2005年1月


2005/01/31
 グレープフルーツ全体の8割を占める米国産がハリケーンで甚大な被害を受け、輸入が激減している。米国の最大産地・フロリダ州に昨年9月、2回もハリケーンが上陸し、倒木や冠水被害を受けた。輸入業者は「こんなひどい状況は過去にない。商品化は全く無理」と日本農業新聞が伝えている(05/1/31)。
 2004年10月の米国からの輸入量は前年同月より76%減、11月は35%減、12月は26%減となっている。米国農務省は昨年10月現在の見通しで、04年秋~05年春の予想収穫量を、前年同期と比べ63%減と発表している。


2005/01/30
 講演会のため弘前へ出張してきました。今年の弘前は、例年になく雪が多いとのことでしたが、当日は天候にも恵まれ約170名の参加がありました。皆さん熱心に聞いて頂き感謝しています。また、人数制限のため参加できない方もおられたとのこと、いつかその方々へもお話し出来る機会があればと思っています。パネルディスカッションは、渋谷先生の司会が良かったので、それぞれのパネラーがかかえている現状や問題点が明かとなり、有意義な会となりました。「食を考える集い」を計画・準備された皆様ご苦労様でした。


2005/01/28
第4回 食を考える集い
 趣旨:リンゴ色のまちHIROSAKIに住み、リンゴと長くつきあっている私たちにとって大事な「りんごと健康」ということについて、様々な分野の方々から意見をいただき、リンゴのもつ力について再確認し、生産者・消費者の相互理解を深め、リンゴの消費拡大を図る。
基調講演
 毎日くだもの200グラム運動について - リンゴの健康機能性 -
 (独)農研機構果樹研究所生理機能部品質化学研究室
 「果物&健康NEWS」編集長 田中敬一
パネルディスカッション
 リンゴを活かすために-様々な角度(健康、食文化、調理、加工等)から、「リンゴを活かす」
 コーディネーター 弘前大学農学生命科学部 渋谷長生
 パネラー
 (独)農研機構果樹研究所 田中敬一      つがる弘前農業協同組合 盛 秀人
 道の駅サンフェスタいしかわ 小田桐れい子  弘前地区生活改善グループ連絡協議会 清野優美子
 陸奥新報社 清水紀子               青森県栄養士会中弘南黒地区会 長澤裕子
 日時:平成17年1月28日(金)
     12:30-13:00 受付     13:00-13:15 開会・来賓挨拶
     13:15-14:30 基調講演
     14:30-15:00 休憩及び試食  あっぷるシュー、リンゴ茶、ホテルのリンゴデザート
     15:00-16:30 パネルディスカッション     16:30  閉会
 場所:青森県弘前市 シティ弘前ホテル3階青海の間
 参集範囲:市民(消費者、生産者)等 定員: 150名 参加料:無料
 主催:弘前市農村活性化推進協議会
 後援:弘前市、つがる弘前農業協同組合、津軽石川農業協同組合
     弘前商工会議所、弘前青年会議所、青森県りんご協会、中南地方農林水産事務所
     陸奥新報社、東奥日報社、NHK弘前支局、FMアップルフエーブ、シティ弘前ホテル
 問い合わせ先
  弘前市農村活性化推進協議会事務局(弘前市役所農林部農政課内)
  電話0172-35-1111(内線377) FAX0172-37-5898 担当:原子(はらこ)


2005/01/27
 学校や病院の給食などの献立にも利用されている日本食品標準成分表と脂肪酸成分表編の改定版を文部科学省の科学技術・学術審議会資源調査分科会がまとめ、24日に発表した。脂肪酸成分表では、食品を100グラム食べると、健康に良いリノール酸やドコサヘキサエン酸(DHA)、動脈硬化を招く飽和脂肪酸などがどれだけ摂取されるか、一目で分かるようになった。ビタミンAやEの算定式も変更になったことから各食品の成分値も変更された。また、厚生労働省が昨年11月公表した「日本人の食事摂取基準2005年版」と一緒に使いやすい形式になった。


2005/01/26
 オーストリアの研究者が坂を下りる運動には上る運動とは別の効果があり、糖尿病患者らに向いているとの実験結果をアメリカ心臓病協会(American Heart Association)の会議で報告したとCNN(05/1/7)が伝えている。 実験はほとんど運動をしていなかった45人の健康な人を対象に、アルプスのスキー場で、片道だけリフトを利用する山歩きを続けてもらい、血糖値やコレステロール値を測定した。
 最初の2カ月間は毎週3-5時間山道を上り、リフトで戻る運動を繰り返した。続く2カ月間は、リフトで上ってから歩いて下るように切り替えた。その結果、下りの運動では上りに比べ、血糖値が目立って低下した。逆に、血液中の中性脂肪を減らすには、上りの運動の方が効果的だった。コレステロール値は、上りと下りの両方で改善することが分かった。
 この結果について研究者は、上りと下りでは筋肉の使い方が違うため、異なった効果が出たと述べている。糖尿病患者で上りがつらいと感じる人は、下り坂の方が楽なうえに、血糖値も下がりやすく、向いているとしている。
http://edition.cnn.com/2005/HEALTH/diet.fitness/01/07/
exercise.ups.downs.ap/



2005/01/25
 毎日新聞記者牧太郎氏の「朝日新聞vsNHK-陰でほくそ笑むのは誰だ-もうじき始まる暗闘」が1/25の朝刊に掲載されている。新聞記者が「圧力と対峙(たいじ)するには覚悟がいる。」と書き、「我々には、最後まで守らなければならない一線がある。憲法21条の第2項で「検閲は、これをしてはならない」と定めた民主主義の根幹である。メディアの日常的な自己規制が事前検閲になってしまったら、民主主義は死ぬ。」と記している。
 http://www.mainichi-msn.co.jp/column/kishanome/news/
20050125ddm004070050000c.html

 「政治に弱い」NHKに視聴者の不信感(岸井成格・毎日新聞特別編集委員)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/
20050125k0000m040148000c.html

 毎日新聞による特集記事「朝日新聞にNHK反撃/政治との距離、どう保つ(その1、2)」は下記
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/
20050125ddm010040125000c.html

 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/
20050125ddm012040002000c.html

 第2次「慰安婦」論争として
 http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/
2005/01/24/20050124ddm002070158000c.html

 すべて、読み応えのある記事であるが、すべてを読むとことの本質が分かる。


2005/01/24
 山之内製薬と理化学研究所のグループは、体内時計として働く16個の遺伝子のうち、九つの遺伝子上の朝になると活性化する塩基配列が、体内時計の心臓部を制御していることを突き止めたと発表した(プレスリリースは下記に掲載)。
 体内時計は体内の昼夜のリズム(体内リズム・概日リズム)を作り出す仕組みで、これまでに16個の遺伝子(時計遺伝子および時計関連遺伝子)が体内時計の部品となっていることが知られている。しかしながら、これらの16個の遺伝子がどのような仕組みで体内時計を構成しているのかは明らかになっていなかった。
 そこで、ラットの細胞を使って、試験管内で体内リズムを測定できる実験系を作成し、16遺伝子の役割を調べた。その結果、朝に活性化する塩基配列が16遺伝子のうちの9遺伝子上に、昼に活性化する配列が7遺伝子上に、夜に活性化する配列が6遺伝子上に分散していることを突き止めた。次に、朝配列を不活性化させると、すべての時計遺伝子の機能が弱くなったが、夜配列の不活性化では夜に働く遺伝子のみが弱くなり、昼配列ではほとんど影響がなかった。
 体内時計は、睡眠や覚醒、血圧や体温の変動、ホルモン分泌といった生理機能の24時間リズムを管理している。そのリズムが乱れることで惹き起こされる疾患や症状には、不眠症やうつ症状、時差ボケ、登校拒否症や痴呆症の周辺症状である夜間徘徊などが知られている。さらに最近では薬の効き目などへの関与も明らになっている。今回の成果は、リズムの変調によって惹き起こされる様々な疾患の治療や予防に大きく道を開くものであるとしている。

「体内時計の遺伝子ネットワークの心臓部を解明」については下記
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2005/050124/index.html


2005/01/23
 ルーマニアの首都ブカレストの病院で67歳の元大学教授の女性が体外受精で女の子を出産し、世界最高齢の出産記録を塗り替えたとCNNが伝えた(05/1/17)。アドリアナ・イリエスクさんは体外受精で双子の女の子を妊娠していたが、1人の死亡が確認されたため、予定日より6週間早く、残る1人を帝王切開で出産した。生まれた赤ちゃんは体重1450グラムで未熟児のため、保育器に入っているが、自発呼吸をしており健康だという。母イリエスクさんも健康で、9年間にわたる不妊治療の末に、若い男女の卵子と精子の提供を受けて母親になれたことについて、「新しく人生が始まったような気分」だと話しているという。
 これまでギネスブックに認定されていた最高齢出産の記録は63歳で、カリフォルニア州の女性が1996年に、イタリアの女性が1994年に出産しているという。
 このニュースでは、倫理についても考える必要がある。
 体外受精については下記のサイトが参考になる。
 http://www.synapse.ne.jp/aiiku_hp/IVF/taigai.html
 http://www.ladys-home.ne.jp/faqsite/ans-files/FAQ-K/FAQ-K5.html
 社団法人 日本産科婦人科学会のホームページは下記。
 http://www.jsog.or.jp/index.html
 日本産科婦人科学会の倫理審議会答申書は下記サイト。
 http://www.jsog.or.jp/kaiin/html/Rinri/rinri_shingikai.html


2005/01/22 コラム T君へ 科学の醍醐味
 欧州宇宙機関(ESA)は、土星最大の衛星タイタンに着陸したホイヘンスによってもたらされたデータの科学的解析結果の第1報を、パリのESA本部で発表しました。それによるとタイタンにはに液化したメタンが存在し、メタンの雨が降っている可能性が高いとしています。ホイヘンスの地表を写した写真には、河川や湖、島のように見える地形が鮮明に写っていました。ESAの主任研究者は「降雨や浸食、河川の活動により地球と同じような地形が形成された」と述べています。ただし、地球は水の作用によるものですが、タイタンではメタンの作用で出来上がった地形です。メタンは、融点が-182.6℃で沸点が-161.4℃のため、地球では気体ですが、タイタンは-170℃なので、メタンは液体の状態で存在します。
 また、観測データを解析した結果、ホイヘンスが着陸した時、地表から液体がにじみ出ていたことが分かりました。そのため、研究者たちは、ホイヘンスが着陸地点の地下数センチ以内に液体が存在しており、そう遠くない以前に雨が降ったと考えています。
 さらに、大気中からアルゴン40が見つけられたことから火山が活動していると推定しています。ただし、地球のように溶岩が噴出するのではなく、水やアンモニアが噴出するとしています。
 記者会見した科学者らは「私たちは今回の結果に非常に興奮しています」と述べています。今回の発表のために、科学者たちは疲れを忘れて働いたそうです。そして、「データの解析には何年もかかり、科学者を非常に忙しくするでしょう」と、この計画のジャンピエールレブレトン(Jean-Pierre Lebreton)マネージャーがまとめています。
 忙しくなることがうれしい-科学者たちの興奮が伝わってきます。新しい発見に接したときの科学者の気持ちを表しています。これが科学の醍醐味です。

 今回の記者発表の詳細は下記のサイトで見られます。
 http://www.esa.int/SPECIALS/Cassini-Huygens/SEMHB881Y3E_0.html


2005/01/20 コラム T君へ 小型探索機ホイヘンスからデータ送信
 小型探査機ホイヘンスの成果は、科学的トピックスとしてもっと報道されて良いと思っています。理科離れが心配されていますが、その一因として科学のおもしろさや不思議さを伝える努力も不足しているように思っていました。今回のホイヘンスは絶好の機会と感じていたのですが、テレビも新聞も報道量が少なすぎるように思います。
 欧州宇宙機関(ESA: European Space Agency)は、1月18日付で新しい情報を公表しました。ホイヘンスは、予想の2倍を超える1時間12分もデータを送信してきたとのことです。その量は474メガビットで、その中には画像データがおおよそ350枚含まれているとのことです。
 着陸前に撮影された新たな写真などが公表されました。ホイヘンスは、砂か軟らかい粘土のようなところに半ば埋まるような形で着地したとのことです。着陸地点の近くには黒っぽく平坦な部分があり、今のところ確かなことは言えないようですが、液化した炭化水素の湖か海の可能性が高いと指摘しています。そのほか、地表に近づくほど大気中のメタンの濃度が高まること、メタンの雲が上空20キロにあること、地表付近にはメタンかエタンの霧が検出されたことなどが報告されています。
 今までの成果を1月21日金曜日(Friday 21 January at 11:00 CET)に記者会見するそうです。楽しみです。
 今回公表された新しいデータは下記のサイトにあります。
 http://www.esa.int/SPECIALS/Cassini-Huygens/SEM15Y71Y3E_0.html


2005/01/19 コラム T君へ しあわせをはこめるように
 阪神大震災から10年がたちました。多くの追悼記事の中で、1月18日付毎日新聞の「記者の目:阪神大震災10年-しあわせ運べるように」が震災を体験していない私に考えなくてはいけないことを示してくれました。人は苦難に出会うとき、途方に暮れ立ちつくします。立ちつくす日々が永遠に続くように思えても、人は歩み出します。歩み出すとき思い出すのは「一人じゃない」ということなのかも知れません。
 私たちは様々な困難に出会います。もうだめだ前進できないと感じたとき、大きな声で歌を歌うと、もう一度、その困難と向きあえるように思えます。困難の高さは変わらないけれど、高さの限界が見えるときがあります。
 神戸支局の長尾真希子記者の記事を読んでそんなことを思いました。「しあわせ運べるように」を覚えてみようと思っています。

 毎日新聞 記者の目:阪神大震災10年「しあわせ運べるように」は下記のサイトで読むことが出来ます。
 http://www.mainichi-msn.co.jp/column/kishanome/
 神戸市立港島小学校の児童たちの歌う「しあわせ運べるように」(作詩作曲、臼井真)は下記のサイトで聞くことが出来ます。
 http://www.mainichi.co.jp/osaka/shiawase/music.html


2005/01/19
 米航空宇宙局(NASA)は、土星探査機「カッシーニ」がとらえた土星の衛星レア(Rhea)の画像を公表した。月のように、表面には円形にくぼんだ地形であるクレーターが点在している様子が確認できる。レアは天文学者カッシーニが1672年に発見した衛星で、直径は1528kmである。
 レアの写真は、NASAのCassini-Huygens Missionのサイトで見ることが出来る。
 http://www.nasa.gov/mission_pages/cassini/main/index.html
 1672年(江戸時代:寛文12年) 松尾芭蕉の最初の俳句集『貝おほひ』ができる。
 1687年、ニュートン「万有引力の法則」を発見する。


2005/01/18
 「見て、触れて、食べて、食育を考えよう」をテーマに、体験型の食育総合展示会「ニッポン食育フェア」が15-16日、東京国際フォーラムで行われ、初日には家族連れなど約1万人でにぎわったと日本農業新聞が伝えている(05/1/16)。
 子どもたちだけで料理を作る「キッズ・インザ・キッチン」では、小学生らが焼きうどん作りに挑戦した。昔ながらのわら細工や麦踏みを体験できる「食育ワンダーランド」や、きのこ汁やイノシシ汁を一杯100円で提供する「ニッポンみそ汁カフェ」などの行事が行われたと伝えている。
 食育の中に「農」の要素をたくさん詰め込んでほしいと思っている。


2005/01/17 コラム 「地球温暖化は防げない」は変
 温暖化対策推進法で地方自治体に策定が義務付けられた「実行計画」を実際に定めた全国の市区町村が35%にとどまっていると環境省の調査で明らかになった。
 同法は99年4月に施行され、国が定めた基本計画に則し、自治体に対して実行計画を定めるよう義務付けている。温室効果ガスの削減目標を定め、その目標達成のために、庁舎での電気や燃料の節約、自動車の使用抑制と自転車の使用、低公害車の導入、森林の保全、風力発電などの自然エネルギー利用などを進めると規定している。
 世界的に温室効果ガスの対策がとられれば、地球は温暖化しないと考えられている。にもかかわらず、各国の努力は結局失敗するとして、温暖化後の研究を最優先課題とするのは変でないかい。


2005/01/16 コラム T君へ ホイヘンスが伝えるもの
 ホイヘンスから送られてきたデータが公表されつつあります。欧州宇宙機関(ESA: European Space Agency)から4枚の画像(このうち1枚はカラー)と2つのサウンド(マイクロフォンとレーダーエコー)が下記のサイトで公表されました。
 降下中に高度8千メートルから撮影したパノラマ画像には、海のような黒っぽい部分が広がっており、岸辺に似た地形の近くには、白く細長い霧のようなものがたなびいていて、地球をのどこかの地域の写真のように見えます。
 タイタンは、メタンのもやが漂うオレンジ色の世界で、地表は予想以上に暗く、炭化水素と氷で覆われているらしい。また、着陸地点は湿った砂か粘土質の土壌と考えられています。表面で反射している光の分析から、氷と炭化水素が存在していること、氷のような物体の大きさは4~15センチと報告されています。丸い物体の下は、液体によって浸食されているように見えます。地表からメタンが出ており、上空20キロほどの大気にもメタンが含まれていたとのことです。
 ESAのデビット・サウスウッド氏は「これらは後世のためのデータだ」とし、「科学者たちはこれらの画像を分析し、私たちは宇宙でどんな存在なのか、私たちはどのように誕生したのかについて議論を深めるだろう」と話しています。

画像データサイト
http://www.esa.int/esaCP/SEMTKR71Y3E_index_0.html
サウンドデータサイト(音を聞くためにはQuick Timeが必要です)
http://www.esa.int/esaCP/SEM85Q71Y3E_index_0.html


2005/01/15 T君へ ホイヘンスがタイタンに着陸
 ついにホイヘンス(Huygens)がタイタン(Titan)に、日本時間14日夜(アメリカ東部標準時7時45分)着陸しました。欧州宇宙機関(ESA)の小型探査機ホイヘンスは、アメリカNASAの土星探査機カッシーニ(Cassini)に載せられ、7年前(1997年)に地球(フロリダ)を出発しました。そして、昨年の12月24日にカッシーニから切り離され、時速2万2000キロで大気圏(高度1270キロ)に突入した後、3つのパラシュートで減速(24km/h)しながらタイタンの地表へ降下しました。大気圏に突入してから約2時間半後に人工物体として初めて凍える地表(-180℃)に着地しました。
 ホイヘンスをコントロールしている科学者たちは、タイタンに到着するまでスクリーンに心を奪われていましたが、無事着陸したとき、何人かは涙を流し、また、別の人たちは拍手喝采で喜びを表しました。
 ホイヘンスは、直径8.9フィート(2.7m)、重量703ポンド(317kg)で、マイクロホン、3個の回転するカメラ、風速、気圧、伝導率測定用センサー、メタン測定用ガスクロマトグラフなどを載せています。バッテリーは着陸から数分後にスイッチが入り、2時間以上働くように設計されています。現在、降下中に集めたデータや画像は地球へ届き始めています。38億年以上前、生命誕生前夜の地球に似た環境(窒素、メタン、アルゴンガスの大気など)と考えられているタイタンの素顔が、17世紀の発見以来350年にして明らかになるでしょう。 第1報の写真を見ると、気のせいか月や火星と異なり地球に似ているように思います。

 ホイヘンスから最初に送られてきた写真は下記で見られます。
 http://www.cnn.com/2005/TECH/space/01/14/huygens.titan/index.html

 欧州宇宙機関(ESA)のイギリスのサイトは下記です。
 http://www.esa.int/esaCP/UnitedKingdom.html




2005/01/14
 福岡県宗像市の古刹(こさつ)、鎮国寺(ちんこくじ)で、本堂前の高さ約6メートルの早咲きの「淡紅梅」が固いつぼみを開き始めたと毎日新聞が伝えている(05/1/12)。境内には樹齢20~50年の淡紅梅が20本あるが、満開は今月下旬で、2月半ばごろまで楽しめとのことである。
 鎮国寺は九州八十八ケ所・八十八番札所。空海が唐から帰国して最初に修行した場所として知られている。鎮国寺を紹介しているサイトに下記がある。
http://www.yado.co.jp/tiiki/munakan/tinkoku/tinkoku.htm


2005/01/14 コラム T君へ いよいよ明日です
 いよいよ、今日の夕方6時半ごろ、小型探査機ホイヘンスが土星の惑星タイタンに到着します。どんな科学的成果が得られるでしょうか。タイタンは1655年、オランダの天文学者ホイヘンス(Christiaan Huygens)によって発見されました。半径2575キロで、33個確認されている土星の衛星の中で最大、太陽系全体でも木星の衛星ガニメデに次ぐ2番目の大きな衛星です。窒素を主成分とする厚い大気の中に、メタンが1%程度含まれています。メタンは高層で太陽の紫外線で分解され、絶えず失われてしまいますが、タイタンには今でも大気中にメタンがあるということは、地表か地下に供給源があるはずとして、液体メタンの海があるという説もあるとのことです。
 日本惑星協会のカッシーニ・ホイヘンス・ミッションのサイトは下記にあります。
 http://www.planetary.or.jp/know_cassini.html


2005/01/13
 ユニークな展示方法で人気の北海道旭川市の旭山動物園に、新しい屋内施設「おらんうーたん館」が完成し、15日から一般公開する。入園者との間に低いさくはあるもののガラス仕切りはなく、野生と同じように樹上生活する姿を、間近に観察できる。新施設に移った雄のジャックと、1歳の娘ももを抱えた雌のリアンは、手足を上手に使ってロープを渡っている。樹上で生活するオランウータンならではの動きや豊かな表情をよく見てほしいとのことである。

おらんうーたん館の特徴:
床のない飼育場
 オランウータンの居住空間は高さ約11メートル、幅と奥行き約9メートルで床は急斜面になっているため、オランウータンも降りたり、登ったりすることができない。天井や壁に鉄柱を渡し、ロープやハンモックを張り巡らしてある。野生では高さ30mの樹の上で生活し、地上には降りてこない彼らの特性を十二分に生かした施設である。
 オランウータンとの距離
 今までの球形放飼場と観客との間は5mであったが、この施設では3mとよりオランウータンを近くに見ることができる。
おらんうーたん館の飼育状況は下記のサイトで見られる。
http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/asahiyamazoo/
zoo/siikunews/orannu-tann6.html



2005/01/13 コラム T君へ タイタンは昔の地球と同じ?
 いよいよアメリカ時間で14日午前4時半頃、土星探査機カッシーニから投下された小型探査機ホイヘンスが土星の惑星タイタンに到着予定です。タイタンは太陽系の衛星では唯一、大気があると考えられています。大気の組成は原始の地球に似ているのでしょうか。地表には液体はあるのでしょうか。生命の痕跡は見つかるのでしょうか。楽しみです。昨年、むかしの火星にはかなりの確率で水が存在することが分かり興奮しました。今回はどうでしょう。ニュースに注目です。


2005/01/12
 バルセロナ大学トロ(Juan M. Toro)氏の研究グループが、実験用に飼育したラットが人間の言語のリズムを聞き分け、オランダ語と日本語の違いを認識できたと発表した(Toro, JM. et al. (2005) Effects of Backward Speech and Speaker Variability in Language Discrimination by Rats. J. Exp. Psychol.: Animal Behavior Processes 31: 95-100.)。
 成長した64匹のオスのラットを使い、エサを使ってオランダ語か日本語の短い文章を聞いたときにレバーを押すように訓練した後、ラットに、(1)それぞれの言語を母国語とする人の言葉を聞かせる (2)それぞれの言語をコンピューターの合成音で聞かせる (3)異なる人物が話すそれぞれの言語を聞かせる (4)それぞれの言語の逆回しを聞かせる 実験を行った。
 その結果、日本語を認識するよう訓練したラットはオランダ語に反応せず、オランダ語を認識するよう訓練したラットは日本語に反応しなかったため、聞き分けができていることが証明された。
 オランダ語と日本語を選んだ理由は、この二つの言語の単語やリズム、構造などが全く異なっていることのほか、以前に行われた同様の研究で用いられた前例があるからだとしている。
 この研究で得られた結果は、人間の大人や新生児、サルの仲間のマーモセット「ワタボウシタマリン」で行った結果と、よく似ているという。ただ、ラットは特定の人間による通常の会話は、言語を判別することができるが、知らない人間が話すと区別できない。大勢が話しても区別できないとしている。
 人間の言語発達において重要だと考えられている特定情報をラットも認識できると分かったのは興味深い。今後新しい展開が期待される。

 この独創的な論文の全文がウエッブサイトで見られるので興味のある方は下記にアクセスしてみて下さい。
 http://www.apa.org/journals/releases/xan31195.pdf


2005/01/12
 青色発光ダイオードの発明を巡る訴訟は、1審判決の200億円から100分の1に減額され8億4000万円で和解した。しかし、発明者の中村修二・米カリフォルニア大教授は「和解額にはまったく納得していません」とコメントとした。

(注釈)100分の1について:1審の裁判所は、中村氏の発明の対価を600億円と裁定したが、請求が200億円なので対価を200億円とした判決を出した。今回、発明の対価を6億857万円とし、延滞料を約2億円加え8億円強となった。従って、減額率は100分の1となる。


2005/01/12
 欽ちゃん(萩本欽一)が監督を務める社会人野球のクラブチーム「ゴールデンゴールズ」の本拠地が茨城県桜川村に決まったとのことである。東京から約60キロ離れた茨城県の南東部に位置し、つくばに近い。これからどうなるのか楽しみである。


2005/01/11
 成人式のニュースが各紙に掲載されている。今年は150万人が大人の仲間入りをした。着物ブームを反映してか男性の着物姿も見られた。毎年のことであるが、街で新成人を見ると何となくうれしくなる。
 「荒れる成人式」を解消しようと20歳の門出をユニークに祝う方式が増えているとのことである。例えば、青森市では新成人自らがテーマを設定し、アイデアを出し合い、世話になった人に20歳になったことを感謝する成人式を予定していた。
 ところが、その青森市で、新成人の男がイベントの行われているステージに上り踊り出し、その仲間もバンド演奏中、ステージに向かって紙くずを投げるなど、式の進行を妨害したと毎日新聞が伝えている(05/1/10)。
 式を企画した青森市の新成人はきっと悲しく思っていることだろう。

 毎日新聞のコラム余録では「きみはいつおとなになったんだろう…」と書いている(05/1/10:下記)。「大人とはどう生きることなのか。」、私もちょっと立ち止まり、深呼吸をして考えてみよう。
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/yoroku/archive/
news/2005/01/20050110ddm001070117000c.html



2005/01/10
 アメリカ中央情報局(CIA)が米医学専門誌(Journal of the American Medical Association)に外国人指導者や「テロリスト」の「健康状態」を医学的な見地から分析する専門家を募集する広告を出したとAPが伝えている(04/12/29)。
 対象の外国人指導者には、非友好的な諸国も含まれている。求められている人物は、医者、心理学者らと共同作業を進め、米国に影響しそうな疾病の流行の対策などにも当たる。 応募者は、ポリグラフ(うそ発見器)のテストや治安対策上の手続きなども通過しなければならない。また、アメリカの市民権が必要である。
 "CIA Eyes Health of Leaders, Terrorists" By L. KELLMAN
http://news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/ap/20041230/
ap_on_go_ca_st_pe/intelligence_doctors_3



2005/01/09
 北海道立水産孵化場の調査結果から、生態系への影響が深刻とされ、飼育や運搬などが禁止される「特定外来生物」への指定が論議されている北米原産のオオクチバスについて、炭素と窒素の安定同位体の存在比を調べることで、その場所に長期に生息していたか、最近放流されていたかがわかると朝日新聞が伝えている(05/1/9)。

T君へ
 元素にはいくつかの同位体(質量数の異なる原子)が存在します。安定同位体比は、地域によって少しずつ異なっているので、食物連鎖系の解明に応用されています。特に、炭素・窒素安定同位体比の測定は広く応用されています。
 生物の体の構成成分は、食べたエサの安定同位体と一定の関係があることが経験的に知られています。従って、この関係を利用することで、どの生物がどんなエサを食べているかを解析することができます(食物連鎖)。
 この方法は、生物が食べているエサの季節変動や年変動などの調査や、肥料などの含まれている硝酸イオンの起源の解析などにも使われています。


2005/01/08
 米マイクロソフト(MS)は、同社のウィンドウズ用のウイルス駆除ツールを、今月11日から無料で配布すると発表したとCNNが伝えている(05/1/7)。無料配布予定のウイルス駆除ツールは、ユーザーがMSのウェブサイト(www.microsoft.com)からダウンロードして利用する。月に一度、無料で自動的に更新されるという。
 MSは、ウイルス対策ソフト大手のシマンテックやマカフィーと競合するものではないと強調しており、提供するウイルス駆除ツールでは、ウイルスの感染そのものは防げないとして、大手が販売しているウイルス対策ソフトの導入も呼びかけている。

 無料配布はうれしいが、何となく、自分たちの作っているウィンドウズのセキュリティ対策の甘さを新しい商売のネタにしているような感じがする。


2005/01/08
 ALLABOUTの「食と健康」のサイトに「くだもの・科学・健康ジャーナル」が登録されるとの連絡が入った。うれしい。掲載されているサイトは下記。さらにホームページの充実を図っていきたい。
http://allabout.co.jp/health/healthfood/subject/msubsub_healthyinfo.htm


2005/01/07
 光を反射する有機物の結晶が、特定の周波数のレーザー光を当てた途端に反射率が大きく下がり、光を通すようになる現象を腰原伸也東京工業大教授らのチームが発見し、米科学雑誌サイエンス(Chollet, M. et al. Gigantic Photoresponse in 1/4-Filled-Band Organic Salt(EDO-TTF)2PF6. Science. 307: 86-89 (2005))に発表した。この有機物は4℃を境に、高温側では電気を通す金属になり、低温側では電気を通さない絶縁体になる。このことから、電気信号の代わりに光を情報の担い手にする未来の「光コンピューター」や、高速インターネットのための光通信の発展に必要な高速の「光スイッチ」実現に道を開く成果として期待されている。

T君へ
 上記の報告は、新しく合成し有機化合物に光を当てると反射率が激変する新現象の発見です。光に関係した優れた論文が物理年のはじめに日本から発信されました。


2005/01/05 コラム T君へ 今年は世界物理年
 今年は世界物理年です。アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein: 1879-1955年)が特殊相対性理論など画期的な論文を3本、立て続けに発表した「奇跡の年」(1905年)からちょうど100年目にあたるためです。アインシュタインは、1900年にスイス連邦工科大を卒業後、ベルンの特許局に就職し、研究に没頭しました。
 発表された論文の一つは、液体中の微小な粒子の不規則な運動を説明するブラウン運動の理論です。二つ目は、時間や空間の概念を一変させた特殊相対性理論で、三つ目は、金属に光を当てると電子が飛び出してくる現象(光電効果)を説明する光量子仮説です。この三つの論文で一番有名なのは特殊相対性理論ですが、あまりに難しすぎたせいかアインシュタインにノーベル物理学賞が授与されたのは光量子仮説の発見に対してです。
 光量子仮説とは、光が波動性と量子性の両方(電磁波の性質と光子と呼ばれる粒子の性質)を示すことを明らかにした、量子力学の基礎理論です。
 ここで重要なのは、光は二つの性質を同時に持っているという点です。ある時は電磁波で、またあるときは粒子ではないのです。私たちは、というか、私はこの点がなかなか理解できません。頭はサルに、胴はタヌキに、尾はヘビに、手足はトラに似ている「ぬえ」と言う伝説の怪獣がいますが、この「ぬえ」は想像できます。しかし、頭や胴体などが、同時にサルでもあり、タヌキでもあり、ヘビでもあり、トラでもありとする怪獣を想像できるでしょうか。
 想像できない人は私の仲間です。しかし、光の波と粒子の性質を同時に持つことを理解する人たちがいます。その人たちは物理学の研究を行っています。でも、これからは、理解できる人たちが増えてくると思っています。それが、教育の力なのだと思います。コペルニクスの時代に地球が太陽の周りを回っていると理解出来た人はほとんどいなかったでしょう。今では私にも普通に理解できます。教育を受けてきたためだと思っています。
 アインシュタインが画期的な論文を発表して100年がたちました。光量子の概念が普通に理解できる人が増えているのではないかと思います。そして皆が理解し一般化(大衆化)するとアインシュタインを超える次の画期的な理論が生まれるのでしょう。
 「物理が嫌いだ」といっていましたがどう感じましたか。物理学とは発想の転換が重要なのではないかと考えています。そう考えると物理学もおもしろいと思えませんか。  編集長 敬白


2005/01/04
 ハエを餌にする自立型ロボットが西イングランド大学(University of the West of England)で開発中である。EcoBot IIと名付けられたロボットの最高速度は1時間に10cmとのろいが、8匹のハエを燃料として5日間動き続けた。
 このロボットは微生物燃料電池を動力源とするため、ハエが泥に取り込まれると土壌細菌がハエの外側のキチンを分解して糖を作る。この糖を代謝する菌が泥の中の硫酸塩を還元し、亜硫酸塩にする。亜硫酸塩は電極で水と反応して酸化されるので電気が得られる。
 今はハエを人の手で与えなければならないが、ハエを捕獲する装置が出来れば自立型ロボットになる。
 下記は研究者のサイトなのでEcoBot IIの写真とmovie(Real player version)が見られる。ゆっくりしか動かないのでじっくり見る必要がある。
http://www.ias.uwe.ac.uk/Energy-Autonomy-New/
New%20Scientist%20-%20EcoBot%20II.htm#movie


T君へ
 この研究、なかなかユニークな発想ではありませんか。日本の高校生や大学生のロボット選手権での活躍やSonyの二足歩行ロボットQLIOなどをテレビで見ていました。でも、「肉食」の自立型ロボットなんて聞いたこともありませんでした。科学には、この独創性が大切です。こうした発想が出来る人はそう多くはいません。もしこのことがおもしろいと思われたのならT君は研究者に向いています。
 独創はかなり難しいですが、改良は意外と早くできます。この研究がより発展するかどうかは、お金の問題という面があります。
 では、また今度。  編集長敬白

下記のサイトでは研究室全体が見渡せます。
http://www.ias.uwe.ac.uk/


2005/01/02-03
T君へ
 あけましておめでとうございます。
 メールありがとう。このサイトを愛読してくれているとのこと大変うれしく思います。今後ともどうぞよろしくお願い致します。
 「なぜ勉強するのか」、「これまでで一番うれしかったことはなにか」などの質問すべてに対して一度に回答することは難しいので、この欄で少しずつお答えしていきたいと思っています。時折のぞいて感想や新たな疑問などメールを下さい。
 また、「そろそろ自分の進路を決めなくてはならないが迷いがたくさんある」とも書かれています。高校生とはそうした時期なのかも知れません。成績が中位でめざす大学にはとても入れないと悲観していますが、人生の最も大切な時期は、大学卒業後にやってきます。あわてることは少しもありません。
 質問に「研究の仕事で何が大切か」とありますが、「焦らないこと」ではないかと思います。そして、目指すものが得られるチャンスは必ずやって来るということです。ただし、そのチャンスをつかむためには一生懸命に働くことと、リスクをとる勇気が必要です。「一生懸命とは」、「リスクとは」と再質問がありそうですが、このことはまたの機会にお話ししましょう。
 まずはお礼まで。  編集長敬白


2005/01/01
 あけましておめでとうございます。
 2004年、本ホームページとおつきあい下さりありがとうございました。2005年は読まれるホームページを目指してすこしずつ改良を加えていきたいと思っています。
 昨年の3月6日に立ち上げたホームページは、ロボット型検索エンジンGoogleやディレクトリ型検索サイトYahoo! JAPANなどに掲載されました。1日の最大アクセス数は11月4日の456件で、最小アクセス数は初期の頃の0件でした。
 本年もどうぞよろしくお願い致します。