示唆されるが、この研究だけでは不足でさらなる研究が必要であるが興味深い研究である。

【文献】
Fonarow, G. C. et al.: An obesity paradox in acute heart failure: Analysis of body mass index and inhospital mortality for 108927 patients in the Acute Decompensated Heart Failure National Registry. Amer. Heat J. 153: 74-81. (2007)


2007/01/27 果物と野菜の摂取はメタボリックシンドローム予防に効果
 イランの研究チームがテヘランに住む486人を対象に果物と野菜の摂取とC反応性タンパク質とメタボリックシンドロームとの関係について調べた。被験者の果物の摂取量は、平均で1日当たり228±79g、野菜の摂取量は186±88gであった。血液中のC反応性タンパク質は、果物の摂取量に従って5分割し低い順に1.94、1.79、1.65、1.61、1.56mg/Lであった。また、野菜では順に2.03、1.82、1.58、1.52、1.47mg/Lであった。メタボリックシンドロームとの関係では果物の摂取量が多い人は少ない人よりリスクが34%低く、野菜では30%低かった。
 以上の結果より、果物と野菜の摂取はメタボリックシンドロームのリスクを下げることが分かった。その理由としてC反応性タンパク質が関係していると考えられた。従って、果物と野菜の摂取量を増やす必要があると研究者らは述べている。

【文献】
Esmaillzadeh, A. et al.: Fruit and vegetable intakes, C-reactive protein, and the metabolic syndrome. Am. J. Clin. Nutr. 84: 1489-1497. (2006)


2007/01/26 炎症性遺伝子と塩分過敏性高血圧との関連
 アメリカ・ジョージア医科大学の研究者らは、高血圧と炎症性遺伝子との関連性を指摘している。研究グループは、高血圧とは炎症性症状の一種であり、高血圧症状を引きおこすのはある種の遺伝子環境における多くの相互作用の結果であるとして研究を行っている。研究者らは、炎症反応と高血圧は、ナトリウムを放出する腎臓の能力と関係があると考えている。

研究の詳細はジョージア医科大学の下記のサイトで読める。
http://www.mcg.edu/news/2006NewsRel/Zhu122706.html


2007/01/25 オリーブオイルはガンのリスクを減らす
 オリーブオイルを食事に追加するとガンのリスクが減少するとデンマークの研究チームが発表した。研究では、182人の男性を対象に1日当たりオリーブオイルを2.5ml摂取してもらったところ、細胞の損傷を示すバイオマーカー8oxodGのレベルが下がった。
 一方、北ヨーロッパの人は、南ヨーロッパの人と比べて8oxodGのレベルが高いが、この違いはオリーブオイルの摂取量と関係している可能性があると研究者らは述べている。

【文献】
Machowetz, A. et al.: Effect of olive oils on biomarkers of oxidative DNA stress in Northern and Southern Europeans. FASEB J. Online Nov. 16, (2006) [doi: 10.1096/fj.06-6328com]


2007/01/24 ねつ造事件と視聴率
 昨日発売された週刊朝日に「納豆ダイエット「ウソだった!」(112: 18-24. (2007) 2/2号)」が掲載された。この記事を読むと、関西テレビが主張している「部分的には事実と異なる内容を放送してしまったが、番組全体については学説に基づいて制作した」としていることも怪しくなる。納豆と体重との関係を調べたデータが本当にあるのだろうか。また、被験者の体重を本当に減少したのかも疑問を感じる。相当に悪質な事例である可能性がある。
 今回のねつ造事件は、番組の評価を視聴率という1つの数字だけからみることと関係しているのではないかと思う。視聴率が良いとは視聴者の要求を満たす番組である。視聴者の要求を満たす番組が良い番組であり、視聴者の要求を満たせない番組は悪い番組であるとなる。この論理からすると視聴率の良かった納豆ダイエットの番組内のデータのねつ造も許容されてしまう。視聴者は、番組を見て満足したのだから文句を言う筋合いはないとなる。再発防止は視聴率に頼らない番組評価に改めることが必要ではないかと思う。


2007/01/23 混濁リンゴジュースはポリフェノールが多い
 ポリフェノールは、心臓病やガンのリスクを下がることが知られている。ポーランドの研究者らが、リンゴの混濁ジュースと清澄ジュースを分析したところ、混濁ジュースのポリフェノール含量は清澄ジュースと比較して2倍多く含まれていることが分かった。

【文献】
Oszmianski, J. et al.: Comparative study of polyphenolic content and antiradical activity of cloudy and clear apple juices. J. Sci. Food Agri. Online: 15 Jan (2007) [DOI: 10.1002/jsfa.2707]


2007/01/22 「発掘!あるある大事典Ⅱ」のデータねつ造と果物との関係
 本サイトで紹介している果物のガン予防とリンゴなど果物のダイエット効果についても番組内で取り上げられている。この点についての科学的根拠は充分にあり、「あるある大事典」の検証結果の如何に関わらず本サイトの記事を変更する必要はないと考えている。
 リンゴなど果物のダイエット効果は、カロリーが少なくて、重さに比べてボリュームが大きく、水分や食物繊維を多く含むためである。例えば、リンゴの食物繊維は、水を吸収すると体積が12~38倍にも大きくなる。このように食物繊維は、ボリュームを大きくする力が強いため満腹感が得られ、結果として摂取する食事の量が減り、体重を減らす効果がある。

果物とガン予防は下記にまとめた。
http://www.kudamononet.com/LifeStyle/medical/cancer.html
果物のダイエット効果は下記にまとめた。
http://www.kudamononet.com/LifeStyle/medical/obesity.html



2007/01/21 「発掘!あるある大事典2」でねつ造
 「発掘!あるある大事典2」で1月7日に放送された「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」でねつ造があったと番組を制作した関西テレビが発表した。
 ねつ造は以下の5点であるという。1)被験者がやせたことを示すのに別人の写真を使用した。2)米の大学教授の発言の日本語訳の一部をねつ造した。3)被験者の一部の中性脂肪値が正常値になったとしたが測定していなかった。4)納豆を朝2パックまとめて食べた場合と、朝晩1パックずつ食べた場合の比較で、被験者の血中イソフラボン濃度の結果をねつ造した。5)被験者の血中のDHEA(副腎から分泌されて性ホルモン)のデータをねつ造した。また、年齢に伴ってDHEAが減少するとしたグラフを許可なく引用したことも発表した。
 なぜ、ねつ造したのか。ねつ造が極めて悪質な問題であることは情報を発信するテレビ局としてのイロハではないのか。被験者の体重は実際に減ったとテレビ局は発表しているが本当か。この部分が崩れるとさらにねつ造のたちが悪くなる。
 「部分的には事実と異なる内容を放送してしまったが、番組全体については学説に基づいて制作した」としているが、本当に充分な科学的根拠があるのかも検証の対象となるだろう。
 関西テレビは社内に調査委員会を設け、原因の究明を行うとともに過去の放送分についても検証を行い、番組を継続するかどうかを含めて検討するとしている。また、関西テレビから同番組の制作を受注した「日本テレワーク」は、2年前にも番組で実験結果をねつ造し、放送が打ち切りになっていたと毎日新聞が伝えている。


2007/01/21 ねつ造事件のコメントを考える
 新聞各紙がねつ造問題に対して消費者の怒りの声を掲載している。一方、メーカーなどは、「納豆にはあまり栄養がないとされるのが怖い」、「納豆は伝統ある食品。今回の問題には困惑しているが、納豆に対する消費者の信頼は崩れないと確信している」とコメントしている。だが、全国紙におわび広告を出した大手納豆メーカーT社の担当者は、「正直言って、テレビで放映されて良かったという声は社内では一つもない」とコメントしている。
 ねつ造と科学的根拠のある納豆の健康効果とは直接的な関係はないが影響は避けられないだろう。だが、T社のコメントは予想の範囲内だが、やはり悲しい。

 昨年の「発掘!あるある大事典2(第130回:10月22日)」で『あなたのダイエットフルーツはどっち?みかんorリンゴ』が放映された。その中で果物のダイエット効果についてコメントした部分には充分な科学的根拠があるので問題はない。が、番組の一部にねつ造があればやはり事件になる。そのとき、T社の担当者のように関係者から「正直言って、テレビで放映されて良かったという声は一つもない」とのコメントは必ず出てくるだろう。あるいは「勝手に情報を流して迷惑である」とも言われるだろう。

 情報を発信するとは、リスクを負うことでもある。このリスクを避けるには情報を発信しないことである。どちらを選ぶかは研究者の選択だろう。私はこうしたリスクを選択した。ただし、ねつ造や科学的根拠のない情報、科学的根拠があっても納得できない報告は流さないと決めている。


2007/01/20 アメリカ:2年連続ガンの死者実数が減少
 アメリカでガンによる死者の実数が2年連続で減少したとアメリカガン学会が発表した。2年連続の減少にアメリカガン学会のSeffrin会長は「予防、早期発見、治療の効果を高める努力が、命を救う劇的な結果をもたらしている」と述べた。
 2003年にガンによる死者実数が前年より369人減少した。このことは1930年から統計を取り出して初めてのことであった。2004年の死者実数は553,888人で、2003年より3014人減った。
 2004年は女性の肺・気管支以外の肺・気管支、結腸・直腸、前立腺、乳ガンにによる死亡実数が前年より減少した。

上記発表は下記のサイトで読める。
http://www.cancer.org/docroot/NWS/content/
NWS_1_1x_Cancer_Deaths_Down_Again.asp



2007/01/19 記者懇談会盛況
 本日開催された「毎日くだもの200グラム運動」記者懇談会は盛況でした。多くの方にお集まりいただき、会場が狭いくらいでした。また、質問が多く、予定していた時間をかなりオーバーしましたが熱心な質疑で充実した懇談会でした。果物の力を知っていただけたのではないかと思います。

 『食事バランスガイドに果物が初めて入った理由』
 ~医者にも誤解されている果物の効能~


 「果物の摂取は糖尿病を誘発しやすい」というのは誤りで、逆に予防に効果的です。そのほか果物摂取はダイエットに効果的なことや生活習慣病予防に有効なことも科学的にも証明されています。
 農研機構果樹研究所 果物&健康NEWS編集長 田中敬一

 試食会:リンゴを使ったフルコースのオリジナルレシピの紹介~家庭で簡単に作れます~
 サッポロライオン銀座ライオンブラッスリー小松店調理長 安齋功ニ氏

【 日時 】 平成19年1月19日(金)  14:00 ~ 15:30   (13:45より受付) 
【 会場 】 銀座ライオンブラッスリー  小松店
          中央区銀座6-9-5 ギンザコマツB1  TEL 03-3571-7000

問い合わせ・申し込みは下記までお願いいたします。
「毎日くだもの200グラム運動」記者懇談会事務局
㈱サン・クリエイティブ・パブリシティ内 青木



2007/01/19 ポリコサノールはコレステロールを下げない
 アメリカでベストセラーの1つとして知られる栄養補助食品ポリコサノール(policosanol)は、コレステロールを下げると広告されているが、その効果はないと科学雑誌に報告された。
 ポリコサノールはコレステロールを下げるスタチン(statin)と同じくらい有効であるとの報告が複数あるが、一つの研究グループからの報告のみであった。
 そこで、ノースカロライナ大学の研究グループは、コレステロールがやや高い40人の成人に対して偽薬とポリコサノールを8週間以上飲用してもらった。その結果、偽薬と比べてポリコサノールのコレステロール改善効果は認められなかった。

【文献】
Dulin, M. F. et al.: Policosanol is ineffective in the treatment of hypercholesterolemia: a randomized controlled trial. Am. J. Clin. Nutr. 84: 1543-1548. (2006)


2007/01/18 カリフォルニアに大寒波、カンキツに大被害
 アメリカ・カリフォルニア州に寒波が襲来し、氷点下の気温が数日間にわたって続いたため、収穫を控えたオレンジやレモンなどのカンキツが大きな被害を受けているとCNNが伝えている。収穫予定のカンキツのうち、4分の3が被害を受けた可能性があるとしている。カリフォルニア州のカンキツの生産量は全米一であり、販売されるレモンの86%、オレンジの21%を占めているため寒波による被害が価格や供給量に大きな影響を与えると予想されている。

CNNの記事は下記のサイトで読める。
http://www.cnn.com/2007/US/01/17/citris.freeze.ap/index.html


2007/01/17 低炭水化物、高タンパク質ダイエットで総死亡率が増加
 ヨーロッパで健康な成人113,230 人を対象に総死亡率について追跡調査が行われた。その結果、炭水化物の摂取量が多いと総死亡率は減少したが、タンパク質の摂取量が多いと総死亡率は増加していた。炭水化物とタンパク質と摂取量に従って5分割した場合、低炭水化物で高タンパク質の食事をしている人の死亡リスクが22%高くなることが分かった。

【文献】
Trichopoulou, A. et al.: Low-carbohydrate-high-protein diet and long-term survival in a general population cohort. Eur. J. Clin. Nutr. Online Nov. 29. (2006) [doi: 10.1038/sj.ejcn.1602557]


2007/01/16 低タンパク質ダイエットはガン予防に効果的
 アメリカ・ワシントン医科大学の研究から、長期的に低たんぱく質、低カロリーダイエットをする人は、定期的に持久運動している人と比べて血漿成長因子の一つIGF-1が極めて低くガンに対する保護効果がより強いことが分かった。

【文献】
Fontana, L. et al.: Long-term low-protein, low-calorie diet and endurance exercise modulate metabolic factors associated with cancer risk. Am. J. Clin. Nutr. 84: 1456-1462. (2006)


2007/01/15 ゆっくり食べると摂取カロリーが減少する
 アメリカ・ロードアイランド大学の研究から、ゆっくり食事をすると摂取カロリーが減少することが分かった。若い女性30人にパルメザンチーズで付けられたトマトと野菜ソースの食事を好きなだけ食べてもらったところ、急いで食べたとき(9分)は平均646カロリー摂取したが、ゆっくり食べるとき(29分)は579カロリーの摂取であった。このことから、ゆっくり食べることで、食べる量も減り、食をより楽しむことができることが分かった。

【文献】
Andrade, A. et al.: Eating rate and satiation. 2006 Obesity Soc. Ann. Sci. Meeting. 20-OR (2006)
著者による解説記事は下記のサイトで読める。
http://www.uri.edu/news/releases/?id=3771


2007/01/14 肝臓ガンのリスクに影響する食品
 イタリアで行われた研究によると、牛乳、ヨーグルト、果物などを多く摂取していると肝臓ガンのリスクが低くなることが分かった。185人の肝臓ガン患者と健康な412人を対象に研究を行った結果、肝臓ガンのリスクが牛乳とヨーグルトを多く摂取していると78%、卵では69%、トリ胸肉では56%、果物では52%低くなったが、野菜では統計的な差は認められなかった。

【文献】
Talamini, R. et al.: Food groups and risk of hepatocellular carcinoma: A multicenter case-control study in Italy. Int. J. Cancer 119: 2916-2921. (2006) [doi: 10.1002/ijc.22267]


2007/01/13 葉酸の摂取量が多い人とアルツハイマー病のリスクが低い
 葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12は、ホモシステインレベルを下げる働きを通じてアルツハイマー病のリスクを下げるとされていた。
 そこで、オーストラリア・タスマニア大学の研究チームは認知症のない65歳以上の965人を対象に追跡調査を行った結果、葉酸の摂取量が最も多いグループは、少ないグループと比較してアルツハイマー病の発症リスクが半分であった。一方、ビタミンB6とB12ではこうした関係は認められなかった。
 以上の結果から葉酸の摂取は、アルツハイマー病の発症と関係していると結論づけた。

 果物は葉酸が豊富であること、管ののの摂取量が多いとアルツハイマー病発症のリスクが少ないことなどがすでに報告されているが、こうした報告と今回の結果は矛盾しない。

【文献】
Luchsinger, J. A. et al.: Relation of Higher Folate Intake to Lower Risk of Alzheimer Disease in the Elderly. Arch. Neurol. 64: 86-92. (2007)


2007/01/12 腸内細菌が肥満と関係
 同じだけ食べても太る人と太らない人がいるが、その理由に腸内細菌が関係しているとアメリカ・ワシントン大学医学部の研究チームが発表した。
 マウスの腸内に棲む 主要な腸内細菌であるBacteroidetesとFirmicutesについて調べた結果、肥満のマウスの腸内のBacteroidetesは50%未満で、Firmicutesは50%以上であった。また、肥満の患者は、肥満のネズミと同様にBacteroidetesが少なくFirmicutesが相対的に多いことが分かった。さらに、肥満患者の体重が減少するに伴って腸内の Bacteroidetesは増加しFirmicutesは減少した。以上の結果より、肥満の現任の一つとして腸内細菌が関係していると結論づけた。

【文献】
Turnbaugh, P. J. et al.: An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest. Nature 444: 1027-131 (2006) [doi: 10.1038/nature05414]


2007/01/11 16世紀:イタリア・メディチ家当主の変死の理由解明
 イタリア・フィレンツェの支配者だったメディチ家当主で、変死したフランチェスコ1世(1541―87年)夫妻の死因は、ヒ素による毒殺であったことをイタリアの研究チームが明らかにした。
 夫妻は1587年10月、同時に倒れ1日違いで亡くなった。当時からフランチェスコ1世の弟で枢機卿のフェルディナンド1世が当主の座を狙い毒殺したとのうわさが広まったが、マラリア原因説も強くイタリア史の謎とされていた。
 研究チームは、素焼きのつぼに納められ教会に保管されていた夫妻の肝臓組織を分析し、通常以上のヒ素を検出したことから毒殺されたと結論づけた。

【文献】
Mari, F. et al.: The mysterious death of Francesco I de' Medici and Bianca Cappello: an arsenic murder? BMJ 333: 1299-1301. (2006) [doi: 10.1136/bmj.38996.682234.AE]


2007/01/10 それでもリンゴはダイエットに効果的
 1月6日付け毎日新聞に「本当?「2週間で2キロ程度やせられる」 過大評価は危険」(小島正美記者)と題した記事が掲載された。この記事は、「発掘!あるある大事典」の番組内容の検証であるが、放送された内容の一部のみ(ポリフェノール)を取り上げ、学者は疑問視として、高橋久仁子・群馬大学教育学部教授と度会隆夫・甲子園大学栄養学部教授のコメントを掲載している。
 リンゴのダイエット効果は、ポリフェノールよりも食物繊維の寄与が大きいと考えているが、この点については、わずか60字程度触れているのみである。私たちの主張は、本サイト(下記)に掲載しているので読んでいただきたいが、検証取材として十分ではないと思う。
 また、識者の「2、3の症例だけでは信頼できるデータとはいえない」とするコメントも承伏しかねる。リンゴはダイエットに効果的であるとする十分な論文があると考えており、こうした論文を読まれたあとの科学的な反論は考慮する必要があるが、読んでいないと思われるコメントには納得できない。むしろ、データを見てもいないのにコメントするとは科学者の態度としてどうなのかと疑問を感じる。

果物摂取でダイエット、肥満予防 - 目次


2007/01/03 若いときの運動は将来の骨折リスクを減らす
 アメリカ・インディアナ大学の研究者らは、ラットの実験から若いときに運動しておくと大人になってからの骨折リスクが減ると発表した。若いときに運動しておくと骨のサイズや強さが増強され、運動による疲労の回復も良く、このことは一生涯続くことが分かった。

【文献】
Warden, S. J. et al.: Exercise When Young Provides Lifelong Benefits to Bone Structure and Strength. J. Bone Mineral Res. online (2006) [doi: 10.1359/jbmr.061107]


2007/01/01 謹賀新年
 本年もどうぞよろしくお願いいたします。